バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~   作:アカツキ

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学力強化合宿編
平和な朝に贈る悲鳴


「翔子」

「……隠し事なんてしていない」

「まだ何も言っていないぞ?」

「……誘導尋問は卑怯」

「今度、誘導尋問の意味を辞書で調べて来い。んで、今背中に隠した物はなんだ?」

「……別に何も」

「翔子、手をつなごう」

「うん」

「よっと……ふむ、MP3プレーヤーか」

「……雄二、酷い……」

「機械オンチのお前がどうしてこんなものを……。何が入ってるんだ?」

「……普通の音楽」

 

 ――ピッ 《優勝したら結婚しよう。愛している。翔子》

 

「…………」

「……普通の音楽」

「これは削除して明日返すからな」

「……まだお父さんに聞かせてないのに酷い……。手もつないでくれないし……」

「お父さんってキサマ――これをネタに俺を脅迫する気か?」

「……そうじゃない。お父さんに聞かせて結婚の話を進めてもらうだけ」

「翔子病院に行こう。今ならまだ2、3発シバいてもらえば治るかもしれない」

「……子供はまだできてないと思う」

「行くのは精神科だ!――ん?ポケットにも何か隠してないか?」

「……これは大したものじゃない」

「え~、なになに?『私と雄二の子供の名前リスト』か。……ちょっと待てやコラ」

「……お勧めは、最後に書いてある私たちの名前を組み合わせたやつ」

「『しょうこ』と『ゆうじ』で『しょうゆ』か。……なぜそこを組み合わせるんだ」

「……きっと味のある子に育つと思う」

「俺には捻くれ者に育つ未来しか見えない」

「……ちなみに、男の子だったら『こしょう』が良い」

「『しょうゆ』って女の名前だったのか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「光正。明日から学力強化合宿だね」

「そうだな」

「楽しみだね」

「そうだな」

「……どうしたの?機嫌悪いの?」

「いや、何故かこの学力強化合宿がタダじゃ終わらない気がして……」

「あーそういえば光正。結局清涼祭も普通に終わらなかったもんね」

「ああ。だから、今回の学力強化合宿も絶対に問題が起きるとオレの直感が告げてるんだ」

「直感ねぇ~」

「というか紫乃はいつもよりテンションが高いな。何か良いことがあったのか?」

「えへへ~分かる?」

「ああ、いつもは手を繋ぐ程度なのに、今日は腕まで組んで自分の(絶壁)を押しつけゴバァッ!?」

「もう~光正たら~本当に……ジョウダンガスキナンダカラ」

「アハハ……ウ、ウン。オレ、ジョウダン、ダイスキ」

「どうしたの?固まっちゃって?」

「な、何でもないよ。それよりテンション高い理由は?」

「うん。だって、学力強化合宿って、去年もだけどほとんど自習だったでしょ?ということは二日目から四日目の三日間は光正と自習できるわけなのです」

「でもAクラスとFクラスで自習室が違ったらどうするの?」

「翔子を説得して、一緒に乗り込む」

「うん。絶対にその説得は成功するよ」

「まぁ、テスト受けたりしたら、アレだけど、でも普段の平日より長く一緒にいられるのです!」

「そうですか」

「光正は嬉しくないの?」

「嬉しいけどね。ただ……」

「ただ?」

「……寝込みを襲われないか心配で心配で」

「も~まだ清涼祭の引っ張るの~?」

「じゃあ、襲わないって誓える?」

「う~ん……分かんない」

「襲うか分かんないって……」

「ううん。違うの」

「何が違うの?」

「いざ夜になった時に私がどんな行動をするかが分かんないの」

「……よし、木下さん辺りに紫乃の監視を頼もう」

「そ、それはやめて!監視されるって何か悪いことしたみたいじゃん!」

「はぁ~分かったよ。頼むから皆の前では自制してくれ」

「はーい。皆の前ではね…………ハッ!気付いてしまった」

「どうした?」

「この合宿を休めば一週間二人でイチャつけるのでは……もしかして私って天才?」

「ん。じゃあ、紫乃はお留守番ね。オレは合宿行くから。バイバイ~」

「あっ!待って光正!冗談だから!私も合宿行くから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 普通に教室についたオレはのんびりと窓の外を眺めていた。

 

「おはようじゃ。光正」

「ん。おはよ」

「そういや、下で明久に会ったぞい。今日は珍しく早かったのう」

「あはは。でも、兄さんが早起きして学校に来ると何かが起きるよね」

「確かにのう。今日はどんな厄災が明久の身に振りかかるんじゃろうな」

 

 過去の例から考えると、例えば、ラブレターが入っていて、クラスメートに殺されかけたりとか、鉄人の雑用とか。

 

「おはよう光正に木下。何話してるの?」

「おはようじゃ島田。いや、明久が早く来たから今日は何が起きるのかを考えていたのじゃ」

「うんうん。あの兄さんが早く来ると碌なことにならないし、今回は何が起きるのかと」

「光正。いくらなんでもアキが早く来たぐらいじゃ問題なんてそうそう起こらな――」

 

『最悪じゃあ――――――っっ!!』

 

 窓の外から爽やかな風が入ってくる。

 それらと共に、兄さんの叫び声も風に乗って聞こえてくる。

 

「ほらね。もう、問題起きたでしょ?」

「本当ね……」

 

 さぁて、今回はどんな厄介事を兄さんは持ち込んでくるのやら。

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