バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~   作:アカツキ

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調査と乱入と冤罪と

「300ジュールチャージ」

「了解」

「電気ショックを与える。離れてくれ」

「では、一発目」

 

 ドンッ

 

「もう一回だ」

「では、二発目」

 

 ドンッ

 

「かすかに動いた。なら、後一回」

「では、三発目」

 

 ドンッ

 

 オレたちは合宿所に入り、自分たちの部屋で最初にしていること。それは――

 

「明久、起きたか!良かった……。電気ショックが効いたようだな……」

 

 ――兄さんの救命活動だった。

 なぜ、兄さんの命が風前の灯火になっていたか?理由は簡単、姫路さんの手料理を食べてこうなったのだ。

 

「起きた?頭は大丈夫?自分の名前フルネームで言える?」

「バカにしないでよ。僕は吉井明久でしょ?」

「雄二。どうやら記憶障害があるようだ」

「えぇっ!?何でさ!」

「だって、ヨシイ・バカ・アキヒサがフルネームなのにミドルネームを言い忘れている。これは記憶障害の疑いがあるぞ」

 

 ところで、本当に名前にバカって入ってる人って実在するのかな?バーカーって人はいた気がするけど……あ、そもそも海外ではバカって言わないか。

 

「誰がバカだよ!」

「茶番はその辺で終わらせるぞ」

「へーい」

「何か答えを聞いてない気がするんだけど……」

 

 そこは諦めろ。

 

「ところで、ここは合宿所?」

「ああ、そうだ。まったく贅沢な学校だよな。この旅館、文月学園が買い取って合宿所に作り替えたらしいぞ」

 

 わぁ~金持ちだなぁ。というか、作り替えたってことはあれか。召喚獣も出せるということか。

 

「む。明久、無事じゃったか!良かったのう……。お主がうわ言で前世の罪を懺悔し始めた時には、正直もうダメじゃと……」

 

 うーんでも、前世の罪を懺悔してたのに、現世の罪。主にオレに迷惑をかけたことに関しては何も言わなかったんだよな。

 

「心配してくれてありがとう。秀吉もこの部屋で一緒なんだよね?」

「うむ。ムッツリーニも含めた五人でこの部屋を使うのじゃ」

 

 見たところ八人ぐらい使えそうな部屋だけど……あれか。問題児を一ヶ所に集めてオレがその監視役か。それなら納得だ。

 

「ムッツリーニは何処にいったの?覗き?盗撮?」

「友人に対してどうしてそんな台詞が出てくるんだ?」

 

 ガチャッ

 

「…………ただいま」

「おかえりムッツリーニ」

「…………明久。無事でなにより」

「あ、心配してくれたんだ。ありがとう」

「…………情報が無駄にならずに済んだ」

「情報?昨日俺と明久が頼んだ例のヤツか。随分早いな」

 

 情報と聞いて雄二が反応した。兄さんも思い出したかのような顔になっている。

 

「…………昨日、犯人が使ったと思われる道具の痕跡を見つけた」

「おおっ。さすがはムッツリーニだね」

「…………手口や使用機器から、明久と雄二の件は同一人物の犯行と断定できる」

「そうなのか。まぁ、そんなことをするヤツなんて何人もいないだろうし、断定しても間違いはなさそうだな」

 

 そりゃ、この事件が別々の犯人だとこっちが捕まえるのが面倒だ。

 

「それでムッツリーニ、その犯人は誰だったの?」

「…………(プルプル)」

 

 兄さんが尋ねると、ムッツリーニは申し訳なさそうに首を振った。流石のムッツリーニでも犯人の特定は無理だったよう。

 

「あ、やっぱり犯人はまだわからないの?」

「…………すまない」

「いや、そんな。協力してくれるだけでも感謝だよ」

「…………『犯人は女生徒でお尻に火傷の痕がある』ということしかわからなかった」

「君は一体何を調べたんだ」

 

 どうすれば、お尻に火傷の跡があるかないのかが分かるのだ?調査方法がとても気になる。

 

「…………校内に綱を張った」

 

 そう告げながらムッツリーニが取り出したのは小さな機械。これはアレか。

 

「…………小型録音機。昨日学校中に盗聴器を仕掛けた」

 

 ですよねー 

 

 ──ピッ 《──らっしゃい》

 

 ムッツリーニがスイッチを押すと、内蔵されている音源からノイズ混じりの声が部屋に響いた。

 

「随分と音が悪いね」

「校内全てを網羅したのなら仕方ないだろう。音質や精度に拘る余裕はないからな」

「辛うじて女子の声ってことは分かるね」

 

 ただ、誰なのかが特定できない。少なくとも紫乃ではないことは確かだ。断言できる。

 

《……雄二のプロポーズを、もう一つお願い》

 

 対する女子の声。声だけでは特定できないが、この独特の話し方と台詞の内容からして霧島さんで確定だ。

 

「しょ、翔子……!アイツ、もう動いていたのか……!」

「よっぽど早く手に入れたいんだね」

「一途だねぇ~」

 

 まぁ、雄二も面白そ――大変そうだなぁ。

 

《毎度。二度目だから安くするよ》

《……値段はどうでもいいから、早く》

《流石はお嬢様、太っ腹だね。それじゃあ明日──と言いたいところだけど、明日からは強化合宿だから引渡しは来週の月曜で》

《……わかった。我慢する》

 

「あ、危ねぇ……。強化合宿があって助かった……」

「タイムリミットが来週の月曜まで延びたね」

 

 とは言え、土日は殆ど行動できないだろうから、実質はあと四日だろう。

 

「でも、今ので相手が二年生ってことも掴めたね」

「…………それで、こっちが更なる犯人特定のヒント」

 

 ムッツリーニが機械を操作する。

 

《──相変わらず凄い写真ですね。こんな写真を撮っているのがバレたら酷い目に遭うんじゃないですか?》

《ここだけの話、前に一度母親にバレてね》

《大丈夫だったんですか?》

《文字通り尻にお灸を据えられたよ。全く、いつの時代の罰なんだか》

《それはまた……》

《おかげで未だに火傷の痕が残ってるよ。乙女(おとめ)に対して酷いと思わないかい?》

 

 それ以降は他愛もない商談がいくつか続いた。

 

「………わかったのはこれだけ」

「なるほどね。それでお尻に火傷の痕か」

「今の会話を聞いても女子というのは間違いなさそうだな」

「口調は芝居がかっていたけど女子なのは間違いないだろうね」

 

 ムッツリーニの情報に、兄さんと雄二は間違いなく女子と断定した。それにしても隠れて商売をしてる人がムッツリーニ以外にもいたとは驚きだ。

 

「犯人を特定できる有益な情報だけど、お尻の火傷か……。仮にスカートを捲ってまわったとしてもわからない可能性があるし、う~ん……」

「赤外線カメラでも火傷の痕なんて映らないだろうしなぁ……」

「何でこいつら真剣に女子の尻をばれないように見る方法考えてんだよ……」

 

 他にも方法があるだろ方法が。

 

「お主ら、さっきから何の話をしておるのじゃ?」

 

 秀吉が首を傾げながら聞いてきた。あれ?兄さんはまだ秀吉に事情を話してなかったの?

 

「秀吉、実はね──(割愛)」

 

 兄さんが簡単に事情を説明する。恐らく秀吉なら事情を話せば協力してくれるだろう。

 

「そうじゃったのか。それにしても、尻に火傷とは……」

 

 一緒に考え始める秀吉。

 

「そうだ!もうすぐお風呂の時間だし、秀吉に見てきてもらえばいいのか!」

 

 何故そうなった?

 

「明久。なぜにワシが女子風呂に入ることが前提になっておるのじゃ?」

「それは無理だ、明久」

 

 雄二が何かを兄さんに放って渡した。強化合宿のしおりかな?

 

「どうして無理なのさ?」

「無理に決まってんだろ」

「そうじゃ、ワシは男じゃと」

「3ページ目を開いてみろ」

 

 雄二に言われて兄さんは3ページ目を開く。

 

 

 ~合宿所での入浴について~

・男子ABCクラス…20:00~21:00 大浴場(男)

・男子DEFクラス…21:00~22:00 大浴場(男)

・女子ABCクラス…20:00~21:00 大浴場(女)

・女子DEFクラス…21:00~22:00 大浴場(女)

・Fクラス木下秀吉…20:00~21:00 個室風呂④

 

※個室風呂①~③を使用したい場合は理由と共に担任に申請すること。

 

 

「……くそっ!これじゃ秀吉に見てきてもらうことができない!」

「そういうことだ」

「あれ?そういうことかぁ……?」

「どうしてワシだけが個室風呂なのじゃ!?」

 

 そうやって五人で思考を続けていると……。

 

 ――ドバン!

 

「全員手を頭の後ろに組んで伏せなさい!」

 

 もの凄い勢いでオレたちの部屋の扉が開け放たれ、女子がぞろぞろと中に入ってきた。えっ?オレたち何かやらかした?

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