バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~   作:アカツキ

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折檻と情報交換と……

「な、なにごとじゃ!?」

 

 狼狽える秀吉。当然だ。急に女子たちが乱入してきたのだからな。

 

「木下はこっちへ!そっちのバカ四人は抵抗をやめなさい!」

 

 先頭に立つ島田さんが、そう叫んだ。

 

「オレは抵抗してないんだが?」

「あの三人をみなさい」

 

 言われたように窓の方を見ると、そこから脱出しようとする兄さん、雄二、ムッツリーニがいた。

 

「なぜお主らは咄嗟の行動で窓に向かえるのじゃ……?」

「バカだろお前ら……」

 

 でもまぁ、今はそんなの問題じゃない。

 

「仰々しくぞろぞろと、一体何の真似だ?」

 

 窓を閉めながら女子勢に向き合う雄二。兄さんとムッツリーニも貴重品の入った鞄を下ろしながらそっちを向く。というか、貴重品を持っていくという考えがあったことに驚いたよ。

 

「よくもまぁ、そんなシラが切れるものね。あなたたちが犯人だってことくらいすぐにわかるというのに」

 

 島田さんの後ろから出てきて高圧的に言い放ったのはCクラス代表の…………小山さんだ。名前を思い出すのに時間がかかったわけでは無い。そして、後ろで並んでいる大勢の女子も腕を組んでうんうんと頷いている。

 

「犯人?犯人ってなんのことさ?」

「コレのことよ」

 

 小山さんがオレたちの前に何かを突きつけてきた。何だコレ?

 

「…………CCDカメラと小型集音マイク」

 

 そう言った物に圧倒的に詳しいムッツリーニが代わりに答えてくれた。

 

「女子風呂の脱衣所に設置されていたの」

 

 へぇ~。 

 

「え!?それって盗撮じゃないか!一体誰がそんなことを」

「とぼけないで。あなたたち以外に誰がこんなことをするっていうの?」

「まさか、感情論だけで決めつけたのか……」

 

 もし、そうだとしたら頭が足りてないって言うべきか……オレたちに疑われる人材が揃ってるって言うべきか……。そしてそんな状況の中、秀吉が前に歩み出た。

 

「違う!ワシらはそんなことをしておらん!覗きや盗撮なんてそんな真似は──」

 

 友人の無罪を立証しようと、秀吉が声を荒らげていた。

 

「そうだよ!僕らはそんなことはしない!」

「……………!(コクコク)」

 

 秀吉の反論に合わせて前に出た兄さんとムッツリーニを冷ややかに見る小山さん。

あ、この二人が出たらダメなやつだ。

 

「そんな真似は?」

「……否定……できん……っ!」

 

 ですよねー。 

 

「えぇっ!?信頼足りなくない!?」

 

 諦めろ。普段の行いだ。

 

「まさか、本当に明久君たちがこんなことをしていたなんて……」

 

 殺気立つ女子の中から一人悲しそうな声をあげたのは姫路さんだった。

 

「アキ……。信じていたのに、どうしてこんなことを……」

「美波。信じていたなら拷問器具は用意してこないよね?」

 

 ちなみに島田さんからは信頼の欠片も感じられなかった。

 

「姫路さん、違うんだ!本当に僕らは──」

「もう怒りました!よりによってお夕飯を欲張って食べちゃったときに覗きをしようなんて……!い、いつもはもう少しその、スリムなんですからねっ!?」

 

 ……それって捉え方を変えると普段は覗いてもいいって言ってるようなものだけど……まぁ、兄さん限定だろうな。

 

「う、ウチだっていつもはもう少し胸が大きいんだからね!?」

 

 それは絶対に嘘だ。でも口に出すと――

 

「それはウソ」

「皆、やっておしまい」

「ご、ごめんなさい!つい咄嗟に本音が!」

 

 素早い動きで周りを取り囲まれ、兄さんとムッツリーニは石畳の上に座らされた。

 うん。こうなるよね。しかもこの人たち本気で拷問するつもりだよ。

 

「雄二頼むっ!この場をなんとか収めて」

 

『……浮気は許さない』

『翔子待て!落ち着ぎゃぁぁあああっ!』

 

 さよなら雄二。君の事は忘れない。

 

「さて。真実を認めるまでたっぷりと可愛がってあげるからね?」

 

 え?オレには拷問がないのかって?

 

「光正君も。覗きはいけないことですからね」

 

 姫路さん以下数名(全員胸がある)に追い詰められて絶対絶命のピンチです。 

 誰か助けて……。

 

「姫路さん。後は彼女の仕事だわ」

「あ、天草さん」

「光正。連れてくね」

 

 そういうと首根っこを掴まれ、なす術なく連れてかれる。ああ、どこに連れてかれるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 連れてかれた場所は……。

 

「個室風呂①?よく借りれたね」

「まぁね。Aクラスの生徒だから、風呂は大人数で入りたくないっていったら簡単に貸してもらえたよ」

 

 さすがAクラス。学校側からも信頼されているようだ。オレは紫乃の肩に手を置いて……

 

「まぁ、紫乃。他と比べることは無いよ。いくら、自分の胸が周りと比べて貧相だからって、オレは気にしなふベガァぁぁああ!?」

「教えてあげる。個室風呂って何故か防音加工がされてるらしいの。だからいくら悲鳴をあげても助けはこないの。分かる?光正」

 

 なるほど。何でここを選んだのかよく分かった。

 

「情報交換。まず、状況確認からだ」

 

 要するに情報漏洩を防ぐのに最適だと。

 

「そっちで何が起きた?」

「女子風呂の脱衣所からカメラが見つかった」

「なるほど。それでオレ達が犯人扱いを受けて、乗り込んできたと」

 

 だが、腑に落ちない。本当にあの乗り込んできた女子全員が、『カメラが見つかった。犯人はFクラスのムッツリーニや兄さんたちだ』そうやって考えるだろうか?そうだったら愚かとしか言いようがないが……先導者でもいたのか?

 

「第一発見者は誰だった?」

「Dクラスの清水さんよ。そして、彼女が『こんな事するのはFクラスの吉井明久に違いありません』って」

 

 あれ?清水さんは乗り込んだメンバーの中に居なかったな。……どういうことだ?

 

「それでCクラスの小山さんたちが向かってったの」

 

 なるほど。大体解けた。

 

「紫乃。99%盗撮の犯人は清水さんだ」

「どうして?」

「二点。一つは第一発見者であること。これは、自作自演の線も有りうる。もう一つは真っ先に兄さんを疑ったこと」

「一つ目はわかるけど二つ目はどういうことなの?」

「単純な話だ。兄さんより疑わしい人物が他にもいるのに真っ先に名前を上げた点。これは、加えて兄さんの脅迫犯が清水さんということを言っているのも同じ」

「脅迫犯……?」

「あー説明しておこうか」

 

 ――――説明中――――

 

「なるほどね。これは清水さんが黒の可能性が高くなったわ」

 

 そう。そして、一番重要なのが――

 

「――本命のカメラはまだ脱衣所に残ってる。あれはダミーだ」

「そういうことね。ダミーを発見した風に装うことでもうカメラが設置されていないと錯覚させる。中々用意周到に練られた計画ね」

 

 これは前々から計画されていたもの。そうでなければカメラやマイクを二つずつ持ってきたりしていない。

 

「でも光正はどうするの?今から彼女を捕まえて吐かせる?」

「いや、今無理矢理捕まえようものなら、兄さんの女装メイドパンチラが全世界に配信される可能性がある。然るべきタイミングまで待つさ」

「タイミング?」

「予想だが、どこかでチャンスが来るはず。だったらそのチャンスを待つだけだ」

「来なかったら?」

「強行作戦」

「分かりました」

 

 後問題というか、あれなのは……きっと今頃復活した兄さんたちが本当に覗きに走ってるかもしれないこと。まぁ、走ってもいいけど……正直。オレは巻き込まれたくないな……

 

「じゃあ風呂入りに行くか……」

 

 しかし、紫乃が出入り口を塞ぐように立っている。

 

「……紫乃さんや?そこを通してくれませんか?」

「何で?」

「風呂入りに行きたいんです」

「ここ風呂場だよ?」

「着替えとか、いろいろ入浴セットを取りに行かないと……」

「ここにあるよ」

「何でえええぇぇぇっ!?」

 

 ちょっと待て。いつだ?いや、そもそもどうしてここにあるんだ?持ってきたんだろうけど……

 

「まさか、乗り込んだときにか……」

「はいです」

 

 なるほど。すぐに助けずオレの入浴セットを持って……ん?

 

「ちょっと待て。この風呂場に連れて来た理由って……」

「え?混浴するためですよ」

「……情報交換のためじゃないのか…………」

 

 オレはなんて勘違いをしていたんだ……。ん?でも待てよ。

 

「Aクラスって、風呂に入ったんじゃ……」

「ううん。私は入ってないです」

「さっきの話は?」

「Aクラスの友達から聞きました」

「もしも、盗撮騒ぎがなければ?」

「男湯向かう途中で拉致しよ…………コホン。連れて来ようと思っていました」

 

 今こいつ『拉致しよう』とか言わなかったか?

 

「だってですよ!折角の合宿なのに今日はさっきの騒動でやっと初めて光正の顔を見たのですよ!これじゃ、普段の学校生活よりも会ってないじゃないですか!」

 

 余談だが、兄さんのせい(正確には姫路さんのせい?)でオレたちは夕食をみんなと一緒に食べていない。此処について本来ならすぐに夕食だったのだが、途中で電気ショックの機械を借りたり、担架を借りたりしていて、夕食を満足に取っていなかったのだ。

 おかげで食事の時に食堂で会えるはずなのに会えなかったのだ。

 

「さぁ光正脱ぐのです!」

「躊躇いがないのか!オレを脱がすことに躊躇いがないのか!」

「当たり前です!」

「前に一緒に入ったからなのか!」

 

 すると静かになる紫乃。

 

「私思ったのです」

「……何を?」

「確かに見られたら恥ずかしいです。けど……」

「けど……?」

「光正の裸が見られるのでいいのです!」

「こいつ変態だああぁぁっ!」

 

 オレの叫びも虚しく。一緒に入ることになってしまった。

 なってしまったというか嬉しいんだけどね。でもやっぱり……何かがおかしいよね?

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