バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~ 作:アカツキ
Dクラス代表 平賀源二 討死
この報せをオレは四人との戦いが終わった直後に聞いた。え?戦いはって?そんなの……
『Fクラス 吉井光正
化学 7点
VS
Dクラス モブ×4
化学 Dead』
僅差だけど勝利しました。さてと、雄二のところに行くか。
雄二を見るとFクラスの面々に囲まれてしきりに握手を求められていた。
Dクラスという上のクラスを打ち破れたのは間違いなく、雄二が指揮したからであろう。
そんな中、兄さんも雄二に握手をしようとしていて……
「ぐあっ!」
手首を捻り上げられていた。そして……
ゴトッ
兄さんの握り込んでいたであろう包丁が床に落ちた。いやいや、おかしいよね。何で、包丁を持ってるの?どうせ調理室から盗んできたんだろうけど……
「雄二、皆で何かをやり遂げるって、素晴らしいね」
バカだ。こんな状況で未だごまかそうとしている。
「僕、仲間との達成感がこんなにいいものだなんて、今まで知らな関節が折れるように痛いぃっ!」
「今、何をしようとした」
何故だろうか。お互い様な気がする。
「も、もちろん、喜びを分かち合うための握手を手首がもげるほどに痛いぃっ!」
「おーい。誰かペンチを持ってきてくれー」
「す、ストップ!僕が悪かった」
オレが呆れる中、兄さんはギブアップを宣言した。やっぱり体格は重要だね。
「まさか姫路さんがFクラスだったなんて……信じられん」
Dクラス代表の平賀君がヨタヨタとこちらにやってくる。ふむ、どうやら計画通りに姫路さんがとどめを刺したようだ。
まぁ、この学年の普通の人間なら姫路さんはAクラスと勘違いしてしまうのは不思議では無い。きっと、この学校がクラス分けを紙とかで発表していたらどうなっていたかわからないだろうが……。言えることは情報って大事だね。
「あ、その……すいません……」
「いや、謝る事は無い。Fクラスだと侮っていた俺たちが悪いんだ」
姫路さんは謝ったが、オレは謝る必要はないと思う。だって、これは勝負の世界だ。ルールを逸脱した行いならともかく、あくまでルール内だし、対処する策と時間はあったはず。それを怠ったのはDクラスであり、それがDクラスのミスだ。
「ルールに則って教室を明け渡そう。ただ、今日はもう遅いから明日で良いか?」
「その必要はない。俺たちはDクラスの設備を奪う気はない」
まぁ、そうだとは思ったけどさ。
「雄二、どういう事?」
「忘れたか?俺たちの目標はあくまでもAクラスのはず。だろう?」
まぁ、オレとしてはこのDクラスの設備でもいいけどさ。そこは我らがリーダーの判断に従おう。
「でもそれなら、何で標的をAクラスにしないのさ。おかしいじゃないか」
「少しは自分で考えろ。そんなんだからお前は近所の中学生に『馬鹿なお兄ちゃん』なんて愛称を付けられるんだよ」
「なっ!そんな半端にリアルな嘘をつかないでよ!」
「おっと悪い。近所の小学生だったか」
「……人違いです」
「まさか……本当に言われたことがあるのか……?」
「あーそういえば、言われたことあったね」
実際に目の前で見てしまったからには否定できない。仕方ない。真実は時に残酷なのだ。
「とにかく俺たちはDクラスの設備に手を出すつもりはない」
「それは俺たちにはありがたいが……それでいいのか?」
「もちろん条件がある」
もちろん条件付きである。このまま解放したらこの戦争の意味がほとんどないからな。
「聞かせてもらおう」
「なに。大した事じゃない。俺が指示を出したら窓の外にあるBクラスの室外機を動かなくしてもらいたい」
この室外機はDクラスの窓についているがDクラスの物ではない。Dクラスの設備は少し貧しい普通の高校レベルの設備だからエアコンなんてのはないのだ。アレはスペースの関係で間借りしているBクラスのものだ。
「当然教師にはある程度睨まれるかもしれないが悪くない話だろ?」
Dクラスからしたら最高の条件だ。Fクラスのオレたちみたいな問題児が壊したならともかく、普通の生徒が壊すのだ。上手く事故に見せかければ厳重注意で済むだろう。
しかも、それだけであのFクラスに行かなくていいなら最高だろう。
「それはありがたい提案だ。しかしなぜそのようなことを?」
「次のBクラス戦の作戦で必要なんでな」
「わかった。ではこちらはありがたくその提案を呑ませて貰おう」
「タイミングについては後日詳しく話す。今日はもう帰っていいぞ」
「ああ。ありがとう。お前たちがAクラスに勝てるよう願ってるよ」
「ははっ、無理するなよ。勝てっこないと思ってるだろ?」
「それはそうだ。FクラスがAクラスに勝てるわけがない。ま、社交辞令ってやつだ」
平賀君はそう言って、帰って行った。まぁ、オレも勝てるとは思ってないけどさ。
「さて、皆!今日はご苦労だった!明日は消費した点数の補給を行うから、今日の所は帰って休んでくれ!解散!」
「ありがとうございましたー」
さてと。オレは帰る前にあそこにでも寄っていくか……
ここは近所の家具店。オレは今……
「ふむ、どういう感じで作ろうか」
座布団を見ていた。何となくで感じは掴んでいるが現物を見ないと話にならない。
「厚さは……こんぐらいかやっぱり」
大きさにも種類があるらしいけど……まぁ、そこは気分次第で。
一応昼休みの最中に糸とか諸々の指定はしておいた……あれ?でも、もし、支給できませんって言われたらどうしよう。Fクラスだし、有りうるかも知れない。
オレはその場でしゃがんで考え始める。別にこの座布団を買え無いこともない。振り込まれているオレの貯金を切り崩せばいいだけの話だ。
「何かお困りのようですね。光正」
ただ、オレとしては自分で使うものだし、自分で作りたい。本音を言えばあの卓袱台もオレ専用のを作ってみたい。ただ、座布団は教室のランクが上がってもオレの需要は残るが、卓袱台は……うん。微妙だ。さてはて、どうしようか……
「無視ですか!?この距離で無視しますか普通!?」
というか、オレ的にあの教室はもうダメだと思う。一層のこと改装工事してぇな……っと、思考が吹っ飛んでいた。というか、支給できない理由ってオレがFクラスの生徒だからだよな。もしかして、Aクラスの生徒が頼めばすんなり通るんじゃね?というか、Fクラスから頼んだら薄く、破れやすい布がせいぜい。今のFクラスで使ってる物と同じ末路を辿ってしまう。というか、オレ多分Aクラスレベルはある筈だから頼めばきっと……あ、それは無駄ですね。そんなことが通るなら、途中退席で0点になるわけないですね。というか、オレにそんなことを頼めるAクラスの知り合いなんて……
「もういいです。私は帰ります。さような――」
「……ここに居た」
「――――はい?」
戸惑う彼女の手を取り、オレは……
「お前が欲しい」