バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~   作:アカツキ

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Fクラス出撃!

 そんなこんなで勉強時間や夕食の時間も過ぎ、あっと言う間に入浴時間。オレたちは割り当てられた部屋で顔を突き合わせて話し合いをしていた。

 

「僕は工藤さんが犯人だと思うんだけど」

「その可能性は高いだろうな」

「えぇーそうか?」

 

 オレは疑問に思う。本当にそうか?それが正しいのか?と。

 

「だって、昼間の録音機の使いよう見たでしょ?結構怪しいと思わない?」

「まぁ、確かにそうだけど……」

 

 でも、何か引っかかるんだよなぁ。一番は、女子風呂を盗撮するメリット。後は、兄さんや雄二を脅迫する動機。工藤さんにはどちらも欠けている気がしてならない。

 

「現状、最有力の容疑者候補は工藤だ」

 

 …………ん?盗撮する目的も動機も欠けている?もし、どちらも欠けていない人物がいたら?それに加え、この仮定が成り立てば……あれ?やはり犯人はあの人だ。だが、今言ってもこいつらは納得しないだろう。今は様子見だ。

 

「それじゃ、工藤さんを一気に取り押さえる?」

 

 兄さんが工藤さんを捕まえようと提案する。

 

「…………それはやめた方がいい」

 

 しかし、珍しくムッツリーニが否定的な意見を述べてきた。

 

「やめた方がいいって、何か問題でもあるの?」

「…………チャンスは一度きり。失敗したら犯人は見つからない」

 

 なるほど。ムッツリーニはしっかりと後先を考えているようだ。

 

「もし取り押さえて間違いだった場合、それを見ていた真犯人がどうするかをよく考えてみろ、ってことだろ?」

「…………(コクコク)」

 

 雄二が補足説明を加える。

 

「ああ、そっか。証拠を隠滅するとか、自分を探さないように更に脅迫するとか、そういったことを考えるね」

「そういうことだ」

 

 まぁ、そうだろ……ん?証拠を隠滅する?それって、どこかにまだ証拠が残ってる……あ、女子風呂のカメラか。なるほど。取りに来たタイミングで捕まえるのも手か。

 

「けど、あんなに怪しいのに手が出せないなんて……」

「例の火傷の痕を確認できたら良いのじゃが……」

「いっそ、怒られるのを承知でスカート捲りでもしてみる?」

「…………ヤツは、スパッツを穿いている……!」

「げ。そういえばそうだった」

 

 スパッツ以前に相手が下着を履いている限りスカートめくってもお尻にある火傷の跡は確認できないだろう。

 

「というか、紫乃とか霧島さんに確認してもらえればいいじゃん」

「でも、そんなこと教えてくれるかなぁ」

 

 紫乃ならもう事情も説明してあるから教えてくれると思う。霧島さんは……知らね。雄二一人が犠牲になれば教えてくれるだろう。

 

「…………自分たちで確認するにはやはり女子風呂を覗くしかない」

「やっぱりそうなるんだね……」

「昨日返り討ちに合ったんでしょ?」

 

 昨日、復活した兄さん、雄二、ムッツリーニと被害者認定されてた秀吉の四名は姫路さんたちによる折檻の後、女子風呂に突撃した。まぁ、布施教諭、大島教諭、鉄人に阻まれ、捕まって補習漬けにされたそうだが。

 

「そうなんだよね……。どうしようか?何か作戦を練らないと先生たちのあの警備を突破するのは難しそうだよ」

「作戦とは言うが、あの場所はただの広い一本道じゃったからのう。正面突破しかないと思うぞい」

 

 この旅館にある女子風呂の前は見晴らしの良い一本道だけ。遮蔽物が無ければ、こっそり進入できる通路も無い単純な道で、基本男子風呂と作りは変わらないそうだ。

 

「そうだな。作戦を立てる時間もないし、基本は正面から攻める以外はないな」

 

 秀吉の言葉に雄二も賛同の色を見せる。普段はオレか雄二がこういう作戦を考えるのだが、午前中はあの騒ぎに、午後は点数の補給の為のテストを受けていた。よって、考える時間も作戦の準備をするような時間が全然無かったのだ。

 まぁ、オレは今回、いかにして目的を達成するしか考えていないので、覗くための作戦を考えているのは雄二だけだ。もっとも、雄二の事だから、こんな状況下においても何らかの手を打ってるはずだ。

 

「だが、方法がないわけでもない」

「え?作戦があるの?」

「作戦なんて立派なもんじゃないがな。要するに、正面突破を成功させたらいいだけだろう?」

「いや、それが難しいから困っているんだけど……」

 

 兄さんの言う通り、突破するのはかなり難しいだろう。兄さんたちから聞いた話によると、向こうの戦力は教師の召喚獣が二体に鉄人が一体。対するこっちは観察処分者にA級戦犯、ムッツリと演劇バカだ。え?オレはって?さぁ?どうだろうな。

 

「正面突破しか方法がないのなら、それを成功させるだけの戦力を揃えたらいい。質は向こうが上でも、数で上回れば勝機はある」

「えっと、つまり覗き仲間を増やすってことかな?」

「そうだ」

「なるほど。我がクラスのバカ共を呼ぶのか」

「その通りだ」

 

 ……バカということに否定はしないのね。まぁ、事実だから致し方なし。

 

「それじゃ、すぐにでも話をしてこないと。もうすぐお風呂の時間になっちゃうよ?」

「安心しろ。夕飯時に既に声はかけてある。そろそろ来るはずだ」

 

 雄二がそう言うと、まるでタイミングを測っていたかのようにノックの音が聞こえてきた。

 

「坂本、俺たちに話って何だ?」

 

 須川君を先頭に、Fクラスの男子たちがぞろぞろと部屋に入ってくる。……ってこれFクラス男子全員じゃないか。流石にこの部屋に全員入りきらないから、廊下に残っている人もいるし。

 

「よく来てくれた。実は皆に提案がある」

 

 部屋に入りきらなくて廊下にいるメンバーにも聞こえるように、雄二はよく通る声で告げた。

 

『提案?』

『今度はなんだよ。正直疲れて何もやりたくないんだけど』

『早く部屋に戻ってダラダラしてぇな~』

 

 全員がダルそうにしている。今日一日勉強漬けで疲れているのだから無理もない。

 そうやってざわめく皆を見ても雄二は焦って話を切り出すような真似はせず、静かになるのを待ってから続きを口にする。

 

「──皆、女子風呂の覗きに興味はないか?」

『『『詳しく聞かせろ』』』

 

 おい、さっきまでのダルそうな感じはどうしたんだよ。

 

「昨夜俺たちは女子風呂の覗きに向かったんだが、そこで卑劣にも待ち伏せをしていた教師陣の妨害を受けたんだ」

『ふむ、それで?』

 

 なぜ雄二のセリフに誰もツッコまない?後、俺たちの中にオレは入ってないからね?

 

「そこで、風呂の時間になったら女子風呂警備部隊の排除に協力してもらいたい。報酬はその後に得られる理想郷(アガルタ)の光景だ。どうだ?」

『『『乗った!』』』

 

 Fクラスのメンバーが了承する事に呆れた。いや、予想通りだけどね?まぁ、雄二がこの場で『俺たちを脅迫している犯人を見つけたいから協力してくれ』と言ったら彼らは絶対に協力はしなかったと思う。

 

「ムッツリーニ、今の時間は?」

「…………二〇一〇時」

 

 入浴時間は前半組が二〇〇〇時からなので、今から行けば脱衣を終えて丁度良いタイミングになっているだろう。

 

「今から隊を五つに分けるぞ。A班は俺に、B班は明久、C班は秀吉、D班はムッツリーニ、E班は光正にそれぞれ従ってくれ」

「おい待てコラ。オレが参加するとは一言も……」

『『『了解っ!』』』

 

 言ってないのに……はぁ。また強制参加ですか。まぁ、予想通りだけどさ。 

 

「いいか、俺たちの目的は一つ!理想郷(アガルタ)への到達だ!途中に何があろうとも、己が神気を四肢に込め、目的地まで突き進め!神魔必滅・見敵必殺!ここが我らが行く末の分水嶺と思え!」

『『『おおおおっっ!』』』

「全員気合を入れろ!Fクラス、出陣(でる)ぞ!」

『『『おっしゃぁぁーっ!』』』

 

 今オレたちFクラスは一つの崇高な目的の為に一つになった……とか誰かは思ってるんだろうな。まぁ、オレがいるから一つになってはいないんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変だ坂本!」

「何だ?」

「戦力になる方の吉井が拉致された!」

「……光正が拉致だと?あー天草に連れてかれたか」

「E班はどうすればいい?」

「ああ。二つに分かれて俺と明久の班に入ってくれ」

「了解!」

「……ん?だがAクラスは入浴中じゃないのか?どういうこ――」

「坂本!」

「――今度は何だ?」

「女子風呂の護衛に女子多数と教師が五人もいるぞ!どうするんだ?」

「なに?一日で警備がそこまで堅くなっただと?……まぁいい。突げ――」

「……雄二」

「――次から次へと……今度は何だ?……って翔子!?」

「……浮気は許さない」

「翔子待て!落ち着ぎゃぁぁあああっ!」

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