バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~   作:アカツキ

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よし、味方を増やそう

「雄二。そう言えば昨夜妙なことを言われたよ」

「ん?なんだ?」

 

 寝起きの騒動も終えて朝食中。兄さんが正面に座ってる雄二に声を掛けた。

 

「工藤さんに『脱衣所にまだ見つかってないカメラが一台残っている』って」

「なんだと?」

「兄さん。それ本当?」

 

 どうやら、仮説が当たっていたな。

 

「怪しいよね。そんなことを知っているなんて、やっぱり彼女が犯人じゃないかな?」

「いや、そうとは限らんじゃろ。それならわざわざ怪しまれるようなことを言うとは思えん」

 

 オレと雄二に代わって秀吉が返事をする。間違いなく工藤さんはシロ。だが、彼女が無実であることを証明するというのもいささか難しい。

 

「…………確認するしかない」

「やっぱりそれしかないか……」

 

 まぁ、一番確実な方法だろう。しかし、確認するには工藤さんが入浴している必要があるが……どうせ、防衛隊に入ってるんだろう。

 

「だが、工藤の情報はありがたいぞ」

「え?カメラが残っているってことが?」

「ああ。それを工藤しか知らないってことは、そのカメラに女子の着替えが撮影されている可能性が高い。それを手に入れたら入浴していない女子の確認もできるからな」

「…………隠し場所なら5秒で見つける自信がある」

「5秒って凄いな……」

「…………俺の嗅覚を舐めるな」

 

 こいつの嗅覚はどうなっているのだろうか。

 

「けど、本当にそんなカメラがあるのかも怪しいよ?」

「いや。最初にカメラが脱衣所で見つかった方がおかしいんだ。あんなに盗撮や盗聴に長けている犯人のカメラが素人に見つけられるなんて考えにくい。そうなると――」

「……二段構え」

「まぁ、簡単に言うと最初に見つかったカメラはカムフラージュだったということかな。可能性の話だけどね」

「用意周到じゃな」

 

 まぁ、ここまでの事はすぐに分かったこと。

 

「けど、それならお風呂の時間を避けてカメラを取りにいけば解決ってことだね」

「…………それは無理」

「え?なんで?」

「…………時間外だと脱衣所は厳重に施錠されている」

 

 初日のカメラ及び覗き騒動のせいかな。半分は犯人のせいだがもう半分は兄さんたちのせいである。今回は完全に兄さん達の行動が裏目に出たな。

 

「諦めて今までどおりの方法を貫けってことか……」

「そのようじゃな」

 

 なぜ彼らは信用出来る女子に頼むという戦略を取らないのだろうか。ああ、覗きをしたせいで信用出来る女子に頼めなくなってしまったのか。……哀れだなぁ。

 

「そこで昨日の反省だ。明久、昨日の敗因はなんだと思う?」

「敗因?う~ん、向こうが女子の半分を防衛に回してきたことじゃないかな?後、光正が早々に拉致されたこと?」

 

 まぁ、両方ともオレの仕組んだことでもあるが。

 

「…………敵側には工藤愛子もいた」

 

 それはオレは知らないが、ムッツリーニの悔しげな顔を見るから察するに、かなり腹に据えかねているだろう。もしくは、教師を含めた二対一でも保健体育で不覚を取ったのが悔しいと言ったところかな?

 

「そうだ。昨日の敗因はAクラスを含め、敵の戦力が大幅に増強されていたことだ」

 

 うんうん。その通りだ。

 

「そこで、こちらも更に戦力を増強しようと思う。Fクラスだけではなく他のクラスも味方につけて対抗するんだ」

 

 やっぱりか。Fクラスだけでは、もう限界に来ている。ここは他クラスに助けていただく他ないだろう。

 

「む?明久、どうしたのじゃ?」

「う~ん。なんか、この作戦がいつものやり方と違う感じがしてなんだか……。ほら、向こうの戦力が大きいからってこっちの戦力を増やすっていうのが、イマイチ僕たちらしくないというか……」

 

 まぁ確かに正面突破だけが目的ならとても雄二が考えた作戦とは思えない。……ん?

 

「ほぅ……。明久も頭が少しは回るようになってきたな。その通り。このやり方の目的は正面突破だけじゃない」

「んで、他の目的って何?」

「俺たちの保身だ」

「僕らの身を守る?誰から?」

「いいか?今のところは未遂で終わっているから大した問題になっていないが、覗きは立派な犯罪だ。作戦が成功して女子風呂に至ったとしても、例の真犯人が見つからない限り俺たちは処分を受けることになる」

 

 いや、真犯人見つかっても処分を喰らうと思うのだが。

 

「それを避ける為の戦力増強──つまり、メンバーの増員だ」

「増員が処分を逃れる手段になるって?」

「ああ。人数を増やせば相手の特定は難しくなる。向こうだって戦いながらその場にいる全員の顔を覚えるのは厳しいだろうからな」

 

 まぁ、確かにな。でも、男子全員が覗きに参加していたら意味ないだろうけど。

 

「でも、既に僕らは面が割れてるよね?それなら無意味なんじゃないの?」

「文月学園は世界中から注目を集めている試験校だからな。そんな不祥事があった場合はひた隠しにするかキッチリと一人残らず処分をするかのどちらかしか選べない。中途半端に一部の生徒だけを罰するようなことになれば、ただでさえ叩かれている『クラス間の扱いの差』についてマイナス要因を増やすだけだからな」

 

 確かに。もし兄さん達だけ罰する事になったら、『出来の悪いFクラスだけは処分を受けて、他の優秀なクラスは手心を加えてる』と言う風に差別してるのではないかと見えてしまう。世間から注目されている事を考えると、学校側はバッシングの元になるような話は避けて隠蔽するに違いない。

 まぁ、オレだったら全員に処分を下すが。

 

「なるほど。流石は雄二。汚いことを考えさせたら光正以外に右に出る人はいないね」

「待てクソ兄貴。オレの考える作戦のどこが汚いんだ」

「味方も敵も平然と裏切り最終的な自分の勝利を得ているところ」

 

 否定……できない。

 

「明久。知略に富んでいると言え」

「そうだ。知恵があると言ってくれ」

 

 ただし、悪知恵だが。

 

「ふむ。ならば今日は協力者の確保を主軸に行動するわけじゃな?」

「ああ。幸い合同授業の上に殆ど自習みたいなものだからな。動きは取り易いはずだ」

「そうだね。じゃ、まずはどこから行く?」

「当然Aクラスからだ。同じ手間なら能力が高い方が良いからな」

「Aクラスならば昨日の合同授業で交流もあるしのう。話もしやすいじゃろうて」

「それがなくても一部のメンバーと交流はあっただろ?」

 

 最も、ほとんど女子だが。 

 

「決まりだな。合同授業の間にAクラスと話をするぞ」

「了解。ムッツリーニもそれでいいよね?」

「…………問題ない」

 

 方針が決定したので、オレ達は朝食を再開した。

 

「ところで光正」

「ん?なんだ?」

「首筋と喉元の絆創膏はどうしたんだ?怪我でもしたのか」

 

 ッチ。ばれたか。

 

「ああ。朝散歩していたらちょっと、葉っぱで傷ついて……」

「そうか。てっきり天草にキスマークをつけられて誤魔化しているのだと思ったぞ」

 

 何でこいつは分かるのだろうか。

 

「僕は悲しいよ。こんなところで兄弟を一人失うことが……」

「だったら、そのナイフをこっちに向けるんじゃな――」

 

 ヒュッ

 

 パシッ

 

「――ムッツリーニ。手癖が悪いよ?ほら、ナイフを落としたよ?」

「…………ッチ」

「……お主らはもっと静かに食べられんのかのう」

 

 この後、雄二のせいで真実をごまかすのに苦労した。

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