バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~ 作:アカツキ
授業ぐらい余裕で乗り切ってやるよ! ……そう思っていた時期がオレにもありましたね。
自分の真っ赤になった右腕を見つめる一時間目終わりの休み時間。いたるところに抓られた跡がある。まぁ、本来は文句の一つでも言ってやりたいが、タイミングというべきか? 全てオレが睡魔に負けそう、もしくは睡魔が襲ってきた時にしかやっていないのだ。……なんでそんなタイミングとか分かるんだよ……。ともかく、お礼を言ってもいいレベルの立場なので、文句の一つも言え無いのだ。畜生。
「次の授業は……?」
紫乃に聞いてみるが、その場に紫乃がいなかった。あれ? トイレかあいつ。
「……補充テスト」
「わぁっ……って、霧島さんか。でも、補充テストって?」
「(こくり)……先週の防衛組にまわってた人の点数がないから」
なるほど。覗き騒動でか。
「まぁ、学年に男子がいない現状、試召戦争を起こすクラスとかないだろ」
……というか、もし今起きたりしたらオレはAクラス側で参加なのだろうか?
「……でも、男子が復帰するのと同時にテストを受けようと思ったら宣戦布告される可能性が限りなく低いけど存在している」
なるほど。確かに停戦期間でなければ、赤ゴリラとか坂本雄二とかFクラス代表とかがこの隙を狙ってAクラスに宣戦布告してそうだ。それに他のクラスも今が一番Aクラスが弱っているって分かっているからな……まぁ、Aクラスだけでなく、他クラスもだけど。というか、一番消耗しているのって、うちのクラスじゃないのか? だって、オレ以外皆戦ってたわけだし。そして男子ばかりだから補充出来ていないし。
「なるほどな。でも、何で一日費やさなかったんだ?」
「……紫乃が一日補充テストにしたら吉井弟が飽きるって言ってた」
「あはは……」
否定はしない。
「……確かに一日丸々テストにしたら、そこまで消耗してない人にとっては飽きると思う」
まぁ、オレと紫乃が典型的だな。だって、向こうで一回も召喚獣を召喚してないもん。
それに、自分の点数を高めるためにやるなら各自が勝手に補充テストを受けているだろう。特にAクラスの生徒なら尚更だ。
「……だから、授業とテストを交互にしている。それに……」
「それに?」
「……いや、何でもない。後で分かる」
「……はぁ」
「……受ける教科は自由。好きな教科を受けるといい」
「さっき、授業と交互っていったけど、今日は三時間分補充テストの時間ってこと?」
「……うん」
「この時間だけオレをFクラスに返却する案は?」
「……私は好きにしたらいいと思う。でも……」
「でも?」
「……紫乃が返却すると思えない」
……まぁ、そうだよな……。後は、こうやってAクラスにいるとFクラスに戻りたくなくなってしまう。というか、オレ自身。この一週間は戻る気がさらさらない。
「光正~」
「噂をすれば何とやら。どうした?」
「補充テスト勝負しない?」
「別にいいけど……何の教科で?」
「そうですね……。三教科ですよね。クジひきましょう」
「……今から作るの?」
「いえ、ここはノートパソコンにお任せします。えーっと、ここをこうして……えい!」
すると、ノートパソコンに現れた三つのスロット。それらが止まって示したのは……
「えーっと、『数学』と『保健体育』と『現代国語』か」
数英国が俗に言う主要三教科だけど、オレ達が戦うのは数保国だ。
「では、まず数学ですね。フフフッ。負けませんよ」
「頑張ってね」
「むっ。余裕ですね。いいでしょう! 見せてあげますよ私の実力を!」
そして、テスト終了し、休み時間。
「光正この点数を見てください!」
一旦テストは回収され、点数を確認したい人が今その場で高橋女史による高速採点をしてくれる。もっとも、今日中には分かるのだが紫乃がどうしてもすぐに確認したいと言い出したので、高橋女史にお願いした。
で、点数を見ろって言ってたな。えーっと?
『天草紫乃 509点』
「自己最高記録です! どうですか!」
「おぉー頑張ったんだね(なでなで)」
「えへへ~」
本当に頑張ったんだなぁ……4月では越えられなかった500点を超えてくるなんて。
「ところで光正は?」
「ん」
『吉井光正 510点』
「また一点差ですかぁ!?」
「まぁ、紫乃はオレには及ばないと言う事だね」
「この男……!」
おっと、紫乃にスイッチを入れた気がする。
「いいです! 次の保健体育のテストの勝負は勝ってイーブンにしてやりますよ!」
そう宣言し、授業に向かった。ちなみに次の授業は化学だった。
昼休み。いつも通り紫乃のお弁当を貰い食べている。紫乃の料理の腕は上がって今では二日に一度しか向こうの世界に旅立って行かなくなった。これぞまさしく成長だね! まだ二分の一で向こうに逝っちゃうけど!
「……ふぅ。今日は当たりだったか」
「良かったです」
平和な昼食。暴動も喧騒も起きていない。本当に平和だ。
「ところで、テストは何点だったの?」
「415点です」
「あー負けた302点だわ」
惜しいってレベルじゃなかったな。100点差以上。いや~完敗だ完敗だ。
「紫乃にはオレでは勝てないや。さすが、変態は違うね(パクパク)」
「ふふん。そうでしょ……って違う! 誰が変態ですか!」
「紫乃」
「即答!? まさかの即答!?」
「だって、保健体育が得意なんでしょ?」
「待ってください。保健体育のテストだからといって、その……せ、性的なこと以外にもしっかりとテストで出てくるんですよ! 寧ろ比重的にそっちの方が多いはずです!」
まぁ、その性的な知識だけで戦う男を一人知っているが。
「ん」
「何ですか? これは光正の解答用紙……えーっと?」
一応補足しておくと、オレと紫乃は同じテストを受けていた。数学もだが。同じタイミングで同じの教科のテストをすると、問題は共通なのだ。
「な、何ですかこれ……!」
「いかにもオレの実力だ!」
「嘘付け! 何が赤ちゃんはコウノトリが運んでくるですか! 高校二年生がその解答をテストに堂々と書いたらダメでしょうが!」
「え~? そうじゃないの~?」
「子どもか!」
「じゃあ、どうやったら赤ちゃんは出来るの?」
「そ、それは……って、それも最初の方に問題であったでしょ!」
ああ、あったな。なんて答えたっけ?
「……光正。この解答は何ですか?」
そう言って見せてきた解答には、『キスすれば出来る』……わーお。
ポンッ
「子供にはちょっと早すぎたのさ」
「ピュアですか!」
「でも、この解答だと、オレ達にもう子供ができていても不思議じゃないな(すりすり)」
「まだ出来ていないから! 私のお腹をさすってもまだ光正との子はいないから!」
「へぇ~
「……っ! こ、高校生のうちは子供は早いです!」
「そりゃそうです」
一応女性の結婚は法律上16歳からだが、高校在学中に子供はまずいだろ。
「まぁ、安心しろ。避妊はするから」
「……っ//」
耳まで真っ赤にする紫乃。やれやれどっちが純粋なのやら。
「ご馳走様でした」
「お、お粗末さまでした……」
「ところで紫乃。次の授業って?」
「体育ですね」
「へぇ~
「さっきまでの会話の流れでそんなとこ強調しないで下さい!」
「え? 普通の体育だろ? 何想像しているの?」
「……っ! こ、光正のバカ!」
「紫乃は可愛いなぁ(なでなで)」
そして、そっと耳元で囁く。
「ねぇ、今から保健室のベッドに行かない?」
「……っ///」
本日一番に顔と耳を真っ赤にする。やっぱ、紫乃は可愛いなぁ。後、弄ると楽しい。
「冗談だよ。というか、オレ体操服持ってきてないんだけど」
だって今日は体育予定なかったし。おっ? これはサボれるのか? 合法的に。
「私が光正の部屋から拝借してきました」
「何故体操服のありかを知っている!?」
「乙女の勘です」
「嘘だ! あの短時間でオレに気付かれずに盗めるわけがない!」
「乙女の愛情です」
「……え? マジで?」
「乙女の為せる業です」
「乙女怖っ……」
オレは自分がエロ本とか持ってなくてよかったと心の底から思った。いや、持ってても意味ないけどね。だって、見れないもん。というか、拒絶反応が起きちゃうよ。うんうん。