バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~ 作:アカツキ
皆様に今までの感謝を!
これからもこの作品をよろしくお願いします!
光正とデートの約束を取りつけた私は家に帰った後、
「~~♪♪」
「ど、どうしたの紫乃? あなたかなり機嫌がいいわよ?」
「えへへぇ~そんなことないですよ~お母様~」
「…………うわぁ。こりゃ重症だ……」
私はかなり上機嫌でした。それも、実の母親に引かれるぐらいに。
「そんな事より紫乃。風呂入る?」
「分かりました~」
そして、母親に言われるように脱衣所に向かい、服を脱いでいく。
この前……というか、合宿所では毎日のように一緒に入っていたので、今のお風呂は寂しく感じますが……自分を綺麗にすると思えば大丈夫なのです!
「ふふ~ん♪」
浴室に行き、丁寧に身体を洗う。普段から丁寧に洗っているが、明日からも光正が一緒の教室で私の隣で授業を受けるのだ。普段よりも念入りに綺麗にしておく。
「学校は楽しいなぁ~♪」
二年生に上がりたての頃は、主に光正が約束を破った(まぁ、事情がアレだったので許しはしましたが)こともあってか、クラスが違うようになって、普段から一緒にいられる時間が減ったのは凄く残念でしたが、まぁ大目に見てあげます。アレですよ。会えない時間が二人の想いを強くするってやつです。
「あ~あ。光正が家に居候に来てくれないかなぁ~なんてね」
まぁ、居候よりは同居。いや、同妻? まぁ、そっちの方がいい気がします。
そんな事を風呂で考え、湯船から上がります。すると、体重計と呼ばれる物が視界に入ります。
そうですね。ここ最近体重を計っていませんでした。ちょっと計ってみますか。
バスタオル一枚を身体に巻き付け、そんな軽い気持ちで乗った体重計。……そこで私は驚愕の数字を目にします。
「なっ……! (ピ──ー)kgですか!?」
か、過去最高です……! ど、どうしましょう。
「あ、そっかーバスタオルが重いのですかぁー」
それなら納得です。そうです。身につけているバスタオルが鉛のように重いのです。そうです。そうに違いありません!
そう決めつけた(半ば自暴自棄になりながら)私はバスタオルを脱ぎ捨て一糸纏わぬ姿で体重計に乗ります。
「……バスタオルって、そこまで重くないんだ…………」
ガクッ……っと項垂れる私。そうですよね。バスタオル一枚で何キロも変わるわけないですよね。いや、分かっていましたよ。うん。分かっていましたけど……
「このままでは……光正に見捨てられてしまいます……」
多くの男性は太った人を好まないとどこか噂で聞いたことがあります。もし、光正も太った人を好まないのであれば……
『醜い雌豚め。オレの半径十メートル以内に入るな。いや、そもそも視界に入るな。目障りだ』
……こんな風に言われてしまいます! はっきり言って嫌です! 光正にこんなこと言われた日にはそのまま死んでしまいたくなります!
「……ダイエットしないと……!」
まずは甘いものを断つ! この日私はダイエットを決意したのでした。しかし、この決意があんな事態を引き起こすなんて。この時の私は考えもしていませんでした……。
同時刻。吉井家にて……
「一回死んで来いやぁぁっ!」
兄である吉井明久は、弟の吉井光正に向けて発狂しながら殴りかかっていた。
「あぶねぇなぁ」
口ではそんなことを言うが特に危なげなく躱す光正。
「何で……! 何で……!
項垂れる明久。そんな彼の姿を見て、何を言っているのか分かっていない光正。
「はぁ。どうしてオレは今日あった出来事の最初の場面を言っただけで殴られるのだろうか」
呆れたように肩をすくめる光正。
そう。光正は今、明久に今日あったことの報告していたのだ。まぁ、
「だって光正! 今二年生の男子で停学じゃないのはお前だけ。Fクラスのむさい男どものいない教室で美波と姫路さんと三人で授業を受けていたならばまだ許容範囲だった」
(そもそも、二年生の男子で一人を除いて全員停学って時点で異常だからな?)
と口には出さなかったが至極真っ当なことを思う光正。しかし、そこが分かっていないのが
「だけど! Aクラスの女子たちに囲まれながら授業を受けていたなんて許せない! 万死に値する!」
やはり残念な思考を持っていると言える。
女子たちに囲まれるということが光正にとってどれほどの苦痛か。その事を分かってやれないあたり残念な兄だ。
「やれやれ落ち着いてよ兄さん。オレはAクラスの女子たちに囲まれているとかどうでもいいよ」
「どうでもいい?」
あり得ないっと言いたげな感じで聞き返す明久。
「ああ。オレにとって重要なのは紫乃とイチャつくこと。他の女子は関係ない……ただ、あんまり近付いてほしくないが」
(……光正って、やっぱり天草さんのこと好きすぎるよなぁ……)
っと、明久は先ほどまでの怒りを何処かに忘れ若干引き気味に思う。しかし、この二人であれば仕方がないとも言える。なぜならお互いに周りから見たら引くレベルで好き過ぎるのだ。はっきり言ってお互い様。一方通行ではないのだ。
「……本当に光正って……バカになった?」
「失敬な。バカの兄さんに何でそこまでバカと言われないといけないのさ」
「いや、確かに去年から天草さんに関わる話というか愚痴は聞いていたけど、正直ここ最近は惚気しか聞いていない気がするんだ! 彼女の作れない兄に対する嫌みか! 当てつけか!」
(もう姫路さんに告白してこいよ……絶対にオッケーもらえるぞ……余計なすれ違い勘違いが無ければだけどさ)
吉井明久は実の弟がモテることに対し、嫉妬しているが、実際のところ。光正にはもう彼女がいるし、明久は、光正より恋愛的な感情を抱かれている人物が多い。年齢性別生物学的な分類は不問とするが。ただ、それに本人が気付かないだけであって。
「というか光正は鈍感なんだよ! 天草さんからの好意にまるで気付いていなかったじゃないか!」
「はぁっ!? 兄さんの方が鈍感じゃねぇか! オレよりも何倍も何十倍も!」
「僕のどこが鈍感だって言うんだよ!」
「じゃあ、オレの何処が鈍感なんだよ!」
お互いを罵り合う鈍感な双子。ただ、お互いに無自覚なためまるでダメージはない。これほど不毛な争いを体現できる双子はそういないだろう。
「まぁいい。オレは風呂入ってくる」
「分かったよ。後で僕の宿題やっといてね」
「意味不明だクソ兄貴。停学中の課題ぐらい自力でこなしやがれ」
「そんな! 今、僕が頼れるのは光正しかいないんだよ!」
「姫路さんにでも教えてもらえ」
バタンッ
「この薄情者ぉぉおおっ!」
明久の叫びは光正の心に響くことは無かった。