バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~ 作:アカツキ
「うぁー……づがれだー」
机に突っ伏す兄さんを横目に見る。うん。普段勉強しない人がテストをぶっ続けでやるとこうなるんだね。まぁ、兄さんの場合は朝に船越教諭とひと悶着あったのも原因だろうけど。
「うむ。疲れたのう」
「…………(コクコク)」
「よし、昼飯食いに行くぞ!今日はラーメンとカツ丼と炒飯とカレーにすっかな」
「あ、悪い雄二。オレちょっと約束があるわ」
「……お前に昼休みに約束するような奴居たのか?」
「居るわ!」
「まぁ、昼休み中にお前らには説明しときたいことがある。約束がいつまでか知らねぇがなるべく早く戻ってきてくれ」
「りょーかい。昼休みが半分くらい過ぎたら戻ってくるよ」
そうして、オレはAクラスへ向かった。
この時のオレは知らなかった。どちらの道を選ぼうと地獄への扉に繋がっていたことに……
「あ、光正……」
「しっかり来たんだ。紫乃。感謝してくれてもいいよ」
「うん。ありがとうね」
ところ変わってAクラス。やはりというべきかFクラスとは比べものにならないぐらい広い。そして、個人のスペースも……ここは教室か?本当に授業を受けれるのか?疑問である。
「でも、約束を守らないのはクズのすることだと思うよ」
「……分かってるよ」
一言多い。その一言がなければ感謝された優越感に浸れたのに。
「それと、はい弁当」
「あ、ありがとう……中を開けていいかな?」
「どうやって、中を開けずに食べるの?」
「ですよねー」
中を開けると、そこには……!
「意外に普通だね。……見た目は」
「奇抜なものが入ってたら変でしょ?」
エビフライに卵焼き、後はおにぎりと野菜炒め。うん。見た目はすごくおいしそうである。
「では、卵焼きから……」
パクッ
「…………あれ?何ともない」
「ねぇ、反応おかしくない?普通は最初に味の感想を言うものでしょ?何で身体の心配からなの?」
「うん。普通に美味しいよ。じゃあ、エビフライを貰うね」
パクッ
「ここは何処?」
次の瞬間。オレは川岸に立っていた。
「…………光正」
「うわぁ!?……ってムッツリーニか。脅かさないでよ。それでここは?」
「…………恐らく三途の河の近く」
あれ?おかしいな。オレさっきまでAクラスにいたと思ったんだけど……後、三途の河って、死ぬときに渡るものだよね?
「というか、ムッツリーニはどうしてここに?」
確かこいつらは食堂に向かったはずだけど……
「…………屋上で姫路の作ったエビフライを食べたらここに」
姫路さんの……ああ!思い出した。今日作ってもらう予定だったね。
「というか、どうしたらエビフライで人を殺せるんだろうね?あれ?ムッツリーニ?おーい。ムッツリーニどこ行ったのー?」
「ハッ!?……し、死ぬかと思った……」
「大丈夫何故かさっきまで意識が飛んでた見たいだけど……」
「あの世でムッツリーニに出会った」
「あの世?」
というか、あの時のアラームはこれか……どうやら姫路さんの料理の腕前は殺人級らしいな。
「はぁーでも、失敗か。残りは処分しておくね」
「いや、処分しなくていい。オレが食う」
「え?でも……」
「お腹がすいたから食べる。それだけだ…………お茶を用意しておいてくれると嬉しい」
「分かった。お茶を淹れておくね」
そして、オレの意識は再び旅立った……
「…………また来たのか」
「……もう、ムッツリーニがここの番人に見えてきたよ」
再び現世とあの世の狭間でムッツリーニとご対面。
「…………さっき雄二もやってきた」
「あの雄二が!?」
あの、後ろから刺しても平気そうなあの頑丈な雄二もここに送られてきただと!?もしかしなくとも、姫路さんの料理ってプロ(の暗殺者)級!?
「…………でも、すぐに復活した」
「アハハ……」
さすがの生命力。尊敬に値するよ。
「兄さんは……」
「…………恐らく姫路の料理を食べていない」
「ですよねー」
というか、あの食事の回数が少なくて胃袋が退化してそうな兄さんが食したら、この狭間なんて一瞬で飛び越えるだろう。
「…………秀吉がいる」
「え?どこに?」
「…………河の真ん中」
「えぇ!?ひ、秀吉ーー!その河は渡っちゃダメだ!戻れなくなる!」
オレはダッシュで河へ向かった。
「ハッ!」
「起きた?」
「何とか秀吉を救うことが出来た……」
「???」
ふぅーまさか、秀吉があそこまでになるとは……うん。ヤバいな姫路さんの料理。
「はい」
「ん?弁当箱?」
「返すね。まだ、私には無理だったみたい……」
なるほど。まだ、料理の腕前は人を殺すレベルか。
「嫌だ」
「え?」
「明日も作ってきてよ。約束でしょ?」
「で、でも……本当に戻ってこれなくなるかもしれないんだよ?」
「大丈夫大丈夫。こう見えて生命力は強いと思ってるから」
「……どう見ても生命力はゴキブリ並みにありそうだよ」
おいっ!
「でも、分かった。じゃあ、明日も頑張って作るね!」
「ああ、任せた。じゃあ、俺は行くから」
「うん!」
この日からオレは昼休みに三途の河まで散歩することが日課となった。いつまでかは知らない。