…完璧なデッキだ   作:ワックス

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島直樹のデッキはオリジナル要素が多くなります


藤木遊作VS島直樹

「スピードデュエルアプリ?」

 

「おうよ!スピードデュエルを簡単に始められるアプリらしくて、お前のその旧式デュエルディスクでもインストールできるはずだぜ」

 

 島直樹は藤木遊作の持つデュエルディスクを指差す。

 

「お前もデュエリストならよ、もう少しスピードデュエルに興味持ったらどうだ?」

 

 スピードデュエル、本来のマスタールールに比べて特殊なルールで行うデュエル。デュエルの流行の最先端を行くリンクブレインズでは、日夜発展、研究されている。だが、みんながみんなリンクブレインズに入ることができるわけではない。環境だったり、体質だったり……

 

「そこで有志が作ったのが、このスピードデュエルアプリ≪リンクス≫でな」

 

 ブブッと遊作のポケットから端末のバイブレーションが鳴る。

 

「すまない、電話がかかった」

 

 そういうと遊作は席を立つ。

 

「俺もダウンロードしてみたからよー、中々悪くないから興味あったらやってみろよ」

 

 島の声が聞こえなくなってから、端末を耳に当てる。

 

「草薙さん、こんな時間にどうし……」

「遊作、通じてるか?」

「……ハノイがらみで何かあったんですか」

 

様子が普段と違う。何か緊急のことが起きたのかもしれない。

 

「ああ。今ソルテクノロジー社が大規模なハッキングを受けているみたいでな」

「ソルテクノロジー社が?あそこのAIデュエリストによるセキュリティは、ハノイの騎士の幹部でもないと正面からの突破は難しいが……」

 

 以前戦ったAIデュエリストはかなりの強さだった。カリスマと呼ばれる強さのデュエリストならば撃退できるが、普通のデュエリストでは厳しいだろう。

 

「ああ、俺も何かあると思って調べてみたんだが、アタックの数がかなり多い……以前の即席で集めたハノイの騎士の比じゃない数だ」

 

「そんな数のデュエリストをどうやって集めたんだ?」

 

「どうも、調べてみたところ共通のアプリを使って、一般デュエリストにアクセスさせているらしい。≪リンクス≫というらしいが、もうすでにアプリのダウンロードはできなくなっている。このアプリが入手できれば、このアタックに生じてソルテクノロジー社にハッキングできるかもしれないんだが……」

 

≪リンクス≫……さっき島が言っていたアプリか。

 

「入手できるかもしれない。草薙さんはとりあえずリンクスを使わないハッキングを調べてくれ」

 

 端末の通話を切る。まだそんなに時間はたっていない。まだ校内にいるはずだ。

 

 xxx

 

「……すまないが、《リンクス》に興味が出て、そのデュエルディスクを10分ほどで良い。貸してくれないか?」

 

 草薙さんが言うには、《リンクス》旧式のデュエルディスクでも使えるようにはあまり高度なプログラムは使われておらず、また容量もあまりないので借りれればすぐにコピーできるはずだ。が、

 

「悪いけどよー、今イベントやってるらしくて今から始めるから無理だわ」

 

「そこを何とかならないか?」

 

「うーん、そうだ!まだこのアプリでのデュエルをしてなかったから、ちょっと一戦してくれよ。もしも俺に勝ったら、貸してやってもいいぜ」

 

「……わかった」

 

 デュエルディスクを腕に装着する。

 

『プレイメイカー様よー、校内でサイバースを使うことはできないだろ?どうやってデュエルするんだ?』

「ダミーデッキがある、今回はEXのサイバースも使えないが十分に勝機はあるはずだ」

 

 かなりパワーは落ちるが、デュエルモンスターズはカードだけで決まるわけではない。デュエリストの腕が悪ければどんなに強いデッキでも勝つことは難しく、逆にデュエリストの腕が良ければ弱いデッキでも勝つことができる。

 

「それじゃあ、そっちに対戦を申請するから許可してくれ」

 

 ……ルールは従来のスピードデュエルと同じだが、スキルは汎用スキルしかないようだ。

 

『この攻撃力を上げる《粉砕!》なんてどうだ?あいつのデッキについて、ブレイブマックスのデュエルデータからちょっと調べたけど、《森の番人グリーン・バブーン》とかの入ってるところ見ると、このデッキの最高攻撃力《エレキテルドラゴン》の攻撃力2500じゃ《森の番人グリーン・バブーン》の攻撃力2600にかなり不利だぞ』

 

「……それも悪くないが、少し限定的すぎるな」

 

「準備が終わったら言ってくれよー」

 

 

 xxx

 

 

 

「「デュエル!」」

 

 

 先攻を示すランプが光る。

 手札には《人喰い虫》《X-ヘッド・キャノン》《六芒星の呪縛》《援軍》

 この手札、そして相手のデッキを考えると……

 

「俺はモンスターをセット、カードを2枚伏せる」

『おい、プレイメーカー。何でそんな……』

「ターンエンドだ」

『無視しないで~』

 

「俺のターン!まずは《愚かな埋葬》を発動!《森の番人グリーン・バブーン》を墓地へ送って、次に手札から《レスキューキャット》を召喚!」

 

 レスキューキャット獣族/攻撃力 300

 

「そして効果!レスキューキャットは墓地へ送ることでデッキからデッキからレベル3以下の獣族モンスター2体特殊召喚できる。これで《素早いモモンガ》を2体特殊召喚する!」

 

 素早いモモンガ 獣族/攻1000

 

「そしてカードを1枚伏せて、バトルに入るぜ。《素早いモモンガ》でその伏せモンスターに攻撃!」

 

「俺の伏せモンスターは《X-ヘッド・キャノン》、守備力は1500だ。よってダメージを受けてもらう」

 

 島直樹LP4000→3500

 

「……バトルは終了させて、エンドフェイズ。特殊召喚された《素早いモモンガ》は破壊される。が、これで俺の墓地の《森の番人グリーン・バブーン》の効果!フィールドの獣族が効果で破壊された時、LP1000支払い場に特殊召喚できる、攻撃表示だ!」

 

 森の番人グリーン・バブーン 獣族 攻2600

 

 島直樹LP3500→2500

 

『おいおい、大丈夫なのか?』

「任せろ、俺のターンドロー、モンスターを伏せる。そして《X-ヘッド・キャノン》を攻撃表示に変更する」

 

 X-ヘッド・キャノン 攻1800/守1500

 

「ターンエンドだ」

 

「俺のターン、ドロー。俺は手札の《虚栄の大猿》の効果、手札の《森の番人グリーン・バブーン》を捨てることで《虚栄の大猿》を特殊召喚!攻撃表示!」

 

 虚栄の大猿 獣族/攻1200/守1200

 

「バトルだ!グリーン・バブーンでX-ヘッド・キャノンに攻撃!」

「伏せカードオープン!トラップカード《六芒星の呪縛》、《森の番人グリーン・バブーン》を攻撃及び表式変更を不可にする!」

 

「なら、《虚栄の大猿》で伏せモンスターに攻撃!」

「伏せモンスターは《人食い虫》。効果で《虚栄の大猿》を破壊!」

 

「なら《森の番人グリーン・バブーン》を墓地から……あれ?何で出てこないんだ?」

『ダメージステップ、要はリバースモンスターへの攻撃によって破壊された場合は《森の番人グリーン・バブーン》の効果は発動できないん……』

「アイ」

『デキナイデス』

 

「そっかー……、うーん」

 

 島が悩み始めたのを見て、アイが話しかける。

 

『なあ、プレイメーカー。そろそろ狙いを教えてくれないか?』

 

「……《森の番人グリーン・バブーン》は破壊しても簡単な条件で特殊召喚できる強力な効果を持つが、LPを必要とするカードだ。だからできるだけ島のLPダメージを稼げるように立ちまわっていた。

「特にグリーン・バブーンを軸にしている以上、デッキも下級は展開力やグリーン・バブーンの条件を満たすものを重視して攻撃力が低い可能性が高い。森の狩人イエロー・バブーンもいるようだから、戦闘破壊は避けて下級への攻撃は避けて反射ダメージを狙っていた」

 

 

「よし、このままターンエンドだ」

 

「俺のターンドロー、カードを伏せてターンエンド」

 

「……俺のターンドロー、よし、良いカードを引いたぜ!《おとぼけオポッサム》を召喚!このモンスターは自分よりも高い攻撃力を持つモンスターが相手フィールドにいるのなら破壊する事ができる!おとぼけオポッサムは攻 800の獣族、《X-ヘッド・キャノン》(攻撃力1800)がいるため破壊し、獣族が破壊されたので、墓地の《森の番人グリーン・バブーン》を特殊召喚!」

 

 島直樹LP2500→1500

 

「そしてスキルバンデット発動!俺は相手の伏せカードを一枚奪うことができる!対象は最初のターンから伏せているカードだ!」

 

「《援軍》が奪われたか……ライフの損失を補うスキルではなく、ライフが減ることをトリガーとしたスキル……だが、このスキルは使い切り。これで打ち止めだな」

 

「《バトルだ!《森の番人グリーン・バブーン》で《X-ヘッド・キャノン》を攻撃!」

 

「伏せカードオープン!《万能地雷グレイモヤ》!相手フィールドの表側攻撃表示モンスターの内、

 攻撃力が一番高いモンスター1体を破壊……」

 

「それにチェーンしてさっき奪った《援軍》!攻撃力500ポイントを加える!対象は《六芒星の呪縛》を受けた《森の番人グリーン・バブーン》!」

 

 《森の番人グリーン・バブーン》+《援軍》

  攻2600/守1800→攻撃力3100/守1800

 

「《援軍》を受けた《森の番人グリーン・バブーン》は破壊されるが、《森の番人グリーン・バブーン》の攻撃は止まらない!」

 

 《森の番人グリーン・バブーン》攻2600/守1800

 

 藤木遊作LP4000→2750

 

「ターンエンドだ!」

 

『これ、まずくないか?罠は避けられたし、墓地にまた《森の番人グリーン・バブーン》が行っちゃったぞ』

 

「確かに予想外の動きをされたが問題ない。ダメージは稼げてる。俺のターン、ドロー……これなら足りるな。俺は地割れを発動。これにより《森の番人グリーン・バブーン》を破壊する」

 

「だけど、《森の番人グリーン・バブーン》は効果で蘇生!」

 

 島直樹LP1500→500

 

「これでまだ勝負は……」

 

「いや、終わりだ。スキル《サプライズプレゼント》デッキから相手のフィールドに任意のカードをセットする。そしてそれを対象に《魔法解除》を発動!俺がセットしたカードは、魔法カード《黒いペンダント》だ。よって破壊される。このカードは――

 

『このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。相手に500ダメージを与える。という効果がアリマスデス』

 

「えっ、つまり……」

 

 島直樹LP500→0

 

 

 xxx

 

「クッソー、バーンで負けるとか、かっこ悪いぜー」

 

 悔しそうにログを見直す島。

 

「それで、《リンクス》だが……」

 

「ほらよ傷つけんなよ?」

 

 島はデュエルディスクを差し出すが、遊作はそれを断る。

 

「いや、もう満足した」

 

 もうすでにコピーは終わっている。ローカル通信の時に少し弄っておいた。

 

「そうか。じゃあ今回の失敗を生かしてイベントイベント―ってもう終わってるー!」

 

 何か言われる前に速やかに遊作はそこから離れていった。

 

 

 

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