…完璧なデッキだ   作:ワックス

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アニオリカードありです


財前葵VS藤木遊作

 放課後、自販機で買ったお茶を飲みながらトリックスターデッキを広げて、 枚数の調整を行う。

 

「サーチができるキャンディナとライトステージ、応用の効くマンジュシカは必須……リリーベルがいるとアドバンテージと展開の補助が出来るから……。《トリックスター・ブーケ》最近使わないわね……他のカード入れてみようかしら」

 

 ハノイの騎士との戦いを経て、私……ブルーエンジェルはリンクヴレインズの英雄と呼ばれるようになった。だけと、幹部との最終決戦では成果を出せずに負けてしまい、気がついたらプレイメーカーが全てを終わらせていた。

 プレイメーカーを恨んでいる訳ではない。彼はまさしくリンクヴレインズの英雄だ。だが、私はどうだろうか。プレイメーカーは謎が多い人物であり、取材は私とGo鬼塚に集中したが、聞かれることもプレイメーカーのことばかり……。

 

「私がもっと強ければ……」

 

 リンクヴレインズが追い詰められることもなく、プレイメーカーにも負担も減らせたのではないか、取材に対してこんなに悩むことも無かったんじゃないかと思ってしまう。

 

「……ふぅ」

 

 デッキの調整を切り上げる。最近変に思い悩んでしまうので気分を変えたくなって、普段と違うところでデッキに触ってみたが効果は無かったようだ。

 

「最近顔を出してなかったし、デュエル部に行こうかしら」

 

 歩くとすぐに部室に着く。中に入ると、先輩部員が1人……そして意外な人物がいた。

 

「藤木くん、入部したの?」

 

「いや、今日は島に呼ばれて……」

 

 部室を見るが、まだ島君は来ていないようだ。再び遊作君に目を向けると、変わったデュエルディスクを持っているのに気が付く。

 

「そのデュエルディスク、どうしたの?」

 

 すると遊作君ではなく先輩が話しかける。

 

「これは僕の作ったデュエルディスクでね、以前話題になった違法アプリ《リンクス》って有っただろ?あれを元に作ったスピードデュエル体験デュエルディスク、名付けて《スピードディスク》」

 

「《スピードディスク》……」

 

 いまいちなネーミングセンスだ。

 

「今はまだ未完成でね……LINK2までのリンクモンスターしか使えないんだけど、よかったら財前君、遊作君とこの《スピードディスク》でデュエルしてみてくれないかな?」

 

「構わないですけど……」

 

 受け取って腕に装着して色々と操作する。スキルはあるみたいだ。……藤木君のことはあまりよく知らない、以前意識を失った私を助けてくれたことと、島君と比較的仲が良いこと、デッキをみる限りあまりデュエルが得意じゃなさそうなことくらい。

 デッキをセットして藤木君と向き合う。……手加減しようかと思ったけど、それはそれで失礼な気もするし……早く終わらせよう。

 

 

 xxxxx

 

 

「先行、後攻好きな方を選んでいいわ」

 

「それじゃあ先行を貰おう」

 

「「デュエル」」

 

 

 財前葵LP4000

 vs

 藤木遊作LP4000

 

 

「俺のターン……モンスターをセット、リバースカードを二枚伏せてエンドだ」

 

 静かな始まりね。

 

「私のターン、ドロー。私は手札から《トリックスター・キャンディナ》を召喚して効果発動、トリックスターカードの《トリックスター・ライトステージ》を手札に加えるわ」

 

「財前君はブルーエンジェルで有名なトリックスターを使うのか……、少し意外だね」

 

 トリックスターキャンディナ 攻撃力1800

 

 特に伏せカードの使用は無し、とはいえミラーフォースみたいなカードの可能性もあるし……。

 

「《ライトステージ》を発動して、デッキからトリックスターモンスターの《トリックスター・リリーベル》を手札に加えて、《リリーベル》の効果で自身を特殊召喚」

 

 リリーベル 攻撃力800

 

「《ライトステージ》の効果で伏せカード1枚をエンドフェイズまで発動を封じたいけど……」

 

「チェーンはしない」

 

 チェーンはしない……か。素直なのか、それともブラフなのか。

 

「私は手札から《トリックスター・マンジュシカ》の効果発動、《キャンディナ》を手札に戻して自身を特殊召喚、攻撃表示」

 

 トリックスター・マンジュシカ 攻撃力1600

 

「私は魔法カード《トリックスター・ハルシネイション》を発動、手札から《トリックスター・ナルキッス》を特殊召喚して、その後お互いに1ドロー」

 

 トリックスター・ナルキッス 攻撃力1000

 

「私の場にいる《マンジュシカ》の効果、ドローしたカード一枚につき200ダメージ、さらに《ライトステージ》の効果でダメージを200追加するわ」

 

 藤木遊作 LP4000→3600

 

「それじゃあリンク召喚をするわ。《ナルキッス》と《マンジュシカ》でリンク召喚、リンク2《トリックスター・ホーリーエンジェル》」

 

 トリックスター・ホーリーエンジェル 攻撃力2000

 

「……トリックスターのエースモンスターか」

 

「ダイレクトアタックをできるリリーベルと、耐性を与える《ホーリーエンジェル》……遊作君、頑張って」

 

「はい」

 

「カードを1枚伏せてバトルに入るわ。《ホーリーエンジェル》で伏せモンスターを攻撃」

 

「伏せカードオープン、《万能地雷クレイモヤ》の効果で《ホーリーエンジェル》を破壊する」

 

 攻撃に反応するトラップ……ホーリーエンジェルが破壊されるのは痛い。

 

「中々やるわね、《リリーベル》の効果でダイレクトアタックするわ。そしてダイレクトアタックしたので、効果で墓地からマンジュシカを手札に加えてそのまま《リリーベル》を手札に戻して特殊召喚」

 

 藤木遊作 LP3600→2800

 

「《マンジュシカ》で伏せモンスターに攻撃」

 

「伏せモンスターは《人食い虫》、リバース効果で《マンジュシカ》を破壊するが、バトルに負けて《人食い虫》も破壊される」

 

 ……かなり綺麗に処理されてしまった。でも、まだ巻き返せる範疇ね。

 

「これで私はターンエンドするけど……《ライトステージ》の効果で選ばれたカードは今発動しなければ墓地へ送られるけど……どうする?」

 

「発動する。《チェーンヒーリング》を発動して、ライフを回復する」

 

 藤木遊作 2800→3300

 

 あのタイミングで打たないで今打つ……ブラフだったわね。

 

「俺のターン、ドロー、手札からモンスターを伏せて、《魔法除外》を発動して《ライトステージ》を破壊する。そしてリバースカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 ……あのカードは何のカードか、また《人食い虫》?それとも……いや、まずは状況を整理しよう。

 

 

 藤木君のLPは3300。手札は0枚で場には伏せモンスターが1、セットカードが1

 

 私のLPは4000。手札は《キャンディナ》と《リリーベル》、手札から捨てられたら特殊召喚できる《トリックスター・マンドレイク》、フィールドには1枚のリバースカード。

 

「私は《キャンディナ》を召喚、そして……」

 

 何を手札に加えるか。

 バーン効果とモンスターを手札に戻せる《マンジュシカ》、ダイレクトアタックと墓地回収のできる《リリーベル》……。

 

「《リリーベル》を手札に加えて、効果で自身を特殊召喚、バトルに入って……」

 

 《人食い虫》を考えると伏せモンスターは後で倒した方が良い。

 

「《リリーベル》でダイレクトアタック、ダイレクトアタックに成功したので効果発動。墓地の《マンジュシカ》を回収」

 

 藤木遊作 LP3300→2500

 

「《キャンディナ》で伏せモンスターに攻撃」

 

「俺の伏せモンスターは《ハープの精》、守備力は……」

 

 キャンディナ 攻撃力 1800

 VS

 ハープの精 守備力 2000

 

 財前葵 LP4000→3800

 

「おお、やるじゃないか藤木君」

 

「そんなっ」

 

 《ホーリーエンジェル》は攻撃力2000……、《トリックスター・ブーケ》があれば……ううっ、いや、まだだ。

 

 墓地の《ホーリーエンジェル》を特殊召喚しても、リンク先にモンスターを出すことは出来ないから、もうひとつの効果、効果ダメージを与えることでステータスを上げる効果がうまく使えない……しまったなぁ……どうしよう。……いや、これなら次のターンに!

 

「リリーベ……いや、《キャンディナ》を手札に戻して、《マンジュシカ》を特殊召喚してターンエンド」

 

「俺のターン、ドローしてダメージを受ける」

 

 藤木遊作 LP2500→2300

 

「《魔法剣士ネオ》を召喚して、《黒いペンダント》を装備する」

 

 魔法剣士ネオ 攻撃力 1700→2200

 

「バトルに入る、《リリーベル》を《ネオ》で攻撃、『魔法剣一線』!」

 

 魔法剣士ネオ 攻撃力2200

 VS

 リリーベル  攻撃力800

 

 財前葵 LP3800→2400

 

「ターンエンドだ」

 

 よし、これなら……

 

「ドロー、《キャンディナ》を召喚、《トリックスター・マジカローラ》を手札に加えて発動、《リリーベル》を特殊召喚、《マンジュシカ》と《キャンディナ》でリンク召喚、《トリックスター・スイートデビル》!」

 

 トリックスター・スイートデビル 攻撃力2000

 

「そして……《トリックスター・ハルシネイション》を発動して、手札から《キャンディナ》を特殊召喚。お互いにドローよ。そして…場の《キャンディナ》を手札に戻して《マンジュシカ》を特殊召喚する。そして……」

 

 最初のターンから伏せてたカードを発動する。

 

「リバースカードオープン!《トリックスター・リンカーネーション》!相手の手札を全て除外し、再び引かせて、これにより《マンジュシカ》のバーンが発動してダメージ!」

 

 藤木遊作 LP2100→1900

 

「これにより、《スイートデビル》の効果、相手モンスターの攻撃力を200ダウン!」

 

「バトル!で《スイートデビル》で《魔法剣士ネオ》を攻撃!」

 

 スイートデビル 攻撃力2000

 VS

 魔法剣士ネオ 攻撃力 2200→2000

 

「《黒いペンダント》の効果!相手に500のダメージ!」

 

  財前葵2400→1900

 

「《リリーベル》でダイレクト!効果でマンジュシカを手札に加える!」

 

 藤木遊作 LP 1900→1100

 

「《リリーベル》を手札に加えて《マンジュシカ》を出してターンエンドよ」

 

「俺のターン、ドロー」

 

 藤木遊作 LP1100→900

 

「……《ハープの精》をリリース!現れろ、《エレキテルドラゴン》!」

 

 エレキテルドラゴン 攻撃力2500

 

「《エレキテルドラゴン》で《マンジュシカ》に攻撃!『エレキストーム』!」

 

 

 エレキテルドラゴン 攻撃力2500

 VS

 マンジュシカ 攻撃力1600

 

 財前葵 LP1800→900

 

「ターンエンドだ」

 

 ……お互いにライフは1000を切った、ここが正念場ね!

 

「ドロー!、《リリーベル》を通常召喚!カードを一枚伏せてバトルフェイズ!ダイレクトアタック!《マンジュシカ》を回収して特殊召喚!」

 

 藤木遊作 LP900→100

 

 マンジュシカの効果で200ダメージ……これで勝っ

 

「俺のターンドロー……スキル《天使の微笑み》発動!今引いた天使族の《デュナミスヴァルキュリア》を見せることでLPを1000回復させる!」

 

 そんな…それじゃっ

 

 藤木遊作 LP100→1100→900

 

「現れろ、《デュナミスヴァルキュリア》を通常召喚!」

 

 デュナミスエンジェル 攻撃力1800

 

「《デュナミスヴァルキュリア》で《マンジュシカ》へ攻撃!」

 

 デュナミスヴァルキュリア 攻撃力1800

 VS

 マンジュシカ 攻撃力1600

 

 財前葵 1000→800

 

「《エレキテルドラゴン》でダイレク……」

 

「墓地の《トリックスター・リンカーネーション》発動、《トリックスター・リリーベル》を守備表示で特殊召喚!」

 

「そのまま攻撃!」

 

 リリーベル 守備力2000

 VS

 エレキテルドラゴン 攻撃2500

 

「私のターン、ドロー!……《トリックスター・マジカローラ》を発動、《リリーベル》を墓地から特殊召喚して、バトルに入ってダイレクトアタック!」

 

 藤木遊作LP900→100

 

「効果で《マンジュシカ》を回収して、《リリーベル》を手札に戻して《マンジュシカ》を特殊召喚……ターン、エンド」

 

 最後のドロー……藤木君が天使族を引けば私の負け、そうじゃなければ……

 

 藤木君の手がテッキに掛かり、カードを引く。そして見せつけるように表にして……

 

「……俺の負けだ」

 

 緑色のカード……魔法カードが握られていた。

 

 藤木遊作LP100→0

 

 

 xxxx

 

 

「いやあ、良い戦いだったね。藤木君もナイスファイトだったよ!」

 

「ありがとうございます」

 

 勝てはした、けど……以前に見た彼のデッキと、今回使ったカード……島君の言葉を借りれば『お粗末なデッキ』でここまで追いつめられるなんて思わなかった。

 

「藤木君がこんなに強いなんて思わなかったわ」

 

「それにしても最後のほうは2人とも気合い入ってたね」

 

「えっ!」

 

 そういえば最後のほうは大きな声でやってたような……、はっ恥ずかしい。

 

「あのですね、それは……」

 

「楽しそうにデュエルしてて、やっぱり財前さんもデュエルが好きなんだなって」

 

 デュエルが……好き?

 

「あの……そんなに楽しそうでしたか?」

 

「うん。藤木君もそう思わなかった?」

 

「……ああ。楽しそうだったし、その……俺も楽しかった」

 

 ………………。

 

「その、良かったら何ですけど、デッキ構築について相談に乗ってくれませんか?」

 

「ああ、いいよ。あまり力になれないかもしれないけど」

 

「俺は……その……少しだけなら」

 

「最近入れるカードに迷ってて――」

 

「それならこのカードとか――」

 

「汎用性の高い《キャロ――」

 

 

 xxxx

 

 ちょっと自信を失っていたけれど、昔の自分を思い出せた気がする。

 

 私はリンクヴレインズを守るためとか、ハノイの騎士と戦うためじゃなく―――

 




どこか間違ってないか不安……たぶん間違ってる
大きなミスして没になったデュエルももったいないから載せようか迷う
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