…完璧なデッキだ   作:ワックス

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藤木君への誕生日プレゼント後編

「「藤木君誕生日おめでとう」」

 

 パァンという音と共にカラフルな紙が飛んでくる。

 

「おい、島……これは」

 

 俺を何故かデュエル部の部室に連れてきた島を見ると、笑顔でこちらを見ながら使い終わったクラッカーを握っている。

 

「藤木、お前誕生日なんだろ?サプライズってやつだ」

 

 部室を落ち着いてみると、デュエル部の部長と、以前にスピードディスクを作っていた先輩、財前と俺を連れてきた島がいる。

 

「あんまり大したものは用意できなかったけど、そのかわりにデュエル部らしいプレゼントを用意したんだ」

 

 と部長がいうと、その後ろから財前がラッピングした袋を俺に手渡してきた。

 

「誕生日プレゼントよ。時間が合わなくて今はいないけど、他の部員の人にも手伝ってもらったの」

 

「あ、ああ。ありがとう」

 

 少し戸惑いながら受けとると、何枚かのカードが出てきた。これは……

 

「エクシーズとリンクモンスター……そしてパックか」

 

  エクシーズはランク4を中心に《機甲忍者ブレードハート》、ガガガシリーズ、《ジェムナイト・バール》等が、リンクモンスターはリンク2の《ミセス・レディエント》などの属性リンクが入っていた。

 

「藤木君はエクストラデッキを使ってないみたいだったから……。使い方はわかる?」

 

「一応使ったことはあるが……」

 

「お前、他のカード持ってたのか。何てカードだ?」

 

 ……せっかくカードを貰ったのだから、他のカードを持っていることを見せびらかすこともないだろう。見せても良いカードを1、2枚……。

 

「《電影の騎士ガイアセイバー》か。良いカードじゃないか、パックかなんかで当てたのか?」

 

「……ああ。そうだ」

 

 取り合えず手元にある中で、見せても良いリンクモンスターはこれしかなかった。

 

「エクシーズモンスターは初めて触るのか……。ルールの確認は大切だよ、良かったら僕とデュエルしてみないかな?」

 

 そう言いながら部長がを手にデッキをとる。

 

「せっかくデュエルするなら、また《スピードディスク》を使ってみてくれないか?」

 

「お、新カードでのデュエルか。藤木、俺達がアドバイスしてやるからやってみろよ」

 

「そうね。リンクモンスターについてなら私も教えられると思う」

 

 先輩達の言葉に島と財前も続く。

 

 ……断るのも失礼な気がするし受けるか。

 

「それじゃあ、お願いします」

 

 

 xxxx

 

 後攻を示すランプが光る。

 

「僕が先行か。じゃあ藤木君、準備は良いかな?」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

「よろしくね。じゃあ始めようか」

 

「「デュエル」」

 

 部長 LP4000

 vs

 藤木君 LP4000

 

「僕のターン……って表示が部長になってるのは……」

 

 横を見ると先輩がピースを部長に向けている。どうやら彼の仕業のようだ。

 

「まあ良いや、僕は《ゴブリン突撃部隊》を攻撃表示」

 

 ゴブリン突撃部隊 レベル4 攻撃力 2300

 

「カードを2枚伏せてエンドするよ」

 

 ゴブリン突撃部隊を使うデッキ……戦士族主体か?

 

「俺のターン、ドロー。俺はモンスターをセット、カードを1枚伏せてエンドします」

 

 あまり良い手札ではないが、このカードなら防げるはずだ。

 

「僕のターン、ドローして……《暗黒界の騎士ズール》を通常召喚」

 

 暗黒界の騎士ズール レベル4 攻撃力 1800

 

 暗黒界にゴブリン突撃部隊……スキルドレインを入れた暗黒界か?いや、あのデッキは通常モンスターをいれる必要は無いはず。

 

「ふふ……僕は、レベル4のモンスター2体《暗黒界の騎士ズール》と《ゴブリン突撃部隊》でエクシーズ召喚!現れろ、《交響魔人マエストローク》!」

 

 交響魔神マエストローク ランク4 攻撃力 1800

 

 確かあのモンスターは……、不味いな。

 

「僕はバトルフェイズに入って、セットモンスターに攻撃!」

「セットモンスターは《人喰い虫》。リバース効果で《マエストローク》を破壊……」

 

「されるときに効果を発動するよ。《マエストローク》は破壊される代わりに、エクシーズ素材を1つ取り除く効果を持っている」

 

 マエストローク 残りエクシーズ素材 2→1

 

「エクシーズモンスターは、このようにエクシーズ素材を取り除くことで、強力な効果を発揮するんだ。まあ、そのぶん欠点もあるんだけどね」

 

 今の状態ではセットカードも意味がない。だが、このカードを使えば……。

 

「僕はターンをエンドするよ」

 

「俺のターン、ドロー……《ゴブリン突撃部隊》を攻撃表示で出して、1枚伏せてターンエンドする」

 

「……僕のターンドロー。モンスターを1体伏せて、《マエストローク》のもう1つの効果、相手モンスター……《ゴブリン突撃部隊》を裏守備表示にするよ」

 

 ゴブリン突撃部隊 守備力 0

 

 マエストローク 残りエクシーズ素材 1→0

 

「バトル!マエストロークでセットモンスターに攻撃」

「リバースカードオープン、トラップ発動!《万能地雷クレイモヤ》の効果で《マエストローク》を破壊!」

 

「うっ、ブラフ読みだったけど外したか……。そのままエンドするよ」

 

「俺のターン、ドロー。手札から《青い忍者》を召喚して、《ゴブリン突撃部隊》を反転召喚する」

 

 青い忍者 レベル1 攻撃力 300

 

「低攻撃力のモンスターを攻撃表示……リンクモンスターだね」

 

「俺は、地属性の《青い忍者》と《ゴブリン突撃部隊》でリンク召喚!来い、リンク2《ミセス・レディエント》」

 

 ミセス・レディエント 攻撃力1400

 

「《ミセスレディエント》は地属性のモンスターの攻撃力を500上げる!」

 

 ミセス・レディエント 攻撃力1400→1900

 

「1枚伏せて、バトル!《ミセスレディエント》で伏せモンスターを攻撃……」

 

「おっとそれは通したくないな、トラップ発動、《六芒星の呪縛》で《ミセスレディエント》の攻撃を封じるよ」

 

 ……《ゴブリン突撃部隊》、《六芒星の呪縛》か……もしかして。

 

「そろそろ気づいたかな?僕が使ってるのは【ハーフデッキ闇】。藤木君の対になるデッキさ」

 

 対……そういえば《ズール》も攻撃力1800……俺の《X-ヘッドキャノン》と同じ攻撃力だったな。

 だが、リンクモンスターに《六芒星の呪縛》を発動してまで守りたかったセットモンスター……いや、このデッキならセットモンスターを守るためじゃなく、恐らく……。

 

「……ターンエンドだ」

 

「僕のターンドロー、僕はセットモンスターを反転召喚、《青い忍者》だよ効果でセットカードを確認して、魔法なら破壊する。伏せは……《援軍》だったか」

 

 ばれてしまった罠は機能しにくい。少なくとも有効に使える状況を整えなくては。

 

「僕は、《青い忍者》をリリースして《デーモンの召喚》をアドバンス召喚!」

 

 デーモンの召喚 レベル6攻撃力 2500

 

 やはり、《エレキテルドラゴン》と同じ上級モンスターか!

 

「バトル!《デーモンの召喚》で《ミセスレディエント》を攻撃!」

 

デーモンの召喚 攻撃力 2500

VS

ミセス・レディエント 攻撃力1900

 

藤木君 LP4000→3400

 

「《ミセスレディエント》の効果、墓地から《ゴブリン突撃部隊》を手札に加える」

 

 貰ったリンクモンスターは各種1枚ずつ。もう《ミセスレディエント》は出せないな。

 

「ターンエンドするよ」

 

「俺のターンドロー。よし、手札から《地割れ》を発動、《デーモンの召喚》を破壊する。そして《Xーヘッドキャノン》を召喚して、バトルに入って攻撃」

 

「……止められないね、受けるよ」

 

 部長 LP4000→2200

 

「ターンエンド」

 

「僕のターン、ドロー。……伏せカードの《ゴブリンの秘薬》を発動してライフを600回復する」

 

 部長 LP2200→2800

 

「1枚伏せてターンエンド」

 

「俺のターン、ドローして《魔法剣士ネオ》を召喚……」

 

「トラップ発動、《落し穴》で《魔法剣士ネオ》を破壊するよ」

 

「そのままバトル。《Xーヘッドキャノン》でダイレクト」

 

 部長 LP2800→1000

 

「ターンエンドする」

 

 追い詰めはしたが、ライフポイントが1000……一部の強力なスキルを発動できる条件が整ってしまった。

 

「僕のターン……僕は、スキルを発動する!スキル《創造者》の効果、ランダムなカード1枚をデッキ外から手札に加える!僕が引いたのは……」

 

 部長がカードを表向きにする。そのカードはデュエルモンスターズの中でも屈指の認知度を持つ、強力カードの……

 

「《死者蘇生》!僕の墓地から《デーモンの召喚》を蘇生するよ!」

 

 デーモンの召喚 レベル6攻撃力 2500

 

「そして、君が《ゴブリン突撃部隊》と《援軍》を持っているのはもう知っている。手札から《黒いペンダント》を装備!」

 

 デーモンの召喚 攻撃力2500→3000

 

「バトルだ!《デーモンの召喚》で《Xーヘッドキャノン》を攻撃!『魔墜雷』!」

 

 

デーモンの召喚 攻撃力 2500

VS

Xーヘッドキャノン 攻撃力 1800

 

 

 藤木君 LP3400→2700

 

「さて、ここから引っくり返せるかな?ターンエンドだ」

 

 ここから勝つにはあのデーモンの召喚をどうにかしなければいけないが、すでにデッキの地割れ、人喰い虫、クレイモアは使ってしまった。あと入っている中で、デーモンの召喚をどうにかできるカードは……。

 

「ドロー……これは」

 

 運が絡むが、ここから勝つにはこの手しかない。

 

「俺はモンスターをセット、ターンエンドだ」

「じゃあ僕のターン、ドロー。……人喰い虫はもう使っている。そうなると怖いセットモンスターは……《ハープの精》かな。僕は手札から《闇魔界の戦士ダークソード》を通常召喚」

 

 闇魔界の戦士ダークソード レベル4 攻撃力 1800

 

「バトルにはいるよ。《デーモンの召喚》でセットモンスターに攻撃!」

 

 

《デーモンの召喚》攻撃力2500

  VS

《赤い忍者》守備力300

 

 

「《赤い忍者》の効果で、リバースカードを見る。……《援軍》を破壊」

 

「うっ、深読みしすぎたか。仕方がない、《闇魔界の戦士ダークソード》 でダイレクト!」

 

 藤木君 LP2700→900

 

「ターンエンドするよ」

 

 ……とりあえず思い通りの展開にはなった。後はどちらかのカードを引くだけだ。

 

 

「俺のターン……スキル発動!《創造者》の効果、ランダムなカードを1枚手札に加える」

 

 手元にスキルで創造されたカードが加わる。引いたカードは、緑色。

 

「《死者蘇生》を発動!蘇らせるのは《暗黒界の騎士ズール》!」

 

 暗黒界の騎士ズール レベル4 攻撃力1800

 

「てっきり《ミセスレディエント》を出すかと思ったけど」

 

 使っているのが同じデッキとなると、手札から発動する効果も墓地で発動するカードも使われない。なら、このターンで決めきれる。

 

「俺は《ゴブリン突撃部隊》を召喚して、《暗黒界の騎士・ズール》とエクシーズ!現れろ、ランク4《ジェムナイト・パール》!」

 

 ジェムナイトパール ランク4 攻撃力2600

 

「出すカードを間違えたんじゃないかな?《ジェムナイトパール》だとデーモンの召喚を破壊して終わりだ。僕にはまだ……」

 

「いいえ、倒すのはデーモンの召喚ではありません」

 

「え、どういう……あっ!」

 

「バトル!《ジェムナイトパール》で《闇魔界の戦士ダークソード》を攻撃!そしてその時に《援軍》を発動して攻撃力を500アップさせる!」

 

 《ジェムナイトパール》攻撃力2600→3000

 VS

 《闇魔界の戦士ダークソード》 攻撃力1800

 

 部長 LP1000→0

 

 

 xxxx

 

 

 

「ライフ計算を忘れて負けるのは悔しいなぁ……」

 

「良いじゃないですか部長、俺なんてバーンで負けたんすよ?」

 

「惜しかったですね、1ターン耐えれてたら《ファイヤーボール》引ければ勝てるところまで行ったのに」

 

 みんなで今のデュエルの内容について盛り上がっている。

 

「遊作君、どうだった?リンクモンスターとエクシーズモンスターは」

 

 少し考えて、今回のデュエルで思ったことを話す。

 

「やはりエクストラデッキがあると、取れる選択肢が増えるのは大きかったです」

 

「それは良かった……楽しめた?」

 

 今度は考えることなく返事をした。

 

「はい。楽しかったです」

 

 島が嬉しそうに肩をたたいて話しかけてくる。

 

「俺の選んだ《ジェムナイトパール》良かっただろ!?やっぱり攻撃力っていうのは重要だよな~。今度は融合とシンクロも教えてやるよ」

 

「私はエクシーズよりリンク召喚のほうが好みだけど、1枚くらい入れてみようかしら」

 

「財前君のデッキならリンクを極めたほうがよさそうだけど……」

 

 

 ハノイとの戦いが終わって、草薙さんも弟と向き合って話している。きっと2人が日常に戻るのはそう遠い話じゃないだろう。俺もサイバースを、プレイメイカーの名前を使わなくなって、こういう日常を過ごしていくのだろうか。

 

 それを少し想像して……まんざらでもない自分に気がづいた。

 

 自分のデュエルディスクを手に取る。このデュエルディスクが話し出すことももうないのは少し残念だが、アイツも今頃は仲間と仲良くやっているだろう。

 

 

 xxxx

 

 

 

 その後、彼は再びデュエルディスクの中の相棒と共にデータの世界で戦うこととなる。

 

 だが、彼はその戦いが終わった時には、また日常へ帰ってくる。

 

 楽しいデュエルをするために。






……これ以上書いても戦法がワンパターンになりそうなので完結です
ヴレインズssはまだ書きますが「…完璧なデッキだ」以外で書くことになると思います(葵×遊作を書きたい)

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