巨人怖いからこっち来んな 作:リア
前話で確認お願いします。
こんにちは。
王宮兵団所属ハルト=フィロセラルムです。
現在は844年。16歳になりました。
巨人のウォールマリア突破まで後1年です。
僕がこの世界に来る前、『進撃の巨人』は連載開始直後でしたので、原作知識というチートはほぼ皆無です。
今後の展開を楽しみにしていたのに、まさか自分で体感していくハメになるとは。
今日はいつもと同じように訓練に励んでいたところ父さんにお呼ばれされました。
正直なぜ呼ばれたのか皆目検討が付きません。
十中八九仕事の話でしょうが、いつも仕事は書類を通して伝えられるので父さんと直接話をすることはあまりありません。
はっきり言ってメタクソ怖いです。
無表情のためわかりづらいですが、幼少期から積み重ねられたトラウマで内心はガクブルです。
父さんのいる総統室の前まで来ました。
決死の覚悟を決め、ドアをノックします。
「ハルト=フィロセラルムです」
「入れ」
「失礼致します」
父さんの前に立ち敬礼をする。
「総統がお呼びだと伺ったのですが、何か御用でしょうか」
父さんのことを「父さん」と呼ぶのは心の中だけで、本当に呼ぶ時は役職名「総統」と呼んでいます。
自分と同じ顔で見慣れているはずなのに、恐ろしく感じてしまうのはトラウマに加え、父さんの視線が鋭すぎるせいですね。
「あぁ。調査兵団団長キースからお前宛に依頼がきている」
調査兵団団長からの依頼?
なぜ僕個人に依頼をしてきたのでしょうか。
「即戦力になる人材を集めているそうだ。
他兵団団長直々の依頼だ。無下にはできない」
「了解しました」
どうやら僕はしばらく調査兵団にお世話になるようです。
僕個人に依頼という点が気になりますが、父さんの命令にですので行くしかありません。
死亡率が一気に120%まで上昇しました。生き残れる気がしません。
父さんの命令に食い気味でYesと言ってしまう体質をどうにかしたいのですが、生まれてから16年という時間をかけて身についた習慣とは恐ろしいものです。
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父さんから依頼の話を受けた次の日、僕は早速調査兵団の基地に来ています。
そして今はファーストコンタクトタイム。
憲兵団とは顔を合わせることも多いですが駐屯、調査兵団とはなかなかその機会が少ないので、目の前の2人のお兄様方とは初めましてです。
「私は調査兵団分隊長エルヴィン=スミスです。
隣はミケ=ザカリアス。私と同じく分隊長です」
「王宮兵団兵士長ハルト=フィロセラルムです」
「えぇ。存じ上げております。
依頼を受けていただきありがとうございます」
うわお。エルヴィン分隊長イケボだよ。
すっごくイケてるボォイスですね。
ところで、自己紹介が終わったあたりからずっとミケ分隊長に匂いを嗅がれているのですが、何事でしょうか。
なかなか離れてくれないのですが、え。怖い。
エルヴィン分隊長、僕真顔でノーリアクション貫いてますがすごく困っています。
表情筋が仕事してくれないだけで、すごく困っているんです。
思いよ届けと視線を送る。
すると、僕の思いが伝わったのかエルヴィン分隊長が困ったような笑みを浮かべて言う。
「すみません。こいつの癖でして。いつもはすぐ離れるのですが」
お願いします離れてください。
他人にここまで近づかれた事がないので、なんだか居心地が悪いです。
エルヴィン分隊長は申し訳ありませんと困った笑みを浮かべている。
巨人に会う前から、なんだかホームシック気味です。
しばらくすると、満足気な表情でミケ分隊長が離れてくれました。
いったいなんの儀式だったのでしょうか。
この世界はやはり謎が多いみたいです。
落ち着いたところで、エルヴィン分隊長が本題を切り出す。
「我々がハルト兵士長に依頼をしたのは、地下街で暴れている3名の捕獲の協力。そして、次の壁外調査に同行して頂くためです」
地下街のゴロツキの捕獲?
統制は憲兵団の仕事であったはず。
地下街では知らないが、少なくとも調査兵団の仕事ではない。
壁外調査の同行に関してもやはり引っかかります。
なぜ僕1人だけに依頼したのでしょうか。
王宮兵団は各自幼い頃から厳しい訓練を受けていますので、即戦力になる精鋭ばかりです。
僕個人にではなく、王宮兵団に依頼を出して何人か同行させるのが妥当です。
エルヴィン分隊長の狙いは別にあるのでしょう。
さて、どうしましょうか。
裏があるのは確実。ですが、、
「了解しました。指示に従います」
調査兵団はストーリーに大きく関係する組織のはずです。
主人公が入団を志願していましたし。
今後のストーリーをあまり知らない以上、下手に調査兵団の動きを止めることは望ましくない。
今のところ、王宮兵団に被害を被ることはないでしょうし指示に従うのが得策であると思います。
「ありがとうございます。次に3人組が動きを見せたら決行します」
エルヴィン分隊長の言葉で僕達のファーストコンタクトタイムは終了した。
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Sideエルヴィン
「なぁ。エルヴィンあれは」
「あぁ。確実に感づかれているだろうな」
先程この部屋を去った青年。
依頼内容を言った瞬間に空気が変わった。
元から少し引っかるところがあったのだろうが。
10代半ばにして4兵団1と言われる戦力を誇る王宮兵団の兵士長になった逸材。
少ない情報量でこの話には別の意図があることを見抜いてみせた。
「これはますます欲しくなったな」
思わず笑みがこぼれる。
期待以上だ。王宮兵団兵士長。
だが、気づいていながらなぜ、、
「あいつ、なんで依頼を断ったり問い詰めたりしなかったんだ?」
私が思っていたことをミケが言う。
そう、なぜ断らなかったのだろう。
正直、あの青年の空気が変わった瞬間から断られると思っていた。
いったいなんの思惑があって、、
いや、一旦は依頼を受けてもらったことを喜ぼう。
これで、私の計画が1歩前進したのだから。
人類には希望が必要なんだ。
この計画は、確実に成功させる。
エルヴィン「そう言えば、随分ながくハルト兵士長の匂いを嗅いでいたな」
ミケ「好みの匂いだった」