巨人怖いからこっち来んな   作:リア

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リヴァイ兵長かっこいいですよね。



3「アイツ人間じゃねぇ」

 

Sideリヴァイ

 

ウォールシーナの地下にある地下街。

陽の光がなく、永遠に朝が訪れない街。

俺の生まれ育った街。

 

「なぁ。リヴァイ兄貴。

この仕事を成功させたら本当に地上に住めるのかな」

 

「相手も相当切羽詰まってたようだからな。

この取引で報酬バックレる馬鹿な真似はしないはずだぜ?」

 

人質をとるようなやり方は気に食わねぇが、報酬は悪くねぇ。

金なんかよりもずっとな。

 

「行くぞ。イザベル、ファーラン」

 

「おっけー兄貴!」

 

「あぁ。行こう!」

 

調査兵団エルヴィン=スミス。

お前は必ず俺が殺す。

 

 

 

▷▶︎▷▶︎▷▶︎▷▶︎

 

 

 

「いやっほーい!」

 

「イザベル。はしゃぎすぎるなよ。

リヴァイ、来たぞ!追っ手だ」

 

立体機動装置を装備し、追っ手から逃げる。

ファーランの言葉で振り返って人数を確認する。

6人か。前3人は憲兵だとして、後ろの3人は、、

 

「憲兵団か。懲りない連中だぜ。

リヴァイ兄貴!今のセリフかっこよくね!?」

 

「バカか」

 

俺が言うとイザベルは不満そうに口を尖らせる。

 

「リヴァイ。フード被った3人憲兵じゃねぇ!

それにあの白い制服は王宮兵団だ!」

 

「あぁ。他の2人は調査兵団だ。

自由の翼の紋章。間違いねぇ」

 

後ろの3人は動きにフェイントを入れてまこうとしても、簡単に付いてくる。明らかに憲兵の動きじゃねぇ。

なんでお偉いさんの王宮兵団が紛れ込んでるのかは知らねぇが、やっと調査兵団が動いてきた。

 

「イザベル!ファーラン!分かってるな」

 

「当然」

 

「仕事、だろ?」

 

そう言って2人はそれぞれ別の方向に進路を変える。

それに合わせで追っ手も分裂した。

俺を追ってきてるのは王宮兵団の1人。

エルヴィン=スミスではないが、まぁいい。

ヤツを殺るのは今じゃない。

さぁ、王宮兵団の腕前。見せてもらおうじゃねぇか。

 

 

 

▷▶︎▷▶︎▷▶︎▷▶︎

 

 

 

Sideハルト

 

 

「我々は別れた2人を追います。ハルト兵士長は直進している男をお願いします」

 

「了解」

 

こちらハルト=フィロセラルムです。

現在、3人対3人の鬼ごっこに勤しんでおります。

僕の相手となった小柄な男性ですが、あの人はなんなのでしょうか。

街のゴロツキと聞いていたのですが。

え?あの人立体機動装置使いこなしすぎじゃないですか?

え?訓練受けてないんですよね?

あ、あれですね。わかりました。

アイツ人間じゃねぇ。

このままでは差が変わらない競走をするだけなので、少し相手の動きを読んで先回りをしたいと思います。

 

建物の死角に入り相手が出てくるのを気配を殺して待ちます。

出てきたところで、立体機動装置のワイヤーを思いっ切りぶった斬ります。

なんとか気付かれずに出来たようで、相手を地上に落とす事ができました。

つかさず相手はナイフを出して戦闘体制に入ります。

鋭すぎるほどの視線。

あ、ちょっと父さんを思い出すのでやめてください。

ですが、肉弾戦となりますと僕は流石に負ける気がしません。

訓練では初歩中の初歩。

最初にみっちり嫌という程。

と言うか、リアルに死ぬという程父さん直々に叩き込まれた技術ですので。

僕はブレードをしまい、拳を構える。

流石。相手にも隙は伺えません。

この人立体機動だけじゃなくて、普通の喧嘩も強いんですね。

やっぱり人間じゃねぇ。

と、瞑想しているうちに相手が仕掛けてきました。

ナイフでの攻撃を避けつつ、他の攻撃にも注意を払います。

特に蹴りの威力が強すぎますので、モロにくらったらきっと蹴られた場所がはじけ飛びます。

冗談ではありません。本気です。

相手が本当に全く隙を見せないので、少しかけに出てみたいと思います。

腹に打ち込んできた拳をわざと受け、ほんの一瞬気抜いた瞬間を狙って技をかけ、相手を押し倒すことに成功しました。

あぁ。クソ本気で痛い泣きそう。泣かないけど。泣けないけど。

そこへ、ちょうど良くエルヴィン分隊長とミケ分隊長も他の2人を捕らえて来てくれました。

これで任務は完了みていです。

あぁ。僕の相手だった人お願いですから睨まないで。

過去のトラウマが引きずり出されるから。

とりあえず、早く帰って腹に湿布貼りたいですね。

 

 

 

▷▶︎▷▶︎▷▶︎▷▶︎

 

 

 

エルヴィン分隊長は3人に手錠をかけて座れせ、その正面にたった。

僕とミケ分隊長は3人の後ろに立つ。

 

「いくつか質問をさせてもらう。これをどこで手に入れた」

 

エルヴィン分隊長が僕がぶった斬った立体機動装置の破片を持って言う。

貴重な装置無駄にして申し訳ありません。

 

「立体機動装置の腕も見事だった。誰に習った」

 

3人に答える気配はない。

が、エルヴィン分隊長は質問を続ける。

僕の相手だった男の人に近づいて言う。

 

「お前がリーダーか。立体機動の訓練を受けたことがあるのか」

 

男の人が答えないのをみると、僕の隣に立っているミケ分隊長がリーダーと思われる男の人の頭を思いっきり地面に叩きつけた。

えぇ!?ミケ分隊長!!

僕はあなたのことを今まで匂いフェチの温厚な変態とばかり思っていました。

ちゃんと兵士だったんですね。しかも分隊長ですものね。

失礼なことを思って申し訳ありませんでした。

頭を後から押さえつけられてもなお、リーダーの男の人はその鋭い視線を僕に浴びせ続けています。

なんで僕。明らかにミケ分隊長かエルヴィン分隊長を睨むところじゃないですか。

僕、今の話には圧倒的無関係なのですが。

 

「もう一度聞こう。立体機動をどこで覚えた」

 

「誰にも習ってねぇよ!独学だ!」

 

リーダーの方ではない男の人が答える。

リーダーの人もですがかなりの男前です。

エルヴィン分隊長もミケ分隊長もみんなそれぞれタイプの違うイケメェンです。

なんだなんだ。この世界にはイケメェンしか存在が認められていないのでしょうか。

そんなところもハードモードなんですか。

おっといけない。真面目に話を聞け。ハルト=フィロセラルム。

 

「独学?信じられん」

 

「本当だ!この薄暗いゴミ溜めから少しでも浮き上がるために必死で身につけたんだ!

お前らみたいな陽が当たる事が当たり前のヤツらには、分からないだろうがな!!」

 

「いいから早く兄貴から手離せよ!

兵士だからって威張ってんじゃねぇ!」

 

リーダー以外の2人がそれぞれ言う。

ミケ分隊長がリーダーの髪を引っ張り上体を起こさせた。

リーダーの顔が歪む。

あぁあ痛い!痛いですよそれ。

顔を覆いたくなるが、手を後に組んで耐える。

ダメです。王宮兵団兵士長の名が泣いてしまいます。

まぁ僕の内面は、肩書きの名前に明らかに負けていますが。

えぇ。自分でも自覚済みですとも。

幸いにも、無口無表情がそれをカバーしてくれています。

トラウマと引き換えに兵士長としての尊厳は守られています。

エルヴィン分隊長がリーダー前に膝をついて視線を合わせる。

 

「私の名はエルヴィン=スミスだ。お前は」

 

「リヴァイ」

 

リーダーの男。リヴァイさんが少し間を開けて答えた。

エルヴィン分隊長が続けて言う。

 

「リヴァイ私と取引しないか」

 

「取引?」

 

「お前達の罪は問わない。代わりに力を貸せ。

調査兵団に入団するんだ」

 

捕えられた3人が驚いたように息を呑む。

あぁ。なるほど。分かってきました。

エルヴィン分隊長の本当の狙い。

なぜ僕1人に依頼をしたのか。

どうしてわざわざこの地下街に。リヴァイさんの元に訪れたのか。

 

「断ったら?」

 

「憲兵団に引き渡す。

これまでの行いを考えたらお前は元より、お前の仲間もまともな扱いは望めんな」

 

『好きな方を選べ』

 

エルヴィン分隊長がリヴァイさんに言う。

答えは2つに1つですね。

 

「いいだろう。入ってやるよ。調査兵団に」

 

リヴァイさんと、他2人の調査兵団入団が決定しました。

正直、リヴァイさんは王宮兵団に欲しい人材ですね。

でも、今後のストーリー的には調査兵団にいてもらった方がいいでしょうか。

それがエルヴィン分隊長の狙いであると思いますし。

リヴァイさんが急にエルヴィン分隊長から視線を外し、また僕を睨みつけてくる。

なんでしょうか!?怖いです!!

 

「お前。名前は」

 

僕のですか!?僕のですよね。

 

「ハルト=フィロセラルム」

 

「ハルト=フィロセラルム。絶対忘れねぇ」

 

はい。これから僕湿布を持ち歩く事にしましょう。

この世界での2大恐怖対象が父さんとリヴァイさんて決定です。

もう巨人より怖いからこっち来んな。

 

 




リヴァイ「エルヴィン=スミスとハルト=フィロセラルムは絶対俺が殺す」

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