IS×仮面ライダー 仮面ライダー炎竜   作:柏葉大樹

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十三異界覇王大戦編 第13話

side炎竜

 俺達の前に現れた仮面ライダーアギトはそのままもう一人のこの場に居るアギトらしき怪人を相手に戦い始めた。彼を、あの彼を、アギトを、津上翔一を見て思い出した。俺が柏葉大樹として生きる前、転生する前に生きていたその世界で幼い頃に見ていたテレビのヒーロー、俺があこがれていた仮面ライダーがそこにいた。

 

 「あの人、アーマードライダー?」(マドカ)

 「違う。でも、あの人も仮面ライダーだ。俺が、柏葉大樹になる前の俺が憧れた仮面ライダー。」(大樹)

 

 俺が何度か転生していることをマドカはとっくに知っていた。その流れで俺が自覚している二つ前の世界でのことを覚えている限りは話した。でも、どうして俺はこの人のことを実際に会うまでに思い出せなかったんだ。

 俺の目の前で翔一さんは全く衰えることもなく目の前のアギト怪人を相手に善戦、いや圧倒していた。

 

 「はあ!!」(アギト)

 「くっ!!」

 

 相手のアギト怪人はどうやらスピード戦を得意としているらしい。さっきから変身している俺でも視認するのも難しい速度で翔一さんを翻弄するべくその周囲を走り回っている。そこから爪を鋭く振るうのだが基本形態のグランドフォームで翔一さんは難無く相手の攻撃をいなし、攻撃を当てて戦いを有利に進めている。相手はそこから何度も攻撃をするも終始翔一さんのペースですでにかなりの体力を削られている様子だった。

 

 「あの人、まるで相手の動きが分かってるみたい。」(マドカ)

 「たぶん、感覚的なんだと思う。マドカが自分の体の感覚で完全に自分の思い通りに動けるように。」(炎竜)

 「あの人ってまさか前の世界の私と同じ?」(マドカ)

 「いや、仮面ライダーの力を得た以外は普通の人だよ。あの人の力がそういう人間としての限界を超えたものだから。」(炎竜)

 

 俺達が話す前で翔一さんは確実に相手を追い詰めていた。相手も見た様子からかなり消耗していた。そこで翔一さんはとどめを刺すべく構えた。

 

 「このままじゃあゲゲルを達成する前に死んでしまうなあ。じゃあ、ここで終わりだね。」

 「待て!!」(アギト)

 

 アギト怪人はそのままビルの屋上へ跳び上がって逃げていった。俺としてはマドカを襲ったことも含めて逃がしたくなかったがあのままだと俺も危なかった。

 そこを翔一さんが俺達の方を向いた。俺は敵意が無いことを知らせるためにと思い、ロックシードを戦極ドライバーから外して変身を解除した。一方の翔一さんも変身を解除して落ちていたマドカの戦極ドライバーを拾っていた。

 

 「これ、君のだよね。」(翔一)

 「ああ、はい。ありがとうございます。」(マドカ)

 「危ないところを助けていただき、ありがとうございます。」(大樹)

 「いや~、俺は当然のことをしたまでだからな~。」(翔一)

 

 記憶の中の通りの人懐っこくて、そんな雰囲気が話しているだけでよく分かる人だった。ただ、先程までの戦いを見ていた人がちらほらと近づいてきている。

 

 「それじゃあ、俺の店に来なよ。このままだと色々と話を聞かれそうだしね。」(翔一)

 

 俺とマドカはそのまま翔一さんのご厚意に甘えさせてもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side三人称

 大樹の両親である玲人と陽菜が使っていた別荘に秋人の姿があった。

 

 「やっぱり、玲人さんはここにザルバとウィッチドライバーを置いていたのか。」(秋人)

 

 秋人が居るのは過去に大樹が施術を受けていたと思われる地下室、に巧妙に隠されていた隠し扉からまた一段と地下にある場所だった。そこには秋人が大樹に話した目当ての銀色の大型バイクと青色の手形のようなバックルがあった。

 

 「ザルバのシステムを起動させるのはそこのパソコンだな。」(秋人)

 

 秋人はその部屋に置いてあるパソコンを起動する。起動したパソコンからバイクの内部に搭載されたプログラムを起動させていく。

 

 「世界中で出現した13体の超常の存在。彼らの侵略と戦争が起きる時に大樹とマドカに必要になるって。一体、ザルバとウィッチドライバーに何があるんだ。」(秋人)

 

 秋人がパソコンを操作していく中でシステムリブートの文字が表示される。その下には進捗を示す数字が表示されている。

 

 「そう言えば玲人さんに一族にも謎があるな。こうして振り返ると謎だらけだな。でも、玲人さんが言っていたことが全て起きている。この先にある世界を滅ぼす最大の災いを止めるのに必要だって、この言葉は何を予見していたんだ。」(秋人)

 

 そう言って数字を見る秋人。だが、その言葉に答えを返す存在は無い。

 

 「ザルバ、君しか知らないのか?それともウィッチドライバーの中に、マドカの体に移植したあの魔法石っていう謎の宝石に関係する存在が全てを知っているのか。それともその両方が知っているのか。」(秋人)

 

 まだ大樹とマドカには自分自身についてまだ分からないことがある。それがついにベールを脱いで白日の下にさらされる時が来たようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ、じゃんじゃん食べていってよ。こう見えて料理には自信があるからさ。」(翔一)

 

 レストランアギトでは店主でシェフの翔一が大樹とマドカに料理を振舞っていた。戦っていたこととまだ夕飯を食べていない育ち盛りの二人は目の前に出された一流シェフの料理を見てこういった店でのマナーとかを完全に忘れてただ料理を楽しんでいた。というよりもこう見えてと言って自信があるというセリフは一流の料理人が言って良いものかどうか。

 

 「ああ、あの、この町にずっと居たんですか?それにしては店のこと、全然気が付かなくて。」(大樹)

 「ああ、ここは2号店だよ。それも最近出来たね。」(翔一)

 「翔一さんはこの町じゃなくてどこで料理をしていたんですか?」(マドカ)

 

 大樹とマドカは料理を食べながら次々と翔一に質問をぶつける。それに対して翔一も真摯に答えていく。

 

 「君達も仮面ライダー、なんだよね。さっきのあのアギトについて何か知っているかい?」(翔一)

 

 今度は翔一が大樹とマドカに質問をぶつける番だった。翔一の言葉に対して大樹とマドカも自分たちが知っていることを話しだす。

 

 「はい。俺も彼女も仮面ライダーです。ただ、あの怪人について全く知らなくて。」(大樹)

 「あの怪人、ゲゲルって言っていたんです。グロンギっていう戦闘民族がしていた殺人ゲームをゲゲルって言うんですけど。」(マドカ)

 「グロンギ?未確認生命体のことかな?どうして、アギトがそんなことを。」(翔一)

 「やっぱり、あの怪人はアギトなんですね。」(大樹)

 

 大樹とマドカが新たに遭遇した存在。それは紛れもなくアギトだったのだ。だが、例の出現したアギトは翔一が知っているアギトとは何かが違っていた。

 

 「俺の知っているアギトの力を持っている人達は殺人ゲームなんてするような人達じゃない。アギトの力を持った敵が現れる、そう聞いて今日は街の見回りをしていたんだ。」(翔一)

 「アギトの力を持った敵が現れるって誰から聞いたんですか?」(大樹)

 「俺の知り合いに王様が居てね。その王様がね。」(翔一)

 

 王様と聞いて頭上に?マークを浮かべる大樹とマドカ。流石の大樹も自分の知っている仮面ライダーアギトにそんな王様なんていなかったことは記憶している。だが、それも「まあ俺の知らない知り合いが本編以降に居るんだろう、普通に。」と大樹本人はそう考えていた。

 

 「あのさ、君達にも手伝ってもらっても良いかな?あのアギトに関係すること、王様が言っていたことだから俺だけだと簡単にはいかないかもしれないから。良いかな?」(翔一)

 

 そこで翔一が大樹とマドカに協力を求めて来たのだ。当然、大樹もマドカも自分たちの経験上、あのアギトがそう簡単に凶行を辞めるとは思えなかった。

 

 「はい、あいつのことは俺も放っておけないので。それに彼女に手を出そうとした時点であいつを逃がすつもりはないです。」(大樹)

 

 よっぽどマドカを狙ったことには大樹も腹を据えかねていた。だが、その声色はどうも自分にも怒りの矛先が向いているようではあるが。

 

 「私もあの人のことは絶対に止めたい。他の人に被害が出る前に絶対に。」(マドカ)

 

 マドカも大樹同様に例のアギトを止めたい気持ちが強かった。二人を見た翔一は腰に付けていたエプロンを外し、制服を脱いだ。

 

 「それじゃあ、行こうか。」(翔一)

 

 かつて、人類の創造主である神と戦った戦士である翔一。同じアギトの力を持つ敵を前に彼は今一度戦士として戦う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ファブニールのいる亡国機業アジト廃墟に新手の客が来ていた。

 

 「ここに来たってことは開戦ってことで良いか。」(ファブニール)

 

 変身を解除していたファブニールの前に複数のアギトたちがいる。一人一人の細かい形状は異なっており、そのアギトたちのまえにフードとマフラーで顔を隠した人物が出てきた。

 

 「我が名はドルド。アギトが行うガギジョンゲゲルの審判者だ。」(ドルド)

 

 ドルドと名乗った男にファブニールはある部族の名前を思い出す。

 

 「なぜ、グロンギがいる。それもアギトがゲゲルをするなんて聞いたことがないぞ。」(ファブニール)

 「それはお前も知らない世界があるということだ、ファブニール。」(ドルド)

 

 ファブニールは既に戦極ドライバーを身に付けており、その手にはロックシードが握られていた。

 

 「すでに3人の十三異界覇王が倒れた。オーズ、アマゾン、ダグバ。特にダグバが倒れた以上、アギトのガギジョンゲゲルを行うことが出来る。」(ドルド)

 「なる程、ダグバに感づかれるのを恐れたのか。お前の所の王はそんなことを気にするとは思えないがな。」(ファブニール)

 「今、王は伴侶と共にいる。その間は他のアギトがガギジョンゲゲルを行う。」(ドルド)

 「その口ぶりなら既に始まったということだな。」(ファブニール)

 「ガギジョンゲゲルは3つ、その内の2つはすでに始まっている。」(ドルド)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 奥多摩の森ではグロンギたちが逃げていた。

 

 「ふん!!」(バベル)

 

 殿のバベルが手に持っているハンマーで木々をなぎ倒して後ろから追ってくる者達の道を阻む。だが、その木々も数秒後には吹っ飛んでしまう。

 

 「まさか、アギトたちが動くとはな!!」(バベル)

 「バベル、ジャーザ、ベミウたちと共にあの坊主の所へ行け!!」(ガドル)

 「ガドル、あなた一人で止めるつもり!?」(ジャーザ)

 

 そこにはまだ本来の姿に戻っている彼らは傾斜が激しく木々が密集している森を難無く走っている。海蛇の獣人のベミウと猪のジイノはヤマアラシのジャラジ、サソリのザザルを守るように武器を持っていた。その前をサメの特性を有するジャーザが周囲の敵を確認しながら進んでいた。そんな中でガドルは自分たちを追うアギトたちに対抗するべく背後を振り向いた。

 この逃走劇が起きる十数分前のこと、アジトに戻ったガドルたちは何かしらの物々しい雰囲気を感じ取ったのだ。

 

 「何があったんだ。」(ガドル)

 

 拠点の中はひどい状況になっていた。壁には至る所に血しぶきの跡があり、部屋の中央には彼らの同胞であるブウロが、壁の端にはガメゴが、窓の外にはバターが息絶えた姿でその場に居た。それも彼らの遺体はひどく損傷しており、その損傷がただの争いでつけられたものでは無いことにすぐに気づいた。

 

 「ガドル!バベル!離れたところにベミウたちが逃げているわ。追っている奴らは...アギトよ。」(ジャーザ)

 

 そこを周囲の微弱な電気を感知したジャーザが追跡者の正体を当てたのだ。ベミウたちと合流したガドルたちはそのまま何とか生き延びようと逃げていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「まず、一つはこの世界のリントたちにアギトの存在を知らしめるべく行うゲゲル。もう一つはアギトにとっては些細な障害ではあるが我が同胞であるグロンギたちを抹殺するべく行うゲゲル。」(ドルド)

 「なる程な。それがお前の言う二つのゲゲルか。それで残る3つ目のゲゲルは、まさかザギバスゲゲルの再現ではないよな。」(ファブニール)

 

 ファブニールのアジトではファブニールがドルドと会話を続けていた。ドルドは自分が与する陣営が他の十三異界覇王との戦いを行う前にその地盤を盤石とするべく行動を開始したのだ。

 

 「貴様がそれを知ることは無い。ここで死ぬだからな。」(ドルド)

 

 ドルドは引き連れていたアギトたちにファブニールを殺すように指示を出した。アギトたちは我先にとファブニールに殺到する。だが、

 

 「そもそも、敵の本陣にカチコミに来るんだったら数だけじゃなくてちゃんと作戦も考えてからにしろよ。」(ファブニール)

 

 ファブニールの次の言葉から繋がれたのはクラックから出現したライオンインベス、セイリュウインベス、シカインベスだった。さらにはアギトたちが居た部屋の床が突如崩れてアギトたちはそこに出来上がった落とし穴へ落ちていった。そこに3体のインベスたちは落とし穴へ落ちていったアギトたちに襲い掛かる。

 

 「何!?」(ドルド)

 

 突如として劣勢になってしまったドルド。ここをアジトとしていたファブニールはこのような事態になってしまった時のために対策を講じていたのだ。

 

 「それじゃあ、お前の翼を手土産にお前の王に会いに行くとするよ。」(ファブニール)

 ≪ドラゴンフルーツ!≫

 「変身。」(ファブニール)

 ≪ロックオン!ソイヤ!ドラゴンフルーツダウンフォールン!!ビーストドラゴンフルーツアームズ!獣竜、オンバトルフィールド!!≫

 

 ファブニールは仮面ライダー炎竜から竜人のオーバーロードの擬態へと変身する。そのまま、薙刀を構えてドルドと残ったアギトたちと対峙する。ドルドは残るアギトたちに指示を出してファブニールに襲わせる。

 

 「こっちの本気度を相手に教えるにはお前たちで十分だ。」(ファブニール)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side秋人

 「よし。起きてくれ、ザルバ。」(秋人)

 

 ついにパソコンからザルバのシステムが起動したことを知らせる通知が出た。僕はそのままザルバへと駆け寄る。

 

 「俺を起こしたのはどいつだ?」(???)

 

 懐かしい声。金属音を思わせるような人工音声だが僕にとっては10年前にあった壮絶な戦いの中でずっと厳しい励ましをくれていた声だった。

 

 「やあ、久しぶり。」(秋人)

 「その声は切嗣か。俺のシステムの時間だと俺が眠ってから10年と半年が経過しているな。10年ぶりってことはその時が来たってことだな。」(???)

 

 バイクに搭載されている液晶ディスプレイには銀色の骸骨の見た目をした3Dモデルが話していた。そう、彼こそがこのバイクに搭載されている人工知能Z.A.L.V.Aだ。

 

 「ザルバ。君の知っていることを話してくれないか。」(秋人)

 「ああ、良いぜ。俺が玲人から聞いた話を全て話してやる。」(Z.A.L.V.A)




 次回、秋人に自分の知っている秘密を話すザルバ。一方の大樹たちがアギトを捜索する中でそのアギトの魔の手が春奈へと伸びていた。
 人類の進化種がその悪意を人類へ向け、ハルマゲドンを起こそうとしていた。





 「ああ、分かったよ駿河さん。こいつらを殺せば良いんだね。」

 グロンギたちの前に暗黒の精神を持つアギトが現れる。
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