最初の始まりは俺が最初転生した世界でIS学園から戻って来たゴールデンウイークだった。当時、俺と両親はお世辞にも仲がいいとは言えなかった。育ててくれたことは感謝しているし、人並みに家族としての情はあったと思う。ただ、それでも家族関係は味気ないものだった。
「大樹、少し話がある。」
IS学園から戻って来た俺に父さんは少し話があると言い、リビングに来るように言った。正直、何の話をするのか全く見当も着かなかった。リビングへと行くと母さんも神妙な面持ちで座っており、そのとなりに父さんが腕を組んでいた。この二人が揃って、俺に話があると聞いた時はお気楽にも珍しいことがあるもんだと思った。
「大樹、お前に渡すものがある。」
父さんはそう言うとアタッシュケースを出した。正直、ついていけなかったし、何だかものすごくとんでもないことが出てくる予感しかなかった。
「これを使って、戦え。」
そういって、アタッシュケースを開けた父さん。そこには戦極ドライバーと3種類のロックシードがあった。正直、なんのドッキリだよと思った。ドッキリの方が何千倍も良かったけど。それから、俺はスーパーヒーローとなって、颯爽と町のトラブルを解決、親愛なる隣人と呼ばれるようになった、、、違う違う、これはスパイダーマンだ。
正直、インベス退治なんて高校1年生には割の合わないボランティア活動だったよ。生傷は絶えない、いつもが初対戦。苦戦はいつものこと、けがを負わせても次に会った時には回復していると剣道の試合で勝つ方が楽勝だと思うほど、大変だった。言っちゃ、あれだが要は有害獣駆除だ。俺が画面越しで見ていた戦いなんて現実に俺が体感した者はそんなレベルだった。そんな、俺は画面越しで戦っていた憧れのヒーローと同じ高潔な正義感から戦っていたわけではない。結局のところは流れに流されてというほかなかった。
「私を助けたあの仮面ライダーがそんな人間臭い奴と思わなかった。」
「何?正義のヒーローだと思っていたの?」
時期はIS学園の2学期、ひと悶着あったが俺は亡国機業からマドカを保護した。マドカと話していたのは千冬姉ちゃんと俺くらいだった。
「正義感から戦っていると言ったら、ナイフで首を掻き切っていた。」
「うわあ、嘘でも言わなくて良かった。」
この時にマドカは俺になぜ仮面ライダーとして戦っていたのかを聞いて、ことのあらすじを話していた。
「なぜ、あいつらに話さない?」
「話して、どうなる?怪物退治なんて言えば聞こえは良いけど、結局はクマとかの有害獣駆除と変わんないぞ。言う程の事じゃない。」
「巻き込まないため隠しているのではないのか?」
「巻き込んだところで、一夏に惚れてる女子が本気出すだけ。仮面ライダーいらないから。有害獣駆除程度に各国の国家代表候補生がISまで使って出る程じゃない。」
「ふん。」
この時、俺は授業、訓練、インベス退治以外の時間のほとんどをマドカとの面会に使っていた。寮の部屋にいても一夏との相部屋でヒロインズに占拠されていることが多いのが一つ、そして俺の助けた彼女のことを少しでも知りたいという好きなのかどうかよく分からない感情からだった。
「なあ、これから食堂に行くけど、何か食べたいものがある?」
「別に何でも構わない。」
「俺と同じものになるよ。」
「それでいい。」
「分かった。」
俺は夕食時になると食堂へ行き、俺とマドカの分の夕食を買うのが日課になっていた。結局はお弁当みたいなのを頼んで、二人でマドカのいる部屋で食べるという一見青春の恋愛漫画の構図だが、テロリストとそのテロリストを確保したIS操縦者という明らかにヤバい構図だった。
夕飯を食べて、俺の話をする。消灯時間が近づくと千冬姉ちゃんか山田先生が呼びに来る、また明日と俺が言って、彼女は何も反応せずに1日が終わる、翌朝、トレーニングを終え、彼女の部屋へ朝食を持っていき、一緒に食べる。授業を受けて、放課後、訓練を終えて、彼女の部屋へという繰り返しだった。
「なぜ、あいつと一緒にいる!」
「別に、大した理由はないよ。」
このころ、箒、ラウラとの関係が悪化。理由はマドカと共にいるようになったからだ。鈴、セシリア、シャル、簪は俺を庇ってくれた。一夏も庇ってくれたが、箒とラウラの言い分に強くは出れなかった。
二人の言い分は分からなくはない。血がつながっているとはいえ、自分たちの思い人を狙った相手だ。煮え切らない思いでいっぱいのはずだ。
「あんまり、気にすることはないわよ。けれど、あんた、少しは気を付けなさいよ。もし、、、。」
「殺されることになったら、俺の女を見る眼が最悪だったってことだよ。鈴たちが気にすることじゃない。」
鈴たちは俺のことを友人として心配していた。この時の鈴の言葉を俺は冗談で返した。
「僕たちが言いたいのは。」
「心配してくれるの分かっているよ。けど、俺にはあの時、亡国機業を相手に彼女を護るなんて言う大口を叩いた責任がある。彼女のことを知らなきゃいけないんだよ、俺はそうしなきゃいけない。」
シャルたちの言葉を遮った。鈴たちの心配をよそに俺はマドカの元に通い続けた。毎度、彼女に殺される危険を、これが俺が平穏に暮らせる最後の日だと言い聞かせていた。
「なあ、一夏に会いに来いって言ってたって言おうか?」
「あいつを呼んだら、お前の眉間に銃弾を撃ち込む。」
「了解。」
「それより、。」
「ん?」
「お前の話を、昨日の続きを話してくれ。」
「つまんねえぞ。」
「それを判断するのは私だ。」
「分かった。」
「それと、。」
「何?死んでくれは勘弁して。溜まった特撮映画を見ないといけないんだけど。」
「そうじゃない!」
「ん?」
「私のことはマドカと呼んでくれ。そちらの方が良い。」
「分かった。それと俺はお前じゃないよ、それに仮面ライダーも違う。柏葉大樹、大樹って呼んでくれよ。」
「分かった、、、。その、、、大樹。」
「やっと、名前で呼んでくれたな、マドカ。」
それからは俺と彼女はお互いが経験したことを話すようになった。俺が話したら、次は彼女と。彼女の話を聞いた俺が憤り、俺の話を聞いた彼女が笑う。そんなことがこのころの俺の普通の生活になっていた。
「ふふふ、そんなことをしていたのか?」
「いやあ、あの時はバカだったよ。今でもだけど。」
「本当にな、あははははははは!」
「そんなにツボっているのなら、話した甲斐があった。ん?」
俺はインベスの探知機能を付けていたケータイを見た。
「ごめん、行かねえと。」
「そうか、、、。」
俺はそう言うと彼女の部屋を出て、専用マシンのハイビスカストライカーを起動して、インベスの元へ向かった。その時の現場にはゴリラインベスが居た。
「このエテ公が。」
俺は変身して、ゴリラインベスに向かって行った。
「大樹!」
「おう、ただいま。」
「そのけがは?」
「いつものことだ、気にすんな。」
彼女は俺の様子を見て、目を見開いていた。
「手当をするから、じっとしていろ。」
「いや、良い。つか、寝かせて。」
「そのけがのままでか?」
「いつものことだよ。」
この時、俺は一夏たちに言っていた冗談の体で
「今なら、楽に俺を殺せるぞ。」
と言ってしまった。
パチン!乾いた音がその場に響いた。彼女に頬を打たれてことに気付くのに数秒かかった。
「マドカ?」
「ふざけるな!」
思えば、俺と接するようになって顔色一つ変えずに人を殺せる彼女が変わっていたのだった。
「嘘でも、私の前で二度と、二度と!お前を、大樹を殺せるなんて言うな!お前にとって、私は、結局、そんな女だったのか!必死で私を助けた、お前を、なんの、ためらいもなく、殺す、そんな、女だったのか!」
両目から大粒の涙を流しながら、怒っていたのだ。
「出てけ!今は、その顔を見たくない!」
彼女に追い出され、その夜は学園内で野宿だった。
それから、何日かは彼女の部屋へ足が向かなくなった。そうなっては結局、一夏のそばは居づらかったから学園内をふらふらするようになった。
「はあ。」
「学生がため息なんて、悩みごとでもあるんですか?」
「うえええええ!」Σ(・□・;)
ベンチでため息をつきまくっていたら、用務員でこの学園の裏の支配者の轡木十蔵さんに声を掛けられ、ベンチから転げ落ちた。
「じゅ、十蔵さん!い、何時から!」
「10分前からですね。ちなみに柏葉君、ため息、私が見ただけで50回はしていますよ。」
「マジっすか!」
「何に悩んでいるのですか?」
「いや、それは、、、。」
「先日、保護した彼女、Mのことですか?」
この人なら知っていても驚かない。けれど、この時、この人は俺を試すようにマドカのことを亡国機業の奴らが言っていた呼び名で呼んだ。そのことに俺は怒りを覚え、
「マドカです、彼女の名前は。Mはあいつらがそう呼んでいただけです。」
と強い口調で言った。
「君ぐらいでしょうね、敵対していた相手を同じ人間として接して、理解しようとするのは。」
俺の言ったことに表情を変えずに十蔵さんは言った。
「君が悩んでいるのはマドカさんのことですね。ここ数日、君は彼女の面会をしていませんね。」
「それは。」
「彼女との間に気まずいことがあった。ですよね。」
「っ、。」
「彼女との間に何があったかまでは私にはわかりません。ですが、彼女が君に心を開いていたことは分かっています。カウンセラーや取り調べを行っている教員の証言から、彼女の話の大半は君のことだというのは聞いています。そして、この数日は君のことを心配する発言が多いことも。」
「、、、、、、、。」
「会いに行きなさい。私から言えるアドバイスはこれだけです。」
結局のところ、俺は彼女の部屋の前に来た。
「いや、でも、ああ、、、、、、、、、。」
部屋に入る勇気が出ず、回れ右して帰ろうとしたときに
「柏葉君?どうしたんですか?」
山田先生が来ていた。
「いえ、たまたま近くを通りがかっただけで。」
「ここ数日、面会に来なかったので心配していましたよ。」
「ええ、まあ。」
「マドカさん、柏葉君が来ましたよ!」
「ちょ、先生!」
山田先生が言うな否や、部屋の扉が開いて、マドカが現れた。
俺を見つめるマドカ。そして、
「先生、二人だけにしてもらっていいですか?」
2人だけになった時に沈黙しかなかった。
「マドカ、。」
「なんだ、私は。」
「こないだはごめん。マドカのことを傷つける言葉を言って。」
「お前にとっての私は結局、人殺しなんだろう。他の奴とお前も何も変わらない。気が済んだなら、。」
俺は彼女の言葉を、続きを聞くではなく、その小さな体を後ろから抱きしめていた。
「な、は、放せ!」
彼女はしばらく暴れていたが、俺に放すつもりがないことを察すると落ち付いた。
「ごめん。」
「そんな言葉しか言えないのか、お前は。」
「ごめん。」
「そんなに繰り返しても。」
「ごめん。」
「本当にお前は誰にも知られずに、戦い続けて、傷だらけになって、誰にも気づかれずに、ほめられることもなく、一人で、、、、、、、、、、。」
「ごめん。」
「私は、私は、あの夜、傷だらけで戻って来たお前を見て、怖くなった。私を助けたお前が、大樹が死ぬのを意識したら怖くなった。それ以上に、そんな、私が味わったあの感情を、私は、私は、、、、、、、、。」
この言葉から、マドカは自分がこれまでしてきたことがどういうことなのかを理解したことが分かった。それがどれだけ残酷なことなのか。そして、あの晩にそれを察することなく、俺は以前の彼女のままと勝手に思い、彼女を傷つけた。
「俺しかいないよ、、、。ここでのことは誰にも話していないし、話さないし、だから、我慢しないで。」
「大樹、大樹、大樹、大樹!嫌だ!嫌だよ!もう、一人は嫌!一人にしないで!行かないで!」
彼女は俺の腕を強く抱きしめる。泣きながら、叫びながら。
こうして、俺達を苦しめた亡国機業のMは俺達に負けた。彼女にとどめを刺したのはIS学園の2人目の男性操縦者で学園の専用機持ち最弱の男だった。俺が彼女の、Mの、マドカの戦う心を戦うことなく殺したからだ。俺は彼女を年相応の、身近な誰かを失うことに恐怖する少女にしてしまった。この後、俺は千冬姉ちゃん、山田先生に彼女が反抗することはもう無いと話した。それが本当に確定するまでは監視は続けると言われたが。
その夜、彼女は俺が寮に戻ることを強く拒否した。
「また、明日来るから。決まり上、ここには居られないんだよ。」
「それでも、嫌だ。」
「そう、言われても。」
先生方も危険だとか決まりだとか言っていた。それを千冬姉ちゃんと山田先生が自分たちが近くにいて監視すると言って、マドカの要望を叶えた。俺の相部屋の相手が学園から離れるまでマドカに決まった瞬間でもある。
「一緒に寝ないのか?」
「一緒だよ。」
彼女はベッドに寝ようとしていた。一方の俺は床に断熱材を敷いて、雑魚寝するつもりだった。
「床で寝ているのか?」
「一夏の奴と一緒の部屋だとベッドの上より床の方が安心して寝れる。」
そう言いながら準備する俺にマドカは
「なら、今日からは安心して寝れる場所を変えてやる。」
と言って、俺を自分の寝るベッドへと引っ張る。
「いやいや、ちょっと待て!それは問題大ありだから!」
「なぜ?」
「なんかの拍子で間違いが、、、。」
「間違いって?」
「不慮のタイミングで子どもが出来たり、とか?」
「私にそんな心配はいらないのをもう知っているだろ。それに大樹はそんなこと、自分からするなんてしないだろ。」
「男だよ、俺。気の迷いでやらかすようなバカな人種の。」
「私は信じているよ、良いから一緒に寝よう。」
この時の彼女の瞳を俺は一生忘れなかった。一夏と同じ色の瞳で一途に俺のことを信じているその瞳を。結局、その日は眠れなかった、不眠だよ、不眠。監視役の2人はそれを見て、監視する必要はないなと言わんばかりに寝てた。監視しろや教師(# ゚Д゚)。
そんな状況で俺の鋼の理性はすごかった。明らかにムラムラとかが溜まっていたのによく耐えた。当の俺も2,3日でマドカと同じベッドで寝れるようになった。普通はHなことを期待するだろうけど俺が学園を離れるまでそんなことは一切しなかった。恋心を自覚したのが遅かったのもあるけど。
「大樹、戦う理由を教えてよ。」
「前に話した通りだよ、流れに流されて。」
「それは戦い始めた理由でしょ。」
ある日、彼女は俺になぜ、危険なのに戦い続けているのかを聞いた。
「面白くねえよ。」
「それを判断するのは私。」
「言わないとダメか?」
「そんなに毎回、戦うたびに傷だらけになっても、戦い続ける理由が知りたい。」
「言わなかったら、どうなる?」
「千冬姉さんから大樹の恥ずかしい話を聞こうかな。」
「話す、話す、話すから!?それはたんま!」
俺が話すと言って満足そうに、楽しみな表情を浮かべた。
「それは、、、、、、、、。」
夏休みが終わり、2学期が始まったある日、ナイトはティラノインベスを引き連れ、町を破壊していた。龍玄、ナックル、白銀は応戦するが20メートルを超す巨体を持つティラノインベス、一人で歴戦のアーマードライダー2人と互角の戦いを繰り広げるナイトに白銀達は圧倒されていた。
「こんな程度か。俺が手を下すまでもない。」
ナイトの言葉にティラノインベスが3人に襲い掛かる。3人はここまでかと顔を伏せる。ティラノインベスの横っ面に何かがぶち当たって、ティラノインベスを倒した。
「何!」
ナイトは謎の襲撃者を見る。
「結局、俺もあのときのマドカと同じなんだよな。」
そう言って、その襲撃者はロックビークル、ハイビスカストライカーから降りると、ヘルメットを脱ぐ。その腰には戦極ドライバー、その右手はわずかながらに震えている。
「なっ!」
「どうして!?」
「大樹!」
3人は、乱入者が大樹であることに驚きを隠せなかった。大樹は倒れている3人を護るように立つ。
「待って居たぞ!さあ、死合おうではないか!さあ、あの獣の剣を見せてくれ!」
ナイトは自身を追い詰めた大樹が現れたことに獰猛な喜びを露にする。しかし、当の大樹は町の惨状を見渡すだけでナイトは一瞥するだけだった。
「なあ、あんたらか、これだけ、大勢の人々を巻き込んだのは?」
町の惨状を見た大樹はナイトには視線を移さず、言う。
「お前たちを誘い出すためだ。そんなことはどうでもいい。さあ、あの時の血濡れた修羅の顔を見せろ!」
ナイトの言葉に大樹は震える右手で拳を作り、左手の手のひらに叩きつける。その大樹の脳裏にはかつてマドカと話したことを思い出していた。そして、
「大ちゃん、どうして戦おうとするの?」
偶然にも万夏もかつて前世でマドカが俺に聞いた疑問を投げかけていた。
「それは、、、。」
俺は少しの間考え、前世で戦っていた理由をマドカに話した通りに話した。
「怖いんだ。俺が戦って、ダメだったりして、失敗して、その時に逃がしたインベスが皆を襲うのを想像したらすごく怖いんだ。俺の大切な人々が死ぬのがたまらなく怖いんだ。」
「大ちゃん、、、。」
大樹は拳を手のひらに打ち付けた後、息を深く吸って吐いた。
「俺はこの恐怖を抱えて戦う。不格好でも何だろうと現世(今)と前世(過去)の誓いを違えないために!」
「大樹君!一夏君たちが交戦中で危ない!」
万夏に話していた時に貴虎さんから一夏が危ないことを伝えられた。俺は震える手でドライバーを手にする。過去の記憶が荒れ狂う暴流として流れる、その記憶の中で過去のマドカとの短い関わりを思い出した。そして、俺が本当の意味で戦おうとする理由を思い出した。
「万夏(マドカ)、必ず帰るよ。一夏も連れて。」
「大ちゃん。」
万夏は不安な表情を見せるも
「行ってらっしゃい!お母さんと一緒にご飯を作って待っているよ。」
と言った。
「ドラゴンフルーツ!」
大樹はロックシードを開錠、ドライバーへとセットする。
「ロックオン!」
左手は拳に、右手は竜の爪を思わせる形にする。左手を前へ、右手を顔の右横へ移動させる。
「変身!」
右手を下から突き上げ、カッティングブレードを操作する。
「ソイヤ!ドラゴンフルーツアームズ!竜王・オン・バトルフィールド!」
ドラゴンフルーツの鎧が大樹の頭上から大樹の顔を隠すように装着される。そこから黒地に紅蓮の炎と龍の鱗を思わせる紋様のアンダースーツに紅蓮の腕部、脚部のアーマーが大樹の体に纏われた。そして、鎧が展開、2本の竜の角が敵を威圧するように伸び、兜には竜のたてがみを思わせる紅蓮のたてがみがあしらわれている。
「仮面ライダー炎竜!この戦場、俺が勝ち取る!」
仮面ライダー炎竜、修羅へと落ちし竜王は白銀の創造神の手で闇に落ちし心を取り戻し、今ここに真なる守護者として復活した。
「さあ、行くぞ!」
ナイトは刀を振り上げ、炎竜に襲い掛かる。炎竜はそれを意に介すことなく、攻撃を躱し、倒れているティラノインベスへ向かって行く。そして、
「ドラゴンフルーツスカッシュ!」
竜炎刀で20メートルの巨体を一刀両断した。ティラノインベスは紅蓮の竜のオーラによってまるで天へと召されるように消滅した。
「おい、なぜ、刃を、俺に傷を負わせたあの剣を見せない!」
炎竜の戦い振りにナイトは落胆と怒りの感情を見せる。それに炎竜は気にするそぶりを見せることなく竜炎刀を無双セイバーと連結、無双セイバー・ナギナタモードへと変える。
「つべこべ言うな。お前の楽しみに付き合う気はないんだよ、こっちは。」
ナギナタモードを右手で持ち、ナイトへ剣先を向け、言い放った。
「ふざけるな!」
ナイトは刀を振り、炎竜へと攻撃する。炎竜はナイトに攻撃を間合いをずらす、躱す、ナギナタモードで防ぐなどして冷静に対処していく。
「見せろ!あの血濡れた獣の、お前の奥底にある修羅を見せろ!」
ナイトの猛攻を巧みにいなしていく炎竜。血濡れた欲望を叫ぶナイトを見る炎竜はかつての自分の姿をそこに見ていた。鎧武、葛葉紘汰に救われる前の自分の姿を今対抗しているナイトに見ていた。
「獣が振るう剣では守れない。」
そういうと炎竜は守勢から一転、攻勢へと転じる。ナイトの攻撃の隙を突き、ナギナタモードを巧みに使い、白銀らがかすり傷しか付けれなかったナイトの肉体に傷を与えていく。
「人の心でもって剣を振るう。それこそが俺の剣だ。」
その言葉と共にナギナタモードを真一文字に大きく振りぬく。ナイトの刀を破壊し、その肉体に深い傷をつけた。ナイトが距離を取ったのを見て、炎竜はロックシードを無双セイバーにセットする。
「1、10、100、1000、10000!ドラゴンフルーツチャージ!」
無双セイバーにエネルギーが充填され、炎竜はそのエネルギーをナイト目掛けて放つ。そのエネルギーは紅蓮の竜となり、地を走り、ナイトに巻き付いた。
「っ!クソ!」
動けないナイトに炎竜はナギナタモードの下部、炎竜刀の剣先を向ける。そして、炎竜から巨大な竜が現れ、猛スピードでナイトへ突進突きを放つ。炎竜の必殺技、ナギナタ無双スタッビングがナイトに炸裂した。
「今日は引かせてもらおう。」
重傷を負ったナイトは突風を発生させ、姿を消した。それを確認した炎竜は
「はああああああ!おわったああああああ!」
無双セイバーを持ったまま、地面に大の字になる。
「大樹君。」
炎竜を顔を覗くのは光実、ザック、一夏の3人だった。炎竜は仰向けのまま、ロックシードを閉じて、変身を解除する。
「待たせてすみません。」
「もう、良いのかい?」
「はい、戦う理由がやっと思い出せたんで。」
「分かった。」
晴れ晴れした大樹の顔を見た光実とザックはその場を後にする。
「一夏、帰るよ。」
大樹は一夏にそう呼びかける。
「おっ、おう。」
大樹はハイビスカストライカーに乗り、一夏に後ろに座るように指示する。そして、そのまま、織斑家へ、帰るべき場所へとハイビスカストライカーを走らせる。
「なあ、大樹。」
「ああ?」
「大樹の戦う理由ってなんだよ?」
「それか、その内話すよ。10年後とかに。」
「おいおい、教えてくれよ。」
「今は言いたくないし、特にお前に話したいとは思わない。」
「別に教えてくれたって。」
「一夏、しつこいと車道に落とすぞ。」
一夏はそれを聞いて、渋々黙った。
(お前なんかに話すかよ。好きな子の、万夏の笑顔を護りたいって、そんなこと、話してたまるか。)
織斑家へ着くと大樹はハイビスカストライカーを錠前に戻す。それを待っていたように
「お帰り!」
万夏が泣きそうになりながらも笑顔で出迎えた。
次回、戦う理由を思い出し、前世でのトラウマを克服した大樹。時は流れ、受験シーズン。志望する高校の受験を終えた大樹の耳に飛び込んだのは一夏がISを動かしたというニュースだった。その最中、大樹の前にもう一人の大樹が現れる。
活動報告に質問コーナーを設けました。そちらもこぞってどうぞ。