鈴による衝撃的な一夏への宣戦布告。当の一夏は困惑していたものの、
「おう、受けて立つぜ!」
と言っていた。鈴の雰囲気から言えば、何かあるんだろうな。箒も万夏もそれには気付いていいるだろうし。一夏の奴は大して考えていないだろうな。あいつのことだ。ただの決闘なんかだと思っているんだろう。ちなみに、
「今のペースだと、どれくらいで完成しそう?」
「早くても学園祭が終わった後かな。それも外側がね。中身の方は簪が担当しているけど、上手くいってないからね。実際の処は3人でやって、学園にいる間で完成できるかどうか、、、。」
放課後である今、俺は颯斗と一緒に簪の打鉄弐式のドッグで話している。颯斗は俺の専用機、零式の調整を行いながら話しているのだ。
「あのさ、大樹は聞かないんだね。僕が戦わない理由。」
「俺は不躾にそういうことを訪ねるべきではないって考えているからさ。俺も少し前までは戦わない、戦えなかったから。その時は他人にあまり聞かれたくなかった気持ちもあったし。」
「あいつは、けっこう聞いてきたけど。」
「一夏の奴はああいう性分なんだ。箒、俺とは初対面では喧嘩とかしたり、距離を取ったりしたよ。まあ、あいつの人柄なのかいつの間にか仲良くなっていたよ。特別気にすることは無いよ。なんというかな、一夏は困っている人間は放っておけない性分なんだよ、ただ接し方が一直線すぎて、衝突を生むことが大半だけど。」
「ふ~ん。」
一夏のことを聞いて、そうかと言うように作業へ戻る颯斗。
「大樹はなんで戦えなくなったのに、また戦おうと思ったのさ?」
「ありきたりだよ。絶対に何が何でも守りたいって思う人がいた、そしてその人の笑顔を見たいって。色々理由はあるけれど、突き詰めるとそれだけだよ。」
「それで、戦えるんだ。」
「本音は、いつでも逃げ出したいさ。死ぬなんか生易しいと感じるレベルの苦しみを味わったから。ただ、それを感じながら、それを無視できるほどには戦い続けるに足る強い理由ってだけさ。」
「なんだか、ハートたちみたいな言い方だよ、その、死ぬなんか生易しいと感じるレベルの苦しみを味わったからって。まるで、すごく長く戦って来たみたいな言い方だったよ。」
「色々、あるんだよ。ちなみに戦い始めたのは1年前からだから。」
危ない危ない、前世の経験込みで話していたから。ただ、それでもあの時の、あの苦しみを誰かに話したところで完全には理解できないとずっと考えている。それを考えれば、話したくないし、事情を知るために貴虎さんたちに話したのを除けば、これから先、このことを話すつもりは微塵もない。
「大樹はヒーローにあこがれて、なったの?」
颯斗のこの質問に俺は
「そうじゃないよ。ただ、その場で使わないと他の皆が危なくて、使い方を知っていて、それが何なのかを知っていたから使って、結果的に仮面ライダーになっててだけ。ヒーローになりたいとか、世界の平和を守りたいなんて思ったことは無いよ。」
と答えた。その答えに颯斗は意外だったらしく、
「本当に?」
と聞いてきた。
「本当。俺は危険なんて身近にない方が良いって思っているし、戦わずにそれを回避できるならそうするべきって考えているから。ただ、降りかかる火の粉は全力で払っていく性分だから。」
俺のその言葉を聞いた颯斗は作業の手を止めて、俺の方を見て言った。
「なんか、カッコイイな。」
「そうか?」
「うん、僕にはそこまでの考えが無かったから。」
「でも、近くにいる誰かを護りたいっては思ったことはあるだろ、例えば簪とか。」
「僕にそんな資格は無いよ。かんちゃんを守るなんて。」
そう言った颯斗は両手を血がにじむように強く握っていた。そういう颯斗の姿が以前の俺と被って見えた。ただ、俺は颯斗に声をどうかけてやるべきなのか、今思っていることをそのまま颯斗に投げかけても良いのか、答えは出なかった。
その夜、俺は寮の自室で悩んでいた。あの時の颯斗にどう声を掛けてやればよかったのか、そればかり考えていた。
「なんて声を掛けるべきだった。」
「何を考えているの?」
悩んでいる俺に万夏が声を掛けてきた。先程までシャワーを浴びていたから髪の毛がまだ濡れている。
「ああ、颯斗にさ、、、なんて言葉を掛けたら良かったのかって。」
「大ちゃんはなんて言ったの?」
「、、、何も言えなかった。颯斗の姿を見て、うかつに言葉を言えないって思って。」
万夏は俺の隣に座ると俺を抱き寄せた、まるでこれまでずっとそうやっていたように。
「その時の颯斗を見て、大樹はどう思ったの?」
「何とか、手助けしたいって。でも、言葉にしたところでなんかどれも意味をなさないように感じて。」
「けれども、それは違うと思う。確かに大樹が言うように言葉にしたところで本当の思いを現しきれるものではないのは分かる。それでも、思っていることや考えていることを言葉にしないと相手には伝わらない。それは大樹も分かっているでしょ?一夏の様にする必要は無いよ、大樹は大樹のやり方があるから。大樹なりに自分の思いを言葉にして、それでも不安なら、今までやっていたように行動で示せば良い。ずっと、そうやって来たでしょ。それに私が保証するから、大樹の思いはちゃんと伝えようと思って形にすれば伝わるから。」
この時は気付かなった。この夜の万夏の行動に考えを巡らせなかったのは万夏にかけられた言葉が俺の、悩みを解消してくれた気がしたからだ。翌朝、昨夜の万夏にしてもらったことが前世でマドカにしてもらっていたことで、大ちゃんではなく、前世と同じように俺のことを大樹と呼んでいたことにようやく気付いた。
隣のベッドで眠る大ちゃんを見て、少しは助けになれたのかなと思う。 大ちゃんは一夏兄さんのように人と衝突を繰り返しながら関係を構築するタイプじゃない。どちらかと言えば、口下手で私を含めた周りの力を借りながら、人と関係を構築するタイプだと思う。今現在の交友関係は私や一夏兄さんを起点に友達を作っていたものだからこそ、今回の颯斗の様に自分から行動するのは初めてだと思う。だからこそ、あんなふうに悩んだんだと思う。
「なんで、あんなことが出来たんだろう?」
私は先程の自分の取った行動が信じられなかった。あんなこと、普段だったら絶対にすることは無い。しようと思ったところで恥ずかしさで何もできずに固まる姿が目に浮かぶ。けれでも、悩んでいる大樹の姿がなんだか放っておけなくて、それこそここで声を掛けないと大樹がダメになる気がして、そう思うといてもたってもいられなくなった。
あの時にとった行動は初めてとは思えないほど、自然と行うことが出来た。
「私って、一体、、、。」
大ちゃんのISを見たあの日から体調がすぐれないことが多かった。その時は大抵、おかしな夢を見ていた。出会ったことのない二人の女性と共にいる夢だったり、それを見ているかと思えば、ナイフや銃を持って多く人と戦っていたり、見たこともないISに乗って、箒やセシリア、鈴ちゃん、簪、一夏兄さんたちを相手に戦っている夢になったりしていた。どの夢も他人ごとは思えないほどの現実感があって、それを見るたびに不安になる。でも、どの夢も気づいたらあまりにも穏やかな場面で終わることが多かった。どこかの部屋で大ちゃんと二人で何だか楽しそうにしているところで終わる。
小さい頃に見たあの夢、最近見るようになった夢、大ちゃんの持つドライバーやロックシード、大ちゃんがISに乗れたこと、10年前の大ちゃんの家族に起きたこと、全てがつながっているように感じる。それが私にも無関係でないことも。それらがすべて、明らかになったら私に起きていることの理由も分かる予感がする。
「私も一緒に戦えたら良いのに。」
危険なところへ行く彼の帰りをただ待っている、それが今の私にとってひどくもどかしい。
それから1週間、ついに代表トーナメント大会が開催された。現在の所は専用機持ちを擁する一組、二組が優勝候補の筆頭にあげられる。実際の処は代表候補生の鈴のいる2組、簪のいる4組が有力候補であり、この大会には2年生以上も参加するために1年生が上位に食い込む余裕があるかどうかというところだ。ちなみに、われらが一組代表一夏君は早々に退場する可能性が高いところ。それもこの大会が何事もなく終わればという言葉が付くが。
「まさかの第一試合で鈴と当たるとはな。」
「鈴ちゃんにとっては良かったと思うよ。一夏兄さんが誰かと当たって負けるよりも自分で戦う方が良かっただろうし。」
俺と万夏はこれから行われる一夏と鈴の試合が行われるのを待っている。
「なあ、万夏。」
「なあに?」
「鈴が一夏に決闘を申し込んだのって、あいつに告白するためなのか?」
「そうだよ。前から一夏兄さんのこと好きだったから。」
「一度、恋心が冷めたって言って記憶があるんだけど。」
「そう言っていたけどね。私には話してくれたけど、諦めきれないって言ってたよ。」
「踏ん切りをつけるためか。」
「たぶんね。」
今回、鈴が一夏に決闘を申し込んだ背景にそう言ったことがあるのは俺も容易に想像できた。万夏の話を聞いて、やはり鈴が一夏の奴をあきらめられなかったことを確認できた。
「二人とも、お待たせ。」
「待ってくださいませ、箒さん。」
そうやって話しているうちに箒とセシリアがやって来た。見れば、ほかのクラスメイトが少しづつアリーナの観客席に入ってきている。
「どこに行ってた?」
「一夏さんの応援ですわ。」
「まあ、叱咤激励の言葉を掛けるつもりんだったんだけど。」
「まあ、座んなよ。もうすぐで試合が始まるだろうし。」
俺の言葉で二人はアリーナの観客席に座る。
「これより、代表トーナメント大会一回戦第一試合、1年1組代表織斑一夏、1年2組代表凰鈴音の試合を始めます。両選手はアリーナへと入場してください。」
会場のアナウンスが試合の開始を告げる。そして、アリーナに一夏と鈴が入場する。
僕は今、簪が借りた打鉄の調整をしている。あと、10分もすれば織斑一夏と中国代表の凰鈴音さんの試合が始まる。今回の試合は簪にとっては実力を示す格好の場だ。万全な状態で試合を迎えることが出来るように打鉄の細部に至るまで調整を行う。
「これでいいかな?簪、ISの具合はどう?」
「すごい、私の感覚ぴったりに動いてくれている。」
「動かしにくいところはある?」
「どこも私が動かそうと思ったい通りに動いてくれているよ。動かしにくいところは無いよ。」
「よし、なら良かった。」
僕の調整もこれで終わり。簪の試合は二人の試合が終わってすぐに始まるのでこうやって調整をしておく必要があった。
「ねえ、颯斗。」
急に簪が僕の名前を呼んだ。
「何?」
「颯斗が変身しなくなったのは私のせいなんでしょ。」
簪の言葉に僕は言葉を発することが出来なかった。あの時のこと、簪が言ったのは僕が戦うことをやめたある事件のことにも触れている。
「それは、、、。」
「あの日、私が颯斗の言うことを聞かなかった。そして、私がケガをして、颯斗はずっとそのことを、、、。」
「違う!あの時、僕があんなことを言わなければ。」
「颯斗、、、。」
僕たちの間に沈黙が立ち込める。その時、遠くから爆発音がした。
一夏と鈴の試合が始まろうとした時、俺のケータイが鳴り響いた。着信画面には貴虎さんの文字が出ていた。
「はい、大樹です。」
「大樹君、今すぐに学園の関係者に伝えろ!複数のインベスが学園に向かっている!」
「タイプは?」
「確認したところ、シカインベスに似ているようだ。」
「たぶん、レイヨウだと思います。応援に来れる人はいますか?」
「残念ながら、大樹君と一夏君に任せるしかない。」
「分かりました。千冬姉さんにも伝えてください。俺は迎撃に向かいます。」
「分かった。」
貴虎さんからの電話を切るとモノレールの方から爆発音が聞こえた。
「万夏、箒たちと一緒にいて。」
「大ちゃんは?」
「一夏の奴と一緒に学園に来たインベスの相手をする。箒たちと一緒に安全なところへ、。」
言い終わらないうちに俺たちのアリーナの壁が吹き飛んだ。そこからレイヨウインベスが5体、アリーナの中へと入ってくる。一夏と鈴、ISを纏った教師たちが対処する。その様子を見た生徒たちがパニックを起こす。俺は待機状態の零式から通信機能だけを機能させて、アリーナでインベスの対処をしている一夏と連絡を取る。
「一夏、変身して目の前の5体をすぐに倒してくれ。」
「変身しなくても、いけそうだぞ?」
「白式の零落白夜だと5体全てを倒すまでにすべてのエネルギーを使うだろ。それに他にも学園内に入っているはずだ。俺は万夏達を安全なところへ移動させたらすぐに迎撃に向かう。」
「おう、気を付けろよ!」
「そっちこそ調子乗って、凡ミスをするなよ。」
連絡を切った俺は万夏、箒、セシリアと共に安全な場所へ移動する。
外から聞こえる悲鳴からアリーナの方で何かが起きたのは容易に想像できた。
「颯斗、何が起きたの?」
「僕にもさっぱり。」
簪の言葉にそう答えるしかできなかった。
「颯斗、外にインベスがいる。どうやら学園の外から入って来たらしい。」
僕たちのそばにハートがやって来た。その言葉に僕ら二人は言葉を失う。
「颯斗、皆を守らないと!」
簪が言う。けれど、、、。
「颯斗!」
簪が強く僕の名前を呼んだ。その時、僕たちのいる場所の天井が崩落した。
変身した一夏と鈴、増援の教師たちとインベスによってアリーナの一部がさらに破壊される。それを見ながら万夏たちと避難している最中、アリーナに入って来た5体とは別のレイヨウインベスが俺たちの前に現れた。
「変身!」
俺はドラゴンフルーツロックシードをとっさに出したドライバーに装着、炎竜に変身した。
俺は変身すると、クラスメイトの前に出てインベスに殴り掛かる。急な攻撃に対応できなかったインベスは吹っ飛んだ。
「早く逃げろ!」
俺の声に皆がインベスのいない方向へ逃げていく。
俺は箒が万夏を連れていくのを確認した後、竜炎刀を抜いてインベスを見据える。インベスが立ち上がり、威嚇するのに合わせ、ドライバーのカッティングブレードを二回下ろした。
「ドラゴンフルーツオーレ!」
竜炎刀にエネルギーが集められ、振り下ろした。
振り下ろされた竜炎刀から赤い斬撃が飛んでいく。
それに対応できなかったインベスは斬撃をまともに受けてしまい、爆発四散した。
「まずは一体目。」
そういう俺の周りに他のレイヨウインベスがやって来た。その数は8体で一夏たちの方には15体が新たに現れていた。だが、一夏と共にインベスに対応していた教師陣は何人かは逃げたのかその数を半数まで減らしており、最初から一夏共に戦っていた鈴も疲労の色が隠せないでいる。
「流石に手に負えないか。」
俺は無双セイバーも抜き放ち、ナギナタモードにする。俺の近くにいる8体のレイヨウインベスは俺を囲んでいる。
「前世でも同じことをしているんだ。かかってこいよ。」
俺のその言葉を挑発ととらえたのかは分からないがインベスたちはいっせいに俺に飛び掛かった。
「かんちゃん!大丈夫!?」
「大丈夫。」
「俺が重加速を起こしていなかったら無事では済まなかったぞ。」
僕たちはハートが寸でのところで重加速現象、どんよりを起こしてくれたおかげでがれきの下にならずに済んだ。
「早くここから出ましょう。」
簪の腰にあるホルダーに留まっているメディックが促す。
僕たちは崩れていない通路を通って外へと向かって行く。崩落したのはアリーナの外へとつながる通路で僕たちはアリーナの中の、試合会場へと向かって行く。そこへ出れば何とか二人でアリーナの外へと行けるはずだ。、、、、、、、、と楽天的な観測はすぐにぶち壊された。アリーナの観客席は半壊しており、白色に白銀色の鎧を纏った仮面ライダーと訓練機に乗っている教師数人と凰さんが15体のシカみたいなインベスを相手にしていた。
さらには形をとどめている観客席では赤い鎧を纏った仮面ライダーが8体のインベスを相手に一歩も引かない戦いを見せていた。
「嘘だろ。」
その光景を見て、僕は圧倒された。そこは僕には立ち入ることが許されない領域だった。けれども、今この場で何もしない自分にいら立ちを抱いた。だからこそ、この時僕は自分の背後にインベスが近寄っていることを気付けなかった。
視界の端に颯斗たちがアリーナに来ているのを俺は確認した。
「無事みたいだな。」
無事であることに安心して、目の前のインベスに集中しようとする。だが、颯斗たちの背後の暗がりにレイヨウインベスが1体近づいてきて切るのに気づいた。そのインベスに二人は気付いていないみたいだった。
「やばい!」
それに気づいた俺は無双セイバーにロックシードを装填、エネルギーが溜まると同時に回転斬りを放った。周囲のレイヨウインベスは全てドラゴンのオーラで拘束され、俺は追撃の回転斬りを放つ。8体のレイヨウインベスが爆発四散するのを確認した後、シークァーサーロックシードを開錠、シークァーサーアームズにアームズチェンジする。そのまま颯斗たちの元へと急ぐ。
(間に合え!)
視界に移る二人はインベスに気付いたがすでにその牙が、爪が届く距離になっている。間に合うかどうかの瀬戸際だった。
「かんちゃん!」
背後のインベスに気付いた僕はかんちゃんだけでも守ろうと抱きしめる。
「颯斗、簪!伏せろ!」
僕の前には緑色の鎧を纏った仮面ライダー、大樹が走ってきている。大樹に言われた僕はその通りにかんちゃんを抱えて伏せた。その直後、背後で爆発が起きた。
「颯斗、簪!けがは無いか?」
インベスを倒した大樹が僕たちに呼び掛ける。
「大丈夫。助けてくれてありがとう。」
「いや、助けられたのはハートたちのおかげだ。」
「ハート、ありがとう。」
「礼を言われるほどじゃないだろう、わが友よ。」
僕たちの様子を見た大樹は生き残っているインベスたちの方へ歩き出した。
「できる限り安全な場所へ移動してくれ。」
そう言って大樹は走り出した。
その姿を見た僕は何とも言えない、強い衝動に襲われる。
「ねえ、颯斗。」
僕を呼んだ簪の方へ向くと簪がマッハドライバー炎を持っていた。
「戦って。」
僕に一言そう言った。
「戦う資格がないなんて言わないで。私にとって颯斗はヒーローだから。」
その言葉に僕は視線を泳がせていると、
「颯斗!」
一夏と共に戦っている大樹が大声で僕を呼んだ。
「もう一歩踏み出せ!戦う資格なんてなぁ、関係ぇ無いんだ!踏み出そうとするその心があるんなら、誰かを、愛する誰かを守りたいのなら!、、、、、、、、変身(か)われ!」
言いながらインベスと戦う大樹。その姿は画面越しの英雄たちと同じで格好良かった。その姿は長く止まっていた僕の心に火をつけるのに十分だった。
「颯斗、もうお前の心のエンジンはかかっているんだろう?また俺達と戦ってくれ。」
ハートがそう言う。僕は思わず簪の手のマッハドライバーを手に取っていた。
「かんちゃん、こんな僕と一緒にいてくれてありがとう。」
「そんなことないよ。」
「ハート、デッドゾーンの向こう側まで付き合ってよ、これからも。」
「ああ。」
僕はマッハドライバーを腰に当てる。久しぶりに感じる腰に重みに少し驚きつつ、僕の手のひらに乗ったハートを握りしめる。マッハドライバーにハートを装填する。
「シグナルバイク、シフトカー!」
マッハドライバーから音声が流れた。それが僕の新しい戦いの始まりを告げる合図に聞こえる。僕は深く息を吸って、吐き出す。
「変身!!」
「ライダーデッドヒート!ハート!」
私の目の前で颯斗は仮面ライダーロードに変身した。頭には金色の大きな角が生え、真っ赤なボディにところどころにある排気管のようなパーツから蒸気が吹きでた。
「かんちゃん、行ってきます!」
振り向くと敬礼する颯斗。
「行ってらっしゃい!」
私もそれに倣い、敬礼を返す。
それを見た颯斗の顔は緑色の大きな複眼のある仮面で分からないけど笑ってくれているような気がした。
颯斗は大樹たちが戦っている方へ向くと走り出した。
そこからはこれまで戦っていなかったのが嘘だと思う程、軽やかに戦う颯斗の姿は二人で一緒に見ていたヒーローそのものだった。颯斗がパンチを放つとインベスは体をくの字に折って飛んでいく。颯斗のキックで地面に倒れるインベス。颯斗に負けじと大樹と一夏が刀を振るう。
3人の戦いで残り5体ほどになったインベスは急に互いに互いをかみつきだした。
僕たちの目の前でインベスたちが互いにかみつきだした。僕と一夏はそれが何なのか分からなかったが
「まさか、、、。」
ただ一人、大樹だけはそれが何を意味するのかを分かっているみたいだった。僕たちが見ている前でインベスたちは体を重ねわせて行く。
「おい、大樹。何が起きてんだよ!?」
一夏が大樹に聞いた。
「融合だよ。」
大樹の言葉が示すようにインベスたちの体は文字通り一つに溶け合っていく。融合を終えたインベスは僕たちよりもはるかに巨大な体躯を有しており、怪人ではなく怪獣と呼ぶ方が正しいと感じる程だった。
「図体がでかくなっただけじゃない。強さも早さも段違いに上がっている。頭切り替えておけ。」
大樹がそう言った。その言葉に僕も一夏も警戒する。巨大インベスは僕たちを見据えるとその巨体からは想像できないほどの素早さでアリーナを走り出した。
「早い!」
さしもの一夏もこれには驚いていた。巨大インベスはそこから宙に飛び上がり、僕たち目掛けて体を回転させてタックルを仕掛けてきた。僕と大樹は回避を選択、残った一夏はベルトを操作して必殺技を使った。
「これで終わりだ!」
そう叫んで迎撃するものの巨大インベスの防御力は一夏の予想を超えていたらしく、エネルギーを纏った刃があまり通っていなかった。
「颯斗!一夏の補助をするぞ!」
「うん!」
僕と大樹は一夏を助けるべく、駆け出す。
大樹は薙刀でインベスを切り付ける。僕はマッハドライバーを操作してシフトアップを行う。それによって僕の全身に高熱の蒸気が行き渡り、余剰な蒸気が全身の排気口から勢いよく噴き出していく。高熱を帯びた右手を握りしめて、インベスに殴りつける。鈍い音が辺り一面に響いて、インベスが吹っ飛んだ。
「颯斗、どうやら奴は熱に弱いらしい。このまま押し込め。」
インベスが僕の攻撃に怯んだことから、自分の特性がインベスに対して有効であることを悟ったハートがそう言った。
「うん!」
僕はマッハドライバーのボタンを連打してハートの持つ最大の力を発動する。
「急にデッドヒート、ハート!デッッッドゾ―――ン!」
マッハドライバーから発動を示す音声が流れる。それと同時に先程以上の熱が僕の全身に巡っていく。
「うおおおおおおお!!」
僕は雄たけびを上げてインベスに向かって行く。先程以上の熱によって燃え上がる炎そのものになった拳を何度も叩きつけていく。
「GYAAAAA!」
あまりの熱量、猛攻にインベスも苦悶の声を上げた。
「デッドゾーンの向こう側まで付き合え!!」
「ヒッサーツ!フルスロットル!デッドヒート、ハート!」
必殺技を発動させると僕の右腕は紅く輝きだした。
「一夏!」
「おう、大樹!」
大樹と一夏もベルトを操作して、必殺技を発動させた。
僕は紅く輝く右腕で会心の右アッパーはインベスの胴体に炸裂、さらに大樹と一夏がダメ押しとばかりに刀を振るう。巨大インベスは僕たちの攻撃を受けると銀色のリンゴのオーラに包まれた。その直後、リンゴのオーラは爆発、紅蓮の炎に包まれてインベスは消滅した。
「ほう、あのインベスをああも簡単に、、、。思っていたよりも厄介かもなあ。まあ、精々頑張れよ、どうせ俺たちの王の計画を止められるわけではないからな。」
仮面ライダーロード、颯斗が仲間に加わった大樹たちの元に転校生がやって来る。また、時を同じく異世界のアーマードライダーたちがやって来る。
次回から神羅の霊廟さんの作品、IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人とのコラボストーリーとなっています。完成次第、投稿する予定です。こうご期待!