side 3人称
炎竜の必殺技と零とレオンの合体必殺技は互いに拮抗する結果になった。否、正確には炎竜の方がわずかに押されだしてきている。
「箒、押し込め!!」
「ああ!はああああああ!」
「ぐっ、ぬううううう。」
零とレオンの攻撃に炎竜が苦悶の声を上げる。そして、この戦いを観測している存在がいた。その存在がいるのは大樹たちのいる世界とは別の世界である。そこは様々な世界を管理する神々がいる上位世界である。
「ほう、彼は面白いことになっているねぇ。」
そこには大樹を転生させた神もいた。
「いやあ、最初はどうしたもんかと思ったがこれは結構なものだ。」
この神はおよそ善意的と言うにはほど遠い神であり、転生そのものは業務的に行っているものの自身の悦楽を優先するため、彼に転生されたものの大半は軒並み人生ハードコースを歩むことになる。これには大樹も例外では無かった。
「最初に出会ったときはまあ面白みがない子だと思ったからね。まさか、こっちが決めた最低限の特典だけであんなことまで起きるとは。いや~、これからが楽しみだねぇ。」
彼の手元には大樹のことが書かれた書類があり、そこには転生特典-戦極ドライバーとロックシード3種類と記されている。
「異世界の来訪者、アーマードライダー零にアーマードライダーレオンか。今の彼ではせいぜいが今の形態までということかな?まあ、ここで死ねば、それまで。また転生させて遊ばせてもらうかな。」
彼にとっては転生者など自分を楽しませるための玩具同然だ。大樹が二度転生したのは彼がそうさせたからである。大樹の辿った道筋が面白いという理由で、、、。
「さて、少し面白みを増やしてやろうか。さ~て、どいつにしようか、、、、、。ほう、こいつは面白いことになりそうだな。さあ、どう動いてくれるかな?」
side 大樹
さすがにこちらが押されだしてきた。最大出力とはいえ、仮面ライダー二人を相手にするには厳しい。それにこの二人の実力は俺よりも上だ。ここまでの打ち合いでそれは痛い程よく分かった。正攻法では負けるのは明白、俺はロックシードをドラゴンフルーツからシークァーサーに変える。
「シークァーサー。」
俺の頭上にクラックが開き、鎧が落ちてくる。落ちてきた鎧は牙也と箒に当たる。二人が怯んで、攻撃の手を緩めた瞬間に俺は距離を取って、アームズチェンジを行った。俺は武器を無双セイバーから蒼雷杖に持ち変える。牙也が俺に切りかかって来るが蒼雷杖で防ぎ、がら空きになった胴に蹴りを入れる。牙也が離れたすきに蒼雷杖を伸ばして、三節根の形態に変える。少し離れたところにいる箒を蒼雷杖で拘束、牙也目掛けて振り回す。
「きゃあああ!」
「箒!!があ!」
箒と牙也が激突したところを拘束を解く。二人が動けないところを必殺技を発動する。
「シークァーサースカッシュ!」
蒼雷杖にエネルギーが集まり、準備ができる。俺は二人に飛び掛かり、蒼雷杖を突きだした。それを見てなのか牙也が右手をかざした。すると、牙也の背後から植物の蔦が無数に現れ、二人を覆った。蒼雷杖は二人に当たることは無く、蒼雷杖にチャージされたエネルギーは蔦の壁に駆け巡ると蔦を焼き尽くしていく。
「これは想定外だったな。」
思わず口に着いた。
「君はオーバーロードなのか!?」
植物の蔦、特にヘルヘイム植物を操作することはフェムシンム、仮面ライダー鎧武、ロードバロンらオーバーロードである。先程の植物の操作は総じてオーバーロードの特徴である。早とちりかもしれないがその可能性が高い。
「まあ、そうとも言えるな。」
燃え尽きた蔦の壁から出てきた牙也からはそのような返事が返って来た。その対応からこれ以上追及しても俺の知りたいことは話してくれないだろう。だから、俺はこのことを追求する選択肢を除外した。それに実力と共に彼ら二人の性分もどことなく分かって来た。少なくとも彼ら二人はクソ兄貴、大半のフェムシンムとは違う、こちら側に近い人物だろう。俺は手にある蒼雷杖を二人に向けるのを辞めた。
side 牙也
俺が植物の蔦を出したのを見た大樹は俺にオーバーロードかと聞いてきた。まあ、答えても良いが今は全てを話す必要はない。それを悟ったのか、向こうはこれ以上追及することはしなかった。何を思ったのか、大樹は持っていた武器を俺と箒に向けることを辞めた。
「この学園を侵略しに来たわけじゃないみたいだね。」
変身は解かないが穏やかな声色でそう俺たちに問うた。
「少なくともさっきまでの戦いで信頼して大丈夫かもしれないのは分かった。」
先程の問いの返答を待つことは無く、そう言った。
「俺たちがどんな存在だと思った?」
いまだに警戒する箒に攻撃しないように身振りで伝えると俺は大樹に言った。
「クラックの反応があったものだから、オーバーロードかそれに近い存在だと思ったよ。何か知っているのであればいろいろと話してほしかったしね。まあ、警戒されて当然だったし、君たちの反応を見れば穏やかに話すことは難しいだろう?」
大樹はそう言った。確かに大樹の言葉の通り、俺たちはクラックを知っていることから大樹を警戒した。その直後、戦極ドライバーとロックシードを使って変身したものだからこちらは完全に敵と思ってしまったからな。
「お前を味方と受け取って良いのか?」
俺は大樹にそう問いかけた。それに応じるかのように大樹はドライバーからロックシードを外した。それを見て、俺と箒は大樹がもう戦うつもりはないとういうことを理解した。
「敵ではない、それだけは言えるよ。」
そう言って大樹はロックシードとドライバーをしまう。大樹に倣うように俺も箒も変身を解除した。
「改めて、先程のクラックは君たちが開いたものということでいいのか?」
「それは違う。俺と箒がこの世界にやって来た際に通って来たクラックは普通のクラックとは違うものだ。」
「君たちの意思で開いたものではない、ということか。」
「そういうことだ。」
「この世界にやってきた理由は?」
「俺たちのいる世界に大きな力を持つ敵がいる。そいつと戦うために俺と箒は自分達に欠けているものは何なのかを探しに来た。」
まあ、俺たちの目的などはあらかた話した。
「どこの世界も争いは無くならないんだな。」
大樹は俺たちの話を聞いて、小さくそう言った。その姿はどこか達観していながら虚しさや悲しさを漂わせていた。
「とりあえずは千冬姉ちゃんたちに君たちのことを話さないとな。さっき一緒にいた子も呼んでくれると助かるんだけど。」
「ああ、良いぞ。」
俺がカンナを呼ぼうとしたその時、
「フハハハハハハ!ついにIS世界に転生したぞ!」
近くでどこか聞き覚えのある声が聞こえた。
side 三人称
数多ある複数のパラレルワールドにおいて大樹のような存在は転生者と言われる。先程、大樹たちの戦いを観測していた神はその転生者を管理する役割を持つ。あの神は自らの娯楽のために大樹が転生した世界に新たな転生者を呼び出したのだ。その転生者は牙也達が生まれ育った世界のある人物と同様に非常に邪な考えを持つ者であった。
「やった!やった!これでこの僕こそが主人公だ!」
「一夏なのか?いや、似てるだけか。つか、あいつ、、、。典型的な屑野郎のにおいがプンプンなんだけど。」
その人物を見て、大樹はそのように判断した。大樹自身は前世において様々な人物を見てきた。信用できると見せかけるような輩にも出会ったこともあり、端から利用しようと近づいてくる輩にも出会った。それらの経験は大樹に人の本質を見抜く力を授けた。
「あいつ、織斑春輝か!?」
牙也はその人物のことを自身からロックシードを奪い、命を奪った一夏の兄と考えた。だが、彼らの前に立ちはだかった織斑春輝は現在は牙也達の世界で収監されている。そのような状況下で脱走、別世界に来ているということを懸念した牙也だが目の前の人物は全くの別人である。
「僕の名前は神宮麗夜。この世界の中心となる主人公さ!」
一夏に似た人物=神宮麗夜はそう言うと懐からゲームパッドを模した黒いバックル、バグルドライバーアナザーを取り出す。さらにゲームのカセット、ガシャットを取り出し、起動する。
「パンドラハーツ!」
「変身!!」
麗夜はパンドラハーツガシャットをバグルドライバーアナザーにセットし、ガシャットの挿入口の横にある赤いボタンを押した。
「バグルアップ!!心を奪えパンドラ!今こそ世界を掌握せよ!!」
バグルドライバーアナザーからゲームキャラを模したゲートが現れ、麗夜の体を通過する。麗夜は黄金に輝く天使を思わせながら、どこか悪魔的な意匠の仮面ライダー=仮面ライダーパンドラに変身した。
「すべてを僕の手に。」
そういうとパンドラはバグルドライバーからガシャコンバグバイザーアナザーを取り外し、自身の右手に装備して3人に切りかかる。
「君たちは僕が主人公になるための踏み台、引き立て役なんだろう?なら、すぐに死んでくれ!」
パンドラは自身の現在の境遇に陶酔するように言う。
「それは御免被るよ。」
「箒、とりあえずはこいつをやるぞ。」
「分かった!」
三人は再度ロックシードを開錠、仮面ライダー炎竜、仮面ライダー零、仮面ライダーレオンに変身した。三人はパンドラへそれぞれの武器を振るう。零とレオンは持ち前のコンビネーションを発揮、着実に追い詰めていく。炎竜は二人の邪魔にならないように距離を取りつつ、パンドラが自身から注意を外す瞬間を逃さず、攻撃を行っていく。自身の攻撃が当たらないこと、相手の攻撃を食らっていることでパンドラはいら立ちが隠せなくなっている。
「ああ、いい加減に死んでくれ!!」
そのさまはまるで自身の思い通りにならないことに駄々をこねる幼児と変わらないものだった。そもそも、パンドラの戦い方は3人の戦い方に比べればお粗末と言って良い程に素人の動きそのものだった。さらには、転生して間もない時に遭遇した相手は数々の強敵と激闘を繰り広げてきた猛者たちである。初めからパンドラがまともに戦える相手では無かったのだ。
炎竜は無双セイバーにロックシードをセット、零とレオンはドライバーを操作して必殺技を発動させる。それぞれの武器にエネルギーがチャージされ、強化された武器を振り下ろし斬撃を飛ばした。
「ぎゃああああああああああ!!。」
3人の攻撃は見事にパンドラに直撃した。並大抵の敵にとっては過剰な程の破壊力を秘めた攻撃を受けてパンドラも無傷では済まなかった。
「くそおおお!ここで終わってたまるか!!。」
パンドラはボロボロになりながらそう叫ぶ。
「とどめを刺すぞ!」
「ああ!」
「分かった。」
零の呼びかけに応じるレオンと炎竜。彼らはドライバーを操作して再び必殺技を発動しようとしたその時だった。
「牙也様、箒様!」
その場を離れていたカンナが戻ってしまった。カンナの呼びかけに一瞬だが炎竜たちはパンドラから注意がそれてしまった。その隙をパンドラは見逃すことをしなかった。カンナが牙也達と合流する前にカンナを人質に取り、炎竜たちへのけん制とした。
「きゃあああ!」
「カンナ!」
「貴様、よくも。」
「おいおいおい、この子が死んでもいいのか?」
零とレオンはすぐさまカンナを救出しようとするがパンドラは二人が近づけないようにバグバイザーの刃をカンナへと突きつける。
「牙也様、箒様。私は大丈夫ですから、、、。」
「おおっと!余計なことを話すなよ。まあ、君が僕のものになるなら、彼らを殺すのを辞めようか。どうだい?」
「あなたのような人はお断りです!」
「なら、君から「お前から逝け!」え?」
パンドラはカンナや零に注意していた。なおその間、炎竜はパンドラが油断する瞬間をずっと待っていたのだった。パンドラはカンナに対して自分のものにならないかと問い掛けたその瞬間、完全に炎竜から注意がそれていた。炎竜はそれを見逃すことはなく、パンドラが気付く前にその距離を詰めた。さらにカンナを助け出す隙を作るためにわざと自分に注意が向くように言葉を発したのだった。炎竜はカンナへ攻撃が当たらないように無双セイバーをパンドラの顔面へと突き立てた。
「うわああああ!」
パンドラの様子を見て、剣筋がぶれてしまう。確実に仕留めることが出来るはずの一撃はパンドラのアーマーをほんの少し削る結果になった。それでも、カンナをパンドラから助け出すには十分すぎる隙を作ることが出来た。零とレオンはすぐさまカンナを助け出すべく自分たちも動いた。レオンがパンドラから離れたカンナを助け出し、零はパンドラから距離を取るべく、蹴りつけた。
「お前ら、よくもおおお!」
パンドラは炎竜たちに対して怒りをあらわにした。
「よくもやったな、僕の、ボクの、bおkうの、邪、じゃ邪、邪魔、邪魔魔を、を、を、zあまを、おooo,zya,zyamawotokusjhdfuhhytenkiyejiehwj!!!!!!!!!!!」
そのためか途中から言葉にならない意味不明な口にして周囲に滅茶苦茶に攻撃をし始めた。
「何が起きたんだ?」
パンドラの様子がただならぬものを察した炎竜は無双セイバーを盾代わりにしながらパンドラの様子を観察していた。暴れているパンドラを冷静に観察すると全身にノイズのようなものが走っており、時折その姿が仮面ライダーのものからインベスのような俗にいう怪人のような姿になっている。
「暴走か、だったら早い内に。」
そう言ってドライバーに手に掛ける炎竜。だが、
(オ、ネガイ、、、ダイキ。モウ、コロシテ、、、。)
(ダ、ダイキ、、、サン、、、。)
(ダ、、、イ、、、キ、、、、。)
(カシワバ、、、。)
(あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!)
突如、炎竜の脳裏に忌まわしい記憶が突如よみがえった。
「はっ、はあああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
無双セイバーを落とし、頭を抱え取り乱す炎竜。
「おい!大丈夫なのか!」
炎竜の様子が明らかにおかしいことに気付いた零は炎竜に呼び掛けるが炎竜は呼び掛けられたことに気付いていない。それどころか、炎竜の様子を見たパンドラが好機と見たのか、炎竜に飛び掛かった。零とレオンは炎竜を助けようとするが明らかに助けが間に合わない。
時同じく、IS学園1年1組。炎竜たちの戦いの余波は学園全体に伝わっていた。一夏をはじめとした専用機持ち達は調査に動きだしたために授業が中止となっていた。
「大樹?」
万夏は何かを察したのか教室の窓を見た。偶然なのか万夏が見た先は炎竜たちが今そこで戦っている場所であった。
「まどまど~。どうしたの~?」
本音は万夏が窓の向こう側を見て身じろぎ一つしないのを見て、どうしたかと問う。当の万夏は本音の問いかけに答えず窓の向こう側へと目を向けたままだった。その姿はこの世界で平穏な日々を過ごした万夏に似合わない鋭い空気を纏っていた。それはまるで大樹の前世で大樹が救った亡国機業に所属ずるIS乗りで一夏たちを苦しめた織斑マドカのもののようであった。
パンドラとの戦いの最中、過去の記憶がフラッシュバックした炎竜。炎竜を救うために地球を救った白銀の英雄が戻って来る。一方、パンドラは自身の目的のために一夏を狙う。そして、姿を現す新たな仮面ライダー。
「さあ、超絶怒涛のゲームプレイを見せてやるぜ!」