IS×仮面ライダー 仮面ライダー炎竜   作:柏葉大樹

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柏葉大樹は仮面ライダーとしてIS世界で戦い、その果てに命を落とした。だが、彼の物語はここから真の始まりを迎える。


仮面ライダー炎竜 第1話

 ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ。

 ん?何?時計?えっ?何?

 

 「んんん。」(大樹)

 

 なんかくるまっている。ん!?布団!?目、目が見えてる!

 

 「治ってる!」(大樹)

 

 腹の傷も無い。傷跡すら無い。

 一夏たちが病院に運ん、、、、、、。

 

 「病院じゃない。」(大樹)

 

 俺がいるここは病院じゃなかった。かと言ってIS学園の俺の部屋じゃない。じゃあ、亡国機業の俺の部屋でもない。それよりまず、

 

 「うるせえ。」(大樹)

 

 近くにあった目覚まし時計を止める。その目覚まし時計は俺がずっと使っていたものであったが、

 

 「新品みたい。」(大樹)

 

 長く使っていたためところどころに傷が付いていたもののはずが新品の様になっていた。

 

 「俺の机だな。」(大樹)

 

 部屋を見渡すと俺が高校に上がるまで使っていた机があった。服、本、DVD、全て俺の持ち物だ。

 

 「俺の部屋か?」(大樹)

 

 ここが俺の部屋らしいことは分かった。だが、俺の実家の俺の部屋ではない。朧げだが持ち物の配置やそこから考えられる部屋の構造から俺の実家にこのような部屋は無い。

 俺は遮光カーテンを開ける。

 太陽の位置から8時ごろだろう。

 

 「2階の部屋って、確か兄貴の部屋じゃ。」(大樹)

 

 何気なく、部屋のカレンダーに目を移した。

 

 「えっ?」(大樹)

 

 2029年3月となっていた。そして、

 

 「これ、中学の制服だ。」(大樹)

 

 意識が急速に覚醒しだした。持ち物を手あたり次第確認していく。

 

 「てことは、」(大樹)

 

 どうやら、今の俺は中学生らしい。心なしか体にも筋肉が付いてなく、背も若干ながら低い。

 

 「でも、なんでだよ。これがドッキリなら相当、、、。」(大樹)

 「大ちゃん、おはよう。」(万夏)

 

 部屋の中を荒らすのに気づかなかった。でも、死に際に聞いていた声が混乱する俺を現実に引き戻した。

 部屋のドアを開けて、俺の様子を見る彼女は俺の記憶にある彼女の姿とは違い、青を基調とした服を身にまとい、柔らかな年相応の表情をしていた。

 二度と見れないと思った、記憶にある最後の姿、最後に聞いていた声は全て泣いていた。その彼女が笑っていた。

 

 「大ちゃん、どうしたの?」(万夏)

 

 彼女の呼びかけでようやく涙を流していたことに気付いた。

 俺は目元を拭って

 

 「大丈夫、大丈夫。おはよう、マドカ。」(大樹)

 

 笑って言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が目覚めたこの世界は俺の知るIS世界とは違っていた。この世界でも束姉ちゃんはISを発表したが一笑に付されたことは付されたらしい。ただ、数少ないもののISに興味を示した人たちがいた。その人たちの尽力により、ISは束姉ちゃんの念願だった宇宙開発のための翼として開発が始まった。その協力してくれた人々は特撮マニアだった俺にはなじみ深い人々だったが。そうでありながら、何者かが白騎士事件の発端となるミサイル発射事件を起こした。白騎士、千冬姉ちゃんだけでなく自衛隊や各国の戦力、謎の戦士たちによって事件は終末を迎えた。

 束姉ちゃんは中学校からのクラスメイトと結婚、今は倉持技研など多くのIS企業と研究を行う研究所の所長となっていた。一方、千冬姉ちゃんはモンド・グロッソを二連覇後、大学に戻り、IS学園の教員となった。この時に亡国機業による一夏の誘拐事件は起きなかった。

 それ以外のところでは一夏と千冬姉ちゃんは両親とマドカ、家族5人で仲良く暮らしていた。箒は束姉ちゃんがまともな思考を持った人だから証人保護プログラムで引っ越すこともなかった。鈴も箒と早くから知り合っていたから親友になっており、両親の不仲もなかった。ただ、その中で驚いたのは俺の両親は10年前に死亡しており、俺の兄貴、柏葉勇吾が行方不明になっていることだった。

 俺は今、マドカと一夏と共に10年前から空き家となっている実家に来ていた。

 

 「なあ、大樹。いきなり実家を見たいなんてどうしたんだよ。」(一夏)

 

 一夏が俺に言った。

 

 「探し物があるのを思い出して。」(大樹)

 

 俺が実家に戻ってきたのは戦極ドライバーとロックシードを探すためだった。流石に誰かの手に渡るのを避けたいということと極々低い可能性だが兄貴が前世と同じくオーバーロードインベスになっているのに備えるためである。

 

 「大ちゃん、その探し物ってなんなの?」(万夏)

 「ああ、このくらいの大きさのバックルと手のひらに収まるほどの錠前。」(大樹)

 

 身振りを交えてマドカに答えた。

 

 「とにかく中に入ろう。」(大樹)

 

 俺は手元にある実家のカギを玄関のドアに差し込んだ。

 家の中に入ると当然ながら10年も人が住んでないために埃が溜まっていた。

 俺たちは家の中を手分けして探し回ったが目当ての戦極ドライバーとロックシードは見つからなかった。

 俺は実家による前に警察で実家の荷物に関することを聞いたがとっくの昔に返却済みでその中にはドライバーとロックシードは無かった。

 

 「無いかあ。」(大樹)

 一通り見て回ったがどこにも無く、実家に秘密の研究室らしきものも全くなかった。

 

 「なあ、大樹。何かあったのか?探し物があるって言って。」(一夏)

 

 一夏が俺に疑問をぶつける。

 

 「いや、特別焦る用事があったとかじゃなくて、そういえばあれ、どうなってんだろうと思って。」(大樹)

 

 俺はドライバーを探す理由を伏せて、曖昧な、聞けばそうかと思われる受け答えをした。一夏なら、それもそうかと言って話を切るはずだった。

 

 「大ちゃんの探し物ってどんな使い道があるの?」(万夏)

 

 ただ、マドカはずっと疑念があったらしく、俺の曖昧な返答でも疑問に感じていたことを口にした。

 

 「俺もよくわかんなくて、父さんと母さんが作っていたものなんだけど。」(大樹)

 「その名前は?」(万夏)

 

 俺はどこまではぐらかすかを考えていた。名前が分かればどのようなものなのか、その目的もすぐ分かるからだ。ただ、今のマドカの様子を見れば、適当にはぐらかしたところでまた聞かれる可能性の方が高かった。実は、この世界の俺とマドカの関係性もよくわからないのだ。とりあえず、幼馴染なのは間違いないのだが、兄弟同然の関係とも思えないし、かといって付き合っているという関係でもないみたいだった。それでも、わかっていることは彼女は俺の事を気にかけており、ここまでのやり取りの中で心配していることだ。

 

 「父さんも母さんもドライバーとロックシードって言ってた。ただ、詳しいことは正直なところはわからないけど。」(大樹)

 

 とりあえず、俺はこのように話した。

 

 「そう、なんだ。」(万夏)

 

 マドカは釈然としない表情を浮かべていたのだが、笑顔で

 

 「大ちゃんにとっては大ちゃんのお父さんとお母さんの持っていた大切なものなんだね。」(万夏)

 

 と言った。

 予想外の言葉に俺はどう返答したらいいのかわからず、とりあえず

 

 「ああ。」(大樹)

 

 とだけ返事をするしかなかった。

 

 「ねえ、大ちゃん、他に心当たりは?」(万夏)

 「ほかには、、、。ああ、一つだけならあるけど。」(大樹)

 

 俺がマドカと一夏に言ったのは俺の両親が使っていた研究所ことだった。

 俺の両親は研究者で町はずれに大きくはないが研究所を持っていた。これは前の世界と今の世界にも共通していたらしく、両親が死んでからは俺の資産の一つとなっている(ほとんどは俺の後見人になっている一夏たちの両親が管理しているが)。

 

 「大樹、そこってどれくらい時間が掛かるんだ?」(一夏)

 「車で1時間掛かるか掛からないくらいだったかな。」(大樹)

 

 今の時期はちょうど春休みで3人で行くには時間はある。ただ、車以外ではすこぶる時間の掛かる場所で、車を持っている一夏の父さんと千冬姉ちゃんは今は仕事なので無理。鈴の家も中華料理屋ということからこんな理由で協力は求められない。

 

 「束さんはどうだ?」(一夏)

 

 一夏が束姉ちゃんに協力を申し出ることを提案する。

 

 「大丈夫か?あの人がそう助けてくれるか?」(大樹)

 

 前の世界では俺と束姉ちゃんの仲はすこぶる悪かった。あの人にとっては俺は有象無象の一つで俺からすれば人間として問題大ありの糞女だったからだ。そのため、この世界では違うと分かっていても協力を申し出るのは気が進まなかった。

 

 「束さんなら大ちゃんのこと、助けてくれるよ。いつも、何かあったら頼ってって大ちゃんに言ってたよ。」(万夏)

 

 マドカからの言葉であの天災ウサギがと言葉が出そうになったがこらえた。とりあえず、俺と束姉ちゃんはこの世界では良好な関係を築いていたらしいので束姉ちゃんの研究所に向かうことにした。

 束姉ちゃんの研究所は本社と個人研究所で構成されており、俺たちは篠ノ之神社の敷地内にある個人研究所へ向かっていた。

 篠ノ之神社では箒の両親と叔母、束姉ちゃんと束姉ちゃんの旦那さんで研究所の副所長をしている岩城正則さんが応対してくれた。箒はこの世界では日本の国家代表候補生となっており、今はその合宿みたいなもの参加しておりしばらくは帰ってこないらしい。

 箒の両親は俺の事を普通に箒の友人として接していた。一夏の様子を見たら、箒との関係は相変わらずはただの幼馴染なんだろうと思った。一番の懸念材料であった束姉ちゃんはというと

 

 「大くん、大くん!久しぶり!」(束)

 

 とまあ、完全なウェルカムムードで抱き着いてきた。もう、びっくり( ゚Д゚)。前世は

 「はっ、何、束さんに馴れ馴れしく話しかけてくんの?いくら、いっくんの友達だろうと凡人は話しかけるのやめてくれない。それか消えてくれない。」だったから。

 

 「ねえねえ、今日はどうしたの?すごく珍しいじゃない。マーちゃんと一緒に外を出てるなんて、デート?デート?」(束)

 

 顔文字で表すと(((o(*゚▽゚*)o)))みたいな。一言いうなら、うぜえ。塩対応されるより良いけどうざい。あと、マドカの目が怖い。どうして、そんなにくっついてるのって目が言ってる。嫉妬とかそのたぐいの感情がよくわかる。これ以上、そんな視線を受けていられる俺ではないので

 

 「そうじゃなくて、車で連れて行って欲しい場所があって。」(大樹)

 「どこ!?どこ!?もしかしてラ「俺の親の研究所。」ブ、、、研究所?」(束)

 

 俺は探し物の件を束姉ちゃん、正則さんに話した。

 

 「いよっし、束さんとマサくんに任せて!」(束)

 「まあ、仕事は明日でも出来る内容だから、俺も束も一緒に行くよ。中学生3人じゃ不安だし、大人の手が必要かもしれないだろ。」(正則)

 

 束姉ちゃんと正則さんが同行するという条件で研究所へ行くことが決まった。

 5人で正則さんの車(車種はよくわからない。6人乗りのでかい車で白色。)に乗り込み、目的地へと向かった。

 篠ノ之神社から車で1時間ほどで町はずれにある山にあった、研究所に着いた。

 研究所の外観はいたって普通のログハウスでぱっと見は別荘みたいだった。

 

 「ここが大樹の親父さんとお袋さんの研究所か。」(一夏)

 「研究所よりも別荘?」(万夏)

 「束さんの研究所よりもめだたないねえ。」(束)

 「外観よりも中を見た方が良いと思うけど。」(正則)

 

 各々がそれぞれ思ったことを口にする。俺自身も研究所と言われなかったら、おそらく素通りする。

 

 「じゃあ、中に入ってみる?」(大樹)

 

 俺は皆に中に入るか意思確認する。皆、頷くなどの反応を見せたので俺は研究所のドアを開けた。外観とは違い、中は様々な精密機械が所狭しと置かれており、ここで何かの研究を行っていたのは窺い知れた。冷蔵庫には賞味期限が切れた食品があったことから頻繁にここに来ていたのを想像できた。

 2階の部屋は完全に寝泊まりする時のための寝具が置かれていた。

 ここは1階と2階だけではなく、地下室もあった。地下室は心電図にベッド、点滴などが置かれており、ベッドには拘束具が備えられていた。俺はマドカ、正則さんと共にそこを見たが

 

 (ああああああああ!)(大樹、すまない。)(ごめんね、ごめんね。)

 

 何かが俺の脳裏を駆け巡り、目眩がした。

 

 「大ちゃん!!」(万夏)

 「大樹!!大丈夫か!?」(正則)

 

 二人が俺を呼びかけた。

 

 「うん、大丈夫。ちょっと目眩が。」(大樹)

 

 俺は先程、見たイメージが何なのか、考え出す。先程のイメージは俺にとっては全く覚えのないものだった。誰かが俺に何かをしていた、謝罪の言葉と共に。誰なのかを考えていたところ、

 

 「マサくん、大くん、マーちゃん!上に来て!」(束)

 

 束姉ちゃんが俺たちを呼んだ。

 俺たちは地下室から1階へと上がった。

 1階では束姉ちゃんと一夏が何かの前に集まっていた。

 

 「こっちこっち。」(束)

 

 束姉ちゃんが俺たちを呼ぶ。

 

 「これが大くんの目的のもの?」(束)

 

 束姉ちゃんが指をさしたものは電子キー付きの金庫でどうやら束姉ちゃんと一夏はこの中にあるのではと考えていた。

 

 「中にあるかもしれないけど。」(大樹)

 

 こういった金庫は専門の人間に任せるのが手っ取り早いのだが出来るだけ身内だけで解決したい。

 

 「大樹、4桁の数字で思い浮かべるものは?」(一夏)

 

 一夏が俺に聞く。

 

 「父さん、母さん、兄貴の誕生日くらい。」(大樹)

 「それじゃ行ってみよう。」(束)

 

 束姉ちゃんがそう言って俺から数字を聞くが3つとも外れた。俺は両親の結婚記念日もあげたがそれもダメだった。

 

 「ねえ、大ちゃんの誕生日は?」(万夏)

 

 マドカがそう言うと束姉ちゃんはすぐさま打ち込む。すると、ガチャという音が鳴り、金庫の鍵が開いた。

 

 「いざいざ、御開帳。」(束)

 

 と束姉ちゃんが金庫の扉を開けた。そして、

 

 「これが大ちゃんの探していたもの。」(万夏)

 「これって、沢芽市の。」(正則)

 「ISなのか。」(一夏)

 「いっくん、これはISじゃないよ。ISなんか、これと比べると玩具みたいなものだよ。」(束)

 

 金庫のなかには戦極ドライバーとドラゴンフルーツロックシード、シークァーサーロックシード、パッションフルーツロックシードが置かれてあった。それらの他に手紙があった。

 俺はドライバーとロックシード、手紙を取り出す。手紙の内容を確認しようとした時、、

 

 「あ、あああ。」

 

 俺たちの背後に挙動不審な30代ごろの男がいた。男の様子はどこか体調が悪いらしく、正則さんが

 

 「大丈夫ですか?体調がよろしくないようですが。」(正則)

 

 と話しかける。

 だが、男は受け答えをせず、目を爛々と輝かせており、尋常でない様子だった。俺はマドカの盾になるような位置に立ち、ドライバーとロックシードを使えるようする。

 

 「がっ、GAAAAAAA!」

 

 男の心臓に当たる部分が緑色に発光する。そこから植物の蔦が無数に生え、男の全身を覆い隠した次の瞬間、

 

 「キシャアアアアア!」

 

 男はクモの化け物、クモインベスへと変貌した。

 

 「なんで、インベスが。」(正則)

 

 正則さんが驚いていた。俺は

 

 「皆、すぐに、、、」(大樹)

 

 逃げろと言おうとした途端にクモインベスが襲い掛かった。俺は即座にドライバーを腰に当て、ドラゴンフルーツロックシードを開錠した。俺の頭上にクラックが開き、ドラゴンフルーツの鎧が出現。インベスが鎧に阻まれ、吹っ飛んだところをロックシードをドライバーにセット、カッティングブレードを下ろす。

 

 「変身。」(大樹)

 ≪ソイヤ!ドラゴンフルーツアームズ!竜王、オンバトルフィールド!!≫

 

 ドライバーから音声が流れ、俺は仮面ライダーへと変身した。

 

 




次回、再び変身した大樹。大樹の前に現れたのはかつて沢芽市で戦った、アーマードライダーたちだった。

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