side マドカ
信じられないことに私は全ての記憶を思い出した。私は床に落ちていた黒のイヤリング=私の専用ISである黒騎士に触れたことで前世の記憶を全て思い出した。私が生まれた瞬間、生まれてからの地獄そのものの日々、亡国機業で行ってきた様々な悪事、そして大樹と出会ってから別れ、死ぬまでの日々も。
「あの人達の言ったとおりになっていたなんて。」(マドカ)
再会の喜びで涙が止まらない。この世界で生きてきた記憶もしっかりとある、ただ今私の中にあるこの感情はこの世界で両親、姉弟に愛を注がれて育ってきた私ではなく、あの世界で大樹の死を看取った私の感情である。不思議だけど、それが自然だと思える。
「っ、、、マドカ、、、。」(大樹)
目の前に焦がれるほど愛しい、最愛の人が生きている。それだけでもう満足、、、
「大樹!」(マドカ)
「はい!」ビシッ(大樹)
「んっ。」(マドカ)
チュッ。
できる程、私一緒にいない!この世界だと10年一緒だけど前はたった3ヶ月しか一緒に居なかった!本当は今でも戦っていることに文句の100個や1000個は言いたいし!話は一杯してほしいし!頼って欲しいし!甘えたいし、甘えてもらいたいし!デートもしたいし!キスもエッチもいっぱいしたい!それから、それから!もう、やりたいことがたくさんある!これまで距離を詰めれなかった分、一気に詰めてやる!まずは手始めにキスからの流れで既成事実を作成して、、、、
「お~い、大樹、万夏。夕飯、食いに行くぞ。」(一夏)
なんで、邪魔をする織斑一夏アアアアア(# ゚Д゚)!!これから色仕掛け(セックス)で徹底的に堕とすのに呼びに来るなああああああ(# ゚Д゚)!ここから良い時間になるのに!
「今、取り込んでる!先に行け!」(大樹)
ナイス、大樹!言いたい文句を少し減らしてあげる!
「いや、今行かないと食いそびれるかもしれないだろ?それに大勢で食った方が絶対に良いぜ。」(一夏)
粘るな、あほ兄!だから、箒と鈴がやきもきするの!ああ、大樹が離れてドアの方に、、、。
side 大樹
色々と混乱することが続いたがある意味一夏の奴に助けられた。これでマドカに握られていた主導権を握れるからな。、、、本音は、、、ちょっと、、、うん、、、邪魔、だった。キスが、、、ヤバかった、、、気持ちよかった。だから、割と、、いやかなり嬉しかった。好きな相手からキスをしてきたんだぞ?前世の記憶を取り戻したこととか色々、混乱して当然だろ。とにかく、今は一夏の奴を追い払おう。俺はドアを開けて、外の一夏と顔を合わす。
「ちょっと、今日のことで説教喰らってんの。マドカが落ち着くまでは今日は部屋にいるからさ。飯はこっちで何とかするから、気にしないで食べてきな。」(大樹)
「それだったら、俺も万夏の話を聞くぞ?」(一夏)
「その必要は全くない。ここで粘られても少し困るから、食いに行って来いよ。」(大樹)
「だけどな。」(一夏)
「ほらほら、さっさと行くわよ。大樹、徹底的に万夏に絞られなさい。」(鈴)
「もう、けっこうやられてんだけどな。二人とも、あとでな。」(大樹)
鈴がフォローに入ってくれて助かった。あいつ、けっこう粘るから一人だけだと埒が明かないから。一夏が気付かないよう鈴に感謝の気持ちを伝える。それを見た鈴は後で何かおごりなさいよと表情で表し、一夏を連れて行った。俺は二人が完全に見えなくなったのを確認して、ドアを閉めた。
(この後、どうする?まず先にどこから聞く?転生したタイミングか?それとも黒騎士についてか?俺が死んだあとのことか?)
頭の中で色々と考える。考えていくとなんだかどれも先に聞いても、大して変わんなくね?ってなって来た。それよりも何とかして主導権を握らないと、、、。前世では俺に対して心を開くようになったマドカはなんというかあの冷酷だった当初と比べるとかなり柔らかくなった。ラウラの様にそれまでの意識が抜けきらない感じではなく、元々あったものが良い形で表面に出てきたようなもので、結論から言うと滅茶苦茶主導権を握られてました。このまま行くと向こうの思惑通りに事が進みそうなので、そうなる前にこちらとしては分かっている情報を整理したい。
「大樹!」(マドカ)
「ぐお!」(大樹)
って考えるところをタックルハグしないで!病弱はどこに行った!完全にぴんぴんじゃねえか!織斑家の人外スペックで体当たりとかされると死ぬわ!俺、ヘルヘイムの物質で体を治療したけど、一応ただの人間だよ!手加減してよ!
「ちょっと、マドカさん、、、。色々と積もる話があるだろうから、、、まずは「Tシャツとズボンを脱いで!パンツは絶対に脱いで!」人の話を聞いて(遠い目)、、、。」
やばい、この子。人の話を聞くどころか話をしないよ。なんだか、夜の方面でやる気が満々だよ。って、考えている隙にズボンを脱がせようとしているううううううう!!!!!
「スト――――――ップ!その手をストーーーーーーーップ!」(大樹)
「大樹は天井を見上げて、数を数えるだけでいいから!もしも出来たら責任はとってね、そうなったときの人生設計も考えているから心配しないで!」(マドカ)
「止めて!したいけど、色々心配だよ!○○○はまだ早いわ!色々、話をしないといけないでしょ!」(大樹)
「した後でも、話は出来るでしょ!してる最中にする話じゃないならなおさら!」(マドカ)
「する前に話そうよ!と言うか、やる前提で話すのやめよう!」(大樹)
「私としたくないの?」(マドカ)
いや、その目辞めて。したくないわけじゃないよ、健全な欲望に溢れた男子高校生としては好きな相手とするのって夢のまたの夢のまたの夢みたいなものだから。でも、俺は君に聞かなきゃいけないことがある、それ以上に話すべきことが数多くある。だから、
「そうじゃない。本音はしたいけど、、、。俺から話さきゃいけないことがいっぱいある。それと同じくらいに聞きたいことも。」(大樹)
「大樹、、、。」(マドカ)
「だから、これまであった「もうズボンとパンツ脱がすよ。( ^∀^)」人の話を聞け!いや、聞いてください!お願いします!その手を止めて、僕の話を聞いてください!セックスよりも他に話さくちゃいけないことがぁぁぁぁぁぁぁ!」(大樹)
side 三人称
マドカが前世の記憶を取り戻してから6時間が経った。時計の針はとっくに日付変更線を越えており、寮全体は既に眠りに落ちていた。その中で淡く明かりが灯っている部屋があった。部屋の主達はベッドの中に入って、、、居なかった。
「やっぱり違うね。前は傷の無い場所が無かったのに、今は傷のある場所を探す方が大変だよ。」(マドカ)
「まあ、そこまで大怪我をしてきた訳じゃないし。ああ、もうちょっと強く洗って良いよ。」(大樹)
「じゃあ、遠慮しないね。」(マドカ)
大樹とマドカは自分達の部屋のシャワーを二人で浴びていた。今はマドカが大樹の背中を洗っており、どうやらすることをしてかいた汗を流していた。
「肉食系女子に喰われるって比喩とか漫画や小説の中だけだと思った。」(大樹)
「でも、良かったでしょ?」(マドカ)
「良かったよ、うん。でも、初体験ってもっとちゃんとした雰囲気でするもんでしょ?」(大樹)
「それを私に言わないで。私なんか好きな相手とすることすら出来なかったんだよ。」(マドカ)
「それは、、、、、、、ごめん。」(大樹)
「ねぇ、謝ること多いよ。私はその事で大樹を責める気なんて全く無いし、終わったことを責めるなんてそれこそしないよ。」(マドカ)
「だけど、、、、、、。」(大樹)
「楽しいことしたのに暗くならない!」(マドカ)
マドカは洗面器に貯めたお湯を大樹の頭から被せる。
「っ!?っ!!っ!?」(大樹)
お湯をぶっかけられた当人は驚いているがそれに構わずマドカは大樹を振り向かせる。
「今は違うでしょ!前と全く状況が違うんだよ!前のことで自分がダメだなんて思わないで!大樹がずっと頑張っているのは私達知っているから、頑張っていたことまで全部ダメだって思わないでよ!」(マドカ)
大きな声で自分の思いをぶつけるマドカ。二人に間に沈黙が立ち込める。
「第五回モンド・グロッソ世界大会、あそこで起きたことが今でも引き摺っているのは分かるよ。」(マドカ)
マドカは大樹が抱える最大のトラウマのことを口にする。本来であれば大樹は自身のトラウマに関することに触れられることを嫌がる。だが、今回は相手がマドカということもあって、マドカの次の言葉を待っていた。
「でも、今は違うでしょ?一人で戦っていないんだから、貴虎さん、光実さん、一夏兄さんに颯斗、いっぱい仲間がいるんだよ。今でも大樹のお兄さんを探してくれているんでしょ?あの時と違って、大樹は一人で戦っていないよ。」(マドカ)
「マドカ、、、、、。」(大樹)
「少しは手を抜こう?やらない方が楽ならやらないでサボろ?もう誰も大樹一人に背負わせはしないよ。」(マドカ)
内心、正義の味方に言うことではないと苦笑しながらマドカは言う。だが、彼女はずっと考えていた。どのような言葉を大樹にかけるべきなのか、どのような言葉なら大樹は自分を限界を遥かに越えて酷使することを止めるのかを考えていたのだった。
「全部を背負わないで。大樹は絶対にさせたくないって考えているけど私にも背負わせて。」(マドカ)
深夜のシャワー室、たった二人だけの空間。世界最強(織斑千冬)のクローン、スペアとして生み出され、その運命を呪った少女はここには居なかった。
「大樹が抱えることが、背負っていることが大樹を苦しめるなら私はそれを一緒に抱える。大樹の前に立ちはだかるものが大樹を傷つけるならそれらから大樹を守る。
もう私は守られてばかりじゃいられない。私はあなたのヴァルキリー、あなたを守り共に生きるあなたのブリュンヒルデになる。」(マドカ)
少女は竜殺しの英雄と恋に落ちた戦乙女のように最愛の人へ自らの決意を伝えた。
side 大樹
まさか、マドカがこんなことを言うなんて。
俺にとってマドカは俺の後ろにいる絶対に何がなんでも守る大切な人だった。その彼女が目の前で俺を守ると言ってくれた。
「そうか、もう我慢しなくて良いのか。」(大樹)
思い返すと仮面ライダーになってからは皆を守ることに気をとられ、色々なことを我慢してきた。今のマドカを見たら、なんとなく肩に入っていた力が抜けた気がした。
「俺、これだけ思われていたんだな。」(大樹)
こんなことになることすら想像しなかった。本当のところはずっと一人だった。一夏、貴虎さん、颯斗、皆がいても俺の心は本当の意味では楽になっていなかった。でも、そうじゃなくなった。
「マドカ、、、俺、、、ずっと、、、辛かったよ、、、。」(大樹)
やっと、心の底から本当の気持ちを話せた。その途端に今まで抑えていたものが溢れ出した。父さんと母さんが死んでから久し振りに泣いた。
「あのさ、何も一緒のベッドに寝なくても良いじゃない?」(大樹)
あの後、俺はマドカの前で散々泣いた。それこそ、思い返すとやり過ぎだなと思うほど。まあ、こんなことをするのはマドカくらいだから気にするほどじゃないけど。
明日も授業があるもんだからさっさと寝ることになり、なんだったら一緒のベッドで前と同じように寝ようということになった。ただねぇ、一人用に二人で寝るもんだから狭い、マドカと俺だからそこまでの窮屈さは無いけど。
「一緒に寝るって言ったでしょ。」(マドカ)
「そうだけど、窮屈じゃない?」(大樹)
「大樹が近くにいるのが肌で感じるから好きなの。これくらいがちょうど良いの。」(マドカ)
「分かった。」(大樹)
マドカが気にならないなら、そもそも気にしないな、これがいつものことだったから。俺はマドカの方へ手を回す。
「おやすみ、大樹。」(マドカ)
「おやすみ、マドカ。」(大樹)
俺たちは久し振りに互いの温もりを感じながら眠りについた。
「それではISの実技を始める。」(千冬)
2組と合同で実技の授業を行っている。いやあ、眠い(´д`|||)。昨日、結局寝たのが2時過ぎで起きたのが7時頃だから眠い(´д`|||)。俺は眠いのにマドカは大して苦になってない、羨ましい。
「授業を始める前に本日はまずこの学園の教師の実力がどれほどのものなのかを知ってもらう。」(千冬)
やべえ、眠くて千冬姉ちゃんの話が右耳から左耳を通って外へ出ていく。ああ、眠い眠い眠い眠い眠い、、、。ん?鈴とセシリアが呼ばれたな、あああれだ、うん、あれだ、なんだっけ?
「初めましてだな!」
誰か話しかけてきた。名前は確か、、、
「桐ケ谷陸君、だっけ?」(大樹)
「そう、そう!よろしく!」(陸)
俺は昨日のSHRをサボタージュしたから、よくは分からないけど千冬姉ちゃんが言っていた他の男性操縦者らしい。んで、1組に転入してきたらしい。
「ずいぶんと眠そうにしているけど大丈夫か?」(陸)
「同室の子と話し込んでいたらかなり遅くなって、普段より眠れていないんだ。」(大樹)
正確には二人とも初体験だったけど、学園でそんなことをしていたなんてバレたら完全にアウトだ。あまり詮索されない受け答えをする。
「へー、仲が良いんだな。いや、それよりもさ放課後とか時間あるか?」(陸)
「ああ、あるけど。」(大樹)
「ちょっと付き合ってもらうだけだ。それじゃ、後でな。」(陸)
そう言うと桐ケ谷陸君、陸は別のグループへと歩いていった。何に付き合わせるつもりなんだ?それよりも眠すぎる、、、。ああ、上空じゃあ鈴とセシリアが山田先生と模擬戦してる、、、。ああ、山田先生が勝った。やばいよ~、眠いよ~。勝敗とか授業とかもうどうでもいい~、寝させろ~!!
side 颯斗
午前の授業が終わり、今は昼休み。僕とかんちゃん、のほほんは本当はかんちゃんの専用機、打鉄弐式の開発を少しするつもりだったけど珍しく万夏ちゃんがお昼を一緒に食べようという話をしてきたので一緒にお昼ご飯を食べることになった。
「早く、放課後になんないかな~。」(大樹)
なぜか、大樹がすごく眠そうに言っている。そのあたりの話を聞くと昨日はかなり夜更かしをしていたみたいでその所為で今日は眠気がすごいみたい。夜更かしの相手の万夏ちゃんはすごく調子良さそうだけど、、、。それと万夏ちゃん、雰囲気が変わったように感じたなあ。かんちゃんものほほんもなんか変わったと言っていた。まあ、大人しい、悪く言うと根暗な雰囲気が元の雰囲気がありながら活発な雰囲気になったような、、、。僕らはそれを嫌な変化とは思わず、元気になってきているのだということで良いものだと思っている。それは大樹も同じように、、、思っているのか、変化に心当たりがあるのか複雑そうなだけども嬉しそうにも見ているらしい。本人らは詳しいことは何も言わないけど。
「あのさ、桐ケ谷陸って一組にいるんだけど、詳しいことを知らない?」(大樹)
「4人目の男性操縦者でしょ。かなり有名なゲームプレイヤーということぐらいしか。」(簪)
「ハンドルネームR、ネットの界隈じゃかなり有名だよ。それくらいかな。」(颯斗)
「颯斗、昨日パンドラをボコボコにした仮面ライダーがいただろ。」(大樹)
「二人組でしょ、あの後ブレンに頼んで調べてもらったら衛生省の仮面ライダーだって言うことが分かったよ。レーザーとエグゼリオン、そういう名前でさらに調べてもらったらレーザーはER、電脳救命センターに所属する診断医の九条貴利矢さんだってことが分かった。エグゼリオンは変身者の情報が無かったから分からなかったけど。」(颯斗)
「たぶんな、エグゼリオンは桐ケ谷陸だと思う。」(大樹)
「根拠は?」(マドカ)
「声に口調。これだけだと信憑性は低いけど。」(大樹)
確かにレーザーとエグゼリオンは声を変えているわけでは無かったと思う。それに口調自体は変えるのは難しいという話を聞いたから、おそらくそう言うことを根拠にしたなら間違いはないはず。
「その、リクを話題に出したのは今日の放課後に呼び出しを食らったから。その前に俺の中の考えを皆に話しておこうと思って。」(大樹)
「大丈夫?」(颯斗)
「基本、衛生省に近い立場だからこっちに横槍を入れることは無いと思うけど。」(大樹)
「私も行こうか?」(マドカ)
「いや、そうする必要はないよ。」(大樹)
大樹はそう言っているけど、僕自身はまあもしものことを考え(万夏ちゃん以外は面白半分だけど)ついて行くことにした。
「さあ、早く食べよう。ちんたらしていると次の講義に遅れる」(大樹)
side 三人称
その日の放課後、大樹は陸が指定した場所である第3アリーナに来ていた。フィールドには大樹、その大樹に気付かれないようにマドカ、颯斗、簪、本音が観客席の最上階で様子を見る。
「悪い悪い、遅れた。」(陸)
陸は彼らから遅れて、大樹の背後の入場口から入って来た。大樹は陸の方へ振り向く。
「早速、本題から入るけど、君が俺を呼んだ理由は?」(大樹)
「なあに、少しゲームに付き合ってもらうだけさ、ヴァルハラの仮面ライダー。」(陸)
陸は既にゲーマドライバーを腰に装着、右手には青色のガシャットを握っていた。
「そこまで知っていて、ドライバーまで出しているってことは喧嘩を売っているという認識で良いのか?」(大樹)
陸の様子を見た大樹は先程までの穏やかな空気から張りつめて、今にも戦わんとする意思を前面に出している。
「だってさ君、小さい頃に当時は絶対に治るはずのない病気になって完全回復しているんだろ?流石にマークするさ。」(陸)
「それは衛生省全体か?」(大樹)
大樹はいつでも戦えるよう戦極ドライバーを取り出す。さらにはズボンに忍ばせてあるドラゴンフルーツロックシードを右手に持つ。
「俺はそこまでは知らないよ。ドライバーとガシャットを持ってはいるけど正規の職員じゃないし。」(陸)
「ゲームってどういうことだ?」(大樹)
「まあ、そっちが言った喧嘩が近いかな?やることは簡単だ、変身して戦って勝つ、これだけだ。」(陸)
「勝者には何が与えられるんだ?」(大樹)
「相手の知っている情報の総どりだ。」(陸)
ここまでのやり取りで大樹は穏便に済ますことを既にやめている。陸の方も大樹がやる気になっていることから俄然戦う気になっている。大樹は相手を見据え、陸は笑みを浮かべ、同時に右手のロックシード、ガシャットを起動した。
『ドラゴンフルーツ!』
『カミカゼアクション!』
「「変身!」」
≪ソイヤ!ドラゴンフルーツアームズ!竜王、オンバトルフィールド!≫
≪レベルアッッッップ!烈風!突風!疾風、怒涛!カミカゼアクション!≫
大樹は仮面ライダー炎竜ドラゴンフルーツアームズに、陸は仮面ライダーエグゼリオンアクションゲーマーレベル2に変身した。
炎竜は竜炎刀を無双セイバーに合体、無双セイバーナギナタモードを構える。エグゼリオンは自身のガシャコンウェポン、ガシャコンスピアーを構える。戦いの開始を告げるものはなく、強いて言うのならば戦いは既に始まっているということだけ。
「それじゃ、俺から行くぜ!」(エグゼリオン)
エグゼリオンはガシャコンスピアーを炎竜目掛けてその穂先を突き出す。
同じ頃、アリーナの観客席最上階、
「行かないと!」(マドカ)
「待って、万夏!」(簪)
大樹の元へと駆け出そうとしたマドカを簪が止める。
「お願い簪!行かせて!」(マドカ)
「まだ、相手の目的が分からないなら様子を見ないと。」(簪)
「でも、、、。」(マドカ)
「大樹は強いでしょ?いざとなったら颯斗も助けに入るから。」(簪)
簪ははやるマドカにそう言う。マドカ自身は確かに大樹の技量の高さそのものは信頼している。だが、彼女にとって一番の懸念事は大樹の技量の限界を超えるような事態になってしまうことである。前世のことを考えればマドカも落ち着いていられない部分が多い。だが、友人の簪の言葉もマドカは理解している。情報が不足している時に情報を得ることの重要性はマドカ自身もよく理解している。大樹がその情報を得るために行動していることもいざという時に颯斗がフォローに入ることもマドカは分かっている。その中で彼女は
「分かった。でも、大樹が本当に危なくなったら私はすぐに大樹のもとに行くからね。」(マドカ)
今は耐えてこの場を見守ることを選択した。
「うん。その時は私も助けに入るからね。颯斗も良い?」(簪)
「了解!のほほんはその時には虚姉ちゃんに連絡してね。」(颯斗)
「りょ~か~い。」(本音)
そして、簪たちもマドカを不安を除くために各々が出来ること、やるべきことを伝える。マドカは遠くから炎竜を見つめる。その手に待機状態になっている黒騎士を握って。
炎竜はエグゼリオンの尋常ではないスピードから繰り出される槍裁きを見事にいなしていた。
「へ~、お前、けっこう強いな!?普通なら既にハチの巣になっているぜ。」(エグゼリオン)
エグゼリオンはいったん距離を取って炎竜に話しかける。
炎竜はそれに返事をするのではなく、左手でドライバーを操作する。
≪ドラゴンフルーツスカッシュ!≫
ロックシードのエネルギーがドライバーを通して無双セイバーへと流れる。エネルギーがチャージされ、炎竜はエグゼリオンに切りかかる。エグゼリオンはそれを見て、難無くよけた。
「いや~、その程度だと俺に当てられないぜ?」(エグゼリオン)
「随分と話すんだな?」(炎竜)
「これが俺の持ち味なんで。」(エグゼリオン)
炎竜はエグゼリオンのそのペースに乗らないよう努めているがその調子のよさに言葉が出てしまう。
「なあ、最初にさこれはゲームって言っただろ?なら、楽しもうぜ?」(エグゼリオン)
「はあ、その乗りに着いて行けねえよ。」(炎竜)
炎竜とエグゼリオンはまたそれぞれの得物を構えると互いに向かって走り出す。
激闘を繰り広げる炎竜とエグゼリオン。なぜ、ERのライダーが学園にいるのか。そして、シャルル・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒ、彼女たちが関わる中で明らかになる桐ケ谷陸の人柄。その中で学園に迫る、バグスターの影、
「大丈夫!俺が助ける!」
活動報告にて仮面ライダー炎竜に関する新たなお知らせがあります。どうぞ、見てください。