IS×仮面ライダー 仮面ライダー炎竜   作:柏葉大樹

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 正体を現したグリフォンインベスに対するは炎竜、白銀、ロード、エグゼリオンの4人の仮面ライダー。グリフォンインベスはその巨体で仮面ライダーたちに襲い掛かるが仮面ライダーたちはそれに臆することなく立ち向かった。そして、激闘の後、大樹とマドカは小らを誓い合い、それぞれの彼女たちも自らの思いを胸にする。


仮面ライダー炎竜 第30話

side 大樹

 臨海合宿が終わって数週間。その間に中間テストがあって、俺とマドカは颯斗と簪、本音と一緒にテスト勉強をして、まあまあな点数を取ることが出来た。中間テストが終わり、遂に夏休みが来た。その頃にはグリフォンインベスとの戦いで負った傷は回復し、マドカと全快記念にやりまくっていた。そして。俺とマドカはこれまでの経緯を話すことと、定期検査のために沢芽市へと向かっていた。

 

 「ねえ、何で電車?」(マドカ)

 「ISの展開は基本禁止だろ。組織としては表立って動くわけにいかないから公共交通機関を利用する決まりだし。それに向こうの人と行動しないといけないから待ち合わせ場所も決められているし。」(大樹)

 「、、、、、、、、、組織って面倒。」(マドカ)

 

 まあ、こういうのはマドカにとってはまどろっこしいだろう。そんな俺たちを乗せた電車は沢芽市に向かって行く。

 

 

 

 

side 正則

 俺はたばちゃんと一緒に鳴海探偵事務所のある風都へと向かっていた。既に風都市内に入っており、風都名物の風車が街のいたるところに見かけた。そして、俺の運転する車はかもめビリヤードと言う建物に前に停まった。

 

 「久しぶりだね~。」(束)

 「まあ、今回の調査は電話での依頼だったからな。ここに来るのはもう3年ぶりか、、、。」(正則)

 「いよっし、入ろう入ろう~。」(束)

 

 俺とたばちゃんはかもめビリヤードの中へと入っていき、鳴海探偵事務所の扉を開ける。

 

 「いらっしゃい~、って。正則君と束ちゃん!?」(???)

 「あっきー、久しぶり!!」ギュー(束)

 「久しぶりです、亜樹子さん。」(正則)

 「久しぶり~(ギュー)。翔太郎君!フィリップ君!正則君と束ちゃんが来たよ!」(亜樹子)

 「そんな、大声で呼ぶなよ亜樹子。よう、久しぶりだな。」(翔太郎)

 「僕はあまり話すことなどないのだけどね。久しぶり、正則、束。」(フィリップ)

 

 俺達を歓迎してくれたのはここの探偵事務所の所長である鳴海亜樹子さん、そしてここの探偵の左翔太郎さん、翔太郎さんの相棒のフィリップさんである。今日、俺とたばちゃんがここへ来たのは以前に頼んだ依頼の成功報酬を私に来たのだ。まあ、俺とたばちゃんの立場ならここまで来なくても良かったんだけど。

 

 「こないだの依頼の成功報酬を渡しに来ました。現金だと怪しまれるんで切手ですけど。」(正則)

 「毎度あり!って、こんなに良いの!?」(亜樹子)

 「お、どうした?ええ!?正則、お前!?」(翔太郎)

 

 切手に書かれた金額を見た亜樹子さんと翔太郎さんは驚く。

 

 「こないだのは調査費用ということでお願いします。」(正則)

 「これ、、、良いの?」(亜樹子)

 「束さんからの気持ちもあるから問題なし!」(`・∀・´)エッヘン!!(束)

 「おおお、久しぶりにまともな、、、。」(´;ω;`)ウゥゥ(翔太郎)

 

 まあ、ここの探偵事務所はまともな探偵の仕事は猫探しくらいだからけっこう閑古鳥が鳴いていることが多いんだよな。実際の処はここの扉を叩く奴ってのは表の探偵じゃなくてここを頼るに足る理由があるんだけどな。

 

 「僕たちの顔を見に来た、という理由で来たのではないのだろう?」(フィリップ)

 「こないだの調査で分かったと思いますけど、俺の知り合いの子が関わっています。それもお二人の力が必要なほど危険なものです。」(正則)

 「柏葉夫妻惨殺事件、その事件の唯一の生存者の柏葉大樹のことか。」(翔太郎)

 「彼は仮面ライダーとして戦っています。そして、戦う相手の背後にいるのが柏葉勇吾です。」(正則)

 「ねえ、その柏葉勇吾ってどれだけ危ないの?」(亜樹子)

 「束さんとダーリンと同類ってだけでかなり。」(束)

 「それだけじゃない、今の彼は人間じゃない。まともな人間が太刀打ちできる相手じゃない。」(フィリップ)

 「だから、今日はまた別の依頼で来ました。翔太郎さん、フィリップさん、力を貸してください。探偵ではなく仮面ライダーとして。」(正則)

 

 今日、俺がここに来た本当の目的は風都を守る仮面ライダー、仮面ライダーWの二人に今回の事件の協力を取り付けることだった。

 

 「正直なことを言えば、これからきっと大きなことが起きます。大樹をはじめとした若い世代だけじゃ対処しきれない、もしもの時は二人の協力が不可欠です。メモリに関わることではないですけど、その時になったら風都にも被害が出ます。どうか、お願いします。」(正則)

 

 俺は頭を下げて、二人に頼む。束も同様に頭を下げる。

 

 「おい、頭を上げろって。そう言うんだったら依頼とか関係なくやってやるよ。」(翔太郎)

 「メモリとは違う相手か、ゾクゾクするね。」(フィリップ)

 

 その二人はそう言って、メモリを見せる。つまり、協力をしてくれるということだった。俺が大樹たちに出来ることはたかが知れている。それでも、こうやってできうる限りのことは全てやらないと。

 

 

 「それじゃ、二人とも気をつけてね。」(亜樹子)

 「あっきー、旦那さんによろしく!!」(束)

 「亜樹子さん、照井さんにも、出来れば、、、。」(正則)

 「言ってはみるけどね。翔太郎君たちが街を出るなら、竜君は残ると思うけど。」(亜樹子)

 「それでも、一応お願いします。」(正則)

 「うん、分かった。また今度来るときは娘さんも一緒に遊びに来てね。」(亜樹子)

 

 俺と束は車に乗って、別の目的地へと行く。俺が、俺達が大樹にしてやれることはまだある。俺は次の目的地へと車を走らせていく。

 

 「たばちゃん、俺大丈夫かな?」(正則)

 「どうしたの、急に?」(束)

 「また、あの力を使うってなると、、、正直なところは自分を保てる自身が無い。」(正則)

 「ダーリンなら大丈夫だよ。だって、ちゃんとコントロールできたし。」(束)

 「あの時は、何とか踏みとどまれたんだ。もしも、あいつらがまた俺の乗っ取ろうとしたら、今度こそ俺はあいつらの思い通りになるかもしれない。」(正則)

 「ダーリン、人間は誰だって悪い方に行っちゃうかもしれないんだよ。ダーリンと会ってなかったら私は、、、きっと世界を滅茶苦茶にしていたよ。いつぞや大くんが言っていたもう一人の私の様に。そうなっていたら、お父さんとお母さんともまともに話せなかっただろうし、箒ちゃんにも迷惑をかけて、、、。そんな私にはきっとちーちゃんと箒ちゃんしかいなかったよ。」(束)

 「、、、、、、、。」(正則)

 「ダーリンは自分がそうなってもきっと仕方ない、そうなってしまうって思うだろうけど、あの時にあいつらの思い通りにならずに仮面ライダーになれたのはダーリンが誰よりも正しい心を持っているからだと私は思いたい。」(束)

 

 たばちゃんの言葉は正しい。俺もたばちゃんも間違う可能性があった。そうなっていたら、きっと勇吾の様になっていただろう。でも、踏みとどまれたのは俺一人の力じゃない。隣にいるたばちゃん、家で待っている娘同然に育てている彼女、お義父さんとお義母さん、ちっふーにかがりん、俺の近くで手を差し伸べてくれた人たちがいてくれたおかげだ。

 

 「違うよ、その心をくれたのはたばちゃんたちだよ。」(正則)

 

 俺はハンドルを切って、次の目的地へと車を走らせる。

 

 「弱気になっていたら、大樹たちにバカにされるな。」(正則)

 「むしろ、心配するよ。あの子たち、すごく優しいし。」(束) 

 「ああ、違いないな。」(正則)

 

 そう言うと俺たちは二人して笑い出す。弱気になっていられないな。後輩ども、待っていろよ。

 

 

 

side 大樹

 俺とマドカの乗る電車は沢芽市へと到着した。今回は出迎えは別の場所で待っているということで俺とマドカはそこへ向かっていた。そこはいつもならばお客さんでにぎわっているのだが立て札には「本日、諸事情により休店させていただきます。」と書かれていた。俺とマドカは店の扉を開けて、中へ入っていく。

 

 「お邪魔します。」(大樹)

 「おお、いらっしゃい。」(城之内)

 「鳳蓮さんたちは?」(大樹)

 「師匠たちならもうすぐ来るぞ。席に座って待ってろよ。」(城之内)

 

 俺とマドカを迎えたのは店番をしている城之内さん。ここはシャルモン1号店でこれまでも待ち合わせ場所として何回か使っている。俺とマドカは城之内さんに勧められ店内にある席に座って待つことにする。

 

 「お~い、師匠たちが来るまでに何か食べるか?」(城之内)

 「気にしないでください。すぐに来るんですよね?」(大樹)

 「俺はそう聞いているけど。お、来たわ。」(城之内)

 

 店の外を見ると、貴虎さんと鳳蓮さんがやって来た。アタッシュケースを持っているらしく、、、。

 

 「久しぶりだな、大樹。」(貴虎)

 「お久しぶりです。」(大樹)

 「あら、mademoiselle。あなたも来ていたのね。」(鳳蓮)

 「こんにちは。」(マドカ)

 

 俺達は挨拶もそこそこに今回の要件に入ることに。

 

 「~~~~がこれまでにあったことです。」(大樹)

 「インベスの襲撃が二回、その他にインベスとは違う存在か。」(貴虎)

 「なるほど、ロイミュードの力を借りて戦うアーマードライダーね。その他にも異世界からやって来たアーマードライダー。まだ、アマチュアだけど気概はプロね。」(鳳蓮)

 「いや、この子も大樹と同じ世界の記憶を持っているって!?それも紘汰の奴が手助けしたって!?」(城之内)

 「それで、体の調子は?」(貴虎)

 「こないだの怪我は治りました。それ以外に変調はないです。ケガの治りも衛生省から来た九条先生の見たところだと極端に早かったわけじゃないみたいです。」(大樹)

 「あの、大樹は大丈夫なんですか?私は大樹からも話は聞いていて大樹の体のことはそれなりに聞いてはいます。その、インベスになってしまうってことがあり得るほど危ないのですか?」(マドカ)

 「それに関しては衛生省との協力で調べているがここまで変異が無いのは驚異的だ。依然として、注意を払うがそれと同時に柏葉がしていた研究のことも詳しく調べている。それが判明すれば、大樹の体に起きていることもよく分かるだろう。」(貴虎)

 「そんなに悠長に待っていられるんですか?」(マドカ)

 

 マドカの言葉に怒気が混じりだした。俺は慌ててマドカをいさめる。

 

 「マドカ、落ち着いて。何も、すぐにそうなるって決まってないよ。」(大樹)

 「なる、かもしれないでしょ。それもいつそうなるのかが分からないなんて。」(マドカ)

 「いや~、マドカちゃん、一旦落ち着いて、、、「メガネは黙って」、、、はい、、、、。」(城之内)

 

 マドカの眼力に負ける城之内さん、、、分からなくはないです。俺も同じ目で見られたらそうなるし。貴虎さんも驚いているし、鳳蓮さん、、、この子、強いわねみたいな目をしないで。

 

 「確かに悠長に構えている時間は無いかもしれない。だが、今は篠ノ之博士に協力をしてもらってデータの解析を進めている。全貌が分かるのも時間の問題だ。」(貴虎)

 「私が言いたいのはそう言うことじゃなくて。」(マドカ)

 「はーい、一度落ち着きましょうmademoiselle。愛しいからこそ落ち着いてられないのは分かるわ。でも、メロンの君も悠長に構えているわけではないわ。」(鳳蓮)

 「でも、、、。」(マドカ)

 「それじゃ、あなたにプレゼントがあるからワテクシと一緒に来てちょうだい。」(鳳蓮)

 「プレゼント?」(マドカ)

 「そうよ、さあ店の奥にいらっしゃい。」(鳳蓮)

 

 鳳蓮さんはマドカを連れて、店の奥へと行ってしまった。恐らくは鳳蓮さんは気を使ってくれたのだろう。

 

 「すみません、俺のこととなると冷静でいられなくて。」(大樹)

 「いや、良く思われているということだ。それだけ、大樹のことを思っていることだろう。」(貴虎)

 「やべえええええええ。あの目、殺すぞって言ってた。」(;゚Д゚)(城之内)

 「ああ、洒落抜きでそう思っての視線です。くれぐれも本気で怒らせないように。」(大樹)

 「え!?あれ以上に怖いの!?」(城之内)

 「今日のはまだ全然かわいい方です。」(大樹)

 「まじか。」(城之内)

 「ところで、彼女は大樹の言う世界ではどのような人物だった?」(貴虎)

 「、、、、、、亡国機業。そこに所属していました。そして、千冬姉ちゃんのクローンとして生まれた彼女は、、、、、、、俺の敵でした。」(大樹)

 

 俺の言葉に貴虎さんも城之内さんも口をはさむことは無く、聞いていただけだった。

 

 「マドカは自分を生み出した世界を憎んでいました。そして、自分のことを地獄へ置いて弟だけを選んだ千冬姉ちゃんのことも。」(大樹)

 「冗談じゃないよな、まさかあの子が?」(城之内)

 「今はすごく落ち着きました。出会った当初は千冬姉ちゃんを超えること以外に興味は無く、少なくとも本当に心を許すような相手は居なかったと思います。」(大樹)

 「大樹は彼女とどのように会った?」(貴虎)

 「亡国機業の掃討作戦、その時に京都へ行ったときです。」(大樹)

 

 俺は貴虎さんと城之内さんに話していく中で前世でのマドカとの出会いを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「じゃあ、俺は先にホテルに行ってるわ。」(大樹)

 「あら?柏葉君、一緒に回らないの?」(楯無)

 「荷物だけおいて周りだけ見ます。一夏たちが見て回るなら観光地は別に。」(大樹)

 

 俺はホテルへ先へ行っているという名目でこの時には手放せなくなった鎮痛薬を補充すると同時に服用するつもりだった。楯無先輩は俺にも誰かと共に行動させるつもりだったらしいが箒たちは一夏の取り合いをしており、ダリル先輩とフォルテ先輩は論外、千冬姉ちゃんと山田先生は万が一薬に依存していることを知られたら何と言われるか分かったものじゃない。定期的に連絡することを条件に俺は単独行動が認められた。

 俺は旅館に荷物を置くとすぐさま薬を服用。旅館近くのドラッグストアで2,3箱を購入した。その帰りに一応怪しまれないために旅館から徒歩10分くらいの範囲を歩いていたところだった。

 

 「ここら辺はこんなもんか。さっさと旅館に戻るか。」(大樹)

 

 そんなこんなで帰ろうとした時だった。俺は背後に感じた突き刺すような感覚から反射的にズボンのポケットに入れていたドラゴンフルーツロックシードを開錠、クラックから竜炎刀を取り出し、背後の相手に刃を突きつけた。

 

 「なかなか悪い反応じゃないな。」(マドカ)

 

 俺の首元に触れた冷たい感覚、マドカは俺の首元にナイフの刃を突きつけていた。マドカは竜炎刀の刃を握り、俺の懐に入り込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

side マドカ

 私はオカマの人、鳳蓮さんに連れられお店の奥へと入っていく。

 

 「あの、私に渡したいものって?」(マドカ)

 「レディにはそれ相応の服装というものがあるでしょう?相応の場で踊るには相応のドレスを着ないとね。」(鳳蓮)

 

 お店の調理室に入るとオカマの人、もとい鳳蓮さんはお店に来るときに持っていたスーツケースを調理台の上に置く。

 

 「本当はここでこんなことをするのはワテクシのポリシーに反するけど、女は男に見せてはいけないところも必要よ。」(鳳蓮)

 

 鳳蓮さんは私の前でそのスーツケースを開く。

 

 「あなたのことはdragonの坊やからも聞いたわ。彼、相当渋っていたけどね。その上でこれを私達に頼んだのよ。」(鳳蓮)

 「ドラゴンって大樹のこと?」(マドカ)

 「Oui. 」(鳳蓮)

 「でも、どうして、、、。」(マドカ)

 「それは彼から聞きなさい。それも含めてね。」(鳳蓮)

 

 私の目の前にあったのは大樹が使っているものと同じ戦極ドライバーだった。

 

 

 

 

side 三人称

 「ここで少し騒ぎを起こせばいいのか。」(ナイト)

 「そうね、多少やればすぐにでも来るでしょうし。」(イリーナ)

 

 ナイトとイリーナは人々でにぎわっている噴水公園へと来ていた。

 

 「よし、ならば、、、。」(ナイト)

 

 ナイトはそう言うとすぐさまオーバーロードへ変身する。それを見た市民は皆一目散に逃げだしていく。

 

 「さあ、逃げまどえ!お前たちが声を上げる程に奴らは来る!」(ナイト)

 

 ナイトはそう言うと自身の体から作り出された剣を振るい、衝撃波を次々と放っていく。それを見ながら近くのベンチに座るイリーナ。

 

 「まあ、これで奴らの数を減らせるのならキングの計画も万全ね。」(イリーナ)

 

 イリーナは人々が傷つくさまを見ても眉一つひそめるどころか意に介することなくナイトが暴れる姿を横目で見るだけである。人々は逃げ、傷つき、命を落としていく。悲鳴が、絶叫がその場に満ちていく。

 

side 大樹

 「亡国機業の、、、サイレントゼフォルスの。」(大樹)

 「お前とはここで会ったのが初めてだが、まあ良い。命が欲しければISをよこせ。第1世代でもこちらの戦力になるからな。」(マドカ)

 

 あの日、俺は初めてマドカと顔を合わせた。千冬姉ちゃんと瓜二つのその顔は冷徹な笑みを浮かべていた。この時、明らかに不利だったのは俺の方だった。仲間たちに連絡を取った途端に殺されるのは目に見えていた。ISを展開する余裕も変身する余裕もなかった。完全に手詰まり、大人しくISを渡せばよかったのだろうが、、、。

 

 「大人しく渡しもしないし、抵抗することもしないよ。」(大樹)

 

 俺は竜炎刀を持っている手の力を抜く。

 

 「何をするつもりだ?まさか、仲間たちが来るのを待っているのか。だとしたら無駄だな。その前にお前を殺せば良い。」(マドカ)

 「まさか、皆俺のことを忘れて観光にいそしんでいるよ。この状態で仲間を呼べないし、そもそも事前に仲間たちを呼ぶなんてしなかったからな。」(大樹)

 

 はっきり言えば、この時の俺はもうインベスをすべて倒そうが倒せまいが死んでもかまわないと考えていた。

 

 「お前は何をしたい?」(マドカ)

 「虫けらの考えることに興味でも?」(大樹)

 

 俺の言動に何か裏があるのではと考えるマドカ。その間も俺の首に当てているナイフは下ろさなかった。だが、

 

 「死にたいなら勝手にすれば良い。」(マドカ)

 

 驚くことにマドカはナイフを下ろした。

 

 「殺さないのか?」(大樹)

 「お前のような生きているのか死んでいるのか分からないような眼をしている奴を殺しても面白くない。」(マドカ)

 

 マドカは俺への興味を失ったようで俺に背を向ける。マドカはそのまま歩き去ろうとする。その姿を見て、俺は何を思ったのだろう?その日の夜に殺し合うかもしれない相手なのに、、、。俺がこの世界で初めてきれいだと思った人と同じ顔をしていたせいなのか、、、。それとも、彼女に殺されるのを期待したのか、、、。それとも、彼女の境遇を知っていて、それを哀れんだのか、、、。今でもこの時の自分がどうだったのかよく分からない。

 

 「なあ、俺と一緒に京都の町を見て回らないか?」(大樹)

 

 マドカは俺の言葉に振り向いた。まあ、普通なら俺の誘いに乗るはずが無かった。なのに、、、。

 

 「ふん。さっさとしろ。」(マドカ)

 

 マドカは少しの間考えるようなそぶりを見せた後、そう言うとマドカは俺に近くまで来いと身振りで示す。俺はマドカの近くまで歩み寄る。

 

 「仲間たちの所へ行くようなことをすればすぐに殺す。」(マドカ)

 「ああ。(この状況でできれば一夏たちに会いたくねえな)」(大樹)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴虎さん、城之内さんの携帯が鳴り響いた。その音は思い出の中を歩いていた俺を現実に引き戻した。

 

 「噴水公園でか。分かった。すぐに向かおう。」(貴虎)

 「メロンの君、どうしたのかしら?」(鳳蓮)

 

 店の奥にいたマドカと鳳蓮さんが出てきた。

 

 「ナイトとイリーナ・A・タカハシが噴水公園近くに現れて、攻撃を開始している。逃げ遅れた市民も多いらしい。すぐに向かうぞ。」(貴虎)

 「ほら、坊や。ワテクシ達も行くわよ。」(鳳蓮)

 「なんで、ミッチーたちが居ない時に限って。」(城之内)

 「貴虎さん、俺も行きます。」(大樹)

 「大樹。」(マドカ)

 

 マドカが俺を呼び留める。おそらく、鳳蓮さんから例のものを渡されているのだろう。俺は持っているロックシードの内、2つをマドカに手渡す。

 

 「絶対、、、って言いきれないけど守るから。」(大樹)

 「もう一人にはさせないから。」(マドカ)

 

 貴虎さんたちは車に、俺とマドカは起動したハイビスカストライカーに乗り、シャルモンを出る。

 

 

 

side マドカ

 バイクの後部座席に乗って、大樹にしがみつきながら初めて前の世界で大樹を見たときのことを思い出した。

 その時、私はキャノンボールファウストの時に二度目の学園の襲撃を決行した。当然だけど、千冬姉さんのクローンであった私に一夏兄さんたちが勝てるはずもなかった。その中でセシリアに手痛い反撃を食らったけど、私にとっては特別気に留めることもなかった。ただ、一つを除いて、、、。その場の誰よりも劣っているのに、なぜだかその姿と振る舞いからその場にいた誰よりも私が知っている戦場で生きてきた人間に近いものを感じた。

 私はその場で対峙したその一人に珍しく興味を持った。その後はその人を調べるうちに何の変哲もない平穏に生きてきた奴だというのに私が感じたものをどこで身に着けたのか、それが気になった。

 ダリル・ケイシー、レイン・ミューゼルから得た情報から私達は京都で学園の専用機持ちと戦うことに。その戦いが始まる前に私は一目ちゃんと見てみたかったのだ。そして、見つけた。私は小手調べに殺気を当てて、彼に近づく。彼はなんとどこから赤い刀を取り出して、私の方へと向けてきた。私は難無くその刀を止めて彼ののど元にナイフを突きつける。専用機の話題を出したのはその後の彼の動きを見たかったから。でも、彼はその眼に生きる気力を宿していなかった。彼は抵抗もせずになんと私に殺されるのを選んだのだ。それを見て、、、私は落胆した。期待したものが見れないと分かった私はその場を立ち去ろうとした。その私に彼は

 

 「なあ、俺と一緒に京都の町を見て回らないか?」(大樹)

 

 と言ったのだ。信じられなかった。私と彼は敵同士、普通ならばさっさと仲間の所へ行くだろうに。きっと、一夏兄さんでもそんなことは言わないだろう。それを聞いて、私はなぜだか胸が高鳴った。でも、それが彼に知られるのが気恥ずかしかった。私はぶっきらぼうに彼にそばにいるように身振りで示した。

 私と彼は京都の町を見て回っていた。意外なことに彼は街に関わる歴史などを意気揚々と口にしていく。最初はそれの何が役に立つのだろうと思ったけど、気付けば彼の話に聞き入りながら私の方からもっと話してほしいとねだっていた。

 時間が経つのはあっという間だった。そして、私達にそれぞれの仲間から連絡が入る。連絡を受けて、私は出来るのならばこのまま彼と一緒にいたかった。彼は、、、私と一緒にいる時に見せた柔らかな表情から戦士の表情になっていた。私は感じたことのない感情に戸惑いながらも彼の手に触れて、、、

 

 「なあ、一緒に居れないか?」(マドカ)

 

 と言ってしまった。ハッとして私は慌てふためく。それを見た彼は

 

 「ごめん、無理だ。でも、最後に何かをするにはちょうどいいな。」(大樹)

 

 と言った。あとになって知ったけど私達が最後に来たのは縁結びの神社だった。私はそこで彼からおさい銭をもらって、初めて神社で参拝した。この時まで私は神様なんか信じなかった。でも、この時に私は心の底から神様にこう頼んでいた。

 

 (また一度でいい。彼と会えますように。)(マドカ)

 

 私と彼は神社の鳥居からた。その時に彼は

 

 「良いか、俺達は出会っていない。お互いにただ単に単独行動していただけだ。俺は君に会っていないし、君も俺に会っていない。それでいいよな?」(大樹)

 

 と言ったのだ。私はその言葉の通りに私達はしなければならないことはよく分かった。そして、それに同意もした。この数時間後、私達は戦場となった京都の空で再び出会う。

 

 

 

 

 

 

 

 「大樹、ナイトの対処を任せた。市民の誘導は私達がしておく。」(貴虎)

 「俺とマドカはこのまま行きます。」(大樹)

 

 貴虎さんたちは私達と別れる。大樹はそのままアクセルを踏み込んでスピードを上げていく。私は振り落とされないように強く大樹の体を抱きしめる。進んでいくと私達の視線の先に黒い煙が上がっている場所が見える。そこに着くと、辺りは火の手が上がり、すでに動かなくなった人々しかいなかった。

 

 「ほう、お前が来たのか。」(ナイト)

 

 私達はこの惨状を生み出した二人を睨みつける。

 

 

side 3人称

 「何も関係の無い人たちを巻き込んで、、、。」(大樹)

 

 その声に怒気を纏わせ、大樹はナイトとイリーナを睨みつける。

 

 「お前たちをおびき出すには効果的だろう。戦場ではこういった手段は非常に使える。」(ナイト)

 

 ナイトは剣を掲げてそう言う。その言葉に大樹は拳を強く握りしめる。マドカも同様にその表情は静かな怒りに染まっていた。

 

 「なぜ、こんなことが出来るの?あなたたちには優しさは無いの?」(マドカ)

 

 自身の経験からどういっても無駄なのは分かっているがマドカは問い掛けずにいられなかった。だが、

 

 「そんなものに何の価値がある?俺にとって価値があるのは全てを屠る強さだけだ。」(ナイト)

 「そもそも、キング以外の人間など取るたらないもの。優しさなど不要よ。」(イリーナ)

 

 帰って来たのは予想していた通りの返答だった。大樹もマドカもこれ以上の対話は不要と判断して、戦極ドライバーを取り出して、腰に当てる。

 

 「どちらにせよ、お前らを許すなんてしない。」(大樹)

 「あなたたちは絶対に倒す。」(マドカ)

 ≪ドラゴンフルーツ!≫

 ≪ブルーベリー!≫

 

 二人はロックシードを開錠、ドライバーにセットする。大樹は左の拳を前に、竜の爪を思わせる形の右手を顔の右横へ構える。マドカは両手の人差し指と中指を立てた状態で前に突き出す。

 

 「変身!!」(大樹)

 『ソイヤ!ドラゴンフルーツアームズ!竜王・オンバトルフィールド!!』

 

 大樹は右手を天に突きあげると同時にカッティングブレードを操作、仮面ライダー炎竜ドラゴンフルーツアームズに変身する。

 

 「私はもう後ろで守られてばかりじゃいられない。大切な人を守るために戦う!変身!」(マドカ)

 

 マドカは合わせた両手を回転させ、両手を胸の前でクロスさせる。両手を開くときにカッティングブレードを操作する。

 

 『カモン!マスケティアーオブサファイア!』

 

 マドカの頭上にクラックが開き、そこから鋼のブルーベリーが下りてくる。マドカの頭部に落ちたそれからマドカの体に紫のアンダースーツが現れた。ブルーベリーの鎧が展開されると、北欧の戦乙女を思わせる兜が現れる。

 

 「仮面ライダー炎竜!この戦場、俺達仮面ライダーが勝ち取る!!」(炎竜)

 「私は仮面ライダーヴァルキリー。この愛であなたたちを打ち倒す!」(ヴァルキリー)

 




 ナイトとイリーナと対する炎竜、ヴァルキリー。戦いの最中、去来するは二度とは戻れない世界の記憶。そして、なぜだか集まる颯斗、簪、本音。夏のとある出来事。
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