IS×仮面ライダー 仮面ライダー炎竜   作:柏葉大樹

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 世界各地に出現した漆黒の塔。それこそが勇吾が生み出した世界滅亡のための装置だった。大樹は勇吾からの電話を受けて、東京湾に出現した塔へ出向き、勇吾と直接対峙する。そして、仲間たちもだいきが東京へ向かったことにより、東京へ集結した。


仮面ライダー炎竜 第34話

side 3人称

 東京湾に出現した漆黒の巨塔、その内部では激しい戦いが繰り広げられていた。

 双刃の薙刀を振るうのは紅き鎧を身にまとう竜武者、仮面ライダー炎竜。炎竜に対抗するは漆黒のアンダースーツ、上半身に銀色に黒のタイガーラインが入ったアーマーを纏った人虎、仮面ライダージャーク。

 ジャークは手には何も持たず、まるで野獣のような攻撃を繰り出していく。対する炎竜は無双セイバーを巧みに扱い、攻撃をいなしていく。

 

 「最初の威勢のよさは張ったりか、このカスが!!」(ジャーク)

 「はああ!!」(炎竜)

 

 防戦一方だった炎竜に挑発の言葉を投げつけるジャークだったが、炎竜はその一瞬の隙を突き、腹部に強烈な蹴りを入れた。その一撃は牽制などではなく、本気の一撃だった。これにはジャークも大きく吹き飛んだ。そのまま、ジャークは壁に激突するかに見えたが、直前で体勢を立て直し、壁にふわり着地。その後、四方八方の壁を蹴り、炎竜を撹乱する。三次元的な動きをするジャークに炎竜は惑わされずにロックシードを取り換える。

 

 『パッションフルーツ!』

 ≪ソイヤ!パッションフルーツアームズ!情熱、メガフレア!≫

 

 炎竜はパッションフレアカノンを狙いを定めるわけではなく、周囲にとにかくグレネード弾を放ち続ける。周囲に爆発が次々と起き、壁、天井、床に大きな穴をいくつも作っていく。そこをジャークは難無く着地するが、先程までとは違い、そこに若干の隙が生じる。炎竜は迷うことなく、

 

 ≪ソイヤ!パッションフルーツオーレ!≫

 「吹き飛べ!」(炎竜)

 

 フレアエクスプロージョンを発動、ジャークに向かって無数のグレネード弾を次々と打ち込んでいく。

 

 「しゃらくさいわああああ!!」(ジャーク)

 ≪ギュインギュインギュインギュイン!タイガニックフィニッシュ!≫

 

 ジャークはビルドドライバーのハンドルを操作、全身に紫色のエネルギーを纏わせ炎竜に突撃する。

 炎竜が有する必殺技の中でも高い威力を有するフレアエクスプロージョンを受けながらもジャークは炎竜に向かって行き、エネルギーを帯びた鋭い爪で炎竜の装甲を切り裂いていく。その爪は容易く炎竜の装甲を切り裂き、装甲の表面で爆発を起こす。

 

 「っ、ぐっ!」(炎竜)

 

 炎竜は痛みにぐぐもった声を漏らすが、パッションフレアカノンの引き金を引きジャークにグレネード弾を数発浴びせる。だが、

 

 「そんな程度か。」(ジャーク)

 

 ジャークの装甲に爆発で発生した埃が被っただけで、目に見えたダメージは無かった。大抵のものならば落胆の一つは見せるものだが、炎竜にとっては特に落胆することでも驚くことでもなかった。だから、

 

 『シークァーサー!』

 ≪ソイヤ!シークァーサーアームズ!蒼雷、ライトニング!≫

 

 炎竜は即座にロックシードを変えて、パッションフルーツアームズの鎧をジャークに向けて蹴り飛ばす。それにはさすがのジャークも予想しておらず、炎竜から思わず距離を取る。炎竜の頭上のクラックからシークァーサーアームズの鎧が落ちてくる。炎竜はシークァーサーアームズの特性である高い敏捷性を生かし、今度はジャークの動きが間に合う前に鋭い連撃を放っていく。目に見えるほどの大きなダメージはないがそのスピードにジャークは煩わしさを声に表す。

 

 「鬱陶しいわ!」(ジャーク)

 

 ジャークが大きく腕を振った瞬間、炎竜は上半身をそらしてそれを躱して蒼雷杖の先端をジャークの最も装甲の薄い箇所に当てる。

 

 ≪ソイヤ!シークァーサースカッシュ!≫

 

 装甲が薄い箇所から緑色のエネルギーがジャークの体内に流れていく。相手を体内から破壊するボルトパニッシュが発動し、ジャークを装甲の内側から...。

 

 「この程度、大したことは無いな。」(ジャーク)

 

 破壊することは無かった。正確には破壊はしていた。ボルトパニッシュは確かに決まっていた。だが、ボルトパニッシュの威力よりもジャークの再生力、防御力が勝っていただけの話である。炎竜はボルトパニッシュが通用しなかったことから即座にジャークから距離を取ろうとしたが、それよりもジャークが蒼雷杖を掴む手の方が早く、

 

 「少しは学べよ!!」(ジャーク)

 

 ジャークは蒼雷杖を掴んだまま炎竜ごと大きく振り回して床に叩きつける。

 最も防御力が低いシークァーサーアームズだったために炎竜は大きなダメージを負ってしまった。

 ジャークは再度、炎竜を床に叩きつけるために大きく振った。

 炎竜は振り回された瞬間に蒼雷杖を離し、ジャークから大きく距離を取る。

 

 「全くしぶとい奴が。」(ジャーク)

 「まだ、始まったばかりだろ。早々簡単に死なねえよ。」(炎竜)

 ≪ソイヤ!ドラゴンフルーツアームズ!竜王、オン・バトルフィールド!≫

 

 炎竜はシークァーサーアームズから基本形態のドラゴンフルーツアームズに戻る。遥か別の世界から続く因縁、早々に終わったりはしない。炎竜はそれこそ全力を持って、自身が持ち得る全てを使いジャークを倒す。対するジャークは炎竜の戦力が自身に届くほどでは無いことが分かり、炎竜をじわじわと苦しめてやろうという考えが芽生えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 同じ頃、東京お台場。そこに颯斗の姿があった。

 お台場は最も塔に近い場所であったためか、普段ならば観光客などでにぎわっているそこは閑散としていた。

 

 「あれが...。」(颯斗)

 

 颯斗の眼には海から天を指し示す禍々しい塔が写る。

 

 「なんとおぞましい。」(メディック)

 「ここからでは詳しいことは分かりませんが、かなりの大きさということと内部に無数の熱反応があります。」(ブレン)

 「颯斗、どうやってあそこまで行くつもりだ?」(ハート)

 「泳ぐ?」(颯斗)

 (((何も考えていないのかよ...。)))(ハート、ブレン、メディック)

 「おっ、先客か?」(陸)

 「ええと、確か君は...。」(颯斗)

 「桐ケ谷陸だ。そっちは確か整備科の。」(陸)

 「留芽颯斗。」(颯斗)

 「お近づきに...って訳にもならないか。」(陸)

 

 陸はそう言うと東京湾から飛び出ているものを指さす。

 

 「あれが何にせよ、放っておいていいものじゃない。」(颯斗)

 「それは俺も同感だな。ん?」(陸)

 

 陸は後方をむくと、そこには白いワゴン車が止まっていた。さらにその近くに桜色のバイク、サクラハリケーンとライドベンダーも止まる。白いワゴン車からはマドカ、鈴、簪、楯無が、サクラハリケーンから一夏と箒が、ライドベンダーからは正則が降りてきた。

 

 「颯斗、陸。お前たちも来ていたのか。」(一夏)

 「おっす、織斑兄貴。」(陸)

 「来たの?」(颯斗)

 「当たり前だろ!!大樹が先に戦っているんだ!!」(一夏)

 「まあ、だよね。」(颯斗)

 

 彼ら全員が漆黒の巨塔を見つめていた。

 

 「ねえ、颯斗。どうやっていくの?」(楯無)

 「ハートたちにも聞かれたけど...どうやってね...。」(颯斗)

 「とにかく、行くっきゃないだろ!!」(一夏)

 

 一夏は右手に装備されているガントレット、白式を展開して塔へ飛んで行ってしまう。

 

 「兄さん!」(マドカ)

 「待ちなさいっての!!」(鈴)

 

 それぞれの専用機を部分展開したマドカと鈴が一夏を無理矢理止める。

 

 「なっ!万夏、鈴!なんで止めるんだ!!」(一夏)

 「何を突っ走ろうとしてんのよ!考えなしで何とかなるところじゃないでしょうが!」(鈴)

 「大樹が行っているのに黙って見てられないだろ!」(一夏)

 「逆に突っ込んで行って、大樹の足を引っ張たらどうすんのよ!」(鈴)

 「一夏、鈴の言うとおりだよ。今の私達はあそこについてほとんど知らないから。大樹を助けるために今は我慢しないと。」(箒)

 「待つしかないのかよ。」(一夏)

 「良いや、勇吾の奴。ただで待たせるつもりはないみたいだ。」(正則)

 

 正則がそう言うと塔から黒い物体が無数に出てきた。

 

 「なあ、あれってもしかして外国のIS部隊とかを壊滅させた奴?」(陸)

 「ISを持っている面々はすぐに展開だ。シールドエネルギーに気を付けて戦ってくれ。仮面ライダーの諸君、気張れよ。」(正則)

 

 正則の言葉にISを展開する箒、鈴、簪、楯無。そして、正則をはじめとするメンバーはそれぞれドライバーを取り出し、装着する。

 

 「ゲームスキルレベル2!」(陸)

 『カミカゼアクション!』

 「ハート、行くよ!」(颯斗)

 「ああ!」(ハート)

 『シルバーエナジー!』

 『ブルーベリー!』

 「「「「「変身!!」」」」」(陸、颯斗、正則、一夏、マドカ)

 ≪ガッチャーン!レベルアップ!カミカゼアクション!≫

 ≪ライダー!デッドヒート、ハート!≫

 ≪ハ・ヤ・ガ!ハヤガ、ハ・ヤ・ガ!≫

 ≪シルバーエナジーアームズ!≫

 ≪ブルーベリーアームズ!マスケティアーオブサファイア!≫

 

 変身した仮面ライダーたちはそれぞれの武器を持ち、ファイティングポーズをとる。その後の数瞬で塔から現れた無数の黒い物体、ガーゴイルインベスが彼らに襲い掛かる。

 

 「こいつら、強さはそうでもないけど数が多い!!」(ロード)

 

 次々と襲い来るガーゴイルインベスを殴り飛ばしていくロード。僅かな間だが殺到するその数に手を焼いていた。

 

 「うお!レベル2だとヤバい!ゲームスキルレベル3!」(エグゼリオン)

 

 その数の多さから敏捷性を生かせないエグゼリオンはキルキルサムライのガシャットを起動し、レベル3にレベルアップした。

 

 「くそ!どけ!」(白銀)

 

 白銀はバニシングブレードを振るって行くが一体を倒すそのそばから次々と新たなガーゴイルインベスが現れる。白銀はその心の焦燥をぶつけるように剣を振るって行く。

 

 「こんなの、大樹の所に行く前に!」(ヴァルキリー)

 

 ヴァルキリーはブルーライフルで狙撃する以外にも穂先で突き刺していく。恐らく、この場で最も心穏やかではない彼女は努めて冷静にガーゴイルインベスたちを対処していく。

 

 「だああああもう!しゃらくさい!!」(鈴)

 

 鈴は双天牙月を振るっては衝撃砲でもって次々とガーゴイルインベスを吹き飛ばしていく。

 

 「はあああああ!!」(箒)

 

 箒も空割と雨月を振るい、ガーゴイルインベスを倒していく。

 

 「いやああああ!!」(簪)

 

 簪は荷電粒子砲である春雷を連射しながら、薙刀の夢現を振るって行く。

 

 「ほら、死にたいなら遠慮なく来なさい。」(楯無)

 

 楯無はナノマシンによる水を使い、あらゆる場所から水による多彩な攻撃を放っていた。

 若い彼らが奮闘する中で一人、体の各部の動物の特性を生かして次々とガーゴイルインベスを倒していくオーズNEO。だが、奮闘する彼らですら、終わりがないように感じる程のガーゴイルインベスの大群に徐々に消耗されていく。

 

 (このままだとジリ貧だ。この数、箒ちゃんたちもいながら裁くのは難しい。)(オーズNEO)

 「皆、背中合わせで円陣を組むんだ!しばらくは保つはずだ。」(オーズNEO)

 

 オーズNEOはISに駆る彼女たちの状況も考慮し、最も対処しにくい背中を防御するために円陣を組むように指示する。だが、それでも殺到してくるガーゴイルインベスたちを押しとどめるには十分では無かった。

 

 

 

 

 

 時間はあれから1時間ほど経過して、塔の内部。すでに満身創痍の炎竜に目に見える程の疲労もダメージもないジャーク。使っているシステムの性能もさることながら変身者の差、オーバーロードと人間という違いが戦闘に影響していた。

 

 (ビルドドライバーを使っている以外にそもそも向こうはオーバーロードになっている状態で変身している。それがここまで差が出るなんて。)(炎竜)

 「おいおい、この程度か?」(ジャーク)

 

 ジャークはダメージを負っている炎竜の頭を踏みつける。

 

 「粋がっていた割には大したことないなあ。自分の身の程をわきまえないと、こ、う、な、る、ん、だ、よ!!」(ジャーク)

 

 さらにジャークは炎竜の何度も何度も踏みつける。その度にアーマーに火花が散り、炎竜もうめき声をあげる。

 

 「おし、まずは足から潰すか。」(ジャーク)

 

 ジャークはビルドドライバーのハンドルに手を掛ける。その時、突如塔の壁の一部が爆発、そこから黒い影が入ってきた。

 

 ≪ブラックドラゴンスカッシュ!≫

 「喰らえええええええええええええええええ!!」(???)

 

 その黒い影はジャークに向かって、飛び蹴りを放ちジャークを吹き飛ばした。

 

 「誰だ!俺の邪魔をしたのは!」(ジャーク)

 「この時を待っていた!お前を殺すこの時をな!!」(黒龍)

 

 姿を現したのは黒崎修羅=もう一人の大樹が変身した仮面ライダー黒龍だった。

 

 「随分と遅かったな。」(炎竜)

 「それよりもかなりボロボロだな。」(黒龍)

 「オーバーロードが変身したライダー相手ならまだ無事な方だ。」(炎竜)

 「お前は、あの時の。」(ジャーク)

 「俺としてはあんたはよく知っているがな。」(黒龍)

 「まさか、お前。大樹か?」(ジャーク)

 「あそこで気付けよ、クソ兄貴。」(黒龍)

 「なんで二人いる。お前は何者だよ。」(ジャーク)

 「答えるつもりはない、さっさと殺してやるよ。」(黒龍)

 

 殺気を漲らせながら、剣を構える黒龍。その黒龍の隣に立つ炎竜。そこから、炎竜と黒龍はジャークも驚くほどの連携を見せる。そして、塔の外では...。

 

 「あんたたちは。」(白銀)

 「初めましてね、織斑一夏。」(スコール)

 「スコール、オータム。」(ヴァルキリー)

 「ああ、結局あたしらも出張るのかよ。」(オータム)

 「彼女たちは...。」(箒)

 「元アメリカ代表スコール・ミューゼルに元アメリカ国家代表候補生オータム・ウィンチェスター。どうして、ここに。」(楯無)

 「私達の目的はあそこにいる柏葉勇吾よ。ここであなたたちに危害を加えるつもりはないわ。」(スコール)

 「今は味方、としてとらえて良いんだな。」(オーズNEO)

 「ええ。そう言う認識で構わないわ。」(スコール)

 

 お台場でガーゴイルインベスたちに奮闘していたオーズNEOたちの前にスコールとオータムが現れた。彼女たちはISではなく、黒色のボディにパイプなどのパーツが付いた銃でもってガーゴイルインベスたちを撃っていく。

 

 「さて、行きましょうかしら。」(スコール)

 ≪イフリート≫

 「それじゃあ、派手にぶっ飛ばしてやるよ!」(オータム)

 ≪タランチュラ≫

 「「蒸血。」」(スコール、オータム)

 

 二人は銃=トランススチームガンにイフリートフルボトル、タランチュラフルボトルをそれぞれセットし、引き金を引く。トランススチームガンの銃口から煙が大量に噴き出て、スコールとオータムの姿を隠す。そして、

 

 ≪ミストマッチ!イ、イ、イ、イフリート!ファイアー!≫

 ≪ミストマッチ!タ、タ、タ、タランチュラ!ファイアー!≫

 

 煙が晴れるとスコールは黄金に赤と炎を思わせるカラーリングのアーマーに炎状のパーツ、胸部にパイプのようなパーツに炎型のパーツが特徴の姿になっていた。一方のオータムは緑に金色というカラーリングにクモの足を思わせるパーツが背中から出ており胸部にはクモ型のパーツがある姿になっていた。

 

 「フレアミストレス、といったところかしらね。」(スコール)

 「おうら!スパイディアマゾネスだ!」(オータム)

 

 スコール=フレアミストレス、オータム=スパイディミストレスはガーゴイルインベスたちに向かって行き、その手、その足、アーマーに備えられた武器で次々と屠っていく。

 

 「おし、一夏と万夏ちゃんは向こうの塔へ行け。あそこには大樹もいる。ちゃんと助けてやれ。」(オーズNEO)

 「ああ!」(白銀)

 「ありがとう!」(ヴァルキリー)

 

 白銀とヴァルキリーは変身を解除、自分たちの専用機を展開して塔へと向かった。

 

 「よし、お嬢さん方は下がってくれ。ここからは大人が本気を出す。」(オーズNEO)

 「お兄さん、でも。」(箒)

 「ここから先はR指定だよ。箒ちゃんたちにはうちの嫁さんのバックアップを御願いするよ。それと、総仕上げの時には必要だから、皆には休憩してもらいたいからね。」(オーズNEO)

 「ですが...。」(楯無)

 「楯姉ちゃん。ここからは僕たちが本気で戦うから。出来れば遠くで待って居て欲しい。」(ロード)

 「颯斗...。」(簪)

 「ここまで来たら、突っ走らないとね。」(ロード)

 

 ロードは簪と楯無にそう優しく言う。

 

 「そうそう。皆は休憩してくれ。」(エグゼリオン)

 「はあ、分かったわよ。でも、必要な時には呼びなさいよ。」(鈴)

 

 エグゼリオンの言葉に鈴はため息をつく。

 ISに駆る彼女たちはそのままお台場を離れる。

 

 「まさか、亡国機業の二人が味方とはな。」(オーズNEO)

 「意外、かしら?」(フレアミストレス)

 「数年前はこうなるなんて予想しなかったからな。」(オーズNEO)

 「では、ダンスのお誘い、良いかしら?」(フレアミストレス)

 「断っておくよ。奥さんに悪いからな。」(オーズNEO)

 

 軽口を叩きながら、迫りくるガーゴイルインベスたちを倒していくオーズNEOとフレアミストレス。その近くではガーゴイルインベスたちを殴り飛ばしていくロードに、次々とカウンターを決めるエグゼリオン。糸で拘束しては他の群れに叩きつけると言った荒々しい戦いをするスパイディアマゾネス。

 戦いの流れは変わりだしていた。一方の塔の中の戦いは、

 

 「はあああ!」(炎竜)

 「喰らえええ!」(黒龍)

 「カスがああああ!!」(ジャーク)

 

 炎竜と黒龍の猛攻にそれまでは優勢だったジャークが追い詰めだされてきた。

 黒龍の荒々しい二刀流はジャークの装甲を次々と削っていく。薄くなった装甲に炎竜の攻撃が決まっていく。ジャークが反撃に転ずると黒龍か炎竜、どちらかがその攻め手を潰していく。炎竜一人を相手にしていた時とはうって違い、目に見えて追い詰められてきたジャーク。

 

 「こんなことがあってたまるかあああああああ!!」(ジャーク)

 ≪ギュインギュインギュインギュイン!タイガニックフィニッシュ!≫

 

 ジャークはハンドルを回して、全身に紫色のエネルギーを立ち込めさせる。

 

 「「これで終いだ。」」(炎竜、黒龍)

 ≪ロックオン!1,10,100,1000,10000。ドラゴンフルーツチャージ!≫

 ≪ロックオン!1,10,100,1000,10000.ブラックドラゴンチャージ!≫

 

 炎竜と黒龍は無双セイバーにロックシードをセットして、エネルギーを刀身にチャージする。そして、

 

 「死いいいいいいいいいいいいいねええええええええええええ!!!!!」(ジャーク)

 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」(炎竜)

 「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」(黒龍)

 

 ジャークの鋭い爪と炎竜と黒龍の刃がせめぎ合う。衝突する紫色のエネルギーと赤と黒が混じり合ったエネルギーはぶつかったところから衝撃波を発していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 塔の下層では到着した一夏とマドカが上の階を目指していた。幸いにも内部にインベスはおらず、彼らはこの塔の内部に入ってから順調に進み、先を急ぐことが出来た。その時、

 

 グワワワワン!

 

 「な!」(一夏)

 「キャッ!」(マドカ)」

 

 彼らが上る途中で塔が激しく揺れたのだ。揺れは一度では止まらずに何度も何度も起きた。

 

 「何が起きているんだよ!」(一夏)」

 「大樹...。」(マドカ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 「この俺が、この俺がああああああああああああああああああああ!!」(ジャーク)

 

 ジャークの爪は炎竜と黒龍の攻撃を受けて、その端から崩壊しだした。それと同時に一気に振り抜かれる炎竜と黒龍の無双セイバー。双刃はジャークの右手を破壊し、さらにはその胴へと深々と入った。

 

 「あり得ない!あり得ない!この俺が!オーバーロードとなった俺が、お前らのようなカスにいいいいいいいいい!!!!ああああああああああああああああああああああ!!」(ジャーク)

 

 ジャークは傷を抑え、断末魔の叫びをあげた。装甲が剥がれ落ち、中から醜い姿をさらして、倒れた。その様子を見ていた炎竜は肩で息をしながら、刃を納める。

 

 「終わったのか?」(炎竜)

 「確実にな、たぶん。」(黒龍)

 

 そして、黒龍も無双セイバーを納めていた。二人の前には兄、ではなく、ただの親戚筋だったが数年ほど家族として過ごした男の亡骸が横たわっていた。

 

 「予想したよりも何も感じないものだな。」(炎竜)

 「これで、もう終わったんだ。あとはこの塔を破壊すれば良い。」(黒龍)

 

 黒龍はそう言って、その場を離れようとした時だった。

 

 ≪オーバーホライズン!デスフィーバー!!≫

 

 突如として何かの音声が流れた。炎竜と黒龍はジャークの方へ振り向き、

 

 「GYUJGTGHJUAGHAUUQAAAA!!!!!!!」(ジャーク)

 

 死んだはずの、否、その命が終わったジャークはより歪な姿となり立ちあがったのだ。そして、

 

 ≪ギュインギュインギュインギュイン!タイガニックフィニッシュ!≫

 

 再生した右腕で黒龍を殴り飛ばしたのだ。さらに絶望は終わらなかった。

 

 「GIYYNNAYTHUHYRFTVYHJHAAAAAA!!!!」(ジャーク)

 

 ジャークは炎竜に向かって突進してきた。そのスピードは尋常ではなく炎竜も防御するタイミングを逃してしまい、

 

 バキャアアアアアアアアアン!!

 

 炎竜のロックシードと戦極ドライバーが破壊されてしまった。吹き飛んだ炎竜は転がり、変身が解除されてしまった。

 




 遂に激闘が終わる。遥かな世界より続いた戦いは思いを超えて、仲間たちの思いを受けて竜王の新たなる力となって宿る!

 「負けてたまるか!!」
 「今度こそ一緒に戦うって約束したじゃない!!」
 「デッドゾーンの向こう側まで付き合え!!」
 「超絶怒涛の達人プレー、見せてやるぜ!!」
 「うおおお、セイヤー!」




 「誰にだって、人の未来を奪う権利はない!」
 ≪ゴールドドラゴンアームズ!黄龍、アップ・ライジング!≫
 「この戦場、俺が、いや、俺たち仮面ライダーが勝ち取る!!」
 

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