IS×仮面ライダー 仮面ライダー炎竜   作:柏葉大樹

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 塔において激しい戦いを繰り広げるジャーク、炎竜。塔の外では仲間たちも無数のガーゴイルインベスを相手に戦っていた。彼らを救ったのは黒龍、スコールとオータムだった。形成を変えた炎竜と黒龍はジャークの撃破に成功。だが、大きなダメージを受けたジャークは歪な姿となって、炎竜のドライバーを破壊した。



仮面ライダー炎竜 第35話

side 大樹

 一瞬、何が起きたのかが分からなかった。死んだはずの兄貴が起き上がって、それから、あいつを殴り飛ばした。その直後、俺のところへ来たかと思った瞬間、空中を飛んでいた。俺の近くには戦極ドライバーとドラゴンフルーツロックシードの残骸が落ちていた。幸い、シークァーサーとパッションフルーツが残っている。戦うには、十分だ。

 

 「まだ、やれる。」(大樹)

 ≪シークァーサー!≫

 ジイイイイイイイイイイ

 

 俺はシークァーサーロックシードを開錠して、クラックから蒼雷杖を取り出す。

 

 「gjshujguduhajsioisjaokoa!!」(ジャーク)

 「もう、何を言ってんのか分かんねえよ!」(大樹)

 

 俺は持てる限りの力で兄貴に、ジャークに蒼雷杖を突き出していく。当然だが、並の人間の腕力では大した傷をつけることは叶わず、腕全体がしびれる感覚が広がるだけだ。そうなるって分かっていたし、そりゃ大した力もない人間の体でやれることはたかが知れている。それでも、

 

 「まだ、俺は戦える!」(大樹)

 ≪パッションフルーツ!≫

 

 俺は新たにパッションフレアカノンを召喚、とにかくジャークに弾丸を浴びせていく。もはや、仮面ライダーともオーバーロードとも言えない姿になったジャークにとっては大したものではないみたいで構わず俺に向かって腕を振り下ろしていく。俺はそれを辛くも避けていく。ここまで来て、変身が出来なくなったからといってあきらめる選択肢なんてない。

 

 「最後の最後まで戦ってやるよ!」(大樹)

 

 

 

 

 

side 修羅

 おかしい。あんなに立ち上がれる奴だったのか?あそこまで、戦える奴だったのか?同じ俺なのに...。正直、先程の一撃で体の何か所がやられた。その所為でこの戦いを続けることが出来なくなった。こうなれば冷静に考えれば、この場を撤退するのが最善だ。それなのに、変身することが出来なくなったのに、どうして...。

 

 「お前にそんな強さは無かったはずだ。どうしてお前が、そんな強い目をして、敵わないのを分かって戦うんだ?」(黒龍)

 

 何が違うんだ?俺とお前、何が?

 

 「「大樹!」」(一夏、マドカ)

 

 塔の下層から続く階段から一夏とマドカがやって来た。どうやら、ここに乗り込んできたらしいが。

 

 「大樹、今行くぞ!」(一夏)

 ≪シルバーエナジーアームズ!≫

 ≪マスケティアーオブサファイア!≫

 

 二人は変身すると勇吾の奴に向かって行く。当然だが、一夏とマドカの攻撃は変異した勇吾に通用しない。それでもなお、一夏もマドカ、そして、もう一人の俺も武器を振るう。

 

 「そいつらを守りたいんじゃないのか?どうして、一緒に戦っているんだ?」(黒龍)

 

 守りたいのなら、戦いの場にいなければいい。それなのに、どうして?その時のもう一人の俺の表情を見て、分かった。

 

 「そうか、守りたいからか。俺も、一夏も、マドカも。」(黒龍)

 

 それでやっと分かった。俺は勇吾への、兄貴への殺意で自分の弱さに、大切な人達を失うことからの恐怖から目を背けていたんだ。

 

 

 

 

 

 

side 三人称

 お台場での戦いは激しさを増すばかりだった。

 

 「うおおおおお!」(ロード)

 ≪急にデッドヒート!ハート!デッッッッッッッドゾーーーーーーーーーン!≫

 

 ロードは遂に切り札であるデッドゾーンを使用、体を赤熱化させて次々とガーゴイルインベスたちを撃破していく。

 

 「見せてやるぜ!ゲームスキルレベル5!大、大、大、大、大変身!」(エグゼリオン)

 ≪アガッチャ!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター、Z!≫

 

 エグゼリオンは飛彩から渡されたドラゴナイトハンターを使い、エグゼリオンハンターアクションゲーマーレベル5にレベルアップする。大幅に上がった攻撃力で上空からガーゴイルインベスたちを灰燼に帰す。

 

 「はあ、はあ、久しぶりにきついな。」(オーズNEO)

 

 そう言って、ドライバーのホルダーからメダルを出そうとするオーズNEO。だが、彼に複数のガーゴイルインベスが襲い掛かる。だが、

 

 「「トリガーフルバースト!」」(???)

 

 黄色と青色の光弾が次々とガーゴイルインベスたちに直撃、爆発四散する。そして、オーズNEOを救った人物は彼の隣に立った。その姿は右半身が黄色、左半身が青色という姿で普段であれば東京に姿を見せることは無い。

 

 「遅いですよ。」(オーズNEO)

 「ヒーローは遅れてやって来るってお約束だろ。」(W翔太郎)

 

 オーズNEOの言葉にそう言って答えるのは仮面ライダーWである。

 

 「例の彼はどこに?」(Wフィリップ)

 「向こうの塔で戦ってますよ。ああ、映司さんは?」(オーズNEO)

 「彼なら、別の塔の破壊に行っているよ。」(Wフィリップ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブラジルのリオデジャネイロに出現した塔から無数のガーゴイルインベスが出現、市民に襲い掛かろうとしていたが

 

 ≪ギン、ギン、ギン!ギガスキャン!≫

 

 市民たちのいる方から銀色の巨大な光弾がガーゴイルインベスたちを撃破していく。そこには真紅の不死鳥のごとき戦士、仮面ライダーオーズタジャドルコンボがいた。

 

 「正則君の頼み、何とか間に合った。」(オーズ)

 

 ガーゴイルインベスたちは同族を撃破した邪魔者を標的にしだす。だが、

 

 「ふん!はあああああ!!」(オーズ)

 

 オーズは背中から光の羽を生やし、それをガーゴイルインベスたちに向けて射出する。見る見るうちに数を減らしていくガーゴイルインベスたち。そして、王たる風格を纏い、オーズは助けを求める人たちの手を取るためにも塔へと向かって行く。そして、オーズ以外にも

 

 

 

 

 ≪ストレートフラッシュ!≫

 「ウェーイ!」(ブレイド)

 

 イギリスの塔には仮面ライダーブレイドキングフォームがその大剣を振るい、塔から出てきたガーゴイルインベスたちの半数を撃破する。

 

 

 

 ≪セルバースト!≫

 「おらおらおら!」(バース)

 

 アメリカに出現した塔では仮面ライダーバースがドリルアームを使い、ガーゴイルインベスたちごと塔を攻撃していた。

 

 

 

 ≪ハイー!ブドウスカッシュ!≫

 「はあああああああ!」(龍玄)

 

 北京の塔の内部では龍玄が次々とガーゴイルインベスたちを撃ち抜いていた。

 

 

 

 ≪クルミスカッシュ!≫

 「おおおおおおお!」(ナックル)

 

 シドニーの塔にはナックルがその鉄拳を叩きつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 「根回しをしておいて良かった。」(オーズNEO)

 「さあ、行くか。」(W翔太郎)

 「「さあ、お前の罪を数えろ!」」(W)

 

 Wはきめ台詞を決めるとメモリを変える。

 

 ≪ヒート!メタル!≫

 

 パワー特化型のヒートメタルとなり、メタルシャフトでガーゴイルインベスたちを打ち据えていく。

 

 「俺もコンボを一つ使うか。」(オーズNEO)

 ≪キン!キン!キン!ハヤブサ!フクロウ!ワシ!ヤーブフーシ!≫

 

 オーズNEOは全身が黄緑色の姿、ヤブフシコンボにコンボチェンジした。そして、背中からフクロウの翼を広げると、

 

 斬!斬!斬!

 

 手にヤブフシコンボのオーラングサークルと同じものが書かれた鋸、ヤブエッジを持ち、無音でガーゴイルインベスを切り裂いた。

 

 「受け売りだけどな、タイマン、張らせてもらうぞ!」(オーズNEO)

 

 

 

 

 「gukslhusjdhfiusfnsnaaaaa!!」(ジャーク)

 「これでも食らえ!」(白銀)

 ≪シルバーエナジースカッシュ!≫

 

 白銀は得意技であるバニシングスラッシュを発動、ジャークの肉体を切り付けていく。しかし、肥大化したジャークの肉体には深い傷は付かなった。ジャークはそのまま白銀を振り払う。剛腕で振り払われた白銀は大きく吹き飛ぶ。

 

 「兄さん!」(ヴァルキリー)

 「一夏!」(大樹)

 

 大樹とヴァルキリーはそれを見て駆け寄ろうとするが、その前にジャークが立ちはだかる。ジャークは肥大化した右腕でヴァルキリーを掴み、臀部から生えてきた強靭な尻尾で大樹を攻撃する。

 

 「マドカを、離しやがれ!クソ兄貴!」(大樹)

 

 大樹は攻撃をかいくぐり、蒼雷杖を右腕に叩きつける。当然ながら、その一撃はジャークにとっては痛くも痒くもないもので、大樹に尻尾を叩きつける。流石の大樹もこれを躱すことが出来ずに直撃を受けてしまった。大樹は血を吐きながらも蒼雷杖で体を支え、立ち上がろうとする。

 

 「だ、だい、き。」(ヴァルキリー)

 

 ヴァルキリーが苦悶の色を浮かべながら大樹の名を呼ぶ。大樹はその声を聴き、歯を食いしばりながら蒼雷杖を振るおうとした瞬間だった。

 

 ≪ブラックドラゴンスカッシュ!≫

 

 ジャークの右腕を幾度も高速で切り付けていく黒龍。その攻撃にヴァルキリーを離すジャーク。

 

 「だから、俺達は分かれたんだろうな。」(黒龍)

 

 黒龍はそう言うとヴァルキリーをいたわる大樹の前で変身を解除する。その素顔を見たヴァルキリーは驚きの反応を見せる。

 

 「正直、この体であいつを相手にするのはもう厳しい。だから、これを渡す。」(修羅)

 

 修羅は自身が使っていたドライバーを大樹に投げる。修羅が使っていたドライバーは大樹に近づくとそのまま大樹の腰に装着された。

 

 「あとは、頼んだぞ。」(修羅)

 

 修羅はそう言いながらブラックドラゴンフルーツロックシードを大樹に渡す。その直後、ジャークは修羅に剛腕を振るう。その一撃は寸分の狂いもなく修羅の肉体に当たり、修羅を吹き飛ばし、壁を突き抜けてはるか下の海へと没した。

 

 「もう、たくさんだ。誰かを失うのは。」(大樹)

 

 大樹は手の中のブラックドラゴンフルーツロックシードを見て、そう言った。

 ジャークはドライバーを起動させて、右腕をさらに肥大化させて、大樹とヴァルキリーに向けて振り下ろす。

 

 「もう、誰も失わせはしない!」(大樹)

 

 そう言葉を発した大樹の両目が金色に輝き、大樹はブラックドラゴンフルーツロックシードを握った右手でジャークにパンチを放つ。それは本来ならば何も起きることは無いはずだった。大樹の放ったパンチはジャークに当たると黄金の波動が周囲に広がり、ジャークからナイト、イリーナ、藤村を分離させた。そして、その波動を受けてブラックドラゴンフルーツロックシードの外装が剥がれ落ち、黄金に輝くドラゴンフルーツロックシードに変化した。

 

 「誰にだって人の未来を奪う権利はない!」(大樹)

 『ゴールドドラゴンフルーツ!』

 「だから、てめらは俺がぶっ潰す!変身!」(大樹)

 ≪ロックオン!ソイヤ!ゴールドドラゴンアームズ!黄龍、アップライジング!≫

 

 大樹は金色のロックシードをドライバーにセット、それによりドライバーのフェイスプレートが変化した。それから流れるようにカッティングブレードを下ろすと変化した音声が流れた。

 大樹の頭上にクラックが開かれ、そこから黄金に輝く鋼のドラゴンフルーツが出現。それはクラックから出現すると複数の鎧に分かれ、大樹の体へと装着される。それと同時に黒のアンダースーツと金色のナックルガード、フットアーマーが大樹の肉体を覆う。そして、大樹の顔を黄金の龍を模した仮面が覆った。その瞬間にその場をより強い黄金の波動が広がる。そこには幻影ながらも大樹が戦った世界の友たちが姿を一瞬見せた。彼らが消えるとそこには黄金の粒子が広がり...。

 

 

 

 

 

 

 「何これ?」(ロード)

 

 それはお台場で戦っている仲間たちへと届き、

 

 

 

 「これは一体?」(オーズ)

 

 ほかの塔で戦っているライダーたちにも届いていた。そして、それは...。

 

 

 

 

 

 

 

 「うおお!一気にライフゲージが回復する!」(エグゼリオン)

 「コンボの負担が嘘みたいだ。」(オーズNEO)

 「どうやら、これは僕たちにしか影響しない特殊な粒子みたいだ。」(Wフィリップ)

 「これのおかげで力がみなぎるんだ。一気に決めようぜ。」(W翔太郎)

 

 その場で戦う者達に力を与える。それは大樹の近くにいた白銀、ヴァルキリーも同様だった。

 

 「すげえ、力がみなぎる!」(白銀)

 「この光、あったかい。」(ヴァルキリー)

 

 彼らの傷をいやしていく。その光の影響は大樹たちの相手をしていた彼らにも及ぼしていた。

 

 「何よ、これ。力が抜けていく。」(イリーナ)

 「まともに動くことも厳しいじゃねえか。」(藤村)

 「なんなんだ、一体?」(ナイト)

 

 ナイト、イリーナ、藤村は光を浴びた途端に弱弱しい様子を見せる。そして、

 

 「hhsuhsugdsjbsyaaaaaアアアアあああああ!」(ジャーク)

 

 先程まで歪な姿をしていたジャークの姿を元に戻したのだった。

 

 (このくらいしか出来ないが、頑張ってくれ。)(Aラウラ)

 (僕たちの分も幸せにならなきゃダメだよ。)(Aシャルロット)

 (柏葉さん、どうか胸を張って生きてください。)(Aセシリア)

 (あんた、あの子のことをしっかり幸せにしなさいよ。)(A鈴)

 (こっちの私にもよろしくね。)(A簪)

 (お姉さんを少しは頼りなさい!)(A楯無)

 (柏葉、負けたらただじゃ置かないぞ!)(A箒)

 (勝てよ、親友!)(A一夏)

 

 幻影は消える前に大樹に言葉を交わしていく。そして、全てが終わると大樹の仮面の目が黄金に光り、角が二本から6本に展開した。炎を纏いし竜は光り輝く龍へと生まれ変わる。仮面ライダー炎竜、改め仮面ライダー輝龍、ここに見参!

 

 「何をしやがった!」(ジャーク)

 「俺の仲間たちからの置き土産だ。さあ、最後の戦いとしようぜ。」(輝龍)

 「ナイト!クイーン!やれ!」(ジャーク)

 

 ジャークの呼びかけにナイトとイリーナはオーバーロードへと変貌、漆黒の人狼のナイトと黒死の人鳥のイリーナが輝龍に襲い掛かる。だが、回復した白銀とヴァルキリーが彼らに立ちふさがる。

 

 「「お前の、(あんたの)相手は俺だ!(私よ!)」」(白銀、ヴァルキリー)

 「良いだろう、先にお前からだ!」(ナイト)

 「キングに無礼を働いたお前はここで殺す!!」(イリーナ)

 

 ナイトもイリーナも自身の相手となる二人に殺気を向ける。

 

 「キング、俺は退かせてもらうぞ。そんな、本気の奴らを相手に出来るタイプじゃないからな。」(藤村)

 「勝手にしろ。お前には期待していないからな。」(ジャーク)

 

 そして、後方にいたビショップは地面に座りながら瞬時に姿を消した。輝龍はそれを一瞬追おうとするが、目の前にいるジャークを見て、踏みとどまる。

 

 「絶対にお前を殺す!肉の一片でさえも消し去ってなあ!」(ジャーク)

 「この戦場、俺が、いや、俺たち仮面ライダーが勝ち取る!」(輝龍)

 

 輝龍は諸刃の長剣、光龍剣を構える。遥かな世界から続く因縁に終止符が打たれようとしていた。

 

 

 

 

 

 「さあ、来い!この俺を楽しませろ!」(ナイト)

 「負けてたまるか!」(白銀)

 ≪シャイニングエナジーアームズ!Light Wing!Light Wing!Lalalalalalalight!≫

 

 白銀は強化形態のシャイニングエナジーアームズにアームズチェンジし、ナイトに果敢に立ち向かっていく。

 

 「ほう、少しはやるようになったようだな。」(ナイト)

 「俺だって強くなったんだ!見せてやるぜ!」(白銀)

 

 白銀は全身を輝かせ、超高速の斬撃を幾度も繰り出していく。ナイトもそれに対応するが黄金の光を受けて思うように力が出ないようである。既にいくつかの斬撃はナイトの体に傷をつけていた。

 

 「俺には守りたいものがある。守るべきもののないお前に負けはしない!」(白銀)

 「良いだろう。見せてみろ、お前の力を!」(ナイト)

 

 ナイトはそう言って、自身の持つ剣に漆黒の靄状のエネルギーを纏わせる。

 

 「行くぜ!」(白銀)

 ≪ロックオン!シルバーチャージ!≫

 ≪シャイニングエナジースパーキング!≫

 

 白銀はバニシングブレードにシルバーエナジーロックシードをセット、さらにゲネシスドライバーのシーボルコンプレッサーを二回押し込む。バニシングブレードに銀色と白色のエネルギーが纏われていく。そして、ナイトと白銀は互いに走り出し、交差する一閃!互いに得物を振りぬき、そして、

 

 ヒュンヒュンヒュン、カ―――――ン!

 

 甲高い音を立てて、半ばから折れた刃が床に刺さる。

 

 「なる程な。なかなか楽しかったぞ。」(ナイト)

 

 ナイトの体には銀色と白色の光が漏れる横なぎの傷があった。ナイトはそう言い残し、その傷から白銀色のリンゴのオーラに覆われ、爆発四散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「死になさい!」(イリーナ)

 「死ねないっての!」(ヴァルキリー)

 

 イリーナとヴァルキリーの戦いはとにかく激しいの一言だった。イリーナは強烈な衝撃波となっている自身の声をヴァルキリーに発していく。それをヴァルキリーはブルーベリーアームズの特徴である軽装の鎧という点を生かし、躱しながらブルーライフルでイリーナを撃ち抜いていく。

 

 「あんな男のために戦うなんてあなたも愚かね。あんな大したこともできない男に何の価値があるのかしら。」(イリーナ)

 

 イリーナは相手の隙を引き出すためにヴァルキリーの最愛の人をけなしだす。普通の相手ならばそれでよかっただろう。だが、それは今の相手には逆効果だった。

 

 「ふざけんじゃないわよ!惚れた相手のために戦うなんてね、それだけで十分なのよ!!」(ヴァルキリー)

 

 ヴァルキリーは烈火のごとき怒りを露わにし、ブルーライフルでイリーナを滅多撃ちする。イリーナも応戦するものの、ヴァルキリーはイリーナの衝撃波を銃撃で無効化しながらイリーナを撃ちまくるという荒業をやってのけ、追い詰めていた。

 

 「一言言わせてもらうけどね!あんた、男を見る眼が無さすぎよ!」(ヴァルキリー)

 ≪ブルーベリースパーキング!≫

 

 ヴァルキリーはドライバーを操作し、ブルーライフルの銃口にエネルギーを集中させる。限界まで集中させたエネルギーはブルーライフルの銃口から中へと入り、ヴァルキリーは引き金を引いた。

 

 「喰らってろ、クソアマ!」(ヴァルキリー)

 

 ブルーライフルの銃口からは極太の青い光線が発射され、イリーナを一瞬のうちに飲み込んだ。イリーナは跡形もなく消え去り、塔の上部は吹き飛んでいた。

 

 「私の彼を侮辱するのは誰だって許しはしない。」(ヴァルキリー)

 

 恋する乙女は強いが、ここまでの強さを見せるのは彼女だけだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キン!キン!ガキン!

 

 そして、輝龍は光龍剣を振るいジャークのアーマーを先程とは違って容易く切り裂いていく。だが、ジャークもそう容易くはなすがままにされるわけではなく、輝龍の隙を突いてその鋭い爪を振るう。だが、それも光龍剣を振るうことで防ぐどころか爪をボロボロにしていく輝龍。そして、輝龍は元々持っていたロックシードが変化した青色のロックシードを手に持つ。

 

 『ストームライム!』

 ≪ソイヤ!ストームライムアームズ!蒼嵐、ボルテックス!≫

 

 輝龍は金色のゴールドドラゴンアームズから青色のストームライムアームズへとアームズチェンジ、双刃の槍であるストームランスを構え、青き疾風を纏いながらジャークに次々と切り裂いていく。

 

 「ぐっ!お前!」(ジャーク)

 「まだだっての!」(輝龍)

 ≪ソイヤ!ストームライムスカッシュ!≫

 

 輝龍はストームランスを頭上で高速で回転させていき、自身の周りに強烈な突風を発生させる。その突風によって徐々に輝龍の方へと引き寄せられるジャーク。そして、必殺の間合いに入ったその瞬間。

 

 ザン!ザン!ザン!ザン!

 

 すれ違いざまに輝龍がジャークの体を幾度も切り裂いた。ジャークの体には正面にも背中にも切られた跡がはっきりとあった。

 

 「ふざけやがって!」(ジャーク)

 ≪ギュインギュインギュインギュイン。タイガニックフィニッシュ!≫

 

 ジャークは斬られた傷を抑えながら、ビルドドライバーのハンドルを回す。紫色のエネルギーを帯びた両手を振るい、爪型の巨大な斬撃を繰り出す。輝龍は敏捷性を生かして、それを容易く躱していく。そして、躱す中でロックシードを取り換えた。

 

 『フレイムカキ!』

 ≪ソイヤ!フレイムカキアームズ!爆炎、ブレイズアウト!≫

 

 赤色のフレイムカキアームズは2丁の銃、フレイムシューターを構え、ジャークの斬撃を次々と炎の弾丸で撃ち抜いていく。輝龍はフレイムシューターを合体させて大型銃へと変形、ドライバーを操作した。

 

 ≪ソイヤ!フレイムカキオーレ!≫

 

 銃口に炎が集まっていき、それは巨大な炎の弾丸となる。引き金を引き、発射。斬撃を破壊しながらジャークへと向かって行く。ジャークは攻撃をするのに気が向いていたため気付いた時には避ける余裕もない程に近づいていた。

 

 「ぎゃああああああああ!」(ジャーク)

 

 ジャークが床の上で転がる中、輝龍はゴールドドラゴンアームズへと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 塔の外の戦いも大詰めを迎えていた。援軍であるフレアミストレスとスパイディアマゾネス、仮面ライダーWの助力によって、無数にいたガーゴイルインベスたちを半数近くまで追い詰めた。

 

 「デッドゾーンの向こう側まで付き合え!」(ロード)

 「超絶怒涛の達人プレー、見せてやるぜ!」(エグゼリオン)

 ≪ヒッサーツ、フルスロットル!デッドヒート、ハート!≫

 ≪キメワザ!ドラゴナイトクリティカルフィニッシュ!≫

 

 ロードは赤熱化した体を輝かせ、必殺キック、デッドゾーンスマッシュを放った。

 エグゼリオンは空中から斬撃、銃撃、火炎と激しい攻撃を放っていく。

 

 「男の子は優雅にすることが出来ないのかしらね。」(フレアミストレス)

 「ここまで減ったら、一気に追い詰めてやるぜ!」(スパイディアマゾネス)

 ≪スチームブレイク!イフリート!≫

 ≪スチームブレイク!タランチュラ!≫

 

 フレアミストレスとスパイディアマゾネスはトランススチームガンにセットされているボトルを一度取り外し、再度セット、必殺の光弾の放っていく。

 

 「さて、こいつで決めるぜ!」(W翔太郎)

 ≪ジョーカー!マキシマムドライブ!≫

 「「ジョーカーエクストリーム!」」(W)

 

 Wはサイクロンジョーカーの必殺技、ジョーカーエクストリームを放つ。

 

 「さあ、終わりだ!」(オーズNEO)

 ≪ハヤブサ!フクロウ!ワシ!ギン!ギン!ギン!ギガスキャン!≫

 

 オーズNEOはヤブエッジにハヤブサメダル、フクロウメダル、ワシメダルをセット、オースキャナーNEOでメダルをスキャンして必殺技を放つ。メダルをセットした部分から黄緑色ののこぎり状のエネルギーが発生、それはオーズNEOの頭上で高速で回転し、オーズNEOは振り上げたヤブエッジを勢いよく振り下ろす。

 

 「はああ、せいやー!」(オーズNEO)

 

 ヤブエッジが振り下ろされ、黄緑色のエネルギーはガーゴイルインベスたちに向かって行く。彼らの攻撃を受けて、やっと全てのカーゴイルインベスが消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 リオデジャネイロの塔の上空ではオーズタジャドルコンボがついに必殺技を発動した。

 

 ≪キン!キン!キン!スキャニングチャージ!≫

 「セイヤー!」(オーズ)

 

 高所から放つ必殺キック、プロミネンスドロップが漆黒の塔を崩壊させていく。

 

 

 

 

 

 イギリスのブレイドも最強の一撃を放とうとしていた。

 

 ≪♠10!♠J!♠Q!♠K!♠A!ロイヤルストレートフラッシュ!≫

 

 キングラウザーに5枚のラウズカードを読み込ませ、体のアンデッドクレストからエネルギーをキングラウザーへ伝わらせる。

 

 「ウェーイ!」(ブレイド)

 

 ブレイド最強の技、ロイヤルストレートフラッシュが漆黒の塔を跡形もなく吹き飛ばした。

 

 

 

 「よっしゃ!行くぜ!」(バース)

 ≪ブレストキャノン!キャタピラレッグ!カッターウィング!クレーンアーム!ドリルアーム!ショベルアーム!≫

 

 アメリカのバースは全武装を装備、バースデイとなった。そして、ブレストキャノンの砲口から極大のレーザーが放たれた。

 

 「ブレストキャノン、シュート!」(バース)

 

 

 

 シドニーのナックルはジンバーマロンアームズとなり、灼熱の鉄拳を振るっていた。

 

 「おら!これで最後だ!」(ナックル)

 ≪クルミスカッシュ!ジンバーマロンスカッシュ!≫

 

 ナックルはドライバーを操作した後、飛び上がり複数のガーゴイルインベスを巻き込みながら塔の床をぶち抜いていく。

 

 

 

 「これで決める!」(龍玄)

 ≪ブドウスカッシュ!ドラゴンチャージ!≫

 

 龍玄ジンバードラゴンフルーツアームズはソニックアローにドラゴンフルーツエナジーロックシードをセット、ドライバーを操作してソニックアローの弦を引く。ソニックアローから放たれた矢は二頭の龍となって塔を撃ち抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんな、全ての塔が...俺の計画が...。」(ジャーク)

 

 東京のジャークにはセットされた全ての塔の破壊が伝わる。輝龍はそれが誰かが尽力してくれたということに気付き、ジャークに向かって口を開く。

 

 「この世界を守ろうとする人たちがいる。彼らがいる限り、あんたの計画は絶対に成功しない。そして、あんたに二度目はない!」(輝龍)

 「ふざけるな!一度ならず二度も邪魔しやがって!ぶっ殺す!」(ジャーク)

 ≪ギュインギュインギュインギュイン!タイガニックフィニッシュ!≫

 「行くぞ。」(輝龍)

 ≪ソイヤ!ゴールドドラゴンスパーキング!≫

 

 ジャークの体から紫色の虎のオーラが、輝龍の体には金色の西洋のドラゴンのオーラが出現。そのオーラは空中へと飛び上がり激突した。そして、それに習うかのように輝龍とジャークも飛び上がる。空中の一点に来た時、輝龍もジャークもライダーキックを放った。空中でぶつかる両者、一瞬に均衡は即座に崩れた。ジャークのライダーキックは軌道がそれ、輝龍に当たることは無く、輝龍のライダーキックはそのままジャークのがら空きの胴体へと吸い込まれように直撃した。

 

 「ああああああああああああああああああああああああああ!」(ジャーク)

 

 ジャークはそのまま外へと放り出され、胸部から打ち込まれたエネルギーが全身に駆け巡っているのを感じていた。

 

 「嘘だ!嘘だ!こんなことはあり得ない!この俺があああああああああ、ああああああああああああああああああああああああああ!!」(ジャーク)

 

 ジャークの全身にエネルギーが走り、空中で大爆発を起こした。輝龍はジャークが爆発を起こした場所を見ることなく、背中を向けて歩き出す。

 

 「「大樹!」」(一夏、マドカ)

 

 輝龍の視線の先には激闘を終えた二人が待っていた。輝龍はそのまま変身を解いた。

 

 「ごめん。勝手に一人で行って。」(大樹)

 

 大樹は二人に謝罪の言葉を述べる。それに対して、一夏はほっとしたような表情を浮かべるがマドカは大樹の頬を思い切りひっぱたいた。大樹は打たれた頬に手をやるが、マドカは今度は逆の方の頬を打つ。その眼に涙を浮かべながら大樹の胸ぐらをつかみ、

 

 「一緒に戦うって約束したじゃない!」(マドカ)

 

 と言った。この戦いで最も心中穏やかでは無かったのだ。それを考えれば、大樹も自身がした行為が前の世界で彼女にしたことと何ら変わりはしないこともよく分かっていた。

 

 「約束しておいて破らないで!」(マドカ)

 「分かった。もう、金輪際しない。本当に。」(大樹)

 「心配したんだよ...。」(マドカ)

 

 大樹の胸の中で泣き出すマドカ。大樹はマドカを抱きしめてそれに応える。

 

 「やっと、終わった。失ったものもいっぱいある。それでも、やっとね。」(大樹)

 「うん、うん、うん。」(マドカ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はあ、生き残ったか。」(修羅)

 

 お台場のふ頭、そこに海に落ちた修羅がいた。見たところ、修羅も無事であるようだ。

 

 「こんな俺に後は何をしろってのかね。」(修羅)

 「それじゃ、私達と一緒に来るしかないわね。」(スコール)

 

 修羅の後ろにスコールとオータムがいた。

 

 「いやいや、あんたらと行動するのは兄貴を殺すまでだ。もう、一緒に行動をすることもないだろ。」(修羅)

 「あなたの様子を見ると、あなたは殺していないでしょ。」(スコール)

 「でも、死んだぞ、あいつ。」(修羅)

 「お前が殺していないなら、私らがお前を手放すわけがないだろ。」(オータム)

 「おいおい、聞いていないぞ。」(修羅)

 「それはそうよ。そもそも、私達の仲間になった時点ですぐに抜けられるとでも?それに、今のあなたはISだけしかない。そんなあなたを抑えるのは簡単よ。」(スコール)

 

 修羅はスコールの言葉を、その裏にある真意を見出す。そして、諦めたように溜息を吐いた。

 

 「物好きだな。」(修羅)

 「ええ、そうよ。だから、来なさい。」(スコール)

 

 そう言ったスコールは回れ右をして歩き出す。それにオータムも習う。

 

 「思っていたよりもお人よしだな、あんたら。」(修羅)

 

 修羅は空を見上げては立ち上がり、スコールとオータムの後を追う。

 

 

 

 

 

 激戦を制した面々はその場でへたり込んでいた。

 

 「来ないかね。」(陸)

 「あ、来た!」(颯斗)

 「大樹の奴、ボロボロだな。」(正則)

 

 彼らの視線には戦いを終えた大樹たちが写る。一夏が先行する中で並んで飛ぶ大樹とマドカの様子を見て、全てが終わったことを知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 神

 いや~、倒してしまったか。これじゃ、もうあいつを使って遊ぶこともできないか。なかなかいい玩具だったんだけどな。

 

 「いや、まさか奇跡を起こすとは。まだまだ楽しまてくれよ、柏葉大樹。」(神)

 

 そして、私は柏葉大樹の運命を書き換えようとした。

 

 「お前はもう死ね。」(???)

 

 私の後ろに誰かが言葉を放った。その瞬間、体に違和感を覚える。

 

 

 

side 3人称

 大樹を転生させた神の体を歪な刃が貫いていた。

 

 「お、お前は!」(神)

 ≪ビーストドラゴンフルーツスカッシュ!≫

 

 腰にあるものを操作すると神の肉体が燃え上がる。

 

 「いや。よくやったよくやった。これで俺の計画も滞りなく進められる。」(藤村)

 

 神を殺したものはまるで獣人だったがその姿は洗練されていてどこか神々しさがあった。そして、彼に話しかけるのは戦いの場を逃げた藤村だった。

 

 「さあ、来い!異世界の王たちよ!」(藤村)

 

 藤村がそう叫ぶとクラックが出現、そこからは姿かたちがバラバラな異形たちが出てくる。彼らが出てきた後、藤村は自分の顔の皮を引きちぎっていく。そこから現れたのは骸骨の異形、鎧武とアーマードライダーたちによって倒されたはずの魔蛇だった。

 

 「さあ、未来を失いし異世界の覇権を握った王たちよ!滅びゆく定めのお前たちに問おう!未来が欲しいか!ならば、俺が与えるのは新たな可能性だ!今から1年後、お前たちの世界が滅んだ後にあの世界を、ヘルヘイムの進化を選ばなかったあの世界において、競い合え!そこで勝ち残ったものに全ての可能性を、数多ある平行世界を手にする力をやろう!」(魔蛇)

 

 魔蛇の言葉に様々な反応を見せる異形たち。そう、ここからが新たな終わりの始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS×仮面ライダー 仮面ライダー炎竜 第1部仮面ライダー炎竜編 完

 

 

 





活動報告にて、今後の仮面ライダー炎竜について説明があります。どうぞ、そちらもお読みください。

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