side 大樹
俺の前に仮面ライダー龍玄、呉島光実と仮面ライダーナックル、ザックが居た。俺の記憶とは違い、二人とも年を取っており、外見からは30代ほどに見える。その二人がなぜここにいるのか、俺にとっては全く見当も着かないがこの二人が俺に要件があることだけは分かる。
「それは、、、、。」(大樹)
だが、ドライバーやロックシードをなぜ俺が使い方を熟知しているのか、それはあの戦いを潜り抜けたこの二人ですら理解が及ばないものだろう。いったい誰が前世でも使ったことがあリそれで使い方を学んだなどと信じることが出来るだろうか。何も知らなかったただの大学生だった俺ですら信じられないだろう。
「待ってよ。いきなり来て、知ってることを話せってちょっと横暴じゃないかな。」(束)
束姉ちゃんが二人に対して言い放った。その顔は前世の天災篠ノ之束を彷彿させた。
「この子はね、10年前に家族を亡くしているんだよ。それでも、周りにいる私たちに心配をかけさせまいと頑張っている優しい子なんだよ。この子のことを知りもしない君たちがいきなり、問い詰めるなんて何様。」(束)
言葉の節々から光実とザックに対する怒りの感情が現れている。その言葉から俺のことをいたわる優しさが窺い知れる。よく見れば正則さんも二人に対して怒りの表情を見せている。
二人はどうしたものかと困惑していた。
「いや、僕たちはただ彼の事情を把握しようと。」(光実)
「おい、ミッチー。ここは出直した方が良いと思うが。」(ザック)
光実が弁明しようしたところ、ザックが引き上げることを提案した。
「誤解がある出会い方ですまない。なにも俺たちはそいつを警察に突き出すつもりはない。こっちでも調べられることは全て調べたうえでここに来ているんだ。」(ザック)
ザックはここまでの非礼を詫びて頭を下げた。
その行動に光実も頭を下げる。
束姉ちゃんと正則さんはどうするか目配せしている。
「俺について調べているって、どういうことなんですか?」(大樹)
俺は目の前で頭を下げている二人に問い掛ける。
束姉ちゃんと正則さんに目配せして、ここは話させてほしいという意思を伝える。二人は何か言いたげだったが俺の意思を尊重してくれた。
「僕たちが沢芽市から来たことはさっきも言ったとおりだ。実は柏葉博士、君の御両親はユグドラシルでヘルヘイムに関する研究していたんだ。」(光実)
と光実が言った。
「俺の両親は沢芽市に住んでいたんですか?」(大樹)
「ああ。ヘルヘイムについては?」(光実)
「父と母から聞いたことはないです。」(大樹)
「君の御両親はヘルヘイムにある植物を分析して、それらから得られる物質を難病の治療に役立てようとしていたんだ。」(光実)
「どうして、それが実現しなかったんですか。」(大樹)
「結局、人類の生存を優先されて研究は途中で打ち止めになったんだ。インベス化した動物を元に戻す、ヘルヘイム植物が発芽して激痛に見舞われるヘルヘイム症の治療も目指していたらしい。実現していたら、あの当時の状況は大幅に変わっていたと思う。」(光実)
「父と母のその後は?俺はこの街に来てからのことしか知らなくて。」(大樹)
「君のお兄さんと幼い君を連れて沢芽市を出たよ。その後、この街に来たようだ。おそらく、博士たちの研究はここでも続けたのだと思う。」(光実)
「どうして、続けていたんだって思うんですか?」(大樹)
「続ける理由があったからだよ。幼い君は不治の病に侵されていて、5歳までしか生きられなかったはずだから。」(光実)
その言葉は全く信じられなかった。今の俺は全くの健康体でそんな大病に掛かっていたことが信じられない。
「証拠は?」(大樹)
「これは当時の沢芽市の病院にあったカルテだ。」(ザック)
ザックが俺のカルテを出した。
そのカルテには俺の名前、当時の年齢、居住地が書かれてあった。そして、目のつく場所に聞き覚えの無い病名が書かれてあった。その症状は体の細胞が急速に壊死していき、発症後数年で最終的には全身の機能不全に陥るというものだった。完全に根治するすることは不可能で、出来ることは毎日、襲い来る激痛を鎮痛剤で静めるというもの。俺の場合は2歳の時に発症、それから急速に病状が進み、このカルテの時点では安楽死の選択もあったみたいだ。
「父と母の研究は、もしかして、、、。」(大樹)
「君のお母さんは元々、病理学者だったんだ。その中で君が発症した病気も知っていたし、過去に他に患者とも接していたみたいだ。お父さんは生物学と考古学の博士号を持っている人物で彼も医療目的の利用を考えていたようだ。」(光実)
俺の両親の研究は大勢の苦しんでいる人々を救うためのものだった。
「二人が沢芽市を出たのはユグドラシル関係者に知られず、俺の病気の治療するため。」(大樹)
そして、俺の命を救うためだった。
side 光実
正直、彼には衝撃の強い話だったろう。僕とザックは柏葉博士の殺人事件について調べていく中で息子の大樹君が不治の病に侵されており、夫妻が彼の治療のために各地に残っていたヘルヘイム植物のサンプルを研究していたことを知った。最初、僕らは彼がオーバーロードになっていることを考慮していたが彼が普通の中学生と変わらない生活をしていたことを知って、博士たちのこと二、三聞いて終わるつもりだった。だが、彼は今は僕たちしか持っていない戦極ドライバーと新型のロックシードを持っているだけでなく、それを使いこなし、インベスを容易く倒した。その理由を知るためだったがあのISの生みの親である篠ノ之博士と博士のパートナーである岩城博士が僕たちの態度に反発してしまった。ザックが頭を下げていなかったら、少しも要件を話すことが出来ずに立ち去ることになっていただろう。目の前の彼は年相応に戸惑っているのだろう。
「ミッチー、本部から連絡が来ている。」(ザック)
ザックが僕たちが今所属している組織の本部から連絡が来ていることを知らせてくれた。
「僕が応対するから、あとは頼む。」(光実)
僕はこの場を離れ、本部からの連絡を確認する。
「こちら光実。」(光実)
「ミッチー、その近辺にインベスの反応が。」
「それはどこ?」(光実)
「そこから離れた場所、今情報をそっちに。」
僕の端末に、インベスの現在地が表示された。
「ザック、インベスが現れた。」(光実)
「まじか、場所は?」(ザック)
「ここからほど近いショッピングモール。すみません、僕たちはここで。」(光実)
僕たちはロックビークルを取り出し、インベスの現れた場所に向かう。
side大樹
俺はここまでで分かったことを元に情報を整理していた。あそこの研究所は俺の病気の治療に使っていたのだろう。そして、地下室で見たイメージは俺の治療現場だろう。
仮面ライダー鎧武の登場人物が二人がいる、このことからこの世界はISと仮面ライダーの世界が複合した世界だということが予想される。
俺の体は病気の根治により、年相応の健康な肉体になっている。また、ヘルヘイム由来の物質による変貌は今のところは見られない。父さんと母さんの研究の詳細を知ること、そして、鎧武に関係する仮面ライダー、他の仮面ライダーも存在しているか、今後はこれらを調べるべきだと結論が頭の中で出たとき、光実とザックの会話が聞こえた。どうやら、ショッピングモールにインベスが出てきたらしい。二人はそのまま、ロックビークルで現場に向かった。俺はそれと同時にマドカに電話を掛ける。今朝、鈴と弾の妹の蘭、一夏と弾と共に買い物に行くと言っていた。
「頼むから早く出ろよ。」(大樹)
俺の中で最悪のイメージがよぎる。結局、出ることは無かった。
「束姉ちゃん、俺、ショッピングモールに行ってくる。マドカたちが危ない。」(大樹)
俺はドライバーとロックシードを持って、向かおうとする。
「待って、大樹。すぐに送るよ。」(正則)
「束姉ちゃん、詳しいことは後で話すから。」(大樹)
「大くん、気を付けてね。」(束)
俺は束姉ちゃんのその言葉にうなずく。俺と正則さんは即座に車に乗り込み、現場に向かった。
side 万夏
私はこれまでの人生を振り返っていた。正直、体が弱く、あまり友達は多い方じゃなかった。千冬姉さんの妹というだけイジメてくる人たちが多かった。いつも、一夏兄さん、箒に守られてばかりだった。そんな私の前に現れた彼は今まで出会った人たちとは違った。私以上に苦しい思いをしてきた彼はそれをおくびに出さず、私にいつも楽しい話をしてくれていた。剣の実力はお世辞にも上手いとは言えないけど、誰よりも努力していた。彼のお父さんとお母さんが死んだのに悲しいそぶりを見せずに明るく振舞っていた。いつのまにか私の中で彼はただの友達から好きな人に変わっていった。その彼が今まで見せなかった姿を見せた。私は初めて見るはずのその姿に懐かしさを感じた。それと同時にまたと思ってしまった。また、彼が一人で行ってしまうと思った。その時だけはまるで、私の中の別の人がいるように感じた。でも、これだけ、考えても私が今、一番居て欲しいのは彼だった。こんな怪物に囲まれて死ぬなんて、
「マドカ!」(大樹)
私の目の前に彼が、大ちゃんが来てくれた。
side 大樹
俺は間一髪、インベスに囲まれていたマドカを助けることが出来た。
「マドカ、大丈夫か!」(大樹)
「大ちゃん。」(万夏)
こういう時が一番嫌になる。護ると決めておきながら不要に怖がらせてしまった時が。
ショッピングモール内は兵隊アリの特性をもつアリインベスで一杯だった。
「マドカ、ここは危ない。一夏たちは外にいる。一夏たちの所に行こう。」(大樹)
「うん。」(万夏)
俺は周囲のアリインベスの配置を見て店の中を突っ切ることは難しいと分かった。外では光実とザックが変身して中に封じ込めているがこの数ではいずれ突破される。俺のやるべきことはマドカを安全な場所まで送り、この大量のインベスどもを一掃することだ。
「マドカ、バックヤードから出よう。正面玄関は今、あいつらが集中しているから出られない。俺から離れないで。分かった?」(大樹)
「分かった。」(万夏)
俺はマドカを連れ、バックヤードに入った。バックヤードから外の搬入口は大した距離ではない。正面玄関に集中しているため、インベスの数も少なかった。
俺とマドカは無事に外に出れた。
「万夏!大樹!」(一夏)
一夏たちが俺を見つけた。
「皆、俺、ちょっと行ってくる。」(大樹)
皆と合流した俺は正面玄関で戦っている龍玄とナックルを見る。
「どこに行くっていうのよ。」(鈴)
鈴が言った。
「中の様子じゃ、封じ込めも長くはもたない。」(大樹)
「でも、なんで大樹が行くんだよ。」(弾)
弾が俺に言う。
「すぐに終わらせる。」(大樹)
俺は皆にそう言って、正面玄関で戦っている二人の下へ走る。
ドライバーを腰に当て、ロックシードを開錠する。
「変身!」(大樹)
俺は仮面ライダーに変身すると正面玄関に集中しているアリインベス数体を竜炎刀で切り伏せる。
龍玄とナックルは多少驚いていたが
「君は味方ということでいいんだね。」(龍玄)
「あなた方の知りたいことはその内、話します。今はこのくそったれな害虫どもを駆除するのが先です。」(炎竜)
「で、大丈夫なのか。体は?」(ナックル)
「平気です。今の所は。」(炎竜)
「君は良いのかい、この力は、、、。」(龍玄)
「俺はとっくに覚悟は決まってます。それに俺にとって重要なのは大切な人達を護ること、世界を護るなんて大それたことは言えないです。」(炎竜)
「、、、そうか。」(龍玄)
「気に入ったぜ、そういや、自己紹介はまだだったな、俺はザック、アーマードライダーナックルだ。」(ナックル)
「僕は呉島光実、アーマードライダー龍玄。よろしく。」(龍玄)
「俺は柏葉大樹、アーマードライダー、いや仮面ライダー炎竜。先輩方、お力お借りします。」(炎竜)
俺たちはそれぞれの武器を構えて、アリインベスの大群の中に飛び込む。
side 3人称
三者三様の戦い方で彼らはアリインベスを倒していく。
龍玄は自身のアームズウェポンであるブドウ龍砲で近づいてくるアリインベスを倒していく。
ナックルは勇猛果敢に群れの中に飛び込み、手あたり次第殴り倒していく。
炎竜は一撃必殺の太刀で一太刀で数匹をまとめて倒していく。それだけでなく、竜炎刀で突く、無双セイバーで別方向から来るインベスを打ち抜く、剣の柄で殴る、蹴り上げて、一刀両断にするなど荒々しい戦い方で着実に数を減らしていく。
龍玄とナックルはあの激戦を潜り抜けただけでなくその後に語られることは無かったが様々な敵と戦ってきたのだ。炎竜はここではないがそれなりにインベスをはじめとして多くの敵と戦ってきた。その彼らですら、今ショッピングモールを占拠しているアリインベスには手を焼いている。一体一体の強さは大したことはないが数が非常に多いのだ。
「ミッチー!このままじゃ埒が明かない!」(ナックル)
ナックルが20体目を殴り飛ばしたところで龍玄に呼び掛ける。
「ザック!アームズを変えよう。」(龍玄)
龍玄がゲネシスコアを取り出す。それに倣い、ナックルもゲネシスコアを取り出し、ドライバーに取り付ける。
『マロンエナジー。』
『ドラゴンフルーツエナジー。』
二人はゲネシスコアにロックシードをセットし、カッティングブレードを下ろす。
龍玄ジンバードラゴンフルーツアームズ、ナックルジンバーマロンアームズにアームズチェンジし、高威力の攻撃で先程とは比べ物にならないスピードでインベスの数を減らしていく。
一方、炎竜も
「対大多数ならこれだ。」(炎竜)
シークァーサーロックシードを取り出す。
『シークァーサー。』
ドライバーからドラゴンフルーツロックシードを外し、シークァーサーロックシードを取り付ける。
≪ソイヤ!シークァーサーアームズ!蒼雷、ライトニング!≫
ドラゴンフルーツの鎧が消え、代わりに緑色のシークァーサーの鎧を纏う。
スピードに秀でた仮面ライダー炎竜シークァーサーアームズである。
炎竜は錫杖型のアームズウェポン、蒼雷杖を構えてそれを大きく振り回す。先程以上の数のインベスを薙ぎ払っていく。そして、
「お前らの女王様を見つけないとな。」(炎竜)
と言い放った。
アリインベスは1匹の女王を中心としたコロニーを形成する。今、3人が倒しているのは女王の子どもでもあるのだ。当然、女王を倒さなければ、また大発生するのだ。炎竜も前世の経験からアリインベスには非常に手を焼いた。炎竜は猛スピードで走りだし、女王を探し始めた。道すがら見つけたアリインベスは片っ端から倒していく。そして、
「地下にいるのか。」(炎竜)
女王が見つらないことから女王が安全に繁殖できる地下に潜んでいること予想した炎竜。
そういうとカッティングブレードを3回下ろした。
≪シークァーサースパーキング!≫
蒼雷杖にエネルギーが集まり、床に突き刺すと周囲からシークァーサー型のエネルギー球が出現、次々と爆発する。
床が崩落し、炎竜の視線先には下半身が肥大化した女王がいた。
「これ以上の繁殖は見過ごせねえからな。」(炎竜)
女王は口から蟻酸を吐きかける。炎竜は猛スピードで女王に接近し、走り幅跳びの要領で飛び上がり、カッティングブレードを一回下ろした。
≪シークァーサースカッシュ!≫
エネルギーがほとばしる蒼雷杖を女王の肉体に突き刺す。
女王の体の内側にエネルギーが流し込まれ、女王の体から緑色の稲妻が迸り、体が内側から小規模の爆発が何度も起きる。全身に爆発が起きるとそれぞれが連鎖しあって、爆発四散した。
「終わったみたいだね。」(龍玄)
龍玄とナックルが上から炎竜に呼び掛ける。
「ほかのインベスは?」(炎竜)
「すべて倒したよ。」(龍玄)
炎竜はその言葉を聞いて、飛び上がり、上に上った。
3人は変身を解く。
「ありがとう。君が助けてくれたおかげですべて倒すことが出来た。」(光実)
光実が右手を差し出した。
「いえ、先輩方が居てくださったおかげです。正直、あの数は俺一人じゃ絶対に倒しきれませんでした。」(大樹)
大樹も光実の右手を握る。
「これからよろしくお願いします。」(大樹)
若き仮面ライダーはそういった。
次回、大樹はマドカら共にかつて両親が住んでいた沢芽市へと足を踏み入れるそこには最強のアーマードライダー、呉島貴虎が待ち受けていた。そして、織斑一夏もまた選択する。