side3人称
グリゴリのトレーニングルームでは柏葉大樹=仮面ライダー輝龍と龍見一誠=仮面ライダー光龍が激しい戦いを繰り広げていた。その様はこの戦いの本来の目的である輝龍たちのデータ収集から離れて、本気の戦いとなっていた。
「何か大樹、気合が入っていない?」(颯斗)
「なんだかね。」(簪)
「始める前に何か話していたみたいだけど。」(マドカ)
その様子を見ていた颯斗たちはらしくないと思いながら見ていた。
輝龍は光龍剣を振るい、その重量を生かした触れるものを破砕する一撃を放つ。一方の光龍はこの世界にある聖剣を超える切れ味を誇る長剣バイオブレードの高速の斬撃を放つ。刃の軌道は常にぶつかり、甲高い金属音を響かせ、火花を散らしていく。
数度目の打ち合いで輝龍と光龍は鍔迫り合いとなる。
「強いな。」(光龍)
「そりゃ、どうも。」(輝龍)
そう言葉を交わした中で輝龍は光龍剣の鍔をバイオブレードの柄に引っ掛けて光龍の手からバイオブレードをフッ飛ばした。その次の瞬間に輝龍は光龍に蹴りを入れて、光龍が下がった瞬間に袈裟懸けに光龍剣を振り下ろした。光龍は輝龍の一撃を受けて、数歩後ずさる。
「中々重い一撃だな。マジで斬られると思ったぜ。」(光龍)
「基本的に敵には容赦なんてしないからな。終わりか?」(輝龍)
「いや、まだだぜ。」(光龍)
≪shoot vent≫
光龍は新たにカードデッキからカードを引くとそれを左腕のメイルバイザーにセットした。その後、空中からボルテックシューターが出現、それを右手で掴んで輝龍に向けて引き金を引く。
ボルテックシューターから放たれる光弾を輝龍は走りながら躱していく。
「これはどうだ!」(光龍)
≪charge vent≫
光龍は新たにカードをメイルバイザーに読み込ませる。そして、先程までと同じように輝龍に向けてボルテックシューターの引き金を引く。だが、先程とは違いボルテックシューターの銃口から放たれたのは巨大なビームだった。
「っ!!」(輝龍)
輝龍は咄嗟に光龍剣を盾にするがそのままビームを受けてしまい、そのまま数メートルほど押し込まれ膝をつく。
(武器の強化か。こんなのそう何発も耐えれるものじゃないな。)(輝龍)
「もう一発!!」(光龍)
光龍は追撃のビームを輝龍に撃ち込む。はたから見ると輝龍はそのビームの直撃を受けたかに見えた。
「もう少し遅かったら喰らっていたな。」(輝龍)
だが、輝龍は瞬時にゴールドドラゴンアームズからストームライムアームズへとアームズチェンジ、ストームランスを天井に突き刺して事なきを得た。そのままの状態で輝龍はドライバーを操作、天井を蹴って空中でキックの姿勢となった。
≪ストームライムスカッシュ!≫
輝龍の右足には青嵐渦巻くライム型のエネルギーが発生、高速で光龍目掛けてライダーキックを放った。そのライダーキックは猛スピードで光龍に迫る。光龍はボルテックシューターを何とか盾代わりにして身を守る。だが、輝龍の放ったライダーキックはボルテックシューターを容易くは破壊し、その右足は光龍をフッ飛ばした。
「くっ!」(光龍)
「まだまだ!」(輝龍)
≪ストームライムオーレ!≫
輝龍は着地すると同時にドライバーを操作、頭上でストームランスを高速で回転させ竜巻を発生させる。
「はああ!!」(輝龍)
輝龍がストームランスを振るうと竜巻は3つに分裂して3方向から光龍へと襲い掛かる。仮面ライダー輝龍ストームライムアームズの必殺技ストームボルテックスはそのまま光龍を呑み込むかに見えた。
≪sword vent≫
だが、光龍は「解放龍の剣」を召喚、ストームボルテックスの竜巻を次々と霧散させていく。輝龍は追撃のためにストームランスを振るっていく。光龍は飛ばされていたバイオブレードを拾い、二刀流で応戦していく。互いにスピード特化型であることもあり、目に留まることが難しいほどの剣戟の応酬だった。その剣戟によりトレーニングルームの壁や天井に斬撃の跡が無数に着いた。ここまでで両者に大きなダメージは先程の強力な一撃を受けた時のみ、互いに決め手に欠けていると判断した時だった。
≪フレイムカキアームズ!爆炎、ブレイズアウト!!≫
輝龍は即座にロックシードを入れ替え、中距離からフレイムシューターの引き金を引き燃え盛る炎の弾丸を次々と放つ。光龍は弾丸を「解放龍の剣」で霧散させていくも放たれる火炎弾の数はその手数を超えていた。その内に光龍は炎に包まれ、、、
≪GANGNIR≫
「Crotizal ronzell gangnir zizzl」
自身を覆う炎を吹き飛ばし、変化した姿を見せた。その姿は龍人を思わせ、両手には水色の宝玉、肩には六角形の楯、胸には赤い宝玉がはまった鎧が装着されていた。背中には内側が赤、外側が白のマントを翻し、2本のアンテナが付いたヘッドギアを装着しており、右手には先程までと違い、大型の槍ガングニールを手にしていた。これこそ、光龍が持つシンフォギアフォームの一つであるガングニールである。
「さあ、行くぜ!」(光龍)
光龍は床を強く蹴り、輝龍に向けてガングニールを突き出す。輝龍はガングニールを躱し、フレイムシューターの銃口を光龍に向けるが光龍はフレイムシューターを蹴り、そのままガングニールを横なぎに大きく振るった。
「っ!!」(輝龍)
ガングニールは回避、フレイムシューターを蹴られたことで大きく体勢を崩した輝龍の胸部に当たり、輝龍を大きく跳ね飛ばした。
「簡単にやられねえよ。」(輝龍)
輝龍は空中でドライバーを操作する。
≪フレイムカキスカッシュ≫
フレイムシューターにエネルギーがチャージされ、数十は下らない火炎弾を次々と放つ。火炎弾は互いに触れ合うことで爆発し、光龍の周囲を爆炎と煙で立ちこませた。
(思っていたより、いや、明らかに戦いなれをしている。たぶん、タケルと玲奈と戦った二人よりも。こう視界をふさがれている間は下手に動けない。)(光龍)
光龍はカードデッキから新たなカードを引く。その時だった。
≪ゴールドドラゴンスカッシュ!≫
煙の中からゴールドドラゴンアームズにアームズチェンジした輝龍がエネルギーをチャージして光り輝く光龍剣を腰だめに構えて現れた。
「なっ!」(光龍)
「我流、紫電。」(輝龍)
輝龍はそのまま体の力を抜き、前傾姿勢のまま地面に倒れ込む。地面に体が着くか着かないかの瞬間、輝龍は右足を大きく踏み出して、急激に身体を起こして光龍剣を振るった。この技は1対1の状況で扱う者でなおかつ遠間から急激な速さで相手の懐に入り込んで相手の意表を突く奇襲技である。だが、技の名の通りに紫電のごとき一閃は光龍のガングニールに防がれてしまう。しかし、輝龍はさらに畳みかける。密着状態となり輝龍は光龍剣の柄を握るようにつかみ、そこから力づくで光龍剣をまるでドリルの様に光龍にえぐり込んだ。
「我流、牙穿ち。」(輝龍)
その一撃はガングニールの柄からずれて光龍の胸部の鎧にギャリギャリという音を立てて決まった。光龍はそのまま押し出され、胸を抑える。
「なんだよ、その技。それにさっきの技も。」(光龍)
「我流の技だよ。威力重視、スピード重視、早い話が実戦を重視した技ってこと。(まあ、対インベス用に編み出した技だけどな。こう上手くいくと思わなかった。)」(輝龍)
「すげーな。本当に死んだ俺の師匠に似ているよ。」(一誠)
「師匠?」(輝龍)
「そうだ。本当に戦いのことぐらいしか教えてもらわなかったけどな。でも、戦いの厳しさを教えてくれたのはその人だ。」(光龍)
「生憎、俺はそんな人ほどじゃない。確かに戦いの厳しさを知っている、それでも、それだけじゃないもっと別の暗いことを知っている。」(輝龍)
輝龍はそう言いながら光龍剣を床に突き刺した。そうすると輝龍は光龍剣の持ち手をひねり、刃の部分と分離させる。分離させた持ち手を無双セイバーにセットして両手持ちにした。そして、無双セイバーを引き抜いて刃の部分を光龍剣の刃の部分と合体させる。すると光龍剣の刃の部分が展開して巨大な大剣となった。無双セイバー大剣モード、輝龍が持つ武器の中で特に破壊力に特化した武器である。
「じゃあ、やろうか。」(輝龍)
輝龍は無双セイバーを肩に担ぐと光龍を見据える。そして、光龍も、
「ああ。」
ガングニールを構える。
「仮面ライダー炎竜改め輝龍。この戦場、俺が勝ち取る。」(輝龍)
「仮面ライダー光龍。さあ、ライブを始めようぜ!!」(光龍)
両者はそのまま互いに飛び出し、激しく打ち合う。スピードを活かした光龍にパワーで粉砕していく輝龍。その様は両者の名前に入っている龍同士の激突のようだった。
「これはどうだ!」(光龍)
《HORIZON∞SPEAR》
光龍はガングニールの先端を展開、そこから極太のレーザーを輝龍に向けて放つ。
「まだだ!」(輝龍)
≪ゴールドドラゴンスカッシュ!≫
輝龍はドライバーを操作して、全身にエネルギーをチャージして瞬間的にスピードを大幅に引き上げた。それにより、光龍の攻撃をジャンプすることで躱し、上空から上段の振り下ろしを光龍目掛けてぶち当てる。初球インベス程度であれば即座に粉砕できる一撃を受けて、さしもの光龍もダメージを隠せなかった。だが、ガングニールの力を宿したシンフォギアフォームになっていることにより防御力が上昇していたために大幅にダメージを抑えることが出来た。
「強いな。」(光龍)
「そう伊達に戦っちゃいないさ。だが、次で決める。」(輝龍)
≪ロックオン!≫
輝龍はドライバーからゴールドドラゴンフルーツロックシードを取り外し、無双セイバーにセットした。それが輝龍が有する最強の一撃ということを理解した光龍はガングニールを床に突き刺し、カードデッキからカードを引いた。
≪Final Vent≫
≪1,10,100,1000,10000!ゴールドドラゴンチャージ!≫
光龍の背後に解放龍メイルが召喚される。一方の輝龍は無双セイバーを構え、その刀身に黄金色のエネルギーをチャージする。
「行くぜ、大樹!」(光龍)
「来い、一誠!」(輝龍)
光龍はガングニールをつかむと頭上高くに放り投げる。それと同時に宙に飛び上がる光龍。ガングニールの穂先が輝龍に向くとちょうどガングニールを蹴りだせる位置に来た光龍は後方からメイルの口から放たれた火球を受けて、ガングニールの柄尻を強く蹴りだす。それに対して輝龍は全身から余分な力を抜き、精神を統一する。ガングニールの穂先が輝龍を貫こうとする、後数センチメートルでそれが現実となるその瞬間に輝龍は無双セイバーを振りぬく。
ガングニールの穂先と無双セイバーの刃が激突する。その瞬間、無双セイバーとガングニールが大きく弾かれ合い、輝龍の体勢が大きく崩れ、光龍のキックが炸裂した。キックを受けた輝龍は胸を手で抑える。
「はー、あっ!きっつ!!」(輝龍)
返信は解除されていないにしても胸部には光龍のキックを受けた傷が鎧に着いていた。
「一誠さん、柏葉さんも良いです。変身を解除して戻ってきてください。」(エルナ)
それを聞いた輝龍も光龍もそれぞれのドライバーからロックシード、カードデッキを外す。輝龍の鎧やアーマーが光の粒子となって霧散する。一方の光龍のスーツは像が3つに分かれるように消えた。
「やっぱり、随分と戦い慣れているいるな。」(一誠)
「気になるのか?」(大樹)
「大樹とマドカは明らかに戦い慣れているだろ?」(一誠)
「隠す理由もないしな、そうだけど。」(大樹)
「俺達の動きをよく見ているし、なおかつ自分の使う力がどんなものかもしっかり分かっているだろ。」(一誠)
「まあ、そうでないと行けなかったからな。」(大樹)
「じゃあ、後でな。」(一誠)
「ああ。」(大樹)
変身を解除した大樹と一誠は互いにそれぞれの仲間がいる場所へと向かう。
「ならば行くとしよう。」(幻魔王信長)
幻魔たちが潜む異界、遂にその準備を終えた幻魔たちが異界へと侵攻する時が来たのだ。背にやぐらを乗せた巨大な魔獣=幻魔戦車が無数の幻魔たちを乗せて開かれた異界へと通じるクラックへと向かう。のクラックの先は空が紫色に染まっており、何もない荒野だった。
「まあ、こんな感じだろう。」(アザゼル)
グリゴリの研究室ではアザゼルが大樹たちのドライバーを調整していた。その調整も終わり、それぞれのドライバーを返却しようと研究室を出た。
「じゃあ、大樹君たちは切歌ちゃんたちと同い年なんだ。」(未来)
「まあ、そうですね。」(大樹)
「IS、インフィニット・ストラトスですか。」(エルナ)
「なるべく、壊さないでくれると、、、。」(簪)
「分解だけは勘弁してください。」(颯斗)
「はい、分かりました。」(エルナ)
「なるほど!それは面白そうデス!」(切歌)
「そうなの。私もよく行くんだ。」(マドカ)
(マドカさん、切ちゃんと同じ声?違う感じがするけど何だか似ているような。)(調)
大樹たちはそれぞれに自己紹介を終えて、話に興じていた。
「おし、柏葉たちのドライバーの調整は終わりだ。まあ、俺がしたのはこの世界にいる悪魔や堕天使、天使と言った存在に有効な攻撃属性を付与させただけだからな。」(アザゼル)
「ありがとうございます。」(大樹)
大樹たちはアザゼルからドライバーを受け取っていく。
「見た目は変わらないんですね。」(颯斗)
「まあ、そっちよりもお前さんたちが使っているコアアイテムの方だからな。」(アザゼル)
アザゼルはそう言うとロックシード、バイラルシフトカーを返却していく。アザゼルの言うとおりに大樹たちが使っていたロックシードは特に変化が大きかった。大樹の所有する3つのロックシードは一見すると変化はないが表面に刻まれている文字が変化していた。マドカが持っていたブルーベリーロックシードは元は深い青色だったものが鮮やかな空色に、ブラックベリーロックシードは黒味がかかった紫色へと変化した。ハートは全身が鮮やかなクリアレッドに、メディックは元のホワイトからパールホワイトへとカラーが変わった。
「文字が変わっている以外には変わりはないけど、、、ガイアとトルネード、プロミネンスか。」(大樹)
「私の方は、、、ねえ、なんて書いてあるの?」(マドカ)
「ええと、skyとgravityかな。」(簪)
「ねえ、ハート、メディック。体はどう?」(颯斗)
「違和感はないな。大丈夫そうだ。」(ハート)
「私も大丈夫です。なんというか今までにない力も感じます。」(メディック)
大樹たちはそれぞれに変化したロックシードとハートたちを見る。それぞれに変化した個所を見て、新たに手に入れた力に想像を膨らませていた時だった。
「おい!アザゼル!!」(シェムハザ)
「ん?どうした?」(アザゼル)
アザゼルの盟友でグリゴリのナンバー2である堕天使シェムハザが慌てた様子で大樹たちが集まっていたトレーニングルームへと入って来た。
「冥界に確認されたことのない魔物の軍勢が現れた。今、堕天使領と悪魔領の境界付近に現れて侵攻しているそうだ。」(シェムハザ)
「ギリシャのハデスのジジイじゃないのか?」(アザゼル)
「いや、確認された情報からどの神話体系にも属さないそうだ。」(シェムハザ)
シェムハザの話を聞いたアザゼルはトレーニングルーム内に空間モニターを出す。そこには各神話勢力に属しない魔族=幻魔たちが大群で荒野を闊歩している映像だった。
「何なんだよ、おっちゃん。」(一誠)
「こいつら、確かに聖書には書かれてもいねえ。俺の知っているどの神話体系でもこんな奴らはいねえな。」(アザゼル)
「敵なんですか?」(玲奈)
「今はなんとも。」(響)
一誠たちが各々に意見を述べていく。そして、大樹はあることに気付く。
「あの、地面を走っている奴らに画面を合わせられますか?」(大樹)
大樹の言葉にアザゼルが地面を走る無数の幻魔たちに映像を合わせる。
「これって、、、。」(未来)
「気持ち悪いデス!」(切歌)
「人間?」(調)
「こいつら、神社で見た奴らじゃねえか!!」(タケル)
「ねえ!一誠!森で私達が戦った奴らだよ!!」(響)
その映像には一誠たちが撃破した幻魔、足軽たちが無数に映っていたのだ。
「こいつらが話していた奴らか。」(アザゼル)
「ああ、でもこんなに。」(一誠)
「シェムハザ。他の奴らにこいつらのことを伝えろ。今から厳戒態勢に入ると全員に伝えろ。」(アザゼル)
「ああ。悪魔領にはどう伝える?」(シェムハザ)
「今は翼とマリアが向こうに行っている。あいつらを通じて伝える。」(アザゼル)
「バラキエル達に伝えよう。私は念のために避難も進めていく。」(シェムハザ)
シェムハザとのやり取りを終え、アザゼルは連絡装置を取り出す。
「未確認の魔族が二手に分かれました!」(エルナ)
エルナがモニターしていると幻魔の大群は二手に分かれた。片方は悪魔領へ、もう片方は堕天使領へと進路を変える。
「一誠、タケル。響たちを連れて抑えてくれ。やばい時は俺もキャロルも出る。エルナ、向こうのサーゼクスたちにも伝えろ!」(アザゼル)
「「「「「はい!!」」」」」
「お前さんたちも避難の準備を、、、。」(アザゼル)
アザゼルは大樹たちにも話をしようとするもそこには大樹たちの姿はなく、というよりは簪だけがその場に残っていた。
「すみません、その、行かなきゃいけないって言って行っちゃいました。」(簪)
「颯斗!俺とマドカで向こうの方に向かっている奴らを何とかする!颯斗はこっちに向かっている奴らを頼む!」(大樹)
「分かった!」(颯斗)
「じゃあ、大樹。行こう!」(マドカ)
「ああ!」(大樹)
『ガイアドラゴンフルーツ!』
『スカイブルーベリー!』
「「「変身!」」」
≪ソイヤ!ガイアドラゴンアームズ!地龍、アップライジング!≫
≪カモン!スカイブルーベリーアームズ!ヴァルキリーオブサファイア!≫
≪シグナルバイク、シフトカー!ライダー、ロード!デッドヒートハート!≫
大樹たちはグリゴリの施設から出ると走りながら変身する。大樹は竜の意匠の鎧となった仮面ライダー輝龍ガイアドラゴンアームズへ、マドカは翼を思わせるパーツが増え鮮やかな空色の鎧の仮面ライダーヴァルキリースカイブルーベリーアームズへ、颯斗は爆炎を挙げながら仮面ライダーグレートロードタイプデッドヒートに変身した。
「マドカ!乗るよ!」(輝龍)
「うん!」(ヴァルキリー)
輝龍はハイビスカストライカーを起動して飛び乗る。輝龍の後ろをヴァルキリーが乗り、輝龍はアクセルを全開にして悪魔領へと向かう幻魔たちの元へ向かった。一方のロードは迫りくる幻魔たちの元へ走り出す。
「あれ?僕、走り続けるの?」(ロード)
ロードはそのまま走っていく。
数十分後、
悪魔領へ向かっている大群の元へ輝龍とヴァルキリーが追い付いた。
「どこから崩す。」(輝龍)
「ねえ、あの大きい奴、入り込めそうだよ。」(ヴァルキリー)
ヴァルキリーの言葉の通りに幻魔戦車は多くの幻魔を輸送する役目がありなおかつ高等幻魔の居室もある。輝龍はこの大群が自分たち二人だけでは壊滅させることは出来ないことを瞬時に理解、その中で自分たちが取り得る手段を導き出していた。
「マドカ、捕まってろ。」(輝龍)
輝龍はハイビスカストライカーのアクセルをかけ、スピードを上げて幻魔の近くへと向かう。
「ハアアアアアア!!」(ロード)
同じ頃、ロードはグリゴリに近づく大軍の中で爆炎燃え盛る拳を振るっていた。次々と爆炎を挙げて消滅していく幻魔たち。そして、
「おおおおお!!」(幻魔チェイサー)
ロードの元へ幻魔チェイサーが現れる。幻魔チェイサーの攻撃をロードは躱し、反撃のボディブローを放つ。それを幻魔チェイサーは防ぐ。
「やはり、ここに来て正解だったか。」(幻魔チェイサー)
「何が目的。」(ロード)
「俺は幻魔の中で最も速き幻魔として生まれた。お前はその俺を走るべき場所に競い合うべき相手、それ以外に目的はない!!」(幻魔チェイサー)
幻魔チェイサーは拳を振り、ロードはそれを躱して右腕を振りぬく。
≪ガイアドラゴンスカッシュ!≫
≪スカイブルーベリースカッシュ!≫
幻魔戦車の中では輝龍とヴァルキリーが幻魔たちを次々と撃破する。そして、幻魔戦車の中枢へと来た。
「やはり来たか。」(幻魔王信長)
そこに待ち受けていたのは武神鎧武、否、幻魔王信長こと幻魔鎧武だった。
「お前は俺達を襲った。」(輝龍)
「我が名は織田信長、幻魔を統べる幻魔王。そして、幻魔の力を持ちし幻魔ライダーが一人だ。」(幻魔鎧武)
幻魔鎧武は幻魔大橙丸と無双セイバーを構える。輝龍は片刃となった専用武器光龍剣・真打を、ヴァルキリーは純粋な槍型となったスカイランサーを構える。
幻魔戦車の中で始まる戦い。輝龍は強化されたパワーを生かし、床を、壁を破砕するほどの剛剣で迫る。ヴァルキリーはより磨きがかかったスピードで空中にスカイランサーと同型のエネルギーを生成して次々と放っていく。そして、強化された二人のライダーを前に一歩も引かないどころか驚異的な力で攻撃をねじ伏せていく幻魔鎧武。戦いが硬直しだした、輝龍とヴァルキリーが打つ手なしと感じた時だった。
「やはりな、お前は自分の世界を憎んでいるな。」(幻魔鎧武)
幻魔鎧武が一瞬で輝龍に詰め寄り、右腕から漆黒の瘴気を輝龍に浴びせた。
「あ、があ!!」(輝龍)
「大樹!」(ヴァルキリー)
ヴァルキリーが輝龍に駆け寄るが当の輝龍は苦しむそぶりを見せると突然光龍剣・真打を振り回しだした。
「きゃああ!」(ヴァルキリー)
ヴァルキリーに刃が当たり悲鳴を上げるがそれに輝龍は見向きもしなかった。
「は、あ!はあ!殺す殺す殺す殺す殺す!!!」(輝龍)
輝龍の胸の中に渦巻く感情、それはどす黒く人間であればだれもが持っているものだった。
窮地に陥る輝龍たちの元へ光龍たちが救援へとやって来る。間一髪助かるがそこへ兵藤誠二らと第3の幻魔ライダーである幻魔リュウガが現れる。そして、時空を超えてある人物が現れる。