side3人称
グリゴリを眼前に迫る幻魔たち。それに対して真正面から対抗する者達が来た。
≪ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!≫
≪ガンガンミナー!ガンガンミナー!オメガスパーク!≫
タケル=ゴースト、玲奈=ユリンは必殺技を発動して足軽たちを次々と撃ち払って行く。その彼らと共に戦う者達もいた。
「行くデース!」(切歌)
「おらおら!鉛球をありったけ喰らえ!!」(クリス)
暁切歌、月読調、雪音クリスらシンフォギア奏者たちである。
そして、彼らが戦う場のはるか先では、、、
「おおおお!」(幻魔チェイサー)
「はあああ!」(ロード)
ロードと幻魔チェイサーが激しい攻防を繰り広げていた。彼らは幻魔チェイサーが発生させている重加速フィールド内で激しく戦っていた。ロードはアザゼルの改造によってその拳に、蹴りに爆炎が常に燃えているようになっておりその攻撃は幻魔などの超常の存在に対して有効な手段となっていた。一方の幻魔チェイサーは自身の元になった魔進チェイサーが持っていたブレイクガンナーと同型の武器である幻魔銃拳から幻魔弾と呼ばれる光弾を放ったかと思いきやその次は幻魔銃拳でロードを殴りつける。
ロードは幻魔チェイサーの攻撃を躱し、がら空きになった胴に重く腰の入った右ブローを放つ。
「良いぞ!もっと来い!」(幻魔チェイサー)
「言われなくても!!」(ロード)
≪エンジンナックル!≫
ロードはエンジンナックルを右腕に装着、追撃の右ストレートを放つ。肘から爆炎をロケット噴射し、エンジンナックルも稼働して威力を上げた拳は幻魔チェイサーの胸部装甲に当たり、甲高い金属音をあたりに響かせる。
「これで!!」(ロード)
≪ヒッサーツ!デッドヒート、ハート!≫
ロードはハートをエンジンナックルに装填、必殺技のエンジンブレイクを発動して幻魔チェイサーをぶん殴る。
「ぐおおおお!」(幻魔チェイサー)
幻魔チェイサーは吹っ飛ぶものの実際にはエンジンブレイクの直撃を免れていた。
「やはり、お前こそ俺が競うべき相手だ。」(幻魔チェイサー)
幻魔チェイサーはそう言うと緑色の禍々しいデザインのミニカーを取り出し、幻魔銃拳にセットする。
≪魔装、烈風≫
幻魔銃拳から低い音声が流れると幻魔チェイサーの両手に風が集まっていき、長短の双剣を形作る。
「行くぞ。」(幻魔チェイサー)
幻魔チェイサーは風を纏いながらロードに切りかかる。先程までとは違い、明らかに幻魔チェイサーのスピードが上昇していた。その刃は真空の刃を伴いロードの装甲を切り裂いていく。刃が触れるたびにロードの装甲からは火花が飛び散る。苛烈さを極めていく中で別の戦場では、、、。
「さあ、やれ!」(幻魔鎧武)
「があああああああああ!!!!」(輝龍)
幻魔鎧武の瘴気を浴びた輝龍が獣のごとき咆哮を上げた。
「大樹!正気に戻って!」(ヴァルキリー)
ヴァルキリーが呼び掛けるも効果はなく、それどころか光龍剣・真打をヴァルキリーに目掛けて振るう輝龍。振るわれた刃がヴァルキリーへと触れる、正確には触れるかどうかの刹那だった。
「おい、なんでマドカに刃を振るっているんだ、大樹。」(光龍)
光龍が解放龍の剣で光龍剣・真打の刃を止めていた。
「大丈夫!?マドカちゃん!」(響)
「響さん、、。」(ヴァルキリー)
シンフォギアを纏いヴァルキリーを介抱する響。その彼らを見る幻魔鎧武は上座へと座り、その様を眺める。
「おい、大樹!しっかりしろ!」(光龍)
「ううううがああああ!!」(輝龍)
光龍は輝龍に呼び掛けるも輝龍が正気を戻す気配はなかった。
【お兄ちゃん!大樹さん、何かの瘴気を浴びているみたい!私の力でなら!】
解放龍の剣からメイルの声が響く。それを聞いた光龍はメイルの意図を即座に理解する。
「分かった。やってみる。」(光龍)
光龍は輝龍の剛剣をかいくぐり、その隙を伺う。そして、カウンターで入れた斬撃が輝龍の胴に入った。
「やれ、メイル!」(一誠)
【うん!】
≪remote≫
解放龍の剣から音声が流れると輝龍の体を覆う瘴気が消え、
「おおおおおああああ!!」(輝龍)
「な!?ああああ!!」(光龍)
ることは無かった。輝龍はそのままに光龍剣を振るい、光龍を切り飛ばした。
【嘘!?ちゃんと解除できたはず!】
「何がダメなんだ。」(光龍)
光龍は解放龍の剣を杖代わりにして何とか自分の体を支える。輝龍に与えられたものを呪いの類と見た光龍は解放龍の剣の効果で解除できると踏んだが実際にはそうはならなかった。
「何を考えているのかは知らんが俺がしたのはそいつの中にある怒りや憎しみを刺激しただけだ。何かの呪術と思っていたのか?」(幻魔鎧武)
「何。」(光龍)
「俺が放った気を消したところでそいつの怒りと憎しみは止まりはしないぞ。」(幻魔鎧武)
幻魔鎧武の言葉を裏付けるかのように輝龍は光龍に切りかかる。光龍は解放龍の剣を使って輝龍の攻撃を受け流していくがその一撃は手合わせの時以上の重さを有しており光龍と言えども容易くいなせなかった。
「大樹!落ち着け!俺は敵じゃない!目を覚ませ!」(光龍)
「うがああああ!!」(輝龍)
光龍の呼びかけは効果はなく、輝龍は暴れる回るだけ。一方、
「うわああああ!!」(ロード)
「きゃあ!!」(ユリン)
「あああああ!!」(ゴースト)
グリゴリへと迫る幻魔たちを押しとどめているロードたちだが風、雷、炎の力を使いこなす幻魔チェイサーに苦しめられていた。
「ほうほう、すこぶる良さそうだな。私の最高傑作だけある!」(幻魔ネクロム)
幻魔戦車からその様子を見るギルデンスタン=幻魔ネクロムは満足そうであった。自身が知らぬ未知の技術、それをもとに生み出した幻魔チェイサーは文字通り彼の最高傑作であった。
「さあ、これで終わりだ。」(幻魔チェイサー)
≪究極魔装。烈風、獄炎、黒雷。幻魔大葬剣≫
幻魔チェイサーは幻魔銃拳を禍々しい諸刃の剣へと変える。それを両手で構えてその剣に禍々しい瘴気を集める。
「このまま、やられてたまるか!」(ゴースト)
≪闘魂!ブースト!俺がブースト!奮い立つゴースト!≫
ゴーストは闘魂ブースト魂に変身する。専用武器のサングラスラッシャーにオレゴースト眼魂とムサシ眼魂をセットする。
≪オメガフラッシュ!≫
サングラスラッシャーの刃が炎に包まれる。ゴーストは幻魔チェイサーに斬りかかる。だが、
「フン!」(幻魔チェイサー)
幻魔チェイサーはゴーストの周囲にだけ重加速フィールドを発生させる。重加速粒子の影響下に置かれたゴーストはその動きを自分の意思とは無関係に止めてしまう。
「喰らえ。」(幻魔チェイサー)
幻魔チェイサーは剣を横なぎに振るい、瘴気を斬撃波としてゴーストに放った。斬撃を受けたゴーストは大爆発した。そして、その爆発の余波を受けたロードとユリンも吹っ飛ばされてしまう。ゴースト、ユリン、ロードはそのまま変身が解除されてしまう。
「くっ!」(タケル)
「お兄ちゃん!!」(玲奈)
変身が解除されるとタケルは幻魔チェイサーの激しい攻撃を受けたことが一目でわかる程の怪我を負っていた。クリスたちもタケルたちの元へ向かおうとするも無数の幻魔たちによってそれが出来ないでいた。どちらの戦場も明らかに不利という状況だった。
「総督!何か来ます!」(キャロル)
「何かって?」(アザゼル)
「今、出します!」(キャロル)
グロゴリ本部では戦場に新たな来訪者が来ることを察知した。キャロルはその反応のあった場所をスクリーンに出す。アザゼルたちの目には傷だらけのタケルたち、鍔迫り合いをしている輝龍と光龍とそれを見守るヴァルキリーと響たちが写る。そして、彼らの前に時空のゆがみが現れる。
side颯斗
思っていたよりもヤバい。あの幻魔チェイサー、3種類の属性攻撃以外に明らかに能力を変化させてた。というか、タケルさんも玲奈ちゃんも変身が解除されたからピンチだ(僕もだけど)。クリスさんたちも来れなさそうだし。大樹と万夏ちゃんは大丈夫かな。今回の相手、大樹のお兄ちゃん、109よりも強敵だ。幻魔チェイサーと同じかそれ以上の相手が控えているのを考えると、、、。
「これでお前たちも終わりだ。この世界もすぐに我ら幻魔の手に墜ちる。」(幻魔チェイサー)
「君らの目的は何なんだ。なんで他の世界に。」(颯斗)
「我ら幻魔は古より闇の世界に追いやられた。幻魔を生み出した白き創造神は闇の世界にて光ある世界を破壊せよと伝えてきた。我らは他から全てを奪いつくす。それこそが我らが定めだ。」(幻魔チェイサー)
やっぱり、話が通じる相手じゃない。幻魔チェイサーのような奴らばかりならここで止めないときっと僕たちの世界まで来る。
「手始めにお前たちからだ。」(幻魔チェイサー)
幻魔チェイサーが剣を高く掲げる。ここまでなのか。あ~、かんちゃん、ごめん。そう思って僕は目をつむった。
ギャン!
甲高い金属音が響く。目を開けるとそこには深い青色の甲冑を身に纏い赤い大剣を背負って、右手に甲冑と同じ深い青色の大剣を持った侍がいた。
「おい、大丈夫か?」(???)
「えと、はい。」(颯斗)
「お前たちはそこで休んでおけ。あいつは俺が倒す。」(???)
侍さんはそのまま幻魔チェイサーに斬りかかる。自分の身長ほどもある大剣を軽々と扱っている。生身なのに幻魔チェイサーと対等に戦っている。
「お前は、、、鬼武者か。」(幻魔チェイサー)
鬼武者、普通の人と違うのか、あの人は。
「俺は結城秀康。灰燼の蒼鬼って名乗っている。」(蒼鬼)
「我が父が言っていた白き創造神の対極である存在、黒き破壊神か。」(幻魔チェイサー)
「どういうわけか、ここに呼ばれた気がしたんだ。死んだと思っていたんだが、まあお前たち幻魔がいるなら俺のやることは決まっている。」(蒼鬼)
結城秀康、そう名乗った侍さんは大剣の柄を握りなおす。そして、間合いを即座に詰める。それに応じた幻魔チェイサーが剣を振るうけど、秀康さんはそのまますれ違いざまに幻魔チェイサーを斬った。それだけじゃなく、周囲の足軽とかトカゲみたいな奴らも次々と斬っていく。
「ぐっ!」(幻魔チェイサー)
幻魔チェイサーを除いた秀康さんに斬られたすべての怪物が消滅した。消滅したところには人魂みたいのが残るけど秀康さんの右腕にある数珠に吸い込まれていく。そして、秀康さんは空中に飛び上がって地面に大剣を突き刺す。すると天から蒼い稲妻が落ちてきて幻魔チェイサーにダメージを与える。
「すごい。」(玲奈)
玲奈ちゃんがそう言う。確かにすごい。
「ふん、このままで終わると思うな。」(幻魔チェイサー)
幻魔チェイサーが右手を突き出す。すると幻魔チェイサーを中心に重加速フィールドが形成されていく。そこに、どこから無数のミサイルが飛来、幻魔チェイサーを含んだ化け物の大群に当たって大爆発を至る所で起こしていく。
「颯斗、大丈夫!?」(簪)
空中を見上げると打鉄弐式を展開したかんちゃんがいた。弐式の武器のミサイルポッドが空になっているからさっきのミサイルは全てかんちゃんが撃ったみたい。
「間一髪。」(颯斗)
「おし、一度退いた方が良いな。お前たちは大丈夫か?」(蒼鬼)
「動く分には。」(颯斗)
「よし、俺が殿を務める。お前たちは先に行ってろ。」(蒼鬼)
僕は一番傷を負っているタケルさんに肩を貸してグリゴリの方へと戻っていく。僕たちの背後は秀康さんが守ってくれて、なおかつ敵の頭数をどんどん減らしてくれているから安全にグロゴリに戻ることが出来た。
side3人称
悪魔領へと向かっている幻魔戦車でも変化が起きた。輝龍の刃を食い止める光龍だがその力の前に少しずつ膝が付いて行く。
「大樹、、、。」(光龍)
「大樹君、やめて!!」(響)
「大ちゃん!!」(ヴァルキリー)
必死に呼びかけをするヴァルキリーと響、その声が届いたのか一瞬だけ輝龍の動きが止まる。
「マ、マド、カ、、。」(輝龍)
苦しげにマドカの名を呼ぶ輝龍。
(ダメだ、頭がはっきりしない。このままだと。)(輝龍)
何とか意識を保とうとする輝龍だがその努力も空しくその意識はまたもどす黒い感情に飲み込まれようとしていた。その時に変化が起きた。その空間に時空のゆがみが生じ、そこから何者かが現れた。
「お前は!」(幻魔鎧武)
その人物を見た幻魔鎧武は上座が立ち上がる。
「久しぶりだな、信長。」(???)
その人物は紅色の甲冑を身に纏っており、その右腕には黄金の籠手があった。
「左馬之助。なぜ、この世界に。」(幻魔鎧武)
「信長、お前が蘇ったからだ。それに俺の他に蒼鬼もいる。」(左馬之助)
「黒き鬼武者もか。厄介なやつらめ。」(幻魔鎧武)
「まずはそこの彼だ。」(左馬之助)
左馬之助と呼ばれた人物は精神を統一する。すると、黄金の籠手へ大樹から漆黒の瘴気が吸い込まれていく。瘴気が離れていくにつれて輝龍の様子も落ち着いていく。全ての瘴気が籠手に吸収されると同時に輝龍は糸が切れた人形の様に床に倒れる。
「左馬之助、お前は今ここで殺す。」(幻魔鎧武)
「信長、今度こそ討たせてもらうぞ。」(左馬之助)
左馬之助は刀を抜き、構える。
「待った!!」(幻魔宗二)
そこに宗二、リアス、朱乃の三人が現れた。さらには漆黒の騎士=幻魔リュウガもそこにいた。
「こいつらは僕の獲物だ!僕たちがやる!」(幻魔宗二)
「良いだろ。だが、左馬之助に手を出すな。」(幻魔鎧武)
「ああ!?僕に指図をするのか!!」(幻魔宗二)
「俺はお前たちの獲物を取りはしない。だが、左馬之助は俺が倒すべき相手、俺の獲物だ。左馬之助に手を出せばお前たちをタダでは置かない。」(幻魔鎧武)
「ふん!分かっているなら良い!こいつらは、ギャッ!」(幻魔宗二)
会話をしている中で輝龍は無双セイバーをガンモードに変え、幻魔宗二に光弾を浴びせた。
「そのまま寝てろ、バカ!」(輝龍)
「大樹、退くぞ!」(光龍)
輝龍の奇襲によって相手に隙が生じる。光龍、ヴァルキリー、響は幻魔戦車の奥の階段へ向かう。
「幻魔リュウガ!奴らを逃がすな!」(幻魔鎧武)
「よくも、宗二を!」(幻魔リアス)
「死になさい!」(幻魔朱乃)
幻魔鎧武の指示を聞いた幻魔リュウガが輝龍たちに躍りかかるがその後ろから幻魔リアスと幻魔朱乃の攻撃が輝龍たちに襲い掛かる。その最中、左馬之助は迅雷のごとき動きで幻魔リュウガ、幻魔リアス、幻魔朱乃を切り裂いた。
「「きゃあああ!!」」(リアス、朱乃)
「グウウウ!!」(幻魔リュウガ)
左馬之助の剣閃は幻魔になったことで強化されたリアスと朱乃の体を容易く切り裂いた。幻魔リュウガは元になった幻魔の力もあったためか左馬之助の剣を受けても多少の傷が付いただけだった。
左馬之助の籠手が緑色に輝くと左馬之助の刀が緑色の双刃の薙刀へと変貌した。左馬之助は輝龍たちが階段を下るのを確認して薙刀を持ってその場で一回転する。室内でありながら竜巻が現れ、幻魔リュウガの足を止める。竜巻が消えるとそこには輝龍たちの姿は欠片もなかった。
「探せ、幻魔リュウガ。左馬之助以外は殺しても構わん。」(幻魔鎧武)
「グウウ。」(幻魔リュウガ)
幻魔リュウガはそのまま外へと身を躍らせた。
「鬼と幻魔、世界が変わってもその因縁は途切れんか。」(幻魔鎧武)
そう言う幻魔鎧武は眼下にある冥界の地を見下ろした。
明智左馬之助、結城秀康。二人の鬼武者によって窮地を脱した大樹たち。そこに幻魔リュウガと幻魔チェイサーが現れる。そして、大樹は自分の中の闇を仲間たちの前で吐露する。