side 3人称
重苦しい空気の中、大樹はベランダに出ていた。どう考えても答えなどでない、それは大樹も分かっているが、どうしてもこうしてしかいられなかった。
リビングでは颯斗がグリゴリから戻った切歌と調から受け取ったジャンクパーツを使い2台目のマッハドライバーを制作していた。
「ねえ、颯斗。何か言ってあげないの?」(簪)
それを見ていた簪が颯斗に話しかけた。颯斗は作業していた手を止める。そして、颯斗は簪の方を向く。
「言ってあげたいけど、何を言える?」(颯斗)
颯斗から見れば大樹の境遇に何かしら思うことはあるがそれを本人に伝えたところで、と考えていた。当然ながら友人として気遣うことは出来るが颯斗はそれが自分が大樹に出来ることの正解ではないことを何となくだが理解していた。
「でも、何も言わないの?」(簪)
「言いたいけどね。」(颯斗)
「何を?」(簪)
「う~ん。」(颯斗)
「助けるための言葉?それとも単純に大樹のことを心配する言葉?」(簪)
「う~ん、違う。そういう言葉じゃないよ。もっと、単純な。」(颯斗)
颯斗の中でなかなか言葉が決まらない。悩む颯斗の姿を見ている簪が口を開く。
「颯斗は大樹の友達でしょ。それなら、きっと、それ以上は必要ないよ。」(簪)
それを聞いた颯斗が簪を見つめる。そして、ベランダにいる大樹の方へ視線を移しては簪の方へと何度も何度も移す。
「良いの?」(颯斗)
「たぶん。」(簪)
そうやって話している時にクリスたちがドタバタしだした。
「なあ、私らはまたあいつらの相手をしているからな。準備しておいておけよ。」(クリス)
クリスがそう言うとクリス、翼、マリア、切歌、調が部屋を出た。部屋に残っている面々はタケル、玲奈、エルナ、颯斗、簪、マドカ、大樹。ソファーに腰かけ、ベランダにいる大樹を見ていたマドカは意を決したのかベランダの方へと歩いていく。
「ねえ、大樹。これ。」(マドカ)
大樹の隣に来たマドカはある封筒を大樹に渡す。それは何時ぞやマドカが預かると言った大樹の両親が残した、別荘の金庫の中に戦極ドライバーとロックシードと共に保管されていた手紙であった。
「今、読んだ方が良いよ。」(マドカ)
マドカはあれ以来ずっと持っていたのだ。日頃から持ち歩いていたがどういう内容なのかはマドカも知らない。だが、今の大樹に必要なことが書かれているかもしれないと思い、持ち出したのだ。
大樹はその手紙を見るとマドカから受け取る。その手紙を見る大樹。その表情は芳しいものでは無かったが意を決したのか大樹は封筒の封を切った。中の手紙にはびっしりと文字が並んでいた。大樹は口に出さずにそれを読む。
手紙の最初の数枚は父である玲人、残りは母である陽菜からだった。
【おそらく、この手紙が読まれる頃には俺も母さんもこの世にはいないだろうな。】(玲人)
【できればこの手紙が読まれているなんてことにはなって欲しくないけど。】(陽菜)
【柏葉の人間はこうなんて言えば良いのか、いわゆる自分の未来、死ぬ時期が分かるんだ。恐らく、この手紙を残す数日後には俺はこの世にはいない。】(玲人)
【この手紙を読んでいる大樹はどうなのかな?ちゃんと、元気にしている?勉強は?友達は?万夏ちゃん、一夏君たちと仲良くしている?他に友達は出来た?もしかして、彼女が出来ているの?】(陽菜)
【実は、父さんと母さんは柏葉の家の決まりを破ったんだ。死ぬ奴はその定めに従う。本当ならこの手紙を書いている時には大樹はこの世にいないはずだった。】(玲人)
【周りの人達とはどう?春奈ちゃんと秋人君、柳韻さんと楓さんたちにはよくしてもらってる?】(陽菜)
【俺も母さんも子どもが大好きでな、初めて授かった子ども、まあ引き取った勇吾には悪いが生まれたお前を父さんと母さんは本当に愛おしくてな。】(玲人)
【大樹のことだからきっと上手く甘えられないだろうから。でも、大樹の周りの人達は大樹のことを守ってくれるから。ちゃんと、甘えてね。】(陽菜)
【だから、お前が死ぬって分かった時に父さんも母さんもショックだった。でも、死なせたくなかった。だから、いろいろやった。】(玲人)
【大樹には悪いことをしちゃったね。病気を治すために色々な場所に連れていって。】(陽菜)
【その所為で、きっと大樹には辛いことが待ち受けているはずだ。俺と母さんが手を出したのは、そういうものだった。】(玲人)
【でも、辛いことがあった分、幸せになって欲しい。】(陽菜)
【これと一緒にあったドライバーとロックシード、使い道は大樹が決めて良い。】(玲人)
【大樹のそばにお父さんもお母さんもいないけど、学校に通う大樹の姿も、大人になった大樹の姿も、結婚して家族を作る大樹の姿を見れないけど、それ以上に幸せを見つけて生きて。】(陽菜)
【大樹、強く生きてくれ。】(玲人)
【幸せになってね。】(陽菜)
大樹は自然と手に力が入っていたのに気付く。それと同時に瞳から涙がこぼれるのも。
「うん、元気にしてるよ。一夏以外にも友達が出来た。勉強も頑張っているよ。実は、マドカと付き合ってんだ。小父さんたちには、母さんが言っていた通り、甘えられないけど、良くしてもらっているよ。」(大樹)
胸にこみあげる思いを口にする大樹。
「本当にさ、ありがとう。」(大樹)
空を見上げて涙をこらえるがそれでもその涙は止まらなかった。
「私、大樹のお父さんとお母さんに負けないくらいに愛してる。」(マドカ)
「うん。」(大樹)
「大樹の中にある悪いもの、私だって持っているよ。だから、それも受け入れてあげよう?手紙を残したお父さんとお母さんが大樹とお兄さんにしてあげてたように。」(マドカ)
隣のマドカが声を掛ける。
「なあ、大樹。大樹の持っている怒りも悲しみも苦しみも悪いものじゃないんだ。皆だって持っている。それに負けないように生きているんだ。だから、一度負けたならもう一度立ち向かえばいい。」(タケル)
「あのさ、大樹。僕は友達だから、いつでも力になるから。」(颯斗)
タケルと颯斗の言葉を背中越しに聞く大樹。その表情は戦いを終えた直後までとは違い暗い色は無かった。むしろ、その瞳には強い光が宿っていた。
「まだ、終わってない。なら、今までと変わらない。力、貸してほしい。」(大樹)
「ついにできたぞ。」(幻魔ネクロム)
同じ頃の幻魔戦車内では幻魔ネクロムが幻魔鎧武によって命じられていたものを遂に完成させた。それは眩く輝く純白のロックシードだった。
「これが幻魔王フォーティンブラスの力か。」(幻魔鎧武)
幻魔鎧武はGENMAOと刻印されたロックシードを手にする。
「この世界の魔族、悪魔が持っていたイーヴィルピースとやらを使うことでやっと安定したのだ。それではそれの力を確かめるか?」(幻魔ネクロム)
「そうだな、ちょうどいい手ごろな奴らがいるからな。」(幻魔鎧武)
幻魔鎧武と幻魔ネクロムは魔法陣を使い幻魔戦車から戦場へと移動した。そこには幻魔チェイサー、幻魔リュウガによって地に伏せられた一誠、シンフォギア奏者たちがいた。さらに彼らを守っていた左馬之助と蒼鬼も疲労の色が見えていた。
「信長。」(左馬之助)
「左馬之助。終わらせてやろう。」(幻魔鎧武)
〈幻魔王〉
幻魔鎧武と左馬之助が対峙する。幻魔鎧武は純白のロックシード=幻魔王ロックシードを開錠する。それに対する左馬之助は戦場にいる下級幻魔たちの魂を次々と鬼の籠手で封印する。
≪ロックオン。ソイヤ!幻魔王アームズ。魔の道、オンステージ≫
幻魔鎧武の姿が純白の蛇を模した鎧を纏った悪魔的な姿=幻魔王アームズへと変化する。一方の左馬之助は次々と魂を封印、その魂を使い鬼の力を開放し鬼武者となる。
幻魔鎧武は純白の大剣を、左馬之助は雷斬刀を持ち、構える。瞬時に間合いを詰めた左馬之助と幻魔鎧武。刹那に幾億という剣閃が閃く。左馬之助と信長、長きにわたって戦い続けた鬼武者と幻魔王という正に常軌を逸する存在である両者の戦いは戦場の地形をことごとく変えていく。左馬之助の雷斬刀の雷が天から落ちては地を走る。幻魔鎧武は大剣から雷、岩、風、炎という4種類の属性を次々と放っていく。
「これでどうだ!!」(蒼鬼)
蒼鬼は背中に背負ってある赤色の大剣=浄化剣を操り、次々と幻魔たちを消滅させていく。だが、次から次へと下級幻魔たちが湧いてくる。
「これはどうする。斬っても斬っても埒が明かない。」(蒼鬼)
その数に辟易するも何ともならない。そして、そこに漆黒と黒紅の魔力弾と雷光が蒼鬼に襲い掛かった。
「っ!」(蒼鬼)
蒼鬼は自身が持つ蒼色の大剣=山河慟哭で防ぐがその威力はすさまじく蒼鬼は吹き飛ばされる。
「蒼鬼さん!!」(一誠)
「すまねえ、油断した。」(蒼鬼)
蒼鬼のことを案ずる一誠。その蒼鬼の山河慟哭は半ばから折れてしまっていた。
「フハハハハハ!!今度こそお前たちを殺してやる!!」(幻魔宗二)
蒼鬼を攻撃したのは宗二、リアス、朱乃の3人だった。そして、そこに加わって距離を詰める幻魔チェイサーと幻魔リュウガ。そして、
「くっ!」(左馬之助)
「それがお前の限界のようだな。」(幻魔鎧武)
幻魔鎧武と戦っていた左馬之助は鬼武者の力を開放するための魂を全て消費してしまったために元の姿に戻ってしまった。そして、傷一つない幻魔鎧武。
「さあ、わが息子たちよ!目の前にいる愚か者どもから殺せ!!」(幻魔ネクロム)
呼び出したマーセラスに指示を出す幻魔ネクロム。誰が見ても絶体絶命の場面、彼らの運命は決してしまったかに見えた。だが、
倒れていた一誠たちの前に魔法陣が現れ、中から大樹、颯斗、タケル、マドカ、玲奈、簪、エルナが姿を現した。
「ほう、戻って来たか。」(幻魔鎧武)
「やられたままは気分が悪いから。それに、踏ん切りも付いた。」(大樹)
「ここに来たということは決着を着けるか。」(幻魔チェイサー)
「うん。だから、来た。」(颯斗)
「のこのこと出てきおって、身の程を知れ!!」(幻魔ネクロム)
「それはこっちのセリフだ。」(タケル)
「私達は戦いを終わらせる。」(マドカ)
「皆との未来をつかむために。」(簪)
「そのために、あなたたちを倒す!」(玲奈)
「だから、皆さん、一緒に行きましょう!!」(エルナ)
エルナの言葉に立ち上がる一誠たち。そして、一誠、タケル、玲奈、大樹、颯斗、マドカ、簪が並び立つ。その後ろにシンフォギア奏者たちとエルナが立つ。
「行くぞ!!」(一誠)
「「「おう!」」」(大樹、颯斗、タケル)
「「うん!」」(マドカ、簪)
「はい!」(玲奈)
一誠の掛け声に応じる彼らはそれぞれのドライバーを手にする。簪の手には何と颯斗が制作した2台目のマッハドライバーがあった。これは、ここに来る前に完成させたものを簪が颯斗から受け取り(もとい奪取?おそらくは颯斗も押し切られて、、、というか)、簪専用に調整されたものである。
彼らはおのおののドライバーを腰に装着、コアアイテムを前に突き出す。
〈ドラゴンフルーツ!〉
〈ブルーベリー!〉
ロックシードから音声が流れ、クラックが開く。颯斗の手にはハート、簪の手にはメディックが飛来した。一誠がカードデッキを前に突き出すと一誠の腰にVバックルが出現する。タケルと玲奈が眼魂のボタンを押すと同時にゴーストドライバーが出現した。
「「「「「「「変身!!」」」」」」」
彼らは力強く叫び変身した。
≪ドラゴンフルーツアームズ!竜王、オン・バトルフィールド!≫
≪ブルーベリーアームズ!マスケティアーオブサファイア!≫
≪シグナルバイク、シフトカー!ライダー、ロード!デッドヒート、ハート!≫
≪シグナルバイク!ライダー、レディ!ドクターメディック!≫
≪開眼!オレ!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!≫
≪開眼!ユリン!覚悟!ト・キ・メ・キ・ゴースト!≫
ベルトから変身したことを伝える音声が流れ、彼らの姿が変わる。そこには、光龍、ゴースト、ユリン、炎竜、ロード、ヴァルキリー、そして簪が変身した白い姿の仮面ライダーロードレディが並び立っていた。
「この戦場、俺達が勝ち取る!!」(炎竜)
「さあ、命を燃やすような!」(ゴースト)
「ライブをしようぜ!!」(光龍)
炎竜、ゴースト、光龍が口上をあげ、彼らと共に戦う仲間たちが各々の武器を構える。
「ふん、やれ。」(幻魔鎧武)
幻魔鎧武が自身の軍勢に命令を下した。幻魔鎧武の命令を聞き、炎竜たちに襲い掛かる幻魔たち。だが、その幻魔に負けることなくむしろ彼らは真正面から幻魔たちに対抗する。戦場の激しい戦闘音が響く。だが、そこに美麗な旋律と歌声が響き渡る。シンフォギア奏者たちの歌が響き、仲間たちを鼓舞するだけでなく幻魔に対抗する力を与えていた。
「おおおおお!!」(炎竜)
炎竜は竜炎刀を振るい、下級幻魔たちを次々と切り伏せる。その剣筋に迷いはなく、一太刀で何体もの幻魔を斬り払って行く。さらには近づいてきた足軽を蹴り飛ばしたり、斬りかかって来たガラワッシャには飛び膝蹴りをかましたり、迫りくるマーセラスに竜炎刀を投擲するなど元々の荒々しい戦い方を遺憾なく見せていた。
≪sword vent≫
「はあ!!」(光龍)
光龍は解放龍の剣を召喚、迫りくる幻魔たちを切り裂いていく。炎竜とは違い、軽やかな動きで次々と剣を振るう。攻撃してくる幻魔たちの刃や爪、牙を剣を使いいなしては体勢が崩れたところを切り返した刃で切り裂いていく。
ジャキン!ジャキン!ジャキン!
「命燃やすぜ!」(ゴースト)
ゴーストはガンガンセイバーを振るいながら、闘魂ブースト眼魂を持ち、ベルトにセット、闘魂ブースト魂に変身する。
≪闘魂、ブースト!≫
武器をサングラスラッシャーに持ち変え、炎を刃に纏わせながら次々と幻魔たちを斬り焼いていく。
≪急に、デッドヒート、ハート!≫
「ふん!!」(ロード)
ロードはその剛腕を遺憾なく発揮して幻魔たちを屠っていく。シフトアップしたことで蒸気を全身の排気口から大量に吹き出し大量の熱を放出しながら戦う。その高熱を帯びた拳は中級幻魔のガラワッシャなど体躯の巨大な幻魔を空中高く打ち上げる程強力であった。
≪ブルーベリースカッシュ!≫
≪ズーット、ドクター!メディック!≫
≪オメガスパーク!≫
「「「はああああ!」」」
ヴァルキリー、ロードレディ、ユリンは自分たちを囲む幻魔たちを強力な遠距離攻撃で次々と焼き払って行く。ヴァルキリーの極大レーザー=サファイアフレアは直線状にいた足軽をはじめとした多くの幻魔たちをその青い炎で灰燼へと帰していく。ロードレディはシフトアップを行うと自身の姿の元となったメディックと同様に背中からマニピュレーターを展開、それを幻魔たちの肉体を次々と分解していく。ユリンはガンガンハンドガンモードの銃口より巨大な光弾を次々と発射していく。
「いっっっっっっっけえええええええええええ!!」(響)
響は腰のバーニアをふかして、両腕のガントレットを稼働させる。響はレッグアーマーのジャッキを伸ばして、空中高く飛び上がり、そのまま急降下して地面を殴りつける。地面に拳が当たった瞬間にガントレットが起動してパンチの威力を上昇、周囲の地面を大きく破壊しながら幻魔たちを吹っ飛ばす。
「はあ!!」(翼)
翼はアーマーから取り出した刀を振るい、次々と幻魔たちを斬り払う。その戦い振りは同じく剣を使って行く炎竜たちとは違い、舞を思わせるような流麗なものだった。時折、脚部のアーマーパーツを稼働させ、幻魔を切り裂いていく。
「オラオラオラ!」(クリス)
クリスは両手のボウガンから絶え間なく矢を放っていく。さらにはアーマーから生成した巨大なミサイルを発射して多くの幻魔たちに文字通りの鉛球の大雨を降らしていく。
「いやああああ!!」(マリア)
マリアは左腕のガントレットから取り出した短剣を使い、軽やかな動きで幻魔たちを攻撃していた。飛び上がりながら短剣で斬りつけるなど、翼と同じように流麗さを備えた戦いであった。さらには短剣を複数召喚してそれを幻魔たちに向かって飛ばしていく。
「「これでも喰らって!(喰らえデース!)」」
切歌と調は卓越したコンビネーションを見せ、二人で他の仲間たちを遥かに超える敵を打ち倒していく。切歌が鎌を振るえば、調がアーマーを展開したメカアームの鋸を巧みに扱う。
「撃ち抜く!」(未来)
未来は戦場のいたるところに鏡を配置、それを使いレーザーを曲げたり拡散させ、時には遠くから狙撃していた。
「行きます!」(エルナ)
エルナはファウストローブと呼ばれる響たちのシンフォギアとは違う装備を身に纏っていた。炎の壁、電撃で相手を足止めし、召喚した使い魔である電脳獣ユニコーンドリル、レオサークル、ヴァイパーウィップ、ブルホーンが幻魔たちを攻撃する。
彼らの奮闘により幻魔たちの軍勢は半数近くまで数を減らした。だが、この戦場には強力な幻魔がまだ残っていた。
「今度こそお前たちを殺してやる!!」(幻魔宗二)
自身の醜い復讐心によって幻魔の血を受け入れ、幻魔となった兵藤宗二。そして、彼に盲目的に従うリアス・グレモリーと姫島朱乃。
「フン、さあ、わが息子たちよ。この者たちを殺せ!!」(幻魔ネクロム)
様々な造魔を使役する高等幻魔ギルデンスタン=幻魔ネクロム。
「ガアアアアアアアアアアあああああああああああ!!」(幻魔リュウガ)
凶暴な獣性のままに敵を屠る幻魔リュウガ。
「さあ、行くぞ。」(幻魔チェイサー)
すべてが静止するフィールドで敵を追い詰める追跡者幻魔チェイサー。そして、彼らを率いる幻魔王信長=幻魔鎧武幻魔王アームズ。後方にて腰を掛けて、戦況を静観することを決めた幻魔鎧武。その幻魔鎧武の前には幻魔チェイサーらが立ちはだかる。
宗二の前には光龍、リアスと朱乃にはヴァルキリーとロードレディ、幻魔ネクロムにはゴーストとユリン、幻魔チェイサーにはロード、そして幻魔リュウガには炎竜が相手となった。
「行くぜ!」(光龍)
「死ねええええ!!」(幻魔宗二)
幻魔宗二は幻魔弾を次々と発射。その数はかなりの物であり、まさに弾幕であった。だが、
≪remote≫
解放龍の剣で次々と迫りくる幻魔弾を霧散させていく光龍。数こそ目を見張るものはあるもののその軌道は分かりやすく、はっきり言えばこのゴミ屑にも劣るド畜生基転生者は転生特典のチートで何とかなっていたものの中身は格闘技のかの字もかじってこなかったド素人の雑魚、そんな相手に辛酸をなめさせられ、血のにじむような努力をしてきた光龍が勝てない道理などない。
「宗二、これで終わりだ!!」(光龍)
≪survive≫
光龍はサヴァイヴのカードを使い、ウルトラマンゼロのウルティメイトイージスを纏った仮面ライダー光龍サヴァイブとなる。さらに光龍サヴァイブは右腕のウルティメイトゼロソードにカードを装填する。ウルティメイトイージスは形を変え、ウルティメイトゼロソードと合体して銀色の槍となる。光龍はカードデッキからさらにカードを引き、変化したウルティメイトイージスに読み込ませる。
≪charge vent≫
炎竜(正確には輝龍)との手合わせの際に使った強化用のカードであるチャージベントを使い、ウルティメイトイージスにエネルギーをチャージする。
「喰らええええ!!」(光龍)
光龍は全力で強化されたウルティメイトイージスを投擲、それは銀色の流星となって幻魔宗二へと向かって行く。
「そんなもので、。」(幻魔宗二)
幻魔宗二は自身の能力で自らの力を倍加させることでしのごうとしたがウルティメイトイージスの穂先が幻魔宗二の体を貫く方が速かった。断末魔の叫びをあげることなく幻魔宗二は肉体が風化するように消滅した。
≪魔装、黒雷≫
≪急に、デッドヒート、ハート!デッドゾーン!≫
ロードはデッドゾーンを発動、全身を赤く輝かせながら幻魔チェイサーに殴り掛かる。対する幻魔チェイサーは紫電纏う刀を持ち、ロードに斬りかかる。幻魔チェイサーが刀を振るった軌道上には天から雷は無数に落ちてくる。ロードはその雷が落ちない場所に前転、その勢いで幻魔チェイサーに飛び上がり火花が散る赤熱した拳を叩きつける。拳が当たると幻魔チェイサーの体が大きくゆがんだ。さらにロードはそのまま追撃の手を緩めない。息もつかせぬ怒涛のパンチコンビネーション。瞬く間に幻魔チェイサーは後退していく。
「っ、くっ!」(幻魔チェイサー)
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」(ロード)
さらに体の熱量が上がるにつれてロードのスピードも上がっていく。スピードが上がればそれにつれてこの場の温度も上がっていった。
(まずい!このままでは!)(幻魔チェイサー)
幻魔チェイサーは咄嗟に重加速フィールドを展開した。だが、ここで初めて初歩的なミスをした。そう、重加速粒子の影響をロードは受けない、つまり、とっさの判断でロードの動きを止めようとしたがそれは全くの駄作だった。ロードの熱量はそのまま上がり、最終的には全身がまばゆく輝きだした。
「これで、終わりだアアアアアアアア!!」(ロード)
≪ヒッサーツ!フルスロットル!デッドヒート、ハート!≫
ロードは右腕を大きく引き、そのまま幻魔チェイサーの体に渾身のボディブローを放った。そのボディブローは幻魔チェイサーの体を貫通し、その熱でもってドロドロに溶かした。
「見事だ、、、。」(幻魔チェイサー)
そう言い残すと幻魔チェイサーは赤く輝く鋼鉄の液体になってしまった。
「私の滅びの魔力に朱乃の雷光、その二つを合わせたこの魔力弾にはただの人間のあなたたちも一たまりもないわね。」(幻魔リアス)
「精々、無様に命乞いをしてから死んでくださいね。」(幻魔朱乃)
空中を飛んでいる幻魔リアスと幻魔朱乃は頭上に手をかざし互いの魔力を融合させた極大幻魔弾を生成していた。自分たちが生み出す最大級の力、それをヴァルキリーとロードレディにぶつけることに愉悦を感じていた。だが、それに対してヴァルキリーとロードレディはお互いの視線を合わせ、ドライバーを操作した。
≪ブルーベリースパーキング!≫
≪ズーっと!ドクター、メディック!≫
ロードレデイはボディからコードを出し、それをヴァルキリーに接続する。一方のヴァルキリーはロックシードからブルーライフルへエネルギーを供給していく。
「エネルギーの供給工程、安定。アームズウェポンの耐久値、問題ありません。」(メディック)
「環境要素、射撃要素、他全データを参照。演算開始。」(ロードレディ)
メディックがヴァルキリーの装備の機能を調整、さらにロードレディは空中キーボードを投影し、ものすごい速さでタイピングを行う。そして、ロードレディの演算はほどなく終わり、その結果はコードで接続されたヴァルキリーに即座に伝わった。
「万夏。そのままあのエネルギー体の中心を打ち抜いて。」(ロードレディ)
「分かった。」(ヴァルキリー)
ヴァルキリーはブルーライフルを構え、幻魔弾へと照準を合わせそのまま引き金を引いた。普段であれば極大レーザーとなって放たれるビームは細く長くそれでいて高い威力を有して幻魔弾を撃ち抜いた。
撃ち抜かれた幻魔弾は空中で滅びの魔力と雷光の融合がほどけ、持ち主たちの元へ殺到した。
「嘘!?それじゃあ、私死んじゃう!!」(幻魔リアス)
「いや、いやああああ!!」(幻魔朱乃)
互いの魔力に包まれ、リアスと朱乃はこの世界において二度目の死を迎えた。リアスと朱乃の姿が見えなくなったのを確認したヴァルキリーとロードレディは両手でハイタッチをした。
「さあ、ひねりつぶせ!!」(幻魔ネクロム)
「行くぞ、玲奈!」(ゴースト)
「うん!」(ユリン)
幻魔ネクロムは自身が生み出した造魔マーセラス数体に足軽をベースとした4つ足の造魔ゾルムがぞろぞろと現れ、さらに刀、槍、弓矢を装備した足軽が無数に現れゴーストとユリンを囲む。ゴーストはムサシ眼魂を、ユリンはミコト眼魂を手に取り、ドライバーにセットした。
≪開眼!ムサシ!≫
≪開眼!ミコト!≫
ゴーストは闘魂ムサシ魂に、ユリンはミコト魂にゴーストチェンジした。ゴーストはサングラスラッシャーに加えガンガンセイバーを召喚、ユリンはガンガンハンドに出現したゴーストガジェットであるカニジシャクを合体させガンガンハンドレールガンモードに変える。ゴーストは迫りくる幻魔たちを二刀流で次々と切り伏せていく。ユリンもガンガンハンドから高速で電磁弾を次々と撃ちだして幻魔たちを倒していく。だが、その幻魔たちの数は減らずなおかつその様子もより激しく攻撃を加えてくるようになっていた。
「お兄ちゃん!さっきよりも攻撃が!?」(ユリン)
「それにどんどん増えてきている。まさか、そこのお前が。」(ゴースト)
「そうだ。我が息子たちには私が力を与えた。お前たちを殺すまでは止まらんさ、この私がいる限りはな!!」(幻魔ネクロム)
幻魔ネクロムは自身の力をこの場にいる幻魔たちに分け与えており、それによって幻魔たちが非常に強力になっていた。
幻魔ネクロムの言葉から幻魔ネクロムを倒せば突破口が見つかることを推測するゴースト。だが、彼が持っている形態でこの状況を突破できるのは二つ、ディープゴーストともう一つ。ゴーストはディープゴースト眼魂を取り出そうとするが、
「俺も力を貸すぜ。」(蒼鬼)
傷だらけの蒼鬼がゴーストとユリンの元へ来た。
「このままじゃあ力にはなれない。お前の力で俺を変えてくれ。」(蒼鬼)
「良いのか?」(ゴースト)
「本当なら俺は1度死んでいる。それでも、誰かを守るって気持ちはお前と同じだ。」(蒼鬼)
「分かった。玲奈は時間を稼いでくれ。」(ゴースト)
「うん!」(ユリン)
ユリンはまた幻魔たちを攻撃して、ゴーストのもとへ行かせないように足止めをする。そして、ゴーストは蒼鬼の前で眼の紋章を書く。すると、蒼鬼の体は蒼色の甲冑に鬼の角を模した飾りの長袖のロングコート型のパーカーゴーストとなった。パーカーゴーストになった蒼鬼はゴーストドライバーに入ると蒼色と黒色の眼魂になった。
「行くぜ、蒼鬼!」(ゴースト)
ゴーストは眼魂をドライバーにセットしてゴーストチェンジした。
≪開眼!ソウキ!蒼き鬼武者!黒き破壊神!≫
ソウキゴーストを纏うとその顔は2本の大剣が交差した(ムサシ魂に似た)顔となる。さらにソウキ魂の専用武器の大剣ガンガンブレードを手にする。ゴースト闘魂ソウキ魂はガンガンブレードを振るい、幻魔たちをなぎ倒す。そしてゴースト闘魂ソウキ魂はガンガンブレードをゴーストドライバーにかざして、必殺技を発動する。
「行くぜ!はああああ!!」(ゴースト)
ゴーストはガンガンブレードに電撃を貯め、地面に突き刺す。天空から雷が落ちてきてガンガンブレードから地面へと走る大技オメガライトニングにより群がる幻魔たちを吹き飛ばしていく。その効力は凄まじくいくら幻魔ネクロムの力で強化された幻魔たちを一撃で消滅させるほどだった。数を減らした幻魔たちの中で健在であったマーセラスたちがゴーストへと大剣を振り下ろしてくる。それに対しゴーストはマーセラスたちの刃が振り下ろさせるその刹那に一閃した。マーセラスたちがよろめいた瞬間にゴーストはガンガンブレードにヒミコ眼魂をセット、柄にあるボタンを押して第二の必殺技、不浄な存在を浄化するオメガリジェクトが発動した。ガンガンブレードは赤く輝き、マーセラスたちを一瞬のうちに消滅させた。そして、ユリンも必殺技で残った幻魔たちを一掃していく。
「バカな!!」(幻魔ネクロム)
自身の軍勢が瞬く間に殲滅される様子を見た幻魔ネクロムはうろたえる。
「これで終わりだ!」(ゴースト)
≪ダイカイガン!ソウキ!オメガドライブ!≫
ゴーストはゴーストドライバーを操作した。それによってゴーストの体から紫色のオーラが立ち込める。その力は蒼鬼の中に宿った黒き破壊神、蒼き鬼武者の力だった。ゴーストはあふれる力のままに幻魔ネクロムに突進、その振り下ろされたガンガンブレードは幻魔ネクロムだけではなく周囲にいた幻魔たちも屠った。
「そんな、この私があああ!!」(幻魔ネクロム)
幻魔ネクロムは断末魔の声をあげて消滅した。
「がああああああああ!!」(幻魔リュウガ)
「うおおおお!!」(炎竜)
炎竜と幻魔リュウガは互いにつかみ合って宙を飛ぶ。その後は地面へと転がり、互いに離れ、即座に立ち上がると同時にお互いに攻撃する。
炎竜は無双セイバーナギナタモードを振るい、幻魔リュウガの攻撃を防ぎながら返す刃で斬りつける。一方の幻魔リュウガはダメージをものともせずに炎竜に強靭な爪を振るう。
≪strike vent≫
幻魔リュウガはマガラクロウを装備、その毒々しい紫爪を炎竜に振るう。そして、マガラクロウを装備してから幻魔リュウガの体から例の暗紫色の粒子が舞い上がりだした。炎竜はその暗紫色の粒子の様子からただならぬものを感じる。
(これは、何かは分からないけど、悠長にやっていられないな。)(炎竜)
炎竜はその粒子が何かなのか思案するのは頭の片隅へと置き、幻魔リュウガの猛攻をいなしていく。その中で流れる動作でドライバーを操作する。
≪ドラゴンフルーツスカッシュ!≫
ロックシードから供給されたエネルギーは炎竜の全身へと広がり、炎の鎧となった。
「グウウウウ!!」(幻魔リュウガ)
突然、炎の鎧を纏った炎竜に距離を取る幻魔リュウガ。炎竜はそのまま燃え盛る炎を纏いながら幻魔リュウガに爆炎のごとき連続斬りを叩き込んでいく。幻魔リュウガの体から出ていた粒子は炎竜の纏う炎によって次々と発火、戦場は赤く燃える火の粉が舞い散る美しき炎の円舞に彩られた。
渾身の斬撃を放つ炎竜に、その斬撃によって吹っ飛ぶ幻魔リュウガ。両者の戦いも終わりの迎える。
≪ソイヤ!ドラゴンフルーツスパーキング!≫
≪final vent≫
炎竜の炎はより激しさを増して無双セイバーまでの包み込む。一方の幻魔リュウガはゴア・マガラを召喚、必殺技のダークネスジャッジメントを放った。炎竜は空中から紫色の炎を纏った幻魔リュウガに向かって飛び上がり空中で高速回転を始める。炎竜を中心に戦場の火の粉が集まり巨大な火炎竜巻が発生、竜巻は幻魔リュウガ、ゴア・マガラを飲みこむ。炎竜は竜巻に乗って幻魔リュウガとゴア・マガラを切り裂いた。
炎竜が竜巻の上、上空へと至った時に幻魔リュウガとゴア・マガラは一直線上に重なっていた。
≪ソイヤ!ドラゴンフルーツスカッシュ!≫
残る炎を右足に集めた炎竜は必殺キック=竜炎蹴を発動、自身よりはるかに巨大なゴア・マガラ、幻魔リュウガをその勢いで地面に叩きつける。竜巻の根元で爆発が起き、竜巻が霧散する。そこには炎竜がただ一人立っていた。
「来い。」(幻魔鎧武)
ほかの幻魔たちが倒れたことでついに幻魔鎧武が立ち上がる。その幻魔鎧武と対峙する炎竜たち。幻魔鎧武は大剣を片手に持ち、空いた手で炎竜たちに来るよう挑発をする。
幻魔鎧武に向かって、炎竜と光龍が走り出した。炎竜は無双セイバーを、光龍は槍型のウルティメイトイージスで幻魔鎧武を攻撃する。幻魔鎧武は土の壁を瞬時に作り出し、炎竜と光龍の攻撃を止める。土の壁を目くらましに幻魔鎧武は大剣を振るった。振るうだけで衝撃波が発生し、土の壁を粉砕し炎竜と光龍をフッ飛ばした。そこに左右からゴーストとロードが挟撃するがそれに対して雷を落として対応する幻魔鎧武。ヴァルキリー、ロードレディ、ユリンは遠距離から仕掛けるが幻魔鎧武は竜巻を発生させて3人の攻撃を無力化した。シンフォギアを纏う奏者たちとエルナも加わる者の幻魔鎧武は風、土、炎、雷の属性を秘めた球体を生み出し、戦場でそれを開放。まさに天変地異を起こし、炎竜たちを一歩も近づかせなかった。
「何あれ!?」(ロード)
「そもそも攻撃が届かないなら厳しいぞ。」(炎竜)
「突破口は必ずあるはずだ!」(光龍)
彼らの力、それぞれの最強の力、新しく手に入れた力が届かない。それだけでは無かった。
「さあ、消えろ!!」(幻魔鎧武)
幻魔鎧武はさらに巨大な火柱を幾本も出現させ炎竜たちを配下の幻魔もろとも焼き払おうとした。当然ながら配下の幻魔たちは灰となり、炎竜たちに傷を負わせていく。
「こんなの、、、。」(ロードレディ)
「でも、あきらめない!」(ヴァルキリー)
圧倒的な戦力差がある、それでもなお彼らはあきらめなかった。幻魔たちと戦っていた響たちも加わり、幻魔鎧武への攻撃も激しくなっていく。だが、数が増えたことなど大したことではないと言いたげに幻魔鎧武は彼らの攻撃をことごとく止めていく。
「なぜ、諦めない。ここまでの差がありながら。」(幻魔鎧武)
「力量差なんて諦める理由にならない。」(炎竜)
何度も何度も立ち上がる炎竜たちに言葉を投げた幻魔鎧武。それに言葉を返したのは炎竜だった。
「おのが信ずる正義、か?」(幻魔鎧武)
「いや、俺は正義なんて言葉を戦う理由にしたことは一度もない。単純に守りたい、それだけだ。」(炎竜)
「何?」(幻魔鎧武)
「俺を救ってくれた両親、天涯孤独になった俺を受け入れてくれた人達、共に戦う仲間と愛する人も守る。俺が刀を振るう理由はそれだけだ。」(炎竜)
「そんな理由でか。」(幻魔鎧武)
「ああ、そんな理由だ。あんたはどうだった。」(炎竜)
「何ことだ。」(幻魔鎧武)
「あんたがまだ人間、尾張の国の城主織田信長だった時だよ。」(炎竜)
「そんな時のことなど、とうに忘れたわ。」(幻魔鎧武)
「だろうな。そんな力に手を染めるような領主だからな。」(炎竜)
炎竜は立ち上がり幻魔鎧武を見据える。そして、幻魔鎧武を見据えながら炎竜は幻魔鎧武の周りをまわるように歩き出す。
「人間ならざる者の力、天下を獲るにはこれ以上ないほどにあんたには好都合だったんだろ?それを手にすれば近隣の諸国はおろか日ノ本全体を、世界すら手に出来るだろうからな。」(炎竜)
「何が言いたい。」(幻魔鎧武)
「こういうことだよ、人間で出来ることに見限りを付けてさっさと楽な方に手を出した傾奇者ってな。」(炎竜)
炎竜の言葉に明らかに苛立ち始めた幻魔鎧武。
「貴様に何が分かる。」(幻魔鎧武)
「分かるか。そういうことに理解を求めるんじゃねえよ。それで、その力を手にしてどうだ?妹の夫、義理の弟とは言え自分に歯向かった奴を殺したんだろ?さぞ気分が良かったんだろうな。」(炎竜)
「あいつは裏切った、だから殺した。戦国の世では当然だ。」(幻魔鎧武)
「それでも、気分は良かったんだろ。そして、攻め入った国の人間は幻魔たちに食わせる。随分と、まあ第六天魔王の名に違わぬ外道振りだ。」(炎竜)
「貴様!」(幻魔鎧武)
「そりゃ、こんな主君ならぶっ殺そうと思うわ。あんたは魔王じゃない。ただの卑怯者だ。」(炎竜)
炎竜の言葉に怒りの色の隠さなくなった幻魔鎧武。
「貴様に何が分かる!小国である尾張が生き延びるには最小の犠牲はやむなし、そもあの戦国の世で甘いことなど許されぬわ!そのための幻魔の力だ!今の儂を見ろ!最強の幻魔王となったこの儂を!人間の情など、戦場に立った時から捨てたわ!!貴様のような若造などにこの儂をわかってたまるか!」(幻魔鎧武)
大剣を持ち、炎竜につかみかかる幻魔鎧武。
「若造!お前にはもう一度その心の闇を開放させてやる!そのまま、お前の守りたいという仲間を殺して、絶望した上でお前を殺したやる!」(幻魔鎧武)
幻魔鎧武はそのまま大量の漆黒の瘴気を炎竜に浴びせる。以前と同じように自身の中にあるどす黒い感情に囚われそうになる炎竜。だが、
「そう何度も、俺の感情を弄ぶな!これは、俺のものだ。お前なんかの好きにさせるか!!」(炎竜)
そう叫ぶ炎竜の体が金色に輝きだす。その輝きは漆黒の瘴気の払う。そして、炎竜は幻魔鎧武を両足であらん限りに蹴り、距離をとった。
炎竜の黄金の輝きはそのまま一か所に集まり金色のロックシードとなる。
「死ねええ!!」(幻魔鎧武)
幻魔鎧武が大剣を炎竜に振り下ろそうとするがそこに突如地面を炎が走り、幻魔鎧武から炎竜を守った。炎竜たちが炎のは知って来た方向を見るとそこには紅蓮の大剣を持った左馬之助がいた。
「俺達の意思を受け継いでくれ。そして、お前たちの世界を守るんだ。」(左馬之助)
そう言うと左馬之助は鬼の籠手から光を放出、一つは光龍、もう一つは炎竜の元へ行く。光龍の前には3枚のカードが、炎竜の左腕のアーマーが変化、赤銅ののベースにくぼみのあるガントレット=デュアルギアとなる。左馬之助はそのまま光の粒子となって消滅した。
炎竜は新たに手にしたロックシード、ゴールドドラゴンエナジーロックシードをデュアルギアにセット、横にあるレバーをスライドさせた。
≪ミックスアップ!デュアルゴールドアームズ!金・龍・覚・醒!≫
炎竜は新たな姿、黄金と赤の竜武者=炎竜デュアルゴールドアームズへと強化変身した。炎竜は竜炎刀、光龍剣を両手に持ち、幻魔鎧武へと斬りかかる。幻魔鎧武は炎竜の攻撃に大剣を振るうことで対応、だが、炎竜は一度でも触れれば大怪我は免れない幻魔鎧武の攻撃を危なげもなく、なおかつそれらを紙一枚ほどの距離で躱していく。幻魔鎧武は大剣に様々な属性を付加させて攻撃するがそれすらも炎竜は見切り、二振りの刃を振るう。幻魔鎧武は土の壁、火柱、竜巻で防ごうとするが炎竜の剣戟はそれらを全て切り裂いた。その姿は正に竜神だった。そして、幻魔鎧武は炎竜を相手にしていることで忘れていたのだ、相手は彼だけでは無いということに。
≪sword vent≫
ウルティメイトイージスを元に戻し、光龍が左馬之助から授かったカードの1枚を使用、左馬之助が使っていた雷の刀=雷斬刀を召喚した。光龍はウルティメイトゼロソードと雷斬刀の高速の二刀流で幻魔鎧武に斬りかかった。
光龍の攻撃に対応が出来なかった幻魔鎧武。ついに幻魔鎧武は傷を負った。
並び立った炎竜と光龍。竜炎刀、雷斬刀の切っ先を幻魔鎧武に向ける。
「この戦場、俺たち仮面ライダーの。」(炎竜)
「ライブステージだ!」(光龍)
二人の声に仲間たちも自分たちを鼓舞し、立ち上がる。
≪剣豪!発見!巨匠に王様!侍!坊主にスナイパー!大変化!≫
ゴーストは最強形態のグレイトフル魂に変身する。
≪ヒッサーツ、フルスロットル!デッドヒート、ハート!≫
「おおおおおおお!!!」(ロード)
ロードが必殺技、デッドヒートパニッシュを発動。赤熱の拳は幻魔鎧武の大剣を大きく揺れさせた。
「いっけえええええええ!」(響)
そこに響の追撃が。それにより幻魔鎧武の大剣にひびが入った。
「オラオラオラ!」(クリス)
ロードと響が下がったのを確認したクリスが巨大なミサイルを発射、直撃したことでさらに大剣にひびが入る。
≪ダイカイガン!グレイトフル!オメガドライブ!≫
「命、燃やすぜ!!」(ゴースト)
「ユニコーンドライブ!インストール!」(エルナ)
英雄たちの力を集めたライダーキックを放ったゴースト。その隣にはユニコーンドリルを右腕に装備したエルナが右腕を突き出した。そして、ついに。
バキャアア!!
大きな音を立てて大剣が粉々になった。
「「いやあああああ!!」」(切歌、調)
「「はああああああ!!」」(翼、クリス)
武器がなくなった幻魔鎧武に切歌の鎌が、調の鋸が、翼とクリスの刃が迫る。幻魔鎧武は土の壁で防ぐが4人の斬撃で土の壁は崩れる。
≪ガンガンミナー!オメガスパーク!≫
≪ブルーベリースパーキング!≫
≪ヒッサーツ!フルスロットル!ドクター、メディック!≫
ヴァルキリー、ロードレディ、未来、瓦礫の間を縫って通常形態に戻ったユリンの遠距離攻撃が幻魔鎧武に命中した。
「ぐおおおお!!」(幻魔鎧武)
初めて苦悶の声を上げた幻魔鎧武。
≪ドラゴンフルーツスカッシュ!≫
「破っ!」(炎竜)
「喰らえ!」(光龍)
竜炎刀と光龍剣にエネルギーを貯め、怒涛の連続斬りを放つ炎竜。雷斬刀の力を開放して天空から雷を落とす光龍。ついに幻魔鎧武に浅くはない傷を与えた。
≪デュアルゴールドスカッシュ!ドラゴンフルーツスカッシュ!≫
≪final vent≫
炎竜は武器を投げ捨て戦極ドライバーとデュアルギアを操作、二つのロックシードのエネルギーを右足に集める。
ウルティメイトイージスを脚甲へと変えた光龍。二人のライダーは飛び上がり竜の息吹を思わせる強力な攻撃、ダブルライダーキックを幻魔鎧武に放つ。炎竜の右足が、光龍の両足が、幻魔鎧武の胴体に突き刺さる。ライダーキックを受けた幻魔鎧武は大きく弾かれる。踏みとどまる幻魔鎧武、その胸部には炎竜と光龍の足跡が深く着いていた。
「人間、、、50年、下天のうち、、、、を比、、、ぶれば、夢、幻の、、、、如く、、、な、、り。」(幻魔鎧武)
そう言い残し幻魔鎧武の体が端から消滅していった。それにつれて残っていた幻魔たちも消えた。戦場に立つのは炎竜、光龍たちだった。
side 大樹
あれから2日と経たぬうちに元の世界に戻れることになった。俺と颯斗、マドカ、簪はど〇〇もドアの前に立っていた。ちなみの俺のロックシード、3つとも最初の色に戻ったままだった。マドカの方も最初の調整の後の戦いで効果が切れたらしく、いつの間にか元の色に戻っていた。簪が使っていたドライバー、譲ってもらえることになり簪が持つことになった
「寂しくなるな。」(一誠)
「でも、会えないわけじゃない。きっと、またどこかで。」(大樹)
「またね、玲奈ちゃん。」(マドカ)
「はい!マドカさんも簪さんも元気で!」(玲奈)
「ありがとう。」(簪)
「じゃあな、颯斗。」(タケル)
「タケルさんも、元気で。」(颯斗)
見送りの数は全員とはいかなかったけど、最後に挨拶は出来た。俺達はそのまま元の世界へ戻った。
最弱の一誠コラボ、終了。遂に完結しました。この場を借りて、コラボしてくださった疾風の警備員さんにお礼を申し上げます。疾風の警備員さんの「最弱の一誠と歌姫達」本編、他の疾風の警備員さんの作品もぜひお読みください。今後は第1.5部のストーリーがメインとなりますので、オーズNEOの最新話も執筆中ですのでよろしくお願いします。