注意事項
カップルのイチャイチャを見るとブラックコーヒーを欲する、壁を殴りたい、リア充爆発しろと叫ぶ方々はこれらの症状が悪化する危険性があります。お読みになる際は十分に注意してください。また、お相手のいない方はこの世界は滅ぶべきという強迫観念にかられる危険性が非常に高いです。途中で文字を目で追うことが苦痛になった場合、即座にブラウザバックを行い、十分の休息を取る、若しくは別の小説をお読みになってください。
日常編第1話
2月14日、インベスをはじめとした人類の新たな脅威に対抗しているIS学園の専用機持ちと仮面ライダーたちにもこの日は特別である。あるものたちは自らの恋の成就を目指し、あるものたちは愛する人に日頃の感謝とこれからの幸せを願い、あるものたちは淡い期待を抱き、あるものは今年もかとどこか気疲れする。
大樹side
「逆バレンタインか、、、。喜ぶかな、、、。」
パソコンを前にして俺は今年のバレンタインのことを考えていた。夏の激戦が終わり、新たな脅威に対抗している俺たち仮面ライダーに休息は無いがこの日に関しては敵さんも空気を読んで活動を控えてほしいものだ。
俺は夏の臨海合宿にて万夏と付き合い始めた。危険な戦いに身を投じている俺に恋人の万夏はいつの日か、あの夢に見た光景、前世での俺の最期がまた起きるのではとおびえているのを見せずに送り出してくれている。
俺も万夏もお互い、前世の記憶がある。思いながら、焦がれながら、一緒になることは無かった記憶を持ち、この世界でもお互いに思いを寄せていた。とうとう付き合いだしたので愛しさ爆発、同じ空間にいたらキスするのは序の口と言わんばかりにR18指定の行為を致しまくっている。それはこの際にどうでもいいが、問題は今年のバレンタインだ。毎年、万夏は自分の思いを込めて作ったチョコをくれている。今年は何か、俺の方からも何かしたい。でもそれを何にするか、どうするか、、、、、、、、。
「う~ん。」
期日は迫っている。だが、良いアイデアが思い浮かばなかった。
颯斗side
IS学園では至る所で甘い匂いが立ち込めている。
「甘ったるい。」
整備科1年でアニオタの僕には正直きつい。場違い感が半端ない。整備科に所属している男子学生もそわそわしているし。僕は日課である簪の専用機、打鉄弐式の整備を行う。打鉄弐式は僕と簪が協力して作った。完成には大樹をはじめとした多く人々の協力があった。その時の僕はかつて、簪を危険に巻き込んでしまったことから戦うことを辞めてしまった。けれど、僕の前に現れた彼はそんな僕の臆病さをバカにすることなく、むしろ自分なんかよりも立派だと言ってくれた。そして、僕はまたヒーローになることを決めた。それからは大樹たち共に強大な敵と戦い続けている。その中で、大樹の秘密を知ったりした。それを経て、僕たちの絆は強くなったりとアニメのような出来事を体験してきた。それでも、アニオタでヒーローな僕にも場違い感が半端なく感じるこの季節は淡い期待を抱く季節でもあった。
陸side
IS学園の寮にいる俺はいつものゲーム仲間のシャルとラウラが居ないことを気にしながらゲームをしていた。
この季節は正直、良い思い出は無かった。家族が死んでしまってからは俺の思い出は灰色だった。だが、俺のそばにいつも多くの人がいた。俺を助けてくれた永夢先生たち、そしてIS学園で出会った大樹、一夏、颯斗、CR以外の仮面ライダー、そして、俺が初めて助けたシャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒ、俺の世界はやっと今までの、家族が一緒だった鮮やかだったころに戻った。俺はCRの新人ドクターで仮面ライダーだ。俺はこの世界を護るために戦い、大勢の人を救う。それが今の俺の目標だ。でも、そんな俺でも、今の俺でも若干の期待を持つ。
「チョコ、くれねえかな。」
一夏side
なぜ、女子はこの季節になると目の色が変わるのだろうか。毎年、この季節が来ると憂鬱になる。大樹は「贅沢言うな。お前が居て、どれだけの男が枕を自分の涙で濡らしたと思う。それに、今後は絶対にチョコのおすそ分けを俺にするな。万夏に、変な誤解されたくない。つか、おすそ分けするな、自分でちゃんと食え。食いきれないと判断するなら断れ。」と言い、今年はいやこれから先一生、大樹の助けは借りれないだろう。俺はこれから来る山のようなチョコを想像して、胸焼けがしてきた。
「はあ、なんでチョコがたくさん来るんだ?」
大樹side
「何か、プレゼントをしようと思っているんだけど。」
俺はIS学園の3バカトリオのメンバーで共に戦う仮面ライダーの仲間の陸と颯斗にバレンタインのことを相談していた。この二人は俺と違い、彼女はいないが思いを寄せられている女性が複数いる。本人たちも自覚しており、少しずつだが距離を詰める、決めた人物がいるなど行動に移してはいる。
「ホワイトデーじゃなくてバレンタインにか?」
陸が言った。
「毎年、もらってばかりで、今年は付き合って初めてだし、その、、、、、、。」
「前世じゃ、5年もデートの約束をすっぽかしたから何かしたいと。」
颯斗が言った。
「それも無くはないよ。でもさ、本当は毎回毎回、俺が戦いに行く度に前世のようなことになるんじゃないかって不安なんだと思う。少しでもさ、こういう時こそは普通にそんなことを思わずに楽しんでほしいからさ。」
俺は何度も万夏を泣かせてきた。その分これからは一杯幸せにしたい。だからこそ、こういうイベントの時こそは忘れずに何かをしたい。
俺の友人二人は俺を見てニヤニヤしている。
「何?」
「いや、彼女想いなんだなって。」(・∀・)ニヤニヤ
「お熱いねえ。」(・∀・)ニヤニヤ
「お前ら、イラつく。」イライラ。
「いや、君たち二人ね、映画の君の名と同じくらいにロマンチックな恋愛しているでしょ。もうさ、アニメの主人公並みのストーリージャン。」(・∀・)ニヤニヤ
「FFでもすんげえ、二人と被る話があってさ、もう、テ〇〇ダと〇〇ナかよ、お前ら。」(・∀・)ニヤニヤ
「まだ、ニヤニヤするならこの後の訓練でボコボコにするぞ。」(# ゚Д゚)
「それなら、ハートの力でドラゴンステーキにしようか?」
「俺も本気で行くぜ。
あ、俺には本気アタック辞めてね、下手すると死ぬから。」
まあ、3人バカが集まれば大体がこんな会話になる。特に俺たちの場合は俺が万夏と付き合っていることから、二人がそのことでおちょくることが多い。健全な高校男児の会話なんて低級レベルがお約束だ。
「俺のことをいじるけどさ、二人はどうなの?バレンタイン。」
俺はここから、いまだに思いを寄せている人との関係を進展させていない2人に仕返しをすることに決めた。
「「どうって?」」
「二人とも、チョコをもらうあてはあるんだろ?」
万夏から伝え聞いた情報とこいつらの普段の様子からそれぞれにヒロインが居ることも知っているし、その状況が三角関係だったり、ハーレムだったりとこいつらもなかなかなラブコメをしている。
「「いや、あるけど、、、、、、。」」
途端に2人の空気が重くなった。
「どうした?」
「いや、最近シャルもラウラも居なくてさ、時期が時期ジャン。今の所、俺たちの関係ってただのゲーム友達だからさ。」
「僕の方はねえ、その、幼馴染でアニオタ仲間だけど、その、これまで、渡されてことが無くて、、、、、、。」
つまるところは当てはあるがもらえる確証がないのだと言う。陸は言い分は分からなくはない。意外にも颯斗がもらっていないとのことには驚いた。
「それとなく、期待しているよっていう意思表示はしてんの?」
「それって、暗にくれって言ってんじゃん。それはしたくない。」
「今年も淡い期待をしているけど。」
まあ、この二人の気持ちは分からなくはない。この際一夏はもうどうでもいいし。
「なあ、もらえなかったらさ3人で何かつつく?」と俺が言った。
「例えば?」と陸。
「チーズフォンデュ。」
「男3人で寂しくチーズフォンデュ?と言うより大樹はもらえるのは確定でしょ。僕らに付き合うのは良いけどさ。」
颯斗が言う。
「そうそう、普段心配を掛けさせている分楽しんでもらいたいならそっちを考えろよ。」
この二人もなかなか人間が出来ているので、俺の事情や万夏のことも考えて気を使ってくれている。
「なあ、バレンタインを楽しみたいならさ、通販で二人の夜が甘く燃え上がるようなものを買って、そっちの方面で楽しんだらどうだ?」と陸。
ただ、そういう茶々を入れる点を除けばな。
「うるさい。」
俺はそう言い放った。
万夏(マドカ)side
私達、専用機持ちはバレンタインに向けて並々ならぬ思いでIS学園の家庭科室にいた。私は毎年、大樹に渡しており、付き合い始めた今年も欠かさずに渡すつもり。箒をはじめとした一夏兄さんに思いを寄せているメンバーは戦いだと言わんばかりにチョコの制作に取り掛かっている。
私はシャルロット、ラウラ、簪、楯無先輩、本音と一緒にチョコを作り始めようとしている。
「皆は何を作るの?」
私は参考までにみんなの意見を聞く。
「ぼくはね、このチョコトリュフかな。」
シャルロットがスマホの画像を見せる。
「私はまだ決まってはいない、出来れば嫁の喜ぶものが良いのだが。」
ラウラはまだ、決まってないみたい。
「大丈夫だよ!陸ならなんでも喜ぶと思うよ!」
シャルロットとラウラは3人目の男性操縦者でCRの仮面ライダー、桐ケ谷陸に思いを寄せている。
「ねえ、ラウラ、僕と一緒に作ろ!」
「シャル、良いのか?」
「うん!」
この二人は一夏兄さんの方とは違って、恋のライバルではあるけど仲の良い友達だから争うことがそんなにない。
「私は、チョコじゃなくて、このア・タ・シ♡。」
楯無先輩は胸を強調するように胸をそる。そして、お馴染の扇子に絶対勝利の文字が。あんな、スタイル、正直うらやましい。特に胸が。
「私は無難にチョコで、そして、今年こそ。」
簪はうつむきながらだけど確固たる意志を持っているみたい。
簪と楯無先輩は幼馴染で学園の4人目の仮面ライダーで整備科にいる留芽颯斗にチョコをあげるみたい。
「わたしはねえ、皆にあげるチョコを作るの~。」
本音はいつもの間延びした話し方でクラスのみんなにあげるものを作ると言った。
というより、鈴を除いたメンバーが私よりもスタイルが良い!この中で一番、子どもっぽい見た目なのは私、、、、、、、、。いっぱい食べても成長の兆しが見えないこの体に憎い!
「ねえねえ、マドマドは何を作るの、ひい!」
私を呼び掛けた本音が怖がる。また、もう一人の私みたいな顔をしていたみたいだけど私は悪くない。私よりもスタイルの良い皆が悪い。
「万夏ちゃん、ちょっと落ち着きましょ。そんな怖い顔しないで。」と先輩。
「大丈夫だ。むしろ、落ち着いているが。」
「万夏、大丈夫じゃないよ。ISに乗っているときの口調になっているよ。」とシャル。
「何を、今更。私よりもスタイルが良いくせに。」
皆がやっと私の機嫌の悪さの原因が分かったみたい。
「万夏は付き合っている人がいるでしょ、その人は万夏の見た目に不満を持ってた?」
簪が私に言う。その言葉に何をいまさらと思いながら、大樹が私に不満を持ったことは無いと言ってたことを思い出す。大樹は私の見た目に「俺は気にしていないし、不満に思ったことは無いよ。それに万夏、きれいだよ。」と言ってくれた。大樹は現世(今)も前世(昔)も私のことを愛してくれている。見た目も含めて私だと言ってくれた。そんなことを考えていると不思議と落ち着いてきた。
「いや、むしろ好きだって、言ってくれた。」
そう言った途端に
「ぐああああああああ!」
「眩しい!その笑顔が眩しい!」
「チクショー!」
「あれが人生の勝ち組かあああああ!この野郎うううううううううううううう!!!!!!」
一夏兄さんにチョコを渡す人たちが苦しみだした。大樹に後で聞いたら「IS学園中の女性が皆、発狂していた。特に千冬姉さんがやばかった。」ということになっていたらしい。私と一緒にチョコを作るメンバーはそんなこともなく、「好きな人と一緒にいるってうらやましい」とほほ笑んでいた。
「ねえ、万夏は作るものって決まっているの?」
シャルロットが私に聞く。
「いつも、決まっているの。毎年作ってて、大樹も喜んで食べてて、一緒に食べているの。」
それを聞いた別グループは女の子が出しちゃいけない声を出してた。
「ねえ、それ何なの?教えて!」
私と一緒に作る皆は興味津々に聞いてくる。
「それは、、、、、、、。」
大樹side
俺はなぜか発狂した千冬姉さんを保健室へ連れていき(保健室はあまりの人でパンクしていた。)、山田先生に外出届を提出し、そのまま、陸と颯斗共にIS学園を出た。
「ノーコンティニューでプレゼントを選ぶぜ!」
陸がレジデンスに着いた瞬間に命の恩人のきめ台詞をパクった。
「それ、大丈夫なのか?」
「一応、OKはもらってる。」
良いんだ、、、、、、。
「ねえ、2人とも。」
颯斗が口を開く。なんだか、めちゃくちゃ、そわそわしている。
「アニメイト、見たいんだけど。」
オタクのマストショップに行きたいらしい。
「3人、それぞれ、目的があるからな。じゃあ、それぞれ行きたい場所に行こうか。」
俺の言葉に2人もそれぞれの目的のものを探しに行った。
颯斗side
僕はアニメイトへ行き、新作のアニメのグッズを確認した後、簪、刀奈姉ちゃんにあげるプレゼントを探し始めた。僕と二人は小さい頃から一緒で二人の仲が悪くなったときは何とかしようと頑張った。そのかいもあって、二人の関係も元に戻った。気付けば、僕がヒーローになろうとしたのは2人の影響が強いことが分かる。それらを大樹が万夏にプレゼントをしたいと言った時に思い出して、僕も二人に何かプレゼントしたいと思った。とは言うものの何が良いのかが分からない。アクセサリー、好みによるからちょっとした博打になる。服、アクセサリーと同じ。
「そうだ!」
僕は前々から二人がそれぞれ欲しいと言っていたものを探しに別の店に行くことした。
陸side
俺はモール内を散策していた。大樹も颯斗もプレゼントの相手が幼馴染だからそれなりに物を選ぶのは苦労しないだろう。問題は俺だ、シャルは色々と複雑な事情があったもののあのデュノア社の社長令嬢、ラウラはドイツが誇る最強のIS部隊の隊長、下手なものは明らかに失礼になるだろう。そんな時に俺は明日那さんの言葉を思い出した。
「2人とも、そういう肩書の前に普通の女の子なんだよ。」
俺が二人に好意を寄せられるようになった時、距離を置いていた時に言われた言葉だ。その言葉から肩書ではなく彼女たち自身を見るようになった。
「少し、気楽にいくか。」
大樹side
レジデンスを一人で見て回るのは意外にもなかったなと思いながら、アクセサリー店を見ていた。俺が一人で見る店なんて書店かレンタルビデオ店かDVDのセルショップくらいだ。このアクセサリー店に来ていたのは万夏とのデートで何度か万夏がここの前で足を止めていたのを知っているからだ。色々見て回りながら何を渡そうかを考える。探す中で万夏にプレゼントを渡すのが誕生日を除けば初めてだということも思い返していた。
前世ではなかなか、落ち着いて何かをプレゼントする機会が無かった。俺も兄貴の凶行を止めるために学園を退学、東奔西走した果てに短い生涯を終えた。結局、退学前にしていた約束も守れずに万夏を一人にしてしまった。この世界では関係ないのも分かっているものの俺も万夏も前世の記憶を持っているためにどうしても意識してしまう。ただ、俺はそのことから万夏との時間は大切にしたいと思っているし、こういったことから少しでも日頃の感謝を込めるのは大事だと思っている。
「すみません。」
俺は店員を呼び掛けると目の前にある商品に指をさす。
バレンタイン当日。当然の如く、一夏のもとに多くチョコが来た。それが発端でヒロインズのひんしゅくも買った。そして、3バカトリオはと言うと、、、、、、、。
颯斗side
遂にこの日が来た。
「なぜに僕の部屋?」
簪、刀奈姉ちゃんからの呼び出しがあった。なぜか、僕の部屋だったけど。正直、2人のプレゼントがあるから気が気でない。あの一夏はノックせずに入って幼馴染の箒にビンタされたらしい。そんなことはしない、ノックをして、いざ行かん男のプライドをかけた戦場へ!
「お帰り~。」
バタン!あれ、おかしいな。やけに露出がすごかった刀奈姉ちゃんが居たぞ。疲れてんのかな?
「入ります。」
「お帰り~。」
バタン!2度目、2度目だよ。リボンで局所を隠した幼馴染の姉ちゃんが居たんだけど。AV?これは予想の斜め上を行っているぞ。
「ねえ、颯斗、中に入って。」
簪がドアを開けて、僕を呼ぶ。でも、体はドアで隠しているけど?なんだか、すごい予感がする。血液の貯蔵が英雄王の宝物庫並みに必要だぞ、たぶん。15年間、僕を育ててくれてありがとう、父さん母さん。もしかすると今日が命日かも、たぶん。
「う、うん。」
僕はそのまま部屋に入る。
「颯斗君、あんまり女性を待たすものじゃないわよ。」
「お姉ちゃん、やっぱりこの格好。」
簪も刀奈姉ちゃんもリボンで局所を隠しているだけの姿を見たところで記憶が途切れた。
「ぶへえええええええええ!」
あとで2人に聞いたら鼻から赤い噴水を噴き出して倒れたらしい。チョコは2人からもらって食べさせてもらった。あの格好のままだから、ちょくちょく赤い鼻水が垂れてきた。ちなみにプレゼントは簪には投影用のディスプレイ、刀奈姉ちゃんには新品の扇子をチョイスしました。すごく喜んでくれた。
陸side
「どう、おいしい?」
「ああ、うまいよ。」
「そ、その、私のはどうだ?うまくできているだろうか?」
「ラウラのもうまいよ。」
俺は屋上でシャルとラウラが一緒に作ったチョコを食べている。
久しぶりにこの3人でいる。なんだか落ち着くわ。
「ねえ、今年の春休みなんだけどさ、僕の実家に来ない?お父さんもお母さんも一度、顔を見てあいさつしたいって言ってて。」
シャルが俺に春休みにフランスのデュノア社に来ないかと聞いた。それに反応したラウラが
「ま、待て!嫁を私の部隊に紹介しないといけないのだ!その、嫁も来てくれるか?」
俺のドイツ行きを提案する。
「ラウラ、嫁じゃないからな。いや、まあ。」
この二人の提案、どちらかを断る結果になると正直気まずい。あの一夏はこの誘いの真意を知らずに二つ返事で了承するからな。この誘いの真意は本気でお付き合いしたい意中の相手を家族に紹介して、将来的なお付き合いの合意を得るということだ。つまり、OK=俺の婿入り確定というよくできた仕組みだ。
「なあ、どっちもは無いよな?」
俺は恐る恐る聞く
「ダメ。」
「そんな優柔不断は許さん。」
「ははは、デスヨネ。」
このままじゃプレゼントが渡せねえ!
大樹side
俺と万夏は自分たちの自室で万夏が作ったチョコシフォンケーキを食べている。毎年、一緒に食べるもので俺にとっては愛しい彼女が作ってくれるものなので一口一口を大切に食べている。
「おいしい?」
「おいしい。」
「そう。」
言葉数が少なくなるが二人で一つのケーキを食べるこの瞬間、俺にとっては唯一孤独ではないと感じる瞬間だ。少しずつ少しずつケーキが少なくなってくる。
「御馳走様でした。」
「お粗末様です。」
とうとう、ケーキが無くなった。いつもはこれで終わるのだが
「万夏、ちょっとの間、目をつむってて。」
「どうしたの、急に?」
「良いから、お願い。」
今年は少し違う。俺の言葉に万夏が目をつむる。俺は自分の机からこの日のために用意したものを出す。それを箱から出して万夏の首にかける。
「良いよ。」
俺の言葉に目を開ける万夏。そして、自分の首に掛かっているものに気付く。
「これって。」
「その、いつも見ていたのを思い出して。それに今年は日頃のお礼も込めてって思って。」
万夏の首に掛かるのは花のオブジェが付いたネックレスである。まあ、高校生からしたらかなりの値段がしたが束姉ちゃんの研究所の専属パイロットになっているのでそれなりお金はもらってたので買えないこともなかった。
「高かったでしょ。」
「いや、まあ、その掛けてもらいたかったてのもあるし。」
「もう。」
そういうと万夏は俺の頭を抱きかかえて
「うれしいけど、大樹と一緒にいるだけで私、幸せなんだよ。こうやって、毎年、一緒に一つのケーキを食べるだけでも、同じ高校に通っているだけでも、普通なことを一緒にしているだけですごく幸せなの。」
「うん。」
「けど、ありがとう。」
そう口にすると彼女の唇と俺の唇が触れ合った。
この日の夜、颯斗と陸から恋愛相談を受けたのはまた別の話。
自分でも書いてて、甘々だと思いました。本編と並行して、本編では描かれない大樹たちの日常をこれからも書いていきます。本編も近々完成次第投稿します。楽しみにしててください。
また、日常編で書いて欲しい話、作品に関する質問、感想をお待ちしています。