IS×仮面ライダー 仮面ライダー炎竜   作:柏葉大樹

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夏休みが終わり、学園祭が近づいていた。皆が思い思いに作業をする中で起きた謎の連続昏睡事件。その事件の調査を頼まれた颯斗は昏睡状態の生徒のケータイからとある共通点を見つけた。


仮面ライダーロード SurpriseDestiny 第2話

side 簪

 私はお姉ちゃんから頼まれたことで本土にある聖都医大付属病院に来ていた。

 

 「病室は...あった。」(簪)

 

 昏睡状態の生徒の友人と言ったら、病室は教えてもらえた。昏睡状態になっている人達は見たところ普通に寝ているみたいだった。

 

 「ねえ、メディック。スキャンできる?」(簪)

 「ええ、人が来る前に終わらせますわ。」(メディック)

 

 私達は他の人に気付かれないように小声で話す。メディックはすぐに生徒たちのスキャンを始めてくれた。そうしていると不意に背後から声を掛けられた。

 

 「更識?」(陸)

 「ひゃ!」(簪)

 「何してんの?」(陸)

 「ええと...。」(簪)

 

 1組の桐ケ谷陸、大樹と織斑一夏と同じ男性操縦者が話しかけてきた。

 

 「陸君、どうしたの?」(永夢)

 

 そしたら、30代ほどの若い男の医師が入って来た。

 

 「永夢先生、俺の学校の...同期。」(陸)

 「初めまして、僕は宝生永夢です。」(永夢)

 「初めまして、更識簪です。」(簪)

 「ところで、彼女たちの友人なのかな?」(永夢)

 「ええと、はい。」(簪)

 「心配だよね?」(永夢)

 

 本当は何のかかわりのない生徒とは言えないから、私はとにかくはいと返事する。でも、病院関係者ということで病状などを聞いてみた。

 

 「本当は家族にしか言っちゃいけないけど、彼女たち、どうも寝ているとしか言えなくて。」(永夢)

 「寝ている?」(簪)

 「ああ、貴利矢さんもそんなこと言ってた。」

 「どうも、病気とかじゃなくて、原因も分からないんだ。」(永夢)

 

 原因が分からないのはよく分かったけど...。

 

 「小児科医、新人、何をしているんだ?」(飛彩)

 

 どこか近寄りがたいお医者さんが出てきた。

 

 「俺の学校の同期。」(陸)

 「彼女たちの友人でもあって、病状の説明を。」(永夢)

 「新人の関係者と言えども、近親者以外に情報をやすやすと開示するな。」(飛彩)

 

 後から来たお医者さんの意見はごもっともだと私は思う。親切で教えてくれたのは今の私にとってすごく良かったけど。

 

 「心配とは思うが、こちらでも出来る限りのことはする。今日のところは引き取ってくれ。」(飛彩)

 

 言い方は冷たいけれども、その人の親切もよく分かる。それにメディックのスキャンも終わったので私も病院を後にする。

 

 

 

 

 

 

side ???

 全く、データを集めた奴らは全員違った。あいつにやられたダメージは回復したとはいえ、僕の求めているデータじゃないと完全な復活ができない。

 

 「どこだ、どこにいる?」(???)

 

 僕の目的には彼女が絶対に必要だ。究極を超える進化を果たすには彼女が必要なんだ。だが、彼女を手に入れるためにまだまだデータは必要だ。そして、僕がこの世界から出るための器も必要だ。その器は既に出来上がっているが、いかんせん中身になる僕が不完全なんだ。入ったところで進化の限度は大したものではない。だからこそ、彼女が、簪が必要なんだ。ただ広いネットの海の中でとうとう彼女の痕跡を見つけた。実際はなんてことは無かった。僕が生まれる前に誕生した最初の108体のうちの1体と一緒に居たのだから。

 

 

 

 

side 颯斗

 「ねえ、最近になってロイミュードのコアが復活したってこと?」(颯斗)

 「可能性としてはそれ以外に考えられませんが。」(ブレン)

 「誰なのかは分かる?」(颯斗)

 「この程度の痕跡では誰かまでは流石の私でも無理ですね。」(ブレン)

 

 意識不明になった生徒の持ち物であるケータイにロイミュードの痕跡があると言ったブレン。女子生徒、意識不明、ケータイ、これらが示すものは...心当たりはある。でも、2年前に終わったはず。僕が倒したはずなんだ、あのロイミュードを、新たに誕生して僕の前に現れたあのロイミュードを...。

 

 

 

 

 

 

 

 僕がまだ中学生だった時、その時にはハートたちともまあうまくやっていた。その時のハートたちは僕がハートたちの中にあったデータをもとに今のハートたちの体であるバイラルシフトカーで活動していた。僕はマッハドライバーの作成にも成功していて、ハートたちの力を借りて、仮面ライダーとして人助けをしていた。この時の僕は自分がアニメのヒーローの様になれたと本気で思っていた。実際には、僕は調子に乗っていたんだ。だから、あんなことが起きた。

 女子学生連続昏睡、ニュースの見出しで見たそれは僕の興味を大いに刺激した。この事件、刀奈姉ちゃんも政府筋からの調査を命じられていた。事件の特異性に気付いた刀奈姉ちゃんは僕たちに協力を求めたんだ。僕らはそれを快諾、事件の調査を始めたんだ。その時、かんちゃんは嫌な予感がすると言って僕を止めた。ただ、僕は心配することは何一つないからと言って聞く耳を持たなかった。この時、ちゃんとかんちゃんの言うことを聞いていれば、かんちゃんをあんな目に遭わすこともなかったのに。

 僕はブレンに頼んで昏睡状態の女子学生のケータイにハッキングをした。それを調べるとどうやら僕たち以外に先にケータイに侵入した奴がいた。

 

 「なんなの、この痕跡?」(颯斗)

 「この痕跡はおそらく、ロイミュードですね。」(ブレン)

 「皆の仲間?」(颯斗)

 「ああ。誰もが俺にとっては大切な友達だ。」(ハート)

 「数少ない私達の同胞、ということですわ。」(メディック)

 「ただ、今の私達からすれば人間に迷惑をかけているのはやはり気持ちのいいものではないですが。」(ブレン)

 

 ハートたちはそれぞれが同胞であるロイミュードへの思いを話す。それでも、人間に迷惑をかけている奴を放っておくことは出来ないと僕たちは調査を続けた。相手はインターネット中を色々と動き回っていてどこを拠点にしているのかが分からなかった。その間にも被害を増え続けて、最初は5人から始まったのが20人にまで増えてしまっていた。この時の僕は間違いなく焦っていたし、自分の、ハートたちの力を過信していた。そして、ついに見つけたんだ。あいつを、新たに誕生したロイミュード109を。

 

 

 

 

 

 

 「ついに見つけたぞ!」(颯斗)

 「ああ?もしかして、僕の知り合いか?」(109)

 「ふざけるな!女子生徒の連続昏睡、お前が犯人だろ!」(颯斗)

 「コンスイ?ああ、僕がデータを取ったことかい?別に迷惑をかけていないだろ?おかげで僕はここまで進化することが出来た。それらのおかげで僕は成長しているんだ。それに生きたところで特に大きなことをするわけでもないだろ、あれらは。」(109)

 「許さない!」(颯斗)

 

 109、ハートたち108体のロイミュードとは違い、ネットワーク内で誕生した新たなロイミュード。あとになってハートたちから話を聞いたら、インターネット中にあったロイミュードの残滓が多くのデータに触れる中で自己進化した電子生命体ではないかということだった。109は女子生徒からデータを得ることで力を付けていき、自力でバイラルボディを生み出した。そのボディは人間の骸骨をベースにハートたちが使っていたクモ、コブラ、コウモリのボディとは違ってカブトムシ型だった。

 

 「行くよ、ハート!」(颯斗)

 「おお!」(ハート)

 ≪シグナルバイクシフトカー!ライダー!デッドヒート、ハート!≫

 

 僕はマッハドライバーを装着して、仮面ライダーロードに変身した。

 

 「ん?ああ、それがライダーシステムか。なるほど、なるほど。そうやってロイミュードの力を使っているのか。」(109)

 「うおおおおお!」(ロード)

 

 変身した僕はすぐさま109に殴り掛かる。相手は戦いの経験はなかったようで良いように僕に殴られていた。

 

 (行ける!こいつ、そんなに強くない!)(ロード)

 「一気に決める!」(ロード)

 ≪ヒッサーツ!フルスロットル!デッドヒート、ハート!≫

 「うおおおおおおお!!」(ロード)

 

 僕はドライバーを操作して、必殺技を発動。そのまま109の体に高熱を帯びた右腕を叩きつけた。ナンバープレートが付いている胸部に赤熱した右腕が衝突すると爆発を起こした。

 

 「やった!」(ロード)

 「ん!颯斗!気を付けろ!」(ハート)

 「ん~ん、これが痛みか...。ひどいなあ。」(109)

 

 109は僕の攻撃を受けて、ほんの少しかすり傷を受けただけだった。

 

 「うん、でも、それは...覚えた。」(109)

 

 そう言った109は右腕を横にあげて、こぶしを握る。その瞬間、その拳は赤黒く輝きだした。109はその右腕から何ら小細工のないストレートパンチを放った。僕はすぐざま両手でガードしたけどその一撃はつい先程コピーしたとは思えないほど強力だった。ガードした一撃はガードした両腕すらも弱点となったような感覚を覚えた。

 

 「じゃあ、もう一発!」(109)

 

 そう言うと109は今度は左手で握り拳を作り、それでまたストレートパンチを放った。流石に二発目は防ぎきることが出来ず、僕の体へと当たってしまった。その一撃は当たった瞬間に大爆発を起こした。この時は痛いよりも熱いと感じて、気付いた時は109からかなり吹っ飛ばされていた。

 

 「あっ、がっ...。」(ロード)

 「うん。なかなか良いね。今度から使わせてもらうよ。」(109)

 「颯斗!起きるんだ!来るぞ!」(ハート)

 「それじゃ、今度はこっち!」(109)

 

 後から聞いたら、109はうずくまる僕の頭を思い切り蹴り飛ばしたみたいだった。しかも、その当時の僕はまだできなかった脚部の赤熱化を使って威力を上昇させた蹴りを僕の頭部に叩き込んだんだ。その時に僕は一瞬意識を失ったんだ。この後、詳しいことは分からないけど、どういうわけかかんちゃんが僕たちの戦っているところへ来てしまったんだ。当然だけど、109はかんちゃんを狙った。そして........。

 




颯斗の脳裏によみがえる最悪の記憶。そして、遂に邂逅する最悪の相手。

「ついにここまで来た。見せてあげるよ、僕の進化を。」

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