IS×仮面ライダー 仮面ライダー炎竜   作:柏葉大樹

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 皇の研究所へと来た束たちの前に皇自身が姿を見せた。皇の目的は究極の生命体の創造、そのために今ある世界を破壊するのだという。皇はヘキサオーズに命じて世界中のミサイル兵器や核兵器を日本に向けて撃ちだした。その時に皇はヘキサオーズの正体が正則だということを明かした。


仮面ライダーオーズNEObeforeヘキサオーズ 第11話

side3人称

 日本に向かって飛来していく無数のミサイル、中には一発で広い範囲を焼き払う核兵器もあった。これらを瞬時に察知した自衛隊は総力を挙げてこれらの撃墜を行う。通常のミサイルはなんとか対処できているが自衛隊でも手を焼いていたのは核兵器である。うかつに攻撃が出来ない以上はなす術がないと思われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皇の本拠地での戦いは激しさを増していた。仮面ライダーローグはオメガテュポーンと激しい攻撃の応酬を交わしていた。

 

 「カイザーシステムでここまでとは。」(ローグ)

 「カイザーシステム?最上魁星が作ったものとは思わないでください、氷室さん。人工アンデッドの成分を抽出して作り出したボトルによるこのオメガテュポーンは、バイカイザーなど比べないでください、よ!!」(オメガテュポーン)

 

 オメガテュポーンは上半身の蛇と両ひざの狼の口から毒の煙を吐き出す。それを見たローグはすかさずスクラッシュドライバーに別のフルボトルをセットする。

 

 ≪ディスチャージボトル!潰れない!≫

 

 ローグの右腕が扇風機となり毒の煙をオメガテュポーンへと押し戻す。そこでオメガテュポーンの視界が遮られた時にローグは別のフルボトルへと変えた。

 

 ≪チャージボトル!潰れない!≫

 

 ローグの全身が炎に包まれ、火の鳥となってオメガテュポーンへと向かって行く。毒の霧を燃やしてオメガテュポーンごと燃やしていく。だが、その炎を浴びてもオメガテュポーンは平然としていた。

 

 「俺のこの体はアンデッドと同じ、そう簡単に死にはしませんよ。」(オメガテュポーン)

 「ならば、お前の体の限界まで攻撃するだけだ。」(ローグ)

 

 ローグとオメガテュポーンはまたもお互いの拳を振り上げて戦い始める。

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ヘキサオーズに相対するのはジョーカーとオーズであった。機械的に動くヘキサオーズに対して、一点突破の攻撃で向かって行くジョーカーに、両手のトラクローを展開して攻撃するオーズ。それもヘキサオーズに高い効果はあまり無かった。

 

 「何つう硬さだよ。これだったら、フィリップの奴にも声をかけておくんだった!」(ジョーカー)

 「翔太郎君、他のコンボを使うから時間を!」(オーズ)

 「良いぜ。」(ジョーカー)

 

 ジョーカーが飛び出すとオーズはドライバーの左横のホルダーから灰色の3枚のコアメダルを取り出し、オーズドライバーにセットした。

 

 ≪サイ!ゴリラ!ゾウ!サゴーゾ!サゴーゾ!≫

 

 オーズは大型動物の力を宿した剛力形態、サゴーゾコンボにコンボチェンジした。ジョーカーがヘキサオーズをけん制する中でオーズは剛力を込めた巨大な腕でヘキサオーズを攻撃する。サゴーゾコンボの剛力はすさまじく一撃でヘキサオーズを数メートルほど吹き飛ばしていた。オーズは距離を詰めるとゴリラの剛腕にサイの頭突き、ゾウの踏みつけでヘキサオーズを攻撃していく。

 

 「正則君!コアメダルの力に、自分の欲望に負けちゃダメだ!」(オーズ)

 

 オーズの呼びかけに答えるそぶりが無いヘキサオーズ。それでもなおオーズは呼び掛けることを辞めない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんな、、、。」(束)

 

 ヘキサオーズは正則であることを知らされた束はその場で座り込んでしまっていた。そこに白騎士を纏っている千冬が近づいてきた。

 

 「束!何をしているんだ!」(千冬) 

 「ちーちゃん、、、。」(束)

 「皇の所為で、日本に無数のミサイルが落ちてくる。それには核兵器も入っている。私はそれの迎撃に行く。」(千冬)

 「え。」(束)

 

 千冬が言ったことに理解が追い付かない束。

 

 「私はこれから白騎士を使ってミサイルを出来る限り破壊する。核ミサイルはどうにもならんが他のミサイルをなんとかしてみる。束はどうにかして止めてくれ。」(千冬)

 「でも、ちーちゃん。」(束)

 「束にとってインフィニット・ストラトスが宇宙へ行くためのものなのは分かる。だが、今何もしなければ束の夢を叶えることが永久に出来なくなる。それに、私は、あんな奴の所為で私の家族が失うのが耐えられない。だから行く。」(千冬)

 「ちーちゃん。」(束)

 「すまない、お前の夢を汚して。」(千冬)

 

 千冬はそう言うとそのまま研究所の天井を大剣で破壊して空高くへと姿を消した。そのまま、束は空を見上げていたが少しずつ立ち上がると、ヘキサオーズの、正則の所へと駆け出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はあ、はあ。」(ローグ)

 「その程度ですか。氷室さん。」(オメガテュポーン)

 

 ローグとオメガテュポーンの対決はローグが片膝を着け、その様子をオメガテュポーンが見下ろしている状況に変わっていた。

 

 「がっかりですよ。今のあなたは牙の抜かれた狼、いや飼い犬になり下がったただの駄犬だ。昔のあなたはそうじゃなかった。だから、これで終わりです。」(オメガテュポーン)

 

 そう言うとオメガテュポーンはネビュラスチームガンを取り出し、ローグへと銃口を向けた。オメガテュポーンがその引き金に指を掛けようとした時だった。千冬が作り出した穴から何者かが飛び降り、否、飛行しながらオメガテュポーンを切り裂いた。

 

 「ぐお!!」(オメガテュポーン)

 

 何者かによって斬られたオメガテュポーンはローグのそばからフッ飛ばされる。オメガテュポーンを攻撃した人物は背中の翼を畳み、ローグのそばに降り立つ。

 

 「大丈夫ですか。」(???)

 「お前は。」(ローグ)

 「俺は剣崎一真、仮面ライダーブレイド。」(ブレイド)

 

 ローグを助けたのは上級アンデッド、イーグルアンデッドの力を得た仮面ライダーブレイドジャックフォームだった。ブレイドは閉所ということで機動力が制限されるこの環境ではジャックフォームも不利と見て、元の形態に戻った。

 

 「奴は俺が倒す、倒さなければならない。」(ローグ)

 「なら、俺もやる。」(ブレイド)

 「分かった。それと助けた礼を言おう。」(ローグ)

 「ああ。」(ブレイド)

 「そうか、ならここでお前もやってやる!!」(オメガテュポーン)

 

 オメガテュポーンはネビュラスチームガンから巨大な光弾を放つ。だが、ブレイドはブレイラウザーで光弾を跳ね返し、跳ね返った光弾に対してローグがシュートを打つ体勢となる。

 

 「皇、お前の野望をそこまで大きくさせたのは俺だ。だから、そのけじめは俺が付ける!」(ローグ)

 ≪クラックアップフィニッシュ!≫

 

 ドライバーからローグの右足に紫色のエネルギーが迸る。エネルギーがチャージされた右足が巨大な光弾を蹴りぬくと光弾に巨大なワニが噛みついてそのままオメガテュポーンへと高速で飛んでいく。

 

 「まさか!うわああああ!!」(オメガテュポーン)

 

 自身が放った光弾とローグの攻撃が入ったカウンターアタックを受けて、オメガテュポーンは炎に包まれた。ローグとブレイドはそのまま戦っているオーズとジョーカーの元へと走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ≪スキャニングチャージ!≫

 「うおおおおおおおお!!」(オーズ)

 

 オーズはサゴーゾコンボの必殺技であるサゴーゾインパクトを発動。地割れを起こしてヘキサオーズを拘束しようとするがそのサゴーゾコンボの固有能力である重力操作、スキャニングチャージによる強化された力を受けてもヘキサオーズはびくともしなかった。

 

 「そんな、ガメルのコンボの力を受けてもびくともしないなんて。」(オーズ)

 

 そう言う中で能力がかかる時間が過ぎてしまい、地割れが閉じてしまう。そして、決して少なくはないコンボの負担によりオーズは肩で息をしていた。

 

 「いい加減に目を覚ませ!」(ジョーカー)

 ≪ジョーカー!マキシマムドライブ!≫

 

 ヘキサオーズの注意がオーズに向いたその瞬間にジョーカーの渾身のライダーパンチがヘキサオーズの顔面に炸裂した。それにより、ヘキサオーズは数歩ほど後ずさった。その後、ヘキサオーズの胸のオーラングサークルの紋章が不気味に輝き、胎動した。そのまま、両腕をだらんと下げ、うなだれていたヘキサオーズだが紋章の胎動が激しくなるにつれてその両目に爛々とした赤い輝きが宿っていく。

 

 「がああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」(ヘキサオーズ)

 

 そのまま天高く咆哮を上げたヘキサオーズ。これまでのような機械的だった動きから獣そのものの荒々しい動きでオーズとジョーカーに襲い掛かる。

 

 「目が覚めた瞬間に暴れ出しやがった。」(ジョーカー)

 「もしかして、コアメダルの力に。だとしたら、このままだと正則君はグリードに!」(オーズ)

 「どういう意味だよ。」(ジョーカー)

 

 オーズの言葉に聞き返すジョーカー。過去、オーズはグリードに変貌したことがある。その原因として体内にコアメダルと有していることだった。これは、彼と共に行動をしていたグリードが自分たちのコアメダルを使うことにかなりの危険性があるとも言っていたことにも起因している。

 

 「強力なコアメダルの力がそのまま体の中に入ればグリードに変化してしまう。あの様子だと、正則君の使っているコアメダルの力が活性化し始めている。このままだと正則君の体にコアメダルの力が大量に。」(オーズ)

 「だったら、時間はあまり無いようだな。」(ジョーカー)

 

 ジョーカーとオーズの前のヘキサオーズの胸の紋章は不気味な胎動を続けている。その胎動も時間が経つごとに早まっているようにも見える。そこにローグとブレイドも加わった。4人の仮面ライダーは獣の様に唸り、爪を広げ威嚇するヘキサオーズを見る。

 

 「どうにかして止めるぞ。」(ローグ)

 「あまり時間はないけどな。」(ジョーカー)

 「よし、やろう!」(オーズ)

 「このままでいさせてたまるか!」(ブレイド)

 

 4人の仮面ライダーは並び立ちヘキサオーズと対峙する。一方のヘキサオーズは目の前の敵が増えたことからその牙をぎりぎりと鳴らして、身体から骨を飛ばしてメダバキボロスを作り出す。

 4人の仮面ライダーはいっせいにヘキサオーズに向かって行き、それに対してヘキサオーズはメダバキボロスを大きく振るう。

 ジョーカーが徒手空拳で攻め立て、ローグは攻撃は防ぎながら強烈な攻撃を浴びせていく。オーズは赤い鳥類系コンボであるタジャドルコンボへとコンボチェンジし、炎を乗せた流麗な連続攻撃を、ブレイドはブレイラウザーで斬りつけたかと思えばラウズカードの多様な効果でヘキサオーズに攻撃していく。

 ヘキサオーズの攻撃は非常に激しく歴戦のライダーたちですら一撃で戦闘不能に陥りかねないほど強力である。さらには荒ぶる獣そのもの攻撃はかわすことも防ぐことも容易くない。事実、ローグを除く3人は距離を取るなどして対処しており、ただ一人ガードしているローグも自身の防御力で耐えきれるぎりぎりのレベルを見極めて防いでいた。

 

 

 「はあ、はあ。」(束)

 

 やっと戦いの場に着いた束。距離を取っているがその様があまりにも束が入る余地がないのを否でも見て取れた。だが、ただ見ているだけでいるつもりは束には無かった。この場で自分に出来ることが数少ないことも分かっている。それでも、束はただ一つだけ自分に出来ること、科学的に効果があるのか分からない、むしろ無駄骨だとも思われることしか束には残されていなかった。科学しか信じてこなかった束だが、家族とのかかわりを見つめなおし、正則たちとぶつかり合いながら生きてきた彼女はそれをした。

 

 

 

 

 「お願い、正則!目を覚まして!正則の言うこと、ちゃんと聞くから!私のだらしないところも直すから!だから、一緒に!一緒に私の夢を、叶えてよ!」(束)

 

 

 

 

 

 束の声を聴いたヘキサオーズは束の方へと向き、メダバキボロスを振りかぶって襲い掛かる。

 

 「があああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」(ヘキサオーズ)

 

 その動きを見たライダーたちは急いでヘキサオーズを止めようとする。だが、それよりも束へと襲い掛かるヘキサオーズの方が速かった。

 

 「正則!!」(束)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「んんんん。ああ、ここは?」(正則)

 

 漆黒に染まった空間で目を覚ました正則。見渡すとまわりは黒一色だった。

 

 「ここはお前の心の中で眠っていたお前を起こそうとしている者がいるようだな。」

 

 正則の頭上から正則に話しかけたのワシに似た異形であるショッカーグリードだった。

 

 「へへへへへ、おい、どうする?ここで完全に殺すか?」

 

 正則の背後に居たのは蛇とワシが融合した異形、ゲルショッカーグリードである。

 

 「いや、こいつの欲望によって動いている以上はまた眠らせる方が良いだろう。」

 

 ゲルショッカーグリードの隣には機械を纏ったサソリであるデストロングリード。

 

 「ならば、手っ取り早くやりましょう?」

 

 しなやかな肢体を持つ幻獣キマイラ、ゴッドグリード。

 

 「そうであろうな。ワシらの目的は世界征服。この坊主を利用するのならば生かすのは良いが起きていては面倒だ。」

 

 空中に浮遊する赤いマントを纏った骸骨、ガランダーグリード。

 

 「よし、ならばこの俺がやろう!!」

 

 機械の肉体を持つ魔人、デルザーグリード。

 デルザーグリードは正則の首をつかみ、持ち上げた。

 

 「つくづく、人間とは愚かだなあ!あそこまで追い詰められ世界を破壊することを望むなど!滑稽、滑稽!」(デルザーグリード)

 「デルザー、そのままでいなさい。あなたがやればこの子を眠らせるのが永遠になってしまうじゃない。」(ゴッドグリード)

 「言われずとも分かっているわ!」(デルザーグリード)

 「ゴッド、ガランダー早くしろ。外の女のことに気付かれては面倒だ。」(ショッカーグリード)

 

 グリードたちがまた正則の意識を封じようとした時、正則の耳にある声がはっきりと届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 「正則!」(束)

 

 

 

 

 

 

 

 「束。」(正則)

 

 正則はその声を聴いた瞬間に何とも言えない胸のざわめきを覚えた。同時に全身に力にみなぎって来たのだった。束の声が、言葉が届くたびに正則は自身に力がみなぎっていることに気付く。束の声を聴いて、束が自分と共にいることを望んでいることを知る。それと同時に今の状況も分かってしまった。

 

 (俺は、俺は!!)(正則)

 

 正則はデルザーグリードの手をあらん限りの力で掴み、その掴む力を弱めようとする。

 

 「こいつ!」(デルザーグリード)

 「デルザー!抑えなさい!」(ゴッドグリード)

 

 デルザーグリードとゴッドグリードが慌てだしたことからゲルショッカーグリードとデストロングリードが加わろうとした。正則はそれに気づき、デルザーグリードを思い切り両足で蹴り、拘束が緩んだところで抜け出た。さらに迫ってくるゲルショッカーグリードとデストロングリードにパンチを浴びせる。

 

 「ふん!!」(ガランダーグリード)

 「は!!」(ショッカーグリード)

 

 ガランダーグリードが正則のいるところを爆破し、ショッカーグリードがミサイル弾を放つ。正則は2体のグリードの攻撃を受けて吹き飛んでしまう。そこに攻撃を受けた他の4体のグリードたちが加わり、6体のグリードが正則の前に立ちはだかった。だが、正則は一歩の引かなかった。それどころから立ち上がった正則を見て、グリードたちが後ずさったのだ。グリードたちは欲望そのものである。自分たちに近しい欲望を持っている相手であれば操るのはたやすい。だが、この時の正則の欲望は違っていた。この時の正則は破壊ではなく守護することを強く望んでいた。それは悪の組織の魂を受け継ぐ6体のグリードとは真っ向から対立するものであり、それは今までにない程に強い欲望だった。

 

 「そこまでの強い欲望、それも我々とは真っ向から対立するもの。そんなものをお前がなぜ持っている?」(ショッカーグリード)

 「さあな。でも、お前たちの好きにさせるつもりはない。」(正則)

 

 正則はそのまま悠然と歩んでいく。その気迫にはここまでの絶望に染まった男とは思えないほどの強いものがあった。そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 束は眼前に迫った刃が止まるのを確かに見た。

 

 「全く、お前の声で起きちまったじゃねえか。」(ヘキサオーズ)

 「ま、、、さ、のり?」(束)

 

 刃が引かれ、メダバキボロスが床に突き立てられた。束の方を向き直ったヘキサオーズの瞳は緑色となっており、その額には水色の第三の眼が開かれていた。

 

 「ごめんな、束。」(ヘキサオーズ)

 「心配したんだよ。どこにいるのかも分からなくて。発表の後、家に居ないって聞いて。聞いたら正則のことを狙っている人がいるって話を聞いて、ISの開発をするどころじゃなくて。」(束)

 

 ヘキサオーズに対して話し出す束の両目からはボロボロと涙がこぼれだしていた。

 

 「せっかく、せっかくちゃんと現実に出来るって時に何やってんの。大事な時なのに。」(束)

 「いや、俺もバカだった。親父が現れてやけになってバカなことをして、本当に大馬鹿だった。そのバカやったことで大勢に迷惑をかけてって、あのクソ親父のことをバカに出来ねえや。」(ヘキサオーズ)

 「本当だよ、本当にバカだよ。」(束)

 「じゃあ、尻拭いをやって来ねえと。ちっふーに任せてばかりじゃあ恰好着かないだろ。」(ヘキサオーズ)

 

 ヘキサオーズは天井の方へ向く。その後、また束の方に向き直る。

 

 「俺の方もそんなに時間に余裕があるわけじゃない。さっさとやって来るわ。」(ヘキサオーズ)

 

 ヘキサオーズは天井、正確にはその先の空を指さして言った。その直後に自身の背中に収納していた翼を展開する。そのままヘキサオーズは深く屈伸をして勢いよくジャンプして大空へと飛んでいった。

 

 「ちゃんと帰ってきてね、正則。」(束)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はあ、はあ、残りはあれらか。」(千冬)

 

 大空でミサイルを落としていった千冬の眼に日本へ向かってきている核ミサイルが写る。

 

 「すまない、皆。流石に無理だったのか。」(千冬)

 「ちっふーの弱気なところ、初めて見たな。まあ、流石に核兵器は無理だよな。」(ヘキサオーズ)

 

 その千冬の隣にヘキサオーズが平然として浮かんでいた。

 

 「お前、岩城!正気に戻ったのか!」(千冬)

 「ああ、まあな。残りは俺がやるから降りて休んでな。」(ヘキサオーズ)

 

 ヘキサオーズの様子から完全に正気を取り戻したことを察した千冬。そのヘキサオーズの言葉を聞いて、何か言いたげだったがそのまま地上へと降りていった。

 

 「さて、核ミサイルの位置からすると日本を通り越して太平洋、いやマリアナ海溝に落とした方が良いか。ああ、そんな時間もないな。なら。」(ヘキサオーズ)

 

 ヘキサオーズの瞳が輝き、ヘキサオーズが右腕を上げたその瞬間に核ミサイルは空へとそのまま上がっていく。

 

 「このまま宇宙へと上げていってやるよ。それなら景気づけの花火としてちょうどいいだろ。」(ヘキサオーズ)

 

 ヘキサオーズはそれぞれの核ミサイルのシステムをハッキング、爆破時間を大幅にずらし、燃料の限り空高くへと送り出していく。その勢いはかなりのもので核ミサイルは見る見るうちに小さくなっていく。全てのミサイルがヘキサオーズの目でとらえきれる距離から遠ざかったのはそう時間が掛からなかった。

 

 「おし、大気圏内から出たな。爆破のタイミングとして、月の周回からのシュートも込みで考えれば影響も心配ないな。」(ヘキサオーズ)

 

 ヘキサオーズの読み通り、核ミサイルのほとんどは月の重力を受けて地球から一気に遠ざかった。それからほどなく地球の空でいくつかの輝きが見られた。

 それらを確認したヘキサオーズはその高速で皇の研究所へと戻った。

 

 「正則!」(束)

 

 研究所へと戻ったヘキサオーズを抱きしめる束。その様子を見たライダーたちもそれぞれが安心した様子でいた。

 

 「俺のしでかした間違い、尻拭いをしてきたよ。」(ヘキサオーズ)

 「ばか。」(束)

 「それと、。」(ヘキサオーズ)

 

 ヘキサオーズはそのまま翼を伸ばし、自身を抱きしめる束を覆う。すると束のいたところには複数の銃弾が刺さる。

 

 「あんたに礼を言わないとな。」(ヘキサオーズ)

 「はあ、はあ、よくも俺の計画を!」(オメガテュポーン)

 

 銃弾を放ったのはオメガテュポーンだった。その姿はローグの攻撃を受けて、アーマーにひびが入っていたり、所々欠けているなどダメージの高さが窺い知れた。

 

 「皇!今度こそ!」(ローグ)

 

 ローグたちがオメガテュポーンにとどめを刺そうと動くがオメガテュポーンは全身の頭から光線を放ち、ライダーたちを薙ぎ払う。

 

 「ちっふー。束を頼む。」(ヘキサオーズ)

 「岩城、どうするつもりだ?」(千冬)

 「お返しだよ、ここまでの。」(ヘキサオーズ)

 「正則。」(束)

 「ん?」(ヘキサオーズ)

 「行ってらっしゃい。」(束)

 「ああ、行ってきます。」(ヘキサオーズ)

 

 ヘキサオーズは突き立てていたメダバキボロスを手に取り、オメガテュポーンと向き合う位置に立つ。

 

 「なぜ、なぜだ!俺の計画は完ぺきだったはず!なのに!どうして、お前が立ちはだかる!」(オメガテュポーン)

 「さあ。俺にはあんたに言うことも話すこともないけどな。」(ヘキサオーズ)

 

 そう言って、オメガテュポーンへと足を踏み出したヘキサオーズだったが、一瞬ふらつき頭を押さえた。その刹那、瞳の色が一瞬だけ赤色になっていた。それもすぐに緑色の瞳に戻っていたが。

 

 「こいつらを抑えながら戦うのもつらいな。さっさと終わらせる。」(ヘキサオーズ)

 

 ヘキサオーズは手のひらから瞬時に銀色のメダル=セルメダル6枚を出現させ、メダバキボロスに投入した。

 

 ≪ビシ!ビキ!バキ!ボキ!ゴリ!ゴシャ!ヘキサ!オーバーフィニッシュ!!≫

 

 セルメダルを文字通り砕いてエネルギーと化して刃を強化。そのまま、ヘキサオーズはメダバキボロスを振り下ろした。骸の龍がそのままオーラとして出現し、オメガテュポーンに迫る。

 

 「ふん!!」(オメガテュポーン)

 

 オメガテュポーンは上半身の蛇から無数のレーザーを放って、これを相殺した。その後、オメガテュポーンはヘキサオーズへと走り出し、パンチを繰り出していく。対するヘキサオーズはパンチを受け止めて、キックを入れたり、怯んだところで渾身のパンチを打ち込んでいく。その2回の攻撃でオメガテュポーンのアーマーの半分ほどが壊れた。

 

 「俺は、俺は!生み出すんだ、全てを超越した神を!それを、それを邪魔するなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」(オメガテュポーン)

 

 オメガテュポーンはやけくそになりながらも自身のシステムをオーバーロードさせる。それにより全身に高熱が宿り、アーマーが赤熱していく。

 

 「もう良い!この俺が全部を破壊しつくしてやる!アンデッドの力でネビュラガスを変異させてこの世界を作り替えてやる!!」(オメガテュポーン)

 「やらせない。この世界で束の夢を叶える。その夢を、束の夢を汚してたまるか!!」(ヘキサオーズ)

 ≪スキャニングチャージ!≫

 

 ヘキサオーズはオースキャナーでコアメダルの力を読み取る。ヘキサオーズの胸のオーラングサークルからショッカー、ゲルショッカー、デストロン、ゴッド、ガランダー、デルザーの各組織の紋章が空中を飛び交う。ヘキサオーズは翼を広げ、空中を急バックで動き、そこから翼で猛スピードで前進しライダーキックの体勢となった。その瞬間に空中を飛び交う紋章がヘキサオーズの右足に集まっていく。

 

 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」(ヘキサオーズ)

 

 ヘキサオーズの右足が黄金に輝き、オメガテュポーンの胸部へと吸い込まれるように当たる。

 

 「ぐっ!ぐおおおお!!」(オメガテュポーン)

 

 オメガテュポーンは一瞬踏みとどまるもヘキサオーズの力に押され、研究所の壁へと叩きつけられた。アーマーが完全に破壊され、オメガテュポーンの変身が解かれた。

 

 「はあ、はあ、はあ。そんな、俺の計画は完ぺきだったはず。」(皇)

 

 そう壁に埋まりながら皇は言った。その直後、皇の肉体は光の粒子となっていった。

 

 「この世界に災いを。」(皇)

 

 そう言った直後、皇ぐの肉体は完全に消滅し研究所が大きく揺れだした。

 

 「まずい。ここから逃げるぞ!!」(ローグ)

 

 残されたヘキサオーズたちは研究所から即座に脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数年後のドイツ、第2回モンド・グロッソ世界大会の裏で。

 

 「織斑一夏を拘束後、日本政府に要求を伝える。こんなざらな警備なら楽勝だな。」

 

 ある黒一色のバンの内部では複数の男たちが話していた。原作であれば一夏はこの後男たちに拉致され、千冬は決勝戦を棄権する。だが、ここでは原作とは違う点があった。

 

 「まあ、ただの観客だから拘束するなら楽勝だな。ただの警備だけならな。」(正則)

 

 バンの後部ドアを開けたのは正則だった。その腰には白騎士事件の引き金となったあの6連オーズドライバーがあった。

 

 「お前は、岩城正則!ISの生みの親の一人もいれば俺達の要求も。」

 「ああ、俺がただの素人ならな。」(正則)

 ≪キン!キン!キン!キン!キン!キン!ショッカー!ゲルショッカー!デストロン!ゴッド!ガランダー!デルザー!≫

 

 正則はそのままヘキサオーズへと変身した。

 

 「お前らの失敗は俺がいたって言うことだけだ。」(ヘキサオーズ)

 

 そのまま男たちは銃をヘキサオーズへと向ける。その結果、彼らはかなりの大怪我を負って現地警察に拘束された。悪の力を持つ破壊神はその後、ドイツにある研究施設で最後に目撃されてから姿を消した。それからほどなくこの世界に新たなアーマードライダー、仮面ライダー炎竜が姿を現した。




 第1.5部ヘキサオーズ編が終了しました。この後は現在執筆していますエグゼリオン編で第1.5部は終了です。エグゼリオン編はバトル!バトル!バトル!ハイスピードテンポを目指していきます。それでは楽しみにしていてください。

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