side3人称
「そいつらは。いったいどうしてここに!?」(タナトス)
「少しばかり無茶してね。」(炎竜)
「本当に頭がおかしいよ。重加速フィールド内を高速でエンジンを稼働させて空間を突破するって。まあ、無事に出来たけど。」(ロード)
この場に突然現れた3人の仮面ライダーに対して驚きを禁じ得ないタナトス。そのタナトスに炎竜は無茶と言って詳細は言わなかった。
この戦いが始まる数時間前に遡る。
「限定的に重加速フィールドを発生させているから。それを、一夏のサクラハリケーンのディメンジョンインジゲーターを最大で稼働させて+無理くり空間と空間をつなげるゲートを作るって簡単じゃないよ。」(颯斗)
「私の演算では重加速フィールド内でそれを行うにはそのマシンの限界速度を初速から達していなければできませんし、もう一台同様の仕様のバイクが必要ですよ。」(ブレン)
「やってやるさ。」(一夏)
「だから、俺のハイビスカストライカーを改造するんだよ。」(大樹)
「いつになく友達が怖い。」(颯斗)
学園の第5アリーナで大樹たちは集まっていた。そこで颯斗は大樹の専用バイクであるハイビスカストライカーを前にとてつもなく脳内の伝達回路が焼き切れるようなことを要求されていた。
「あのさ、ハイビスカストライカーにディメンジョンインジゲーターって内蔵されてんの?」(颯斗)
「ある。それが主なエンジンとして稼働してる。」(大樹)
「ええとさ、それを転用するとかマジで労力が半端ないよ。まず、中身を見ないと分かんないし。」(颯斗)
「颯斗、本音と虚さん、黛さんを呼んだよ。」(簪)
大樹の要求に頭を悩ませる颯斗に簪が本音に整備科に所属する虚と黛薫を呼んできた。
「うわあ、柏葉君。なかなかにえぐいこと言うね。今まで織斑君の方に眼が行っていたけど、今度から君も取材させてもらおうかしら?」(薫)
「マスコミ、大嫌いなんでお断りです。それと、俺の言っていることは出来ますか。」(大樹)
「できますが。上手くいくか。」(虚)
「ああ、虚姉ちゃん。なんだか、今日の大樹は絶対に無茶なことをやれって感じだから、はいorイエスしか受け付けないよ。」(颯斗)
颯斗の答えを聞いて頭に疑問符を浮かべるものの、ハイビスカストライカーのディメンジョンインジゲーターを改造していく虚と薫。そして、二人に手伝いながらも本音に一夏のサクラハリケーンの調整を要請する颯斗。なんだかんだでやっていたら、、、まあ、結果はお察しの通りだろう。
「教官!このままでは民間人の被害が!」(ラウラ)
「何とかするんだ。私達に出来ることはまだある!」(千冬)
パリの街中、千冬とラウラは迫りくるインフェルノインベスたちを何とか押しとどめていた。そこに、別方向から光子砲とレーザーが飛んできてインベスたちを撃破していく。
「お姉ちゃん!!」(マドカ)
「万夏!どうして、ここに!?」(千冬)
「お前は日本の代表候補生の。」(ラウラ)
「私達も。」(簪)
インベスたちを撃破したのはサイレントゼフォルスに駆るマドカと打鉄弐式を纏う簪である。彼女たちも炎竜らと同様に重加速フィールド内に出来たゲートを通って戦線の補助に出たのだ。そして、
バシャバシャバシャ!ザバ――――ン!
別方向から来ていたインベスが突如現れた大量の水に押し流された。
「ええ、織斑先生。今回は特例でフランス政府に事後承諾という形で来ています。終わった後のお手伝い、お願いしますね。」(楯無)
当然ながらIS学園の生徒会長、学園最強のIS乗りの一人であるロシア代表の楯無も来ていた。別の場所では、、、
「君達は!?」(斬月)
「あら、ここはダンスパーティーの会場じゃないのよ。」(ブラーボ)
「私達も手伝います。」(箒)
「ていうか、おじさんたちだけで何とかなるの?」(鈴)
斬月とブラーボが戦っているところには紅椿を纏う箒と甲龍を纏う鈴が到着していた。当然、迫りくる多数のインフェルノインベスたちに光刃を放つ箒に、衝撃砲を連射する鈴。その二人を見て、仮面の下では苦い表情になる斬月だが、
「良いわ。正直、助けが必要だったもの。それと戦場に出た以上は私たちの言うことを聞きなさい。死にたくないなら特にね。」(ブラーボ)
「「はい!!」」(箒、鈴)
ブラーボが鈴と箒に呼び掛けると二人ははっきりと返事をした。
「良いのか、鳳蓮。」(斬月)
「あそこまでの顔で言われれば流石の私も辞めるなまでは言わないわ。それとメロンの君、いざという時のフォローはするのでしょう?」(ブラーボ)
「当たり前だ。」(斬月)
「それでは行きましょう、プロとしての仕事を見せてあげるわ。」(ブラーボ)
「行くぞ!」(斬月)
鈴と箒が加わって、斬月とブラーボも戦いを再開する。
「数が増えたところで何も変わらないわ。死になさい!!」(タナトス)
≪キメワザ!クリティカルエンド!≫
タナトスは両翼を広げ、巨大な火球を連続で放っていく。だが、
≪ドラゴンフルーツスカッシュ!≫
≪シルバーエナジースカッシュ!≫
「はあ!」(白銀)
「フッ!」(炎竜)
迫る火球をナギナタモードにした無双セイバーとバニシングブレードで切り裂く炎竜と白銀。絶え間なく襲い来る火球を二人は次々とエネルギーをチャージした武器で切り裂いて霧散させていく。
「やはり、ユグドラシル製のライダーね。単純な戦闘では向こうが上ね。」(タナトス)
炎竜と白銀の様子から単体で対応するのは難しいと判断したタナトス。そのタナトスの意識の隙を狙った人物が居た。
「インフェルノバグスターを生み出して、それで、。」(タナトス)
「どっせい!!」(ロード)
タナトスがインフェルノバグスターを生み出そうとしたその瞬間に真横に来ていたロードが右ストレートを迷いなく撃ち込んだ。撃ち込まれた拳はタナトスの胴に入り、火花が散る。
タナトスはロードのパンチを受けて、吹っ飛ばされるも即座に翼で体勢を立て直し着地する。
「今のうちに!」(エグゼリオン)
エグゼリオンは炎竜たちがタナトスと戦っている間に周囲にあるエナジーアイテムの中から目当てのものを探す。
「そこか!」(エグゼリオン)
エグゼリオンはゲキトツロボッツガシャットを一度取り外し、そのエナジーアイテムへと猛スピードで走り出した。
「まさか!」(タナトス)
タナトスがエグゼリオンの動きに気付いた時、ロードがタナトスの前に回り込んだ。
「させると思った?」(ロード)
「ならば、あなたごと!」(タナトス)
タナトスはインフェルノバグスターを召喚し、ロードとエグゼリオンを物量に任せて一度に押しつぶす作戦に出た。ロードに殺到するインフェルノバグスターたちの前に炎竜と白銀が割って入る。
「おわ!二人とも!」(ロード)
「気にせず、殴れ!」(炎竜)
「行くぞ、大樹!」(白銀)
「言われずとも!おおおおおおおおりりゃああああああ!!」(炎竜)
インフェルノインベスの大群の自身のパワーで押し戻していく炎竜。それに加勢して白銀も押し込んでいく。その二人の肩を踏み台にロードは高く跳び上がる。
「行くよ、フリーズ!」(ロード)
「そう言うならば力を貸そう。」(フリーズ)
ロードは空中でバイラルシフトカーをハートからフリーズへと変える。
≪シグナルバイク!シフトカー!ライダー!フォーミュラ、フリーズ!≫
ロードの姿は機械の赤鬼であるタイプハートから氷の幽鬼であるタイプフリーズへと変わる。ロードは向上したスピードでインフェルノインベスの間を潜り抜けると同時に凍り付かせ、タナトスへと迫る。
「っ!食らいなさい!」(タナトス)
タナトスは地面から火柱を上げ、自身に迫るロードを焼き尽くそうとする。即座に疾走するエグゼリオンへと火球を放った。
「それなら!」(エグゼリオン)
火球はエグゼリオンへと当たり、エグゼリオンの周囲を炎で包み込んだ。だが、炎が晴れると無傷のエグゼリオンが立っていた。
「そんな、どうして!」(タナトス)
「直前で鋼鉄化のエナジーアイテムを使ったんだ。相手の動きに応じて使うアイテムを考える。これ、ゲームの鉄則ね。」(エグゼリオン)
火球が当たる寸前、エグゼリオンは近くにあった鋼鉄化のエナジーアイテムを使用して攻撃を無力化したのだった。
「そして、俺の狙っていたのはこっち。」(エグゼリオン)
エグゼリオンはそのままそのエナジーアイテムを使う。
≪回復!≫
エナジーアイテムが適用されたことを示す音声が流れるとエグゼリオンのライフゲージが回復した。3分の1を切っていたライフは8割程まで回復した。そして、
パキピキパキパキパキ........
何かが凍り付く音が響きだす。タナトスが見るとロードを包み込んだ火柱が徐々に小さくなり中から氷の塊が出てくるのを始めて気付いた。氷の塊が完全に露出すると火柱は消えてしまう。
「何が起きていると言うの?」(タナトス)
タナトスがそう言うと氷の塊がひび割れだし粉々に弾け飛んだ。そこからロードタイプフリーズが傷一つない姿で現れた。さらには数多いたインフェルノバグスターたちは炎竜と白銀によって全て倒されていた。
「やっぱパーティプレイはこうじゃないとな。フォロー、ありがとうな。」(エグゼリオン)
「いやいや、さっきのライフだと危ないだろ。」(炎竜)
「なんだか、珍しいよね。僕らがこうやって一緒に戦うの。」(ロード)
「なら、行こうぜ!」(白銀)
並び立つ4人は軽口を叩き合うも、以前に共に戦った時にように戦う相手にしっかりと視線を向けていた。
「なんなのよ、あんたたちはなんなのよ!あんたたちに私を止める権利があるとでも言うの!」(タナトス)
「そういうのは俺達には無いだろうな。」(エグゼリオン)
「どういう意味よ!」(タナトス)
「だって、これはお互いのエゴとエゴのぶつかり合いでしょ。はっきり言えば、俺達にはお姉さんのやっていることを放っておくことだって出来る。でも、それをしないのはそれをするのが絶対に出来ない、やれない、やらないっていうお人よしだからさ。偽善だって言われれば言い返す言葉はないな。」(エグゼリオン)
「おい。」(白銀)
「一夏、ストップ。今は陸にしゃべらせる。」(炎竜)
エグゼリオンは自分の思いを口にしていく。それは自分たちのしていることへの誇りでもあり自嘲でもあり誓いでもあった。
「だから、言ってやるよ。偽善だろうが知ったことかってね。」(エグゼリオン)
「私の復讐がエゴですって。」(タナトス)
「だって、お姉さんの復讐なんてそうじゃないの。」(エグゼリオン)
「他人のあなたに言われたくないわ!」(タナトス)
エグゼリオンの言葉に怒りをあらわにするタナトス。それでもエグゼリオンは言葉を続ける。
「他人だからこそ、だけどね。」(エグゼリオン)
≪ドラゴナイトハンターZ!≫
エグゼリオンはドラゴナイトハンターZガシャットを起動する。
「だから、全力でやろうじゃないか。それ以外にやることなんてないだろ。」(エグゼリオン)
≪ガッチャーン!レベルアップ!ドラ!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!Z!≫
エグゼリオンは自身が有する最高レベルの姿、ハンターアクションゲーマーレベル5へと変身する。それに習うように炎竜はデュアルゴールドドラゴンアームズへと、白銀はシャイニングエナジーアームズへとアームズチェンジする。
「うああああああああああああああああああああああああああ!!!」(タナトス)
タナトスはそのままエグゼリオンたちへと向かい、飛んでいく。
「まさか、こんなことになるとは。」(アルベール)
デュノア社ではアルベールが悲痛な面持ちでいた。街を悲劇へと落としたのが自分の愛した女性の家族であるということ、自分のしたことが起因となっていることが普段は社長として厳格な彼も流石にこたえていたのだ。それを見ていたシャルロットは社長室から出ようとしていた。
「どこへ行く?」(アルベール)
「タンテを、リーヌ叔母さんを止めに行く。」(シャルロット)
「何!?」(アルベール)
部屋を出ようとしていたシャルロットはシャルリーヌを止めると言ったのだ。
「気は確かか!?」(アルベール)
「あんなことをしても私の家族。私が止めないと!」(シャルロット)
シャルロットの強い表情を見て、アルベールは息をのんだ。その沈黙をシャルロットは良しとして部屋の外へ出た。
≪ドラゴンフルーツオーレ!≫
≪ロックオン!シルバーエナジーチャージ!≫
「これでどうだ!!」(白銀)
「破!」(炎竜)
それぞれの武器にエネルギーをチャージした白銀と炎竜はタナトスに同時に斬りかかっていく。それに対してタナトスは火炎弾を次々と放っていくことでなんとか二人の動きを止めようとするが炎竜と白銀は火炎弾を次々と斬り裂いて行き、タナトスに肉薄するまでに追い詰める。
「くっ!」(タナトス)
「絶対に皆を守る!うおおおお!!」(白銀)
≪シャイニングエナジースカッシュ!≫
タナトスの体にバニシングブレードの刃を押しあてた白銀はさらにバニシングブレードの刃にエネルギーをチャージしてその体を切り裂いた。
「よくもおおおおお!!」(タナトス)
タナトスは周囲に多数のインフェルノバグスターを出現させる。そのインフェルノバグスターたちは炎竜と白銀へと殺到するがまだ武器を強化したままの炎竜は向かってくるインフェルノバグスターを光龍剣と竜炎刀の二刀流で次々と撃破していく。さらに、
≪ズーット!フォーミュラ、フリーズ!≫
「はあああ!!」(ロード)
シフトアップによる高速移動に伴う冷気でインフェルノバグスターを氷像へと変えていくロード。その勢いは新たに誕生したインフェルノバグスターを瞬く間に無力化していく。
「おうりゃアアアア!!」(エグゼリオン)
タナトスに攻撃が入るという状況になった瞬間にエグゼリオンが空中できりもみ回転をしながらドロップキックをタナトスに叩き込んだ。この攻撃を受けたタナトスはその勢いのままにフッ飛ばされた。
「無駄よ。私を倒しても、この街に蔓延したウィルスを止めるすべはないわ。あなたたちがあがいたところで何も変わりはしないのよ!!」(タナトス)
エグゼリオンの攻撃を受けた場所を抑えるタナトスはそう叫んだ。確かに、パリに蔓延したインベスウィルスに関してはどうしようもならない。出来ることは変異したインベスたちを抑えることだけ。原因となったウィルスに関してはどうしようもなかった。
「はあ、はあ、はあ、はあ。」(シャルロット)
街中をラファール・リヴァイブで疾走するシャルロット。市民の避難をする中で出現したインベスたちを何とか対処していた。だが、彼女一人で出来ることはたかが知れていた。それでもなお、
「どうして、ねえ。お母さんはそんなことを望んでいないのに。」(シャルロット)
両目に涙を浮かべながら自分に出来ることを必死でやっていた。シャルロットは死んだ母の思いを誰よりも知っている。その母が死に際に話したからこそ。
(良い、シャルロット。お父さんのこと、恨まないであげて。あの人は不器用だから、そう言う風でしか愛を示せなかったから。たぶんね、リーヌは、タンテはあの人のことを絶対に許さないだろうけど。だから、その時はタンテをお願いね。)
「分かってるよ、お母さん。私、諦めないよ。」(シャルロット)
その時、シャルロットが駆るラファール・リヴァイブのコアに何かが起きた。それはデュノア社にあるフランス最新鋭のIS、第3世代機であるコスモスのコアにも同じことが起きていた。
「だから?」(エグゼリオン)
「え。」(タナトス)
「それで、お姉さんを倒して解決なんて思っていないよ。そりゃ、これが終わったらそっちのウィルスの方も何とかするに決まってんじゃん。」(エグゼリオン)
タナトスの言葉にエグゼリオンはそう言い返した。
「デボラ熱とか、そういうヤバい感染症にかかわる場所で逃げ出す医者なんてどれだけいると思ってんの?それが人を助けようって思ってんならなおさら。」(エグゼリオン)
≪ガッシュ―ン。ガッチャーン!キメワザ!≫
エグゼリオンはそう言いながら、ドラゴナイトハンターZガシャットをキメワザホルダーにセットした。それを見ていた他のライダーたちも必殺技の準備をした。
炎竜は光龍剣と竜炎刀を合体させて大剣、光炎龍剣を完成させドライバーを操作する。
白銀はバニシングブレードにシャイニングエナジーロックシードをセットする。
ロードはドライバーをセットしてフリーズの力を解放する。
≪ドラゴンフルーツスパーキング≫
≪ロックオン!シャイニングエナジーチャージ!≫
≪ヒッサーツ!フルスロットル!フォーミュラ、フリーズ!≫
「だから、行くぜ。」(エグゼリオン)
≪ドラゴナイトクリティカルフィニッシュ!≫
炎竜が光炎龍剣を振るって、地面を破砕する衝撃波をタナトスにぶつける。炎竜の攻撃を受けたタナトスを白銀は懐に入り込んで擦りぬきざまに横一閃を走らせた。炎竜と白銀の攻撃を受けたタナトスに畳みかけるロードは両腕から放出させた冷気でタナトスを氷漬けにする。
「お願い!私に力を!」(シャルロット)
「絶望に沈めやしない!」(エグゼリオン)
シャルロットの願いに応じるかのようにラファール・リヴァイブが光り輝く。それと同時にコスモスもデュノア社から高速で飛び、光り輝くラファール・リヴァイブと一体化する。
エグゼリオンは空中にあったマッスル化のエナジーアイテムを使い、攻撃力を強化し空中を高速で飛びまわりながらタナトスへと突進していく。
「な、きゃあああああああああああああ!!」(タナトス)
タナトスにエグゼリオンのキメワザが決まり、同時にパリを光が包み込んだ。
パリを救った奇跡。だが、復讐の念によって新たな敵が生まれる。
「俺の名はハデス。この地を地獄へと落とし、われらバグスターの世界を作ろう!」
そこに来たのはあの伝説のドクターたち。
「ノリノリで行っちゃうぜ!」
「ミッション、スタート。」
「これよりバグスター切除手術を開始する。」
「ノーコンティニューでクリアするぜ!」
レーザー、スナイプ、ブレイブ、エグゼイド。ドクターライダーズ、最大のゲームが始まる。