組織である限り内部のゴタゴタはあるよねという妄想。みんな長生きだし、現世よりどろどろしてそう。
・斬魄刀について今のところの情報
一瞬で馴染みのある別の場所に移動した、任意使用はできていない
BLEACHの世界でいうきちんとした始解はできていない
NARUTOの飛雷神の術とは少し異なる形での移動
目覚めたら、斬魄刀は元の浅打に近い形に戻っていた。常時開放型の斬魄刀ではないようだ。そのままそこで腹ごしらえをして、さっそく斬魄刀の始解をしてみようとする。
斬魄刀の名を呼んだり、単純に力を込めたりしたつもりだがうんともすんとも言わない。
昨日の事が夢だったのかと疑ってしまうが、地面に放りだされたときの服の汚れや地面の後が残っている。
一度成功したのだから、死神やそれに準ずる人達に始解をどのようにするか聞いてみて、実際そこで挑戦してみることにする。このまま修行場で始解をしようとどれだけ努力しても無意味だろう、霊圧の扱い方を習わなければどうしようもない。何せここに来て霊圧なんてものを感じたことがない。
ということで、さっそく拠点としていた更木の集落のあばら家から出立した。ラスボスや戦闘狂のやつらに俺の情報を少しでも嗅ぎつかれないようにするため、念には念を押し修行場やあばら家など俺自身がここに居た形跡は抹消していった。
少なくとも3年はここに住んでおり、二度とここへ来ることは無いだろうに、誰一人挨拶する人間がいないことに泣きそうである。瀞霊廷に入れても社会性と人間性を鍛えなおすことから始まりそうだ。
他の比較的ましな地区に近く、更木地区の中でもそこそこ発展しているらしい場所へと向かう。大規模な暴力組織が実質取り仕切っているということを耳にしていたので、面倒ごとに巻き込まれないよう今まで近づかなかったが瀞霊廷関係者がいる可能性が高いのはそこだろう。
途中で襲ってきた雑魚どもから金品を回収していった結果、目的の更木南西部についた時にいろいろと今まで手に入れられなかったものを買う。
髭を剃り、髪を整え、着物もぼろ布から脱し、きちんとした身なりに整えた。見ためだけならば藍染も更木剣八も小汚い野生児と現在の俺が同一人物だとは、思いつきもしないだろうというくらい変化した。
着やせするタイプだったのか、傷跡さえ見えなければ書類仕事をこなす穏和な役所勤めという感じである。言葉や態度もこれに合わせていこう、今日から俺は爽やか穏和男子だ、目指せ浮竹さん。
見た目を整えたことで、やっと少し人間に戻れたような気がする。昨日までの俺は獣だ、棒切れ振り回してるだけのな。
佩刀してはいるものの、まっとうな恰好で一応、町と言える程度の作りをしている通りを歩く。瀞霊廷関係者っぽい人を探すが全く見つからない。
歩けど歩けど釣れるのはチンピラばかり、弱そうに見えるのかものすごい頻度で襲ってくる。割のいいバイトだと思って返り討ちにし、金も失敬する。
今日は諦めてどこかで一泊しようと思って宿、という高尚な場所ではないが寝る場所を提供してくれる家へと入る。
入口の椅子で座っていると、後ろから入ってきた女の客の一人が周囲に分からないように、背中に刃物を当ててきた。
「数刻ほど貴様を監視させてもらった。自然体を装い、何を探していたか答えてもらおうか。」
「…更木から出て死神に成りたいので瀞霊廷内から来た人がいないかと探しておりました。怪しく見えてしまったのであればお詫び申し上げます。ところでいきなり刀で切りかかってこないところを見ると、更木の大多数の住民たちとは違うようにお見受けしますがどちらさまでしょうか?」
嘘をつく意味もないので正直に答えさせてもらった。自然体を装いと言われても、全くそんなつもりはなかったのだが、何か後ろ暗いことをしている人間に見えたのかもしれない。
「質問しているのはこちらだ、とぼけるな。そのような恰好と言葉遣いで更木の者だとは笑わせてくれる。付け加えれば、浅打を持っているではないか、最後の機会だ、貴様は何者だ。」
「浅打を持っているのは偶然拾っただけです、ここは更木ですしたまに死神の方でも命を落とす方もいらっしゃるので。恰好や言葉については生前とった杵柄としか言いようがありませんが」
「言う気はないようだな、言いたくなるよう努力させてもらおう。」
背後から刺されようとする瞬間、上半身をひねり回避する。しかし、相手もそれを読んでいたのかすぐに二撃目が来る。
恐ろしく速い、今まで相手にしてきたことがないタイプだ、獲物は短刀、より人を効率的に殺す暗殺者という感じの動きである。襲ってきた女は、思ったより小柄な女だ、ソウル・ソサエティでは年齢を見た目で判断してはいけない鉄則があるので一応女と形容するが、見た目年齢中高生くらいに見える。
少しかすったと同時に、体の動きが鈍くなる。おそらく強力な麻痺毒か何かだろう、事を大きくしようと声を荒げるつもりがそれもできない。
こういう頭を使うタイプとやりあってこなかったのであっさりと捕らわれてしまった。連れていくということは、突然殺す気はないのだろう、とにかく情報を集めることが先決だ、なんで襲われたのかさっぱりだ。
「おう、お客さん、どうかしたか」
宿の従業員らしき筋肉ムキムキの男が聞いてくる。
「なんでもありません。私の連れが少し貧血を起こしたようなので、私の部屋に運びます、心配なさらずとも結構です。お騒がせしました。」
「なんだァ、なさけねえ貧血なんかで倒れてちゃここじゃ5秒ともたねえぞ、ハッハッハ」
周囲の客は何が起こったのか全く把握してないようである、何も分かっちゃいない癖に、従業員よ覚えてろ。
女も女で態度の変わりようがものすごい、さっきまで俺の背中に刃物あててた人間と本当に同一人物かよこいつ。
俺は何もできず、そのまま女に担がれて部屋へと通され、持ち物や刀を没収されたうえで拘束された。
部屋には老人が一人、中年のこれといった特徴の無い男が一人居た。女は俺に聞こえないよう状況報告をしそのまま尋問が始まった。
「君、どこの者だ。金で雇われているのなら、その倍は払うと約束しよう。前金として3分の1ここで払ってもいい、どうかな?」
どうやら部下と上司ではなく、金持ちの護衛対象と護衛のようだ。老人からは強さを感じない。先ほどの女に何か注射される、口が動くようになったことで、老人から質問される。
「先ほどそこの彼女に申しました通り、私は更木の一住民に過ぎません。おそらく霊力とやらがあるので、死神の方を探してそのなり方を聞こうと考え、更木の北の方の集落からここまでやって参りました。雇われると申しましても、何がなんやら…」
「そうか、どうだい?」
老人が中年の男に聞く。
「嘘は言っていませんね。本当に何も知らないようですよ。まあ顔を見られていますし、おいそれと返すわけにはいかないですけど」
中年の男は嘘発見器のような能力を持っているらしい、斬魄刀の力かどうかは知らないが少なくとも女と老人はこの男の能力を絶対的に信頼しているようだ。非常に便利な能力だ。
「殺しておきましょう、処理はこちらでいたします。」
女はそう言ったが老人がそれを止める。俺に妥協案というか、協力してくれという旨の依頼をしてきた。拒否したら死ぬので実質命令ではあるが、死神になれるよう取り計らってくれるとも言った、割とお人よしなのかもしれない。
「承りました。ところで何も分からないので説明いただけますか?」
老人は中央四十六室の賢者候補、つまり裁判官候補だという、派閥や権力闘争がひどく、次に選ばれる可能性のある他の候補者に命を狙われているらしい。内部推薦制度なので、事前の根回しが重要で、老人が所属した派閥は比較的良識派だそうだ。
現隠密機動の長官である四楓院家と老人の家は代々付き合いがあるので、そのコネで護衛として2人を借りたようだ。察するに、女というか見た目だけは少女に近い年齢の子と中年の男は二番隊の死神だろう。
さらに更木とかいう辺境の地になぜ賢者候補ともあろう者が居るのかを聞いた。
対立候補者は、自分の足がつかないように更木のヤクザみたいな組織を利用しているようだ。頭は悪いが、実力はある、何より替えが効くし簡単に切り捨てられる。そして、更木なんて治安の悪い地区で賢者候補というエリートが手を出すと思われていないようで私兵としては利用価値大だそうだ。
ヤクザ組織自体犯罪の温床なので、そんなことを黙認、利用している対立派閥に増長されるのは正義に反すると、老人は証拠を探っていたが、それがばれて狙われているようだ。
相手も同様、腐っても四十六室。同じく死神を利用しているかもしれない、実力のある暗殺者たちを差し向けられているらしい。老人は公明正大なことで結構である、これは依頼をこなせればきちんと瀞霊廷に入れるな。
そこで、死神ですらないので顔の割れようがない、女の一撃を避けることのできる実力を持った俺に白羽の矢がたったようだ。
肝は据わっているし、嘘も演技もうまそうだ、君にならできる、少数精鋭で頑張ってくれとおだてられてしまった、乗るかそんな手に。
本音は無辜の民をただ巻き込んでしまうのはしのびない、報酬を用意し依頼を自主的に受けてくればその後死んでも自己責任、証拠も残らず使い捨ての駒としては最適ってところだろう、こう考えてしまうのはひねくれすぎているかもしれないが。
依頼内容としては、紙面上の依頼書があればベストだが、不自然な資金経路やその他証拠になりそうなものを回収せよとのお達しだ。
いやなんでこんなことに巻き込まれてるんだ。このじじい、更木で瀞霊廷有力者に関わるなんてほぼないから依頼を全力でこなすだろうと高くくってやがるな、むかつく、まあ後ほど多いに利用させてもらおう。