脳筋にはなりたくない   作:スーも

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時系列としては原作開始より百数十年前くらいかな?
BLEACHの時系列は難しくて良く分からないので、そこらへんは優しく見てください。







じじいの思惑に乗って実際に四十六室のクソどもの証拠回収に乗り出した。成功しても失敗しても、権力者の弱みを握れるか、恩を売れるかの違いなのでどちらに転んでも俺としてはメリットはそこそこある。

 

乗り込む前に死神2人に自己紹介をしてもらう。とは言っても現在の設定上の名前や経歴であり、本名はまだ教える気はないようだ。下手に知っていた方が危険度は増すのでそこはありがたい。

2人は更木に居ても普通に溶け込めるような恰好をしている、俺の住んでいたあたりとは違い暴力組織によって治安が保たれ、ちらほら女子供も居るので違和感はない。斬魄刀もわざと置いてきているのか、それとも俺の物のように小さくなるタイプで隠し持っているのか腰には刀を佩いていない。

 

逆に俺は綺麗な恰好をした爽やか青年である、浅打を持っているし見る人が見れば死神に見える。

あれ?顔が割れていない俺を利用すると踏んでいたのに違った。これ俺を目立たせて、死神2人が動きやすくするための疑似餌じゃない?

嘘や演技が得意そうと言われたのでてっきりスパイの真似事でもするのかと思ったのに、完璧に騙されてしまった。

のせられるかと思っていたのに、そう思った時点で罠の中だった、食えないジジイである。

よく考えなくても不正証拠の奪取なんて素人の仕事じゃない、何かを探って怪しい俺に注意を向けさせ囮にすることが本当の目的のようだ、気付かなかった自分に嫌気がさす。さっさとラスボスにやられてしまえジジイ。

 

もう断りようがないし、報酬は欲しい、さっさと更木から出たい。仕方がないので騙されてやろうと思う。

そうしてヤクザ組織の拠点となっている建物の中に乗り出した。予想よりも頭悪くて簡単に中に入れたし、気配を消すのは得意中の得意である、探れと指示された場所周辺の引き出しの中とかは物色できたがこれといった情報は無かった。やはり本命は別のところにありそちらに本職の2人が乗り込んだと見ていいだろう。

 

ポーズは取ったが意味もないし、帰るかと思って扉を開けた瞬間、斬りかかられた。

死神お二人さんはどうやら敵をほぼこちらに差し向けたらしい。雑魚ばっかりだし、ジジイに騙されてむかついていたので、八つ当たりのようにばったばったと斬り倒した。廊下は血だらけ、窓には雨粒のように血が滴っている、なかなかの惨状である。

 

証拠を取ったであろう女の帰りにその様子を目撃され、目を丸くしているのが見えた。そうなんです、見た目爽やかお兄さんだけどめんどくさいと更木住民のお家芸、脳筋戦法が出ちゃうんです。

 

見たやつは全員殺すくらいの勢いでやっていたので冷や汗が止まらない、女とここで鉢合わせるとは思っていなかった。証拠を回収したら俺など見捨てて撤収すると思っていたのに、あとで土下座してでも口止めしないとやばい、瀞霊廷内では見た目通りの人間としてふるまいたい。むしゃくしゃしてバーサーカー化するなんてことは二度としないと心に誓った瞬間である。

 

「あの…ここで見たことはご内密にお願いできますか?ちょっと二重人格気味でしてむしゃくしゃするとこうなるんです」

惨状の現場から離れ、帰ろうと2人で歩きながら刀を振り血を落とす、置いてあった高そうなツボにあたり割ってしまった。動揺して動作も発言も適当になっている。

 

「あ、ああ…」

え、そんなドン引きするレベルだったのか。隠密機動ならこれくらい見慣れているだろうし、更木でこんなこと日常茶飯事である。もしかしたら新人さんだったのかもしれない、申し訳なさすぎる。これ俺の頼み了承してくれたのか微妙だな、返事が上の空だ。

中年の男とも遅れて合流し、その男に抱えられ、瞬歩でジジイのもとへ急ぐ。なんとなく気まずいこの雰囲気から脱出させてくれて感謝である。

 

ジジイのもとに帰って女が証拠を渡し、男は嘘の分かるその能力を使って引き出した情報を報告しているようだ。これにて一件落着かなと死神2人の緊張感らしきものが少し和らいだその時だ、殺気を感じた、ジジイを狙っている。

 

そういえば、相手は腐っても賢者候補、死神は利用してくるだろうと最初から分かっていただろうに一瞬の隙を狙って攻撃してきた。このままだとまずい、報酬がもらえないとかふざけるなと思ったが、ジジイに伸ばす手より迫る凶刃の方が先に届くだろう、俺が生き残るためにこのジジイは死なせるには惜しすぎる利用価値がある、どうにかしなければ。

 

──カッ

また白い光が見えた、見えたのは先ほど割ったツボあたりである。そう思ったら、ツボの残骸から2mほど離れた場所に俺とジジイは立っていた。

案の定、刀はまたあのクナイに変化している。おそらくこれで飛べる場所はこの刀で切った場所近くだ。有効範囲や斬ったものの中でどの場所に特定されるかなどはさっぱりである。

使いこなしてそれを知らなければなるまい。己を知り敵を知れば百戦危うからず、とあるが一番分からないのが自分の能力ってどういうことだ。

 

困惑しているジジイに訳を話す、おそらく自分の能力だと思うが場所を移動した、自分の意思で使うことはできていない、2人も何が起きたかさっぱりだろうし帰ろうという旨を伝えた。瞬歩は使えないし、あちらはすでに片付いているだろうから話しながら歩いて帰る。

 

「本当にご無事でなによりです。ところで、今回の件、きっちり仕事分は見返りを願ってもよろしいですか?」

恨みを込めて俺はそう言った。囮として利用しやがったな、死んでたらどうするんだ。こちとら命の恩人だぞ、もちろん大体の願いは聞いてくれるよなという脅しである。

 

「悪いね、利用したことは謝るよ。私が助かったのは君のおかげだ、心から感謝する。依頼の件だが、君は他の更木の住民よりもはるかに強いし、一応2人に気を配るようには伝えておいたんだがね。君の実力を見込んで、できると思った範囲の依頼だったんだ。それに元からきちんと見返りは渡すつもりだよ安心しなさい。」

ジジイは立ち止まって、こちらに頭を下げてきた。

「もう一度言う、ありがとう」

 

ここまでされてはこちらの溜飲も下がる、人の扱い方を熟知しているジジイだ。女が俺を追いかけてきたのはこのジジイの命があったからだったのか。そのおかげで、あの惨状を見られたので善意で余計なことしてくれたなという気持ちしかない。もう一度女に頼み込もう、今までで一番俺の力やら更木戦法やら、性格やらがばれている、口封じに殺してしまいたいレベルである。まあそんなことはこのジジイの手前できないのだけれど。

 

 

────

 

 

瀞霊廷内のジジイ宅にお邪魔する。立派な日本庭園のある広い屋敷だ。風呂なども入らせてもらい、白い胴着に紺色の袴、さらに見るからに高そうな黒の羽織をもらった。しばらくこれを普段着として生きていこうと思う。

 

ジジイの対立候補は無事失脚したらしい、相手も甘くはないので派閥の反対勢力を一網打尽にすることはかなわなかったがそれはおいおいという感じだと言っていた。もちろん詳細は聞かなかったし、教えてくれるとも思わない。

 

ジジイ自身死神ではないし、真央霊術院の入試は約半年後らしい。それまでいろいろと鍛えてもらうべく、俺の実力を見込んで、素晴らしい実力を持つ死神の屋敷に紹介状を書いてくれるということになった。

 

そこで期待に応えるかぎり、衣食住には困らないだろうし、ジジイも援助は惜しまないと明言した、言質はとったぞ。将来性のある有能な者を自身の家で養い、いざという時動いてもらう、古代中国からある食客みたいなものだ。

ジジイは貴族で、ジジイの紹介で俺が行くわけだからいい服をプレゼントしてくれたわけである。俺がみすぼらしい恰好をしていたり、失敗すればジジイの顔に泥を塗る形になるからな。

 

「というわけだ、四楓院家の屋敷まで彼の案内を頼む。今回は世話になったな。さすが夜一様の紹介だ、ありがとう、砕蜂。」

「こんなやつを夜一様の屋敷にですか…いえ、ご命令とあらば、案内いたします。では失礼します」

 

そいふぉん…だと?え?いろいろモロばれしてしまった相手が砕蜂?まずすぎない?逆になんで今まで気づかなかった。滅茶苦茶いやそうだが、俺を屋敷まで連れて行ってくれているこの女が原作キャラ、しかものちの隊長。口封じに殺すなんて考えていたが、その考えは霧散した、いろいろと弊害がありすぎる。

 

しかも向かうは夜一さんの屋敷である、褐色ナイスバディの夜一さんである。男として嬉しいが、実力隠して適当に落ちこぼれてモブに徹するのは無理そうだ。

否が応でも藍染関連の事件に巻き込まれる気がしてならない、藍染が生きてる限り俺の生存は脅かされるので手助けするのはいいし力を削るのは大賛成だが、全面的に敵対するのは勘弁願いたい、確実に死ぬ。

 

「あの、砕蜂さん。前にも申した通り、使いこなせていない斬魄刀のことだとか、更木出身ということはできるだけ黙ってていただけますか?勿論、仕えている方に報告するなとは言いませんので」

夜一さんに心酔している砕蜂のことだ、確実に主人には俺のことを言うだろう。夜一さんには話すのは仕方ないが、言うのはそれに限定して他に言うのは勘弁してくれと頼み込む。

 

「任務が無事完了できたのは、貴様のおかげでもある。夜一様には報告するが他には黙っていよう」

超不機嫌そうにそう言う、やはり俺のような得体の知れないやつを敬愛する主人のもとに連れていきたくない。

 

しかし、ジジイもいいとこの貴族っぽいしこの頼みを反故にすれば泥かぶるのは夜一さんだ、しかも俺は一応恩人である。主人の恥を自ら作るような真似はしたくないのだろう、素直に俺を連れていくしかない、心中お察しする。

 

 

 

 

 




砕蜂は見た目やしゃべり方、雰囲気とのギャップにドン引きしただけ。新人ちゃんかもとか思うから、砕蜂だと気づかなかった。
この子も下級と言えども貴族なのでそういう礼儀や作法は心得ている。

オリ主の原作知識は曖昧なので、相当奇抜な見た目や動作でない限りキャラを見ただけで一発でこいつだとは分からない。
砕蜂は原作よりはるかに小さいし、それほどまで現時点では強さを感じられなかったので特に分からなかった。

ちなみに、夜一さん宅は実際に何人かの実力者をお世話してたという公式設定があります。下駄帽子とかテッサイさんとか。
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