3000文字前後書くのにも2日かかりました。
完結まで頑張ります。
目が覚めた。
いや目が覚めたというより、目を閉じていて、目を開けただけのような。全く眠気がなかった。こんなに寝起きがいいのは初めてだ。少し誇らしい気分になる。
そんなことはすぐにどうでもよくなったが。
まず目に入ったのは白い天井だった。しみひとつない。続いて横を見ると、昨日寝た部屋とは全く違う様子になっていた。俺が寝ていたのはこんな白一色の殺風景な部屋ではない。慌てて上半身を起こす。
「…は? えっ」
部屋がまるっきり変貌しているのも驚いたが、自分の声にも驚いた。あー、あー、と声を出すと、自分の喉から出たとは信じられないほど綺麗な女の声がした。続いて自分の体を見ると、着た覚えのない黒い服、昨日までついてなかった柔らかそうな二つの双丘を確認して、ほぼ無意識にそれに触れていた。
むにゅ、と自分の指がそれに沈む。同時に、自分の体に触れられている感じがした。
ありえない、と言葉が勝手に口から漏れ出た。ベッドから転げるように出て、SF映画でありそうな端末を目にして、自分に反応して開いたドアを見て、俺の思考は停止した。床に膝から崩れ落ちて、項垂れる。ふっ、と空気がそのまま喉を通ったような音がした。
ここは何処なんだ、俺は何で女になっているんだ、という思考で頭がぐちゃぐちゃになる。なぜだか、妙なほど焦っていた。いや全く知らない場所にいて、女の体になっていれば当然かもしれないが。
「どうしたの? 24号?」
どれくらいそうしていたのだろうか。声に反応して俺は顔を向けた。
いつのまにかドアの向こうには、俺と同じ黒い服を着て、なぜか目を黒い布らしきもので隠した女の人がいる
それに疑問を感じ、そして疑問を感じることに戸惑っていた。あれは私たちヨルハが着用するゴーグルだ。疑問を感じることこそがおかしい。
ヨルハ? ゴーグル?
よく知っているが故にその言葉が俺を混乱の極致に叩き落した。いや、混乱する意味が分からない。私がロールアウトされた当初からある記録ではないか。ロールアウトって何だ。まるで俺が作られた物みたいじゃないか。
よくわからない。わかりたくない。頭を抱え、呻き声が口から出る。
「大丈夫!? しっかりして!」
異変を感じとったらしい女の人が俺に駆け寄る。俺は無意識に疑問を口に出していた。
「ここは、どこだ…」
「えっ?」
女の人の困惑した声を最後に、俺の意識は途絶えた。
[記録開始。
西暦5012年。突如地球に侵略してきたエイリアンと、彼らが繰り出す兵器・機械生命体の前に人類は地上を追われ、月へと逃げ延びた。地球を奪還するために、人類はアンドロイド兵士による抵抗軍を組織。衛星軌道上に設置した基地群から反抗を開始するが、幾度もの大規模降下作戦を経てなお、機械生命体に決定的な打撃を与えるには至らなかった。
膠着した戦況を打破するため、人類は新型アンドロイドの戦闘用歩兵「ヨルハ部隊」を開発。地上に送付され、戦果を挙げたヨルハ部隊の有用性を月面人類会議は認め、新型実験機ヨルハ部隊による大規模降下作戦「真珠湾降下作戦」を発案。衛星軌道上に新たに開発された基地、「バンカー」を本拠地とし、計画された作戦は発動まで残り1ヵ月に迫ろうとしていた。
私はそのヨルハ部隊の一員である、ヒーラーモデル24号であり、元人間である]
そこまで記録して、ふぅ、と一息ついた。何かを残すというのは難しいものだ。ここまでに割と時間がかかってしまった。電子媒体から目をそらして、首を回す。
白一色の部屋は、約1年前と同じくしみひとつない無機質さを保っていたが、部屋の隅においてある小さな机の上には、何本かの造花が飾られている。それは赤、青、緑と複雑な色ではなかったが、それ故か部屋の中でひと際目立っている。
しばし花を眺めたあと、軽くのびをして、記録の続きに取り掛かる。
[約1年前、私、正確には俺は、この部屋で産声をあげた。錯乱した私をあの場に居合わせたアンドロイド――2号はメンテナンスルームに連れていき、私はデータオーバーホールされた。ロールアウトされてから僅か24時間後の出来事である。廃棄されることが前提のもと行われた私への能力適正テストは好成績により覆され、その48時間後に正式にヨルハ部隊入りした。このあたりは廃棄されないよう必死だったからか、よく覚えていない。
あの時私に起こった不具合は、疑似記憶(病院勤めの看護師)とヨルハ部隊として必要だった知識が混ざり合った結果、錯乱したとなっている。今まで製造されたアンドロイドで初めてのケースであるため、ヨルハ部隊入りしてからも経過観察が行われたが錯乱することはなかった]
私、という一人称は自分が女性型のアンドロイドと認識してから使っているものである。郷に入っては郷に従えとも言うし、もはや自分が元人間で男だった、という記憶以外は風化しており、昔のことにいつまでも囚われては前を向けないため、心機一転、口調も変えてH24という人生を歩もうと決めた。
[推測はついている。おそらく、俺という異物が24号に入り込んだことにより、思考回路が異常をきたし、さらに体の主導権を俺に奪われたことで、錯乱したのだろう。そしてデータオーバーホールされた結果、24号に俺が入り込み、現在の私となっているのだろう。無自覚とはいえ、取返しのつかないことをしてしまった。ごめんなさい。俺のせいで、あなたの命を奪ってしまった。あなたの分まで生きるから、どうか許してほしい。この記録を残すことによって、24号、あなたへの手向けとする。記録終了]
あなたの分まで生きる。
なんて傲慢な考えなのだろうか。顔に苦みが走るのが抑えられない。24号の命は私のいのちと釣り合うものなのか。命の価値を決めるのは自分ではない、自分以外の誰かだ。だが、私は24号に出来ることと言ったら花を活けること、彼女が確かにここにいたことを記録として残すぐらいしか出来ない。
ピピピ、とアラーム音が鳴った。
「さて」
パシ、と頬を叩く。アラームは疑似戦闘の時間にセットしていたものだ。いつまでもセンチメンタルではいられない。作戦開始まで一ヶ月に迫っていることもあり、訓練内容は日々厳しくなってきている。特に司令官なんて、普段の仏頂面が輪をかけてきつい。遅刻なんてしたら大目玉だ。
外していたゴーグルを付けて、自身にチェックプログラムをはしらせる。システムオールグリーン。
「よし、行きますか」
――理由なく戦える者などいない。故にアンドロイドは命を捧げるに値する「神」を持ち、機械生命体は自己の興味へと「依存」した。
何処かから来た、右も左も分からなかった魂も変わらず、
「
作者は自分で考察せず他人の考察を見て満足する人です。そんな人がNieRの二次創作して大丈夫でしょうか。
そんなあなたにご都合主義タグ。