NieR: Maybe Automata   作:ひぐらしの雫

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お待たせしました。
今回は早かったですね。今回だけですが。毎日一話投稿している方を見ると尊敬します。


記録3

 初めて任務を共にした時から、変なアンドロイドと思っていたんです。

 

「はじめまして。同行する24号、ヒーラーモデルです。よろしくお願いしまーす」

「は、はい。私は2号、アタッカーモデルです。よろしくお願いします」

 

「すごい! 空飛んでるよ私たち! はやーい!」

「落ち着いて下さい24号! そんなに動き回らないで! 飛行ユニットがぶつかっちゃいます! あと敵! 敵来てますから!」

 

「次はあそこ行ってみましょう! ついでに機械生命体も殲滅しましょう!」

「ついでって24号…。任務を優先して、あちょっと前には私が出ますから下がって!」

 

「2号さん、これ見てください。旧世界の文献ですよー面白いですよー」

「もう任務達成しましたから帰りましょうよ…」

「次はあそこにしましょう。マップにマークしましたよ」

「いい加減にしてください!」

 

 最初からこんな感じですよ、もう。戦闘では頼りになるのに、それ以外だと何というか、その、馬鹿ですよね。

 2号ってわりと辛辣だね…。

 正当な評価だと思いますが。

 そうそう。あいつほんと適当だよなぁ。いや銃とボディのメンテナンスはきちんとやってくれるんだけどさ、この前も…、

 

「16号さん、銃のメンテナンス終わりましたよ」

「おう、ありがとな。でも随分と時間かかったな」

「はい。ちょっと釣りをしていまして」

「…は? お前確かに今は待機中だけど、もうちょっと真面目にしろよ!」

「命令に反抗的なあなたに言われたくないですねー」

「何だと! やるか!?」

「子供ですかあなたは…。まあ落ち着いて。釣った魚焼いてきましたから、食べましょうよ」

 

 ほら、あいつ滅茶苦茶適当だろ。でもあの魚、フナだっけ。美味しかったなぁ。

 アンドロイドは水さえあれば活動可能です。なぜ24号は食事をするのでしょうか? あと16号、任務中は真面目にお願いします。

 何でオレが言われるんだよ!

 まず釣りをしていることに驚きました…。

 でも分かる! この前一緒の任務だった時に食べたけど、美味しいよね。あそうそう、24号に通信した時何だけど、

 

「こちら4号。24号応答お願いします。…何してるの?」

「はーいこちら24号感度良好。これですか? 花を飾っているんですよ」

「花って、地球の植物の一種だっけ。バンカーじゃ育たないんじゃないの?」

「これは造花と言って、人類が花が育たないところに飾る時に使用したものなんですー。水や日光を必要とせずに咲くんですよ」

「へぇー。でもそんなもの飾ってどうするの?」

「綺麗でしょ?」

「綺麗? …24号のすることはよく分からないなぁ。あ、通信内容なんだけど」

 

 とまあこんなことがあったんだ。今でもよく分からないんだけど、部屋の造花を見ると何かいい気持ちになるんだよね。今度頼んで作ってもらおうかな。

 花、ですか。確かにあるとないとでは何か違いますよね。

 オレは魚の方がいいけどな! そういえば、今度あいつと一緒の任務何だけど、大丈夫かな。戦闘中にどっか行くんじゃないか? 適当だもんな、適当。

 …それについては心配ないと思います。

 そうか? あいつ適当だぞ。

 確かに24号はヨルハ部隊に不適格ですが、信頼はできます。6ヵ月前ほど、調査任務を行った際に、

 

「敵に囲まれてしまいましたね、21号さん。どうしましょうか」

「私が退路を開きますので、24号はその隙に脱出を」

「どうやって?」

「融合炉を暴走させます。情報を持ち帰るのが最優先です。スキャナーモデルの私より、ヒーラーモデルの24号の方が脱出する確率は高いでしょう。よって」

「駄目です。あなたが死んでしまうじゃないですか」

「…この私が破壊されても義体のデータはバンカーにあります。今のデータは無くなりますが、私が死ぬわけではありません。この方法が効率的です」

「今のあなたは死んでしまいます。そんなの認められません」

「理由に納得できるものがありません。任務が優先です」

「仲間の命より優先するものなどありません。私もあなたの理由に納得できませんし、何よりまだ2人で脱出できないと決まったわけではないです。諦めるのはまだ早いと考えます」

「…これ以上の議論は無駄ですね。分かりました。24号の考えに従います。ですが、万が一の場合は」

「その万が一をなくすのが私の仕事です。感謝します、21号さん。心配しないで、あなたは私が守ります。任務も一緒に達成しましょう」

「…ありがとうございます、24号」

 

 任務外時の態度には問題がありますし、戦闘時にも論理的な思考が出来ているわけではありません。…ですが、私はそんな24号に守られました。あの時の記録があるのも24号のおかげです。24号は、信頼できます。

 その、私も同意見です。24号がいると、戦闘で普段より上手く動けるんです。24号がヒーラーモデルというの理由のひとつだと思うんですけど、こう、何でしょう、肩の力が抜けるというか…。何故か安心するんです。

 そういえば私もそうだなぁ…。2号みたいに感覚も楽になるんだけど、24号ってフォローが上手いんだよね。危ない! て時に被弾しないように牽制してくれたりとか。戦闘だけじゃなくて、ちょっとした悩みでも親身になって一緒に考えてくれるし…。

 考えてみればオレも武器のメンテナンスは24号に任せることが多いな。自分でするより24号の方が確実だってのもあるけど、これって信頼してることになるのか? 

 ――やっぱり変なアンドロイドですよね、24号は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「4号さーん。司令官が呼んでいましたよー、って何ですかこの集まりは」

「あ、24号、、えーと、これはね」

 

 4号の部屋に何故か2号、16号、21号がいた。皆驚いていることから察するに、何か秘密の話をしていたのだろうか。あと2号の顔が赤かった。

 

「何の話をしていたんですか? 教えて21号お姉ちゃん!」

「24号の姉になった覚えはありません」

「あーっ! まさか女子会ですか!? 何で私呼んでくれないんですか!」

「ジョシカイ…? 何だそれ? オレたちはただ」

「じゅ、16号、ちょっと黙ってください。恥ずかしいじゃないですか」

「は? 何でだ? 別にどうでもいいだろうが。オレたちが24号の」

「あー! あー! 私メンテナンスに行かなきゃならないんでした! 16号も行きますよ!」

「いや、オレは別にって引っ張るな! おい、24号今度の任務よろしくなー!」

「え、ええ、よろしくお願いします…?」

 

 入口に立っていた私を押しのけるように2号と16号が出て行った。2号は目を合わさずに、16号は珍しいことを言いながらだ。彼女、いつもあんなこと言わないんだが、どうしたんだろう。気になる。

 

「まあ、あまり気にしないで、24号。連絡ありがとう。すぐに行くね」

「4号さんも教えてくれないんですか? 司令官なんてどうでもいいですから、これから私たち2人で二次会のしゃれこみましょうよー」

「司令官がどうでもいいって24号…」

「データオーバーホールを推奨します」

「辛辣ですねー、21号お姉ちゃんは」

「ですから私は24号の姉ではありません」

 

 じゃーねー、と4号が部屋から出ていく。これはほんとに気になってきた。ここまで秘密にするってことは相当重要なのだろう。

 

「あ、そうそう24号」

「何ですか? 24号さんは今仲間はずれにされてご立腹ですよー」

「今度、造花作ってもらえる? ほら、部屋に飾ってる」

「ええ、それくらいお安い御用ですが、急にどうしたんですか?」

「ちょっと欲しくなっちゃったの。またお礼するから、よろしくね」

 

 と言って今度こそ部屋から出て行った。

 

「お礼なら話の内容教えてくださーい!」

 

 その背中に向かって叫ぶのを忘れない。今から作るとなると素材がないので作戦後になるだろうが、これで話は聞けるだろう。話したくないって言っても逃がさないから。

 

「ふふふ、これで私はあなた達の秘密を知れますよ。さあ、後ろ暗いところがあるなら、白状するなら今ですよ、21号さん」

「別に内容は知られても構わないものです。妙な言いがかりは止めてもらえますか」

「だったら今話してくれてもいいじゃないですかー」

「それは、その…」

 

 21号が視線をそらし、俯いた。お、珍しい表情。いつも堂々としている21号がこんな態度になるのはあの調査任務以来だ。知らず口元が弧を描いた。

 

「どうしたんですかー? やっぱり後ろ暗いとこあるんじゃないですかー?」

「…」

「何か言ってくださると私も嬉しいんですけどー?」

 

 そうやって笑顔でおちょくる。いつもは私が態度を責められる側だが、今回は立場が逆転している。ここぞとばかりに楽しむつもりだった。

 顔を上げた21号の表情を見るまでは。

 

「あの、恥ずかしいので許してもらえませんか…」

 

 口はきゅっと結ばれ、ゴーグルで分からないが私が上から見上げているので上目遣いになっているだろう。声に気恥ずかしさが紛れ、頬に桜が散りばめられたその姿は、ヨルハの扇情的な制服にも反応しなかった私の男部分に一滴の雫を落とした。

 

 一言で言うなら、かわいい。

 

「あ、あはは! そんなに言いたくなければ仕方ないですね! それでは私はこのへんで。さよーならー!」

 

 声が裏返りつつもそこまでまくしたて、部屋から逃げるように去った。

 あれは反則だ。うん。あそこまでされたら仕方ない。話の内容はあとの楽しみにとっておこう。しゃーない、しゃーない。

 廊下を走りながら、21号の表情を厳重にデータに保存した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 走っていく24号の姿にあっけにとられつつも、再起動を果たした21号は自分の部屋に戻っていた。

 何故24号が動揺したかは分からない。発言から私の態度に理由があるのは明白だが、そんなことをした覚えはない。話の内容を言わなくてよかった、ということにしておこう。

 

 そんなことを考えていると、あの調査任務のことを思い出した。あの時、私は任務が優先と言って自爆を提案したが、本当は少し怖かった。

 私たちヨルハは何度でも生き返ることが出来る。だが、パーツが全て変わってしまった私は、本当に私と言えるのだろうか。薄々そんなことを考えていた。もしかしたら24号の言う通り、生き返るたび何度も私は死んでしまっているのかもしれない。今の私は私ではないかもしれない。そう考えると、背筋に冷たいものが走った。

 

 でも、だからこそ、私はあの調査任務を忘れたくなかった。初めて恐怖を感じたあの時を。初めてバンカーに帰ってきたとき、感じた安心感と24号への感謝の気持ちを。私は今でも思い出せる。

 

「随分と、感情的になりましたね、私」

 

 出てきた言葉に私自身が少し驚いた。感情。心の動き。人類が持つ当たり前のもの。アンドロイドにはないとされるもの。私もそう思っていたが、24号を見ていると確信的なものではなくなった。

 知らず、口が弧を描く。それが何なのかは分からなかったが、悪い気分ではなかった。

 

 今度、24号に機会があれば改めてお礼を言おう。

 自然と、そんなことを思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 





あと一つ投稿して真珠湾降下作戦の予定です。
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