黒の剣士の英雄譚(キャバルリィ)   作:ミヤイ

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VRMMORPG第一弾SAOの舞台であるアインクラッドに閉じ込められてから2年後……
彼らの物語は新たな方向へと動き出した……


プロローグ「SAO」

アインクラッド第75層……

ボス戦終了後、黒一色のコスチュームから黒の剣士と呼ばれた少年キリトはある違和感に直面した。

 

 

『なんで、ヒースクリフはあんな余裕の表情なんだ???それにHPの減りも……』

 

 

攻略組の一角を担うギルド血盟騎士団の団長である白い髪に前髪をあげ後ろで縛っていたガッチリ体型の青年、ヒースクリフのHPの減りに疑問を感じた……いや、それだけじゃない。ほかのプレイヤーは、既にヘロヘロで身動きすら取れない状況にも関わらず、ヒースクリフは余裕の表情で仁王立ちしていた。積もり積もった疑問がキリトを突き動かした。彼は、愛剣であるエリュシデータをギュッと握りしめると片手剣ソードスキルのレイジスパイクを放つが、それは弾き飛ばされると、ヒースクリフの前には破壊不能オブジェクトが出現していた。

 

 

「キリト君……これは、破壊不能オブジェクト!?」

 

「あぁ、こいつはシステムによって守られてたんだ。俺たちが必死になって戦って精神的にも疲れてるはずなのに一人涼しそうな顔してるから怪しいとは思ったんだ……ヒースクリフいや、茅場晶彦!!」

 

 

誰もがその名前に驚いた。キリトの近くまで駆け寄った副団長の女性プレイヤーのアスナは、ヒースクリフを睨みつけた。だが、ヒースクリフは逆に誇らしく振舞ったままだった。

 

 

「いや、完璧だよ!キリト君。良くもあっさりと私の正体を見抜くとはね。」

 

 

その態度に腹を立てたプレイヤーが何名かヒースクリフに向かって剣を向けると彼は、ウインドウを開くとあるシステムを発動させキリト以外の全てのプレイヤーに麻痺をかけた。

 

 

「キリト……君……」

 

「アスナ、みんな!?」

 

 

次々と麻痺によって体が動かせずにその場に倒れ込むプレイヤー達……ふらついたアスナを抱きながらキリトは、その場にしゃがみこむとヒースクリフは、キリトを挑発し始めた。

 

 

「キリト君、君には私を見抜いた褒美をやらなければならないな。」

 

「褒美?」

 

「今から私と1対1のデュエルをしようではないか。勿論、不死属性は解除する。君が勝ったらゲームはクリアだ!」

 

 

そんな挑発に対してキリトは、今まで目の前で死んでいったプレイヤー達の表情をこと細かく脳裏に流れ込んできた。全ての首謀者であるヒースクリフを自らの手で倒す。そういった考えにたどり着くとキリトは、湧き上がる怒りを抑えながら呟いた。

 

 

「__イイだろう、その勝負受けてやる!!」

 

「キリト君……」

 

 

戦闘に向かう夫を心配した妻のような目をしながらアスナは、キリトの名を呼んだ。すると、キリトはアスナを安心させようと微笑みながら彼女の綺麗な髪を撫でた。

 

 

「大丈夫、生きて帰ってくるから。」

 

「うん、約束だよ?」

 

 

アスナの言葉にうんと頷くとキリトは、アスナをゆっくり横にさせると立ち上がり一度鞘に戻した2本の剣、エリュシデータとダークリパルサーを引き抜くとゆっくり前に出てヒースクリフと対峙した。一方、ヒースクリフは不死属性を解除してHPもキリトと同じくらいまで下げた。そして、全ての準備が整うとヒースクリフはキリト宛にデュエル申請をメッセージで飛ばすと、キリトは完全決着モードを選択してデュエルを承諾した。

すると、同時にデュエル開始のカウントダウンが刻々と始まった。

 

 

『これはデュエルじゃない……俺は、この男を……殺すッ!!』

 

 

キリトの目付きが殺意の篭った目へと変わったと同時にカウントがゼロになりデュエルが始まりを告げた。キリトは、開始直後から2本の剣を振り回して果敢に攻めるがヒースクリフは、背丈ほどの大きさの盾インセインコンカラーでキリトのすべての攻撃を防いでいた。

 

 

『SAOを作り出したのは、奴だ!システム上の連携技は全て見切られてしまう……ソードスキルを使わないで奴を倒すしかない!!』

 

 

キリトはそう思いながら必死に剣を振るが、今度は、この盾とセットになっている刀身が長い剣インセインルーラーを突き出しキリトの頬をかすると少し焦りを感じてしまい、無意識に二刀流ソードスキルであるジ・イクリプスを発動した。ヒースクリフは、キリトの攻撃を見てニヤッと笑いながらインセインコンカラーで全て受け止める。

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 

キリトは、叫びながら27連撃の猛攻を見せるも最後の突きも弾き飛ばされてダークリパルサーの剣先が砕けてしまった。

 

 

『アスナ、君だけは生きて!!』

 

「さらばだ!キリト君!!」

 

 

ダークリパルサーが砕け、敗北を感じ取ったキリトは愛した彼女がこれからも先の未来で生きていることを願いながらヒースクリフの右斜め下に振り下ろしたソードスキルを受けてしまった。HPのバーが物凄い勢いで減り始めた。

 

 

「キリト君!!」

 

「キリト!」

 

「キリト!!」

 

 

まだ、麻痺が解除されていないアスナ、クライン、エギルの3人は倒れかけたキリトの名を呼んだ。その声を聞き、エリュシデータを杖替わりにして体を支えた。

 

 

「__まだだ!!」

 

 

キリトは、そう叫びながら再び走り始めると片手剣ソードスキルのホリゾンタル・スクエアを放つとすぐに移動しながら今度は、ヴォーパル・ストライクを放つ。残されたスピードのみでヒースクリフの判断予測を越えようとしたのだ。

 

 

「無駄だ、キリト君!!」

 

 

ヒースクリフは、そういってはインセインルーラーを振り回すがキリトは、エリュシデータでその一撃を受け流すと、ヒースクリフの懐に入り込んでバーチカル・スクエアを放つ。

 

 

「何!?」

 

「__ここだ!!」

 

 

驚くヒースクリフとは裏腹にキリトは、同じく片手剣ソードスキルであるシャープネイルを発動させて素早く剣を薙ぎ払うように振り3連撃を決めた。しかし、ヒースクリフはインセインルーラーを横に振りキリトの腰に刺し込むとそのままへその辺りまで動かすと強く押し込んだ。

 

 

「__ぐっ!?」

 

「相変わらず君の秘められた力には驚かされるよ、キリト君。」

 

 

このままじゃ、死ぬ……そう思ったキリトは何とかしてインセインルーラーから逃れようとするも身動きが取れなくなっていた。そんなヒースクリフの背中に回り込んだ細剣使いのアスナは、片手細剣ソードスキルのリニアーを放つ。

 

 

「あ、アスナ?」

 

「キリト君!!」

 

 

ヒースクリフがアスナの方を振り向いた瞬間にインセインルーラーから開放されたキリトの所へヒースクリフの剣を躱したアスナがやって来た。

 

 

「大丈夫!?」

 

「あ、あぁ……」

 

 

アスナの心配にキリトは、そう答えると再び立ち上がる。

 

 

「アスナ君……君は、素晴らしい。麻痺状態を解除してまでキリト君を助けるとは……」

 

 

キリト達から少し距離を置いたヒースクリフは、再びウインドウを開き管理者権限によってまた別のシステムを動かし始めた。アスナのHPの部分に麻痺と毒のマークがついた。

 

 

「え、嘘!?」

 

「ヒースクリフ、アスナに何をした!?」

 

「何って毒をプレゼントしたのさ。それもこのフロアより上の階層にある猛毒をね……早くしないとアスナ君は、毒死するよ?」

 

 

愛する人を天秤にかけられたキリトは、怒りを抑えきれなくなってしまった。左手で握りこぶしを作るとその手をアスナは、両手で包み込むように掴んだ。

 

 

「キリト君、これを使って……」

 

「これは……」

 

 

振り向くとアスナは、自分の愛剣であるランベントライトだった。キリトは、アスナの方を振り向きランベントライトを左手で持つといつもの二刀流の構えをとると再びヒースクリフとの距離を縮めた。お互いに当たったり当たらなかったりの攻防が続く中、キリトの瞳は普段の黒色から黄色に変わると、知らぬ間に反射速度は少し上がっていてヒースクリフの攻撃を躱すようになっていた。

 

 

「まさか、システムを上回ってるだと!?」

 

「これで決める!!」

 

 

キリトは、そう叫ぶと二刀流ソードスキルであるスターバースト・ストリームを発動させながらヒースクリフとの距離を縮めるとステップで背後に回り込むとスターバースト・ストリームを放ち始めた!!

 

 

「喰らえぇぇぇぇえ!!!」

 

 

インセインコンカラーで殴られるもキリトは、ランベントライトを前に出すと同時にキリトは、インセインルーラーの剣先が自分の胸に刺さっていた。

 

 

「相打ちか……実にいいデュエルだった……」

 

 

そう言うとキリトとヒースクリフそれにHPが切れたアスナは、ガラスの破片のようた姿を消した。

 

 

その後、ゲームはクリアされて残りの約6000人のプレイヤーが生還した。




《次回予告》
ヴァーミリオン王国のステラ・ヴァーミリオンは、伐刀者(ブレイザー)としての己の能力を上げるために日本にある魔導騎士養成学校、破軍学園への留学をする。
来日当日、彼女はルームメイトの黒鉄一輝と一悶着あり……


第1話「紅蓮の皇女と落第騎士」

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