黒の剣士の英雄譚(キャバルリィ)   作:ミヤイ

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最初に言っておく、これは本編とは無関係である。


《番外編》「アインクラッド・バレンタインデーイベント!」

 

 

「キリトさん!」

 

 

俺は、後から声をかけてくる女の子の声に反応して後ろを振り向いた。そこには、ビーストテイマーのシリカが俺に手を振りながら近づいてくるが見てわかった。

 

 

「やぁ、シリカ。」

 

「キリトさん、一緒にクエストに行きましょう!」

 

 

なにげに積極的なシリカは、俺の手を握りしめて来た道を戻ろうとし始めていた。それを見て周囲はあまりいい顔をしない。俺は、アインクラッドの第一層から《ビーター》として周囲から嫌われ者とされていたからだ。そんな俺だがビーターという概念に縛られず、仲良く接してくれる仲間は、まだこのアインクラッド内に何人かいる。

 

 

「ちょっと待て、シリカ。クエストってどこに行くんだよ?」

 

「どこって、それは今日の日付で確認してください!!」

 

「は?」

 

 

引っ張られながら俺は、システムウインドを開いて今日の日付を確認するとそこには、2月14日と記されていた。その日付で俺はなんとなく理解ができた。そう、俺みたいなゲーマーとは無関係のバレンタインデーだったのだ。

 

 

「シリカ、もしかして期間限定クエストに参加するのか?」

 

「はい、でもそれが対象のモンスターを倒して素材を集めるんですけど……今の私のレベルじゃ無理なのでキリトさんにお手伝いして欲しいんです。」

 

 

恥ずかしそうに言うシリカ……そうか、誰かにチャコを渡すんだろうな。シリカみたいな人気者から貰えるその人は、羨ましいな。

そんなことを考えながら俺は、シリカに連れていかれてクエスト起動する為のNPCがいる場所までやってくると少ない女性プレイヤーが全音集結していた。

 

 

「あら、シリカじゃない……って、キリト!?」

 

「ん?リズ、来てたのか?」

 

「き、キリトくん!?何で???」

 

「アスナまで……」

 

 

鍛冶屋のリズベットや血盟騎士団副団長のアスナ、その後には情報屋として有名な鼠のアルゴが揃っていた。いずれも俺と親しくしてくれるプレイヤー達だ。

 

 

「すごい人盛りだな……流石は、限定クエストなだけある。」

 

「キー坊、オレっちが誘った時は興味ないとか言ってなかったカ?」

 

「いや、シリカに誘われたんだよ。それにしても、アスナやリズまで居るなんて思わなかったよ。」

 

「そ、そうかな?」

 

 

アスナは、少し恥ずかしそうに答える。リズがここにいるのは、まだいいが……攻略の鬼と呼ばれたアスナがこういったサブクエストに参加するのは、滅多にないことだと思うと同時にどこか違和感を感じていた。

 

 

「__悪い、遅くなった。」

 

 

転移門からやってきたのは、クラインにエギルだった。二人は、俺の顔を見るとビックリしていた。

 

 

「キリト、来ないって言ってたじゃねぇか?」

 

「いや、何も言われずにシリカに連れてこられたんだよ。てか、お前らことなんでいるんだよ?」

 

「アスナ達がクエストの最終ボスまでたどり着いたからパーティ組んで一緒に倒してくれって言うから装備を揃えてきたってわけだ。」

 

 

ここでようやく俺はなんとなく理解するとシリカの方を見ると彼女は、きちんと説明をしてくれた。

 

アインクラッド内である二人のNPCが仲良く暮らしていた。彼らはここら辺では美男美女として有名な二人であったが、バレンタインデーの前日(=昨日)、女性NPCが盗賊軍団に連れていかれてしまった。そして、バレンタインデーが終わる日までに取り戻してほしいというクエストらしい。そして、アスナ達は何とかその盗賊軍団を倒すとラスボスが第10層のボスモンスター、カガチ・ザ・サムライロードに化けたらしい。

 

 

「__そういうことでキリト、このクエストの詳細を知ったあんたにも働いてもらうわよ?」

 

「へいへい」

 

 

俺は、中途半端な返事をするとパーティリーダーであるアスナにパーティ申請を送りパーティメンバーにしてもらうと俺は、そのままアスナ達と一緒にバレンタインクエストのラスボスに挑むことになった。

 

 

「ここだよ、キリトくん。」

 

「この感覚、確かにフロアボスと似た気配がする……」

 

「攻略組としては、ここで負けるわけにはいかねぇな!」

 

「当たり前よ!行くぜ、キリト!」

 

「って、私たち攻略組じゃないんですけど?」

 

 

攻略組である俺達の会話にリズがツッコミを入れる。いつものボス攻略とは違い、アスナの笑顔が絶えない。こんな日があってもいいのか……そう思いながら俺は、アスナに質問をした。

 

 

「アスナ、転移結晶は使えるな?」

 

「えぇ、一回突撃して逃げてきてるから転移はできるわ!」

 

「__みんな……行こう!」

 

 

アスナの言葉を聞いた俺は、右手でエリュシデータの柄を握りしめるとみんなの先頭に立ち、左手でゆっくりとボス部屋の扉を開けた。

すると目の前には、情報通りそこにはカガチ・ザ・サムライロードが待ち構えていた。少し、甲冑の色がチョコ色になっているのは、バレンタインクエストによる特殊だろう。俺は、サムライロードの攻撃をパリィして防ぐと後からエギルとリズがそれぞれの武器で殴りつけるが、特別装備のチョコ色の甲冑の防御力によってあまり効果がない状態だった。

 

 

「エギル、リズ!次の攻撃が来るぞ!退け!」

 

 

俺の言葉に反応したリズとエギルは、その場から離れるとクラインが背後に回り込み刀ソードスキルである辻風を放つと少ない時間ではあったがサムライロードは、スタンした。その隙にアスナやシリカがソードスキルを左右から放つ。

 

 

「キー坊、スイッチ行くゾ!」

 

「おう!」

 

 

アルゴは、先にサムライロードの方へ突っ込むとそのまま手にしてるクロー系の技であるアキュート・ヴォールトという突進技を放つ。

 

 

「スイッチ!!」

 

 

アルゴの言葉に反応した俺は、片手剣の最上位ソードスキルであるノヴァ・アッセンションを放つとサムライロードのHPが残り1本となった。

 

 

「みんな、ラストアタック行くよ!」

 

 

アスナがそう言って指示を出すと全員が一斉にサムライロードの近くまで行く。しかし、第10層の時とは違う感覚がしていた。

 

 

「みんな、退け!ボスの攻撃パターンが変わるぞ!」

 

 

しかし、俺の声が届く頃には遅くて敵は、背中から隠してあったもう一本の刀を抜いて刀の二刀流になっていたのだ。すると、サムライロードは、範囲技のソードスキルを使い俺とアルゴ以外のメンバーを全てスタンさせた。

それを見た俺は、慌てて何かないかシステムウインドを開くとアイツに対抗できるスキルが既に俺に備わっているのを思い出した。

 

 

「アルゴ、敵の注意を引き付けてくれるか?」

 

「あぁ、オネーサンに任せナ!」

 

 

そう言うとアルゴは、サムライロードに接近して注意を逸らしてくれた。その隙に俺は、ウインドを操作してスキルを解放すると集めたスキルポイントを全て振り分けるとこの間作ってもらったダークリパルサーを装備した。

 

 

「よし、イイぞ!」

 

 

アルゴが再びクローの技を決めるとスイッチして前後入れ替わると装備されたダークリパルサーの柄を左手で握ると鞘から引き抜くと攻撃されそうになっていたアスナの前に立つと二刀流スキルの1つであるクロスブロックでサムライロードの攻撃を防いだ。

 

 

「き、キリトくん!?そのスキルは何!?」

 

「話はあとだ!みんなは退却の準備をしてくれ!あいつは俺が倒す!」

 

 

俺は、そう言うとサムライロードとの距離を縮めると2本の剣を青白く光らせた。

 

 

「スターバースト・ストリーム!!」

 

 

そう技名を叫びながら俺は、次々と剣撃を繰り広げてサムライロードに攻撃させる隙を作らせなかった。その隙にアスナ達がサムライロードからはなれるのを横目で確認するとスキルを放ち終えた俺は、システムの限界を超えるような大技を放つ。

 

 

「ここだ!!」

 

 

硬直が始まる寸前に別のスキルを発動させたのだ。二刀流ソードスキルの突進技である。ダブルサーキュラーを放つとサムライロードは、HPが尽きて爆散した。目の前には、クエストクリアを告げるシステムウインドが登場していた。

 

 

「__勝ったか……」

 

 

俺は、疲れて尻餅つくと動けるようになったアスナ達が俺の周りを囲んだ。みんな無事で何よりだったがクラインが突然聞いてきた。

 

 

「お前、さっきのスキルは何だよ?」

 

「確かに見た事ないスキルだったわね、アルゴは何か知ってる?」

 

「いいや、オレっちも初めて見るスキルだ。キー坊、ちゃんと説明してくれるよな?」

 

「__言わなきゃダメか?」

 

 

疲れきってる俺に新しいスキルを見てたみんながうんと頷いていた。それを見てからため息をこぼして俺は話すことにした。

 

 

「エクストラスキル、二刀流だよ。」

 

「おぉ!!取得方法は?」

 

「いや、それが良くわからないんだ……俺もウインドを見てたらあったから……」

 

「ふむふむ、謎のエクストラスキルか……これは、売れない情報だが……兎に角今は、ドロップした素材でチョコレート作りをするべきだナ!」

 

 

アルゴの一言で、俺達はそのまま宿屋へと向かった。まさか、この時に発生した二刀流がアインクラッドに囚われた人達の命運をかけるバトルに招かれるなんてしらずに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャジャーーン!出来たわよ、チョコ!!」

 

 

宿屋に戻ると女性陣4人によるバレンタインデー用のチョコレートが完成していた。それぞれ包に入っており、中身が見えないような状態だった。

 

 

「き、キリトさん!これピナを助けてくれた時のお礼です!」

 

「きゅる!」

 

 

え、今年一個目!?

俺は、照れを隠しながらシリカからチョコを貰った。すると、目の前には、アスナやリズが頬を赤くしながら立っていた。

 

 

「キリト、私たちも作りすぎちゃったから上げるわよ、」

 

「いいのか?」

 

「もちろんよ!ほら早く食べなさいよ!!」

 

 

そう言われると俺は、リズの貰ったやつの包を開けると中に入っていた()()()()()をそのまま食べた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キリトくん?キ・リ・トくん?」

 

 

目を覚ますと俺は破軍学園の自室にいた。時計を見ると朝の8時……。今日は、平日で学校への登校日だった。明日奈やユイが不安そうな顔をして俺の方を見ていた。

 

 

「パパ、すごい魘されていました。大丈夫ですか?」

 

「あ、あぁ……バレンタインデーの夢を見てて……料理スキルのないリズのチョコを食べて……死にかけた夢を見てた。」

 

 

俺が夢の話をすると明日奈は、ふふっと吹き出し笑いをする。どうやら、その夢が面白かったらしい。でも、今考えてみれば料理スキルMAXのアスナのから食べておけばよかった……そんな気がしていた。

 

 

「あの頃は、私も攻略で頭が一杯だったからな……ってことで、はい!これ。」

 

 

頬を赤くさせながら夢の時より表情が優しい明日奈が綺麗に包まれた物を渡してくれた。

 

 

「明日奈……これは?」

 

「今日は、バレンタインデーだよ?キリトくん。だから、チョコ。ユイちゃんと一緒に作ったんだ!」

 

「へぇー、そうなのか……どれどれ?」

 

 

俺は、そういいなが包を綺麗に開封するとそこには、更に小さな包が2つあった。綺麗なハート型のチョコレートだった。それを開けてひとつのチョコを俺は口の中へと運んだ。

 

 

「__美味しい……これは?」

 

「私です!パパに喜んでもらえて嬉しいです!」

 

「ほら、私のも食べて?」

 

 

明日奈に言われるままに俺は、明日奈のチョコを口へと運んだ。味はもちろん……。

 

 

「上手いよ!明日奈!ユイも良く作ったな!」

 

 

俺は、そう言ってユイの頭を撫でる。良く考えてみれば、あの攻略の鬼と呼ばれていたアスナがサブクエストに参加するタイプじゃないし、俺が二刀流を発動したのは、第74層のボス戦だった。

でも、夢で少し安心した気がした。

 

 

 

 

 

こうして、俺の夢でもリアルでもバレンタインのイベントは終わりを迎えたのだ。




遅くなったけど、ハッピーバレンタイン!!
今回は、お気に入り登録者80人超え+UA10000を超えた記念での番外編を書きました。夢でアインクラッドのバレンタインデークエストのボス戦を行い、クリアすると3人からチョコを貰い、リアルでは、明日奈やユイからチョコをもらえた和人……。
書いてて羨ましいと思いました!!

今回のバレンタインデークエストのラスボスとして、用意したのが
カガチ・ザ・サムライロード(バレンタイン仕様)
・HPバー3本
・チョコ色甲冑によって防御力大
・HPが1本まで減ると攻撃パターンを変える。
・刀の二刀流を使う。使えるソードスキルは、刀ソードスキルに二刀流ソードスキルの二種類。
・その他は、普通のサムライロード能力を使う。

リズは、料理スキルがそんなに高くないのを忘れてチョコを料理してしまったらしい……。







さて、次回からストーリーも進めたいと思います。
今回は、読んで下さってありがとうございます┏○ペコッ
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