黒の剣士の英雄譚(キャバルリィ)   作:ミヤイ

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《前回のあらすじ》
何とかして桐原静矢を倒した一輝と和人は、お互いの時間をそれぞれの病室で過ごしていた。
和人は、家族3人の再会を喜び……
一輝は、ステラと恋人になった……。

そんなことから数日後、物語はまた加速する。


第12話「最後の侍(ラストサムライ)の娘」

場所は、破軍からかなり離れた場所……。

そこには、伐刀者(ブレイザー)の養成学校としては新米の学校聖十字帝国学園。名前を考えたのは、伐刀者(ブレイザー)の日本支部らしい。そんな厨二病全開の学園が今、七星剣武祭の出場資格をかけて学園の代表生徒がKOKリーグで活躍している有名な選手と戦っていた。その様子は、各学校関係者や七星剣武祭本戦の実行委員会の人たちが見ていた。

 

 

「コイツ、全然攻撃が効かない!?」

 

「__()()()()()()()()は、こんなにも愚かなのかな?」

 

 

その挑発的態度に我を忘れたその選手は、無闇に剣を振るうがその生徒の持つ大きな盾によって全て防がれた。まるで子供がワガママを言ってるのを止めている親のような余裕を見せるその生徒は、盾を使い相手をを振り払い、尻餅をつかせる。そんな選手を生徒は、上から目線で見下していた。

 

 

「さて、もう終わりにしようか……」

 

 

そう言うと、その生徒が振り上げた長剣の刀身が赤く光り始めた。その光景に破軍の代表で会場に来ていた神宮寺や西京そして雷切こと東堂刀華は、見覚えがあった。

 

 

「くーちゃん、あれって……」

 

「あぁ、桐ヶ谷の伐刀絶技(ノウブルアーツ)剣技(ソードスキル)だ。」

 

 

そこまでしか知らない神宮寺や西京に対して刀華は、その技の名前までしっかりと知っていた。あの時、和人と模擬戦をした時の最後の一撃で使用した片手剣のソードスキル《スラント》だ。その生徒は、その一撃だけを周囲に見せつけるように放ち模擬戦を終えた。

神宮寺や西京更には刀華までもが驚くことなど滅多にないが、驚かざるにはいられなかった。

 

そんな破軍の3人を驚かせた人物……その名は、仮想世界の研究に務めあのSAOを開発して世界にVRMMORPGというジャンルを世に出すと同時に4000人の命を奪ったデスゲームのGMである茅場晶彦(かやばあきひこ)だった……。茅場は、驚いているスタンドの関係者を横目でチラッと見るとボソッと呟いた。

 

 

「七星の舞台で君に会えるのを楽しみにしているよ……キリト君。」

 

 

再戦を違う彼は、そのまま控え室へと向かった。そして、何故彼が高校生の年齢に若返ってるのかは未だに謎である……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コンコンコンコン……」

 

 

翌朝、包丁で食材を切る音がとある部屋の中から聞こえてきた。その部屋の主は、まだ睡眠状態で夢を満喫してる状態だった。代わりに栗色の髪をした女子が制服の上にエプロンを身につけて鼻歌を歌いながら朝ごはんの支度をしていた。

 

 

「ユイちゃん、キリトくんを起こしてきてくれる?」

 

「わかりました!ママ!」

 

 

リビングで待っていたユイは、明日奈の声を聞くとベットの上で爆睡してる和人へ近づくと彼を起こそうとする。

 

 

「パパ、朝ですよ?起きてください。」

 

 

ユイは、優しく和人を起こそうとするも全然起きる気配がなかった。そんな彼をご飯の支度を終えた明日奈が近づいてきた。

 

 

「キ・リ・ト・く・ん?早く起きないとご飯なくなっちゃうわよ?」

 

「__それはダメだ!」

 

 

明日奈の脅しに和人は、勢いよく起き上がると彼の顔に近づいていた明日奈の唇と重なってしまった。

 

 

「き、キリトくん!?」

 

「ま、待て!明日奈!!これは、不可抗力だ!!」

 

 

和人は、そう叫びながら自分の無実を伝えるのであった……。

 

 

しばらくして騒ぎが収まると和人は明日奈達と朝食を終えて会場へ行く準備を済まして玄関前にたっていた。彼は靴を履くと振り返り後ろにいた明日奈とユイを見つめていた。

 

 

「パパ、今日も頑張ってください!」

 

「後で応援に行くからね!」

 

「あぁ、必ず勝ってくるかな!」

 

和人は最後にそう言うと二人に背を向けて寮の部屋を出ていった。それを見届けるとエプロンを外しながら明日奈はユイの方をチラッと見ると彼女は、何かを祈るように両手を握っていた。

 

 

「ユイちゃん?」

 

「ママ……パパは七星剣武祭に出ますよね?そして、優勝しますよね……」

 

 

ユイも不安なのだろう……、明日奈は、何も言わずに大事な一人娘を優しく抱きしめる。

 

 

「ママ?」

 

「ユイちゃん、パパはどんな人?」

 

「パパは、強くて、優しくて、時に頼りないところもありますが、とても頼りになる素敵なパパです。」

 

 

和人のことをまるで、自分のように語るユイを見てた明日奈は、少し嬉しくなりふふふっと吹き出し笑いをすると、そのままユイの両肩をしっかり握った彼女の目を見つめていた。

 

 

「じゃあ、そんなパパが負けるはずないでしょ?ユイちゃんが応援してるんだもの……パパ、逆に張り切って余裕で勝っちゃうかもよ?さぁ、早く準備して私達も行きましょう?」

 

「はい!ママ!!」

 

 

そう言うとユイは、そのまま着替え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

和人は、太陽の光を十分に身に受けながらゆっくり会場へと向かっていた。ここまで連戦連勝と大活躍な和人は、七星剣武祭の出場が次第に本命になってきているのではないかと校内新聞の記事にされたぐらい周りの期待が大きくなるのを感じていたと同時に少し開幕の時とは違う緊張が彼を襲っていた。

 

 

「あ、桐ヶ谷君!」

 

「来たわね、カズト。」

 

 

昨日、試合を終えて堂々と生徒会のメンバーに勝利を収めた一輝とステラが和人の応援をしに既に会場前で彼を待っていた。

 

 

「おはよう、一輝、ステラ。」

 

「今日はどんな技を見せてくれるのか楽しみだわ!二本目の剣は抜くのかとかね!」

 

 

ステラは、和人の二刀流や剣技(ソードスキル)など今まで見たことのない技を次々と見せてくる彼の試合が楽しみで仕方なかったのだ。

 

 

「どうだろうな……、今回の相手も3年生だし勝負は最後までやらないと分からないからな。」

 

「カズトまでイッキみたいなことを……でも分かったわ!ここで負けたら許さないから!」

 

 

そう言うステラに和人はうんと頷きそのまま控え室へと向かい試合までの時間を有意義に過ごしていた。もう何戦も試合をこなせば、流石に慣れてきたのか試合前の緊張もほとんどしなくなった。

 

 

「桐ヶ谷選手!準備の方をお願いします」

 

 

しばらくの時が経つとアナウンスの支持に従い和人は、控え室からフィールドへと向かうと先に待っていた弱気な3年生が銃型の固有霊装(デバイス)を展開させていた。和人は、そんな相手をなるべく見ないようにしながら固有霊装(デバイス)である黒色の片手剣エリュシデータを召喚して構えた。

 

 

「Let's go ahead!」

 

 

試合開始を告げるアナウンスが鳴ると先手を打ったのは、3年生だった。彼は、銃口を和人に向けた。

 

 

「し、死にたくなったら……こ、降参するんだ!」

 

 

和人は、何も言わずに彼との間合いを詰めようとする。手が震えてるのか3年生の銃口は、縦横に大きく揺れていた。

 

 

「う、撃つぞ!?僕は本気だからな!」

 

「__そんなに震えてるのに俺が撃てるのか?」

 

 

脅してくる3年生に和人が挑発の言葉をかけると彼は、迷わずに引き金を引き抜くと同時に和人は、片手剣ソードスキルの一つである《スピニングシールド》を使用してエリュシデータを円を描くように高速回転させて銃弾を弾いた。

 

 

「嘘!?何で、顔面に行くって予想出来たんだい?」

 

「銃口と目線があったからさ。今度はこっちの番だ!」

 

 

目の色を変え、獲物を狙うような和人に恐怖を覚えた3年生は、彼に背を向けて逃げようとする。そんな3年生を和人は、後からソニック・リープを放ち一発でダウンを取った。

 

 

「ま、また、一撃!?桐ヶ谷選手、またしても一撃で上級生の3年生を打ち倒した!!」

 

 

場内アナウンスに観客が割れんばかりの大歓声が巻き起こるのは言うまでもない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「__で、何でこんなことになってるんだ?」

 

 

試合が終わると和人はステラや一輝達とゆっくりするべく、中庭のテラスでのんびりとしていたが、その周りには、剣術を教わりたいという生徒で溢れていた。

 

 

「黒鉄君、桐ヶ谷君ってすごい強いじゃないですか?剣術だけで倒すなんて凄いですよ!!」

 

「そ、そんなことないよ。」

 

「いや、一輝は凄いよ……太刀筋がすごく綺麗だからね。」

 

 

謙遜する一輝の事を和人は、素直に褒めた。今まで彼とともに過ごして特訓の相手もたからなのか少し一輝は照れていた。

 

 

「__という訳で、剣術を教わるなら一輝がいいと思うぞ!」

 

「え!?ちょっ、桐ヶ谷君!?」

 

 

和人は、そう一輝に押し付けるとそのまま中庭のテラスをあとにした。彼のことを追いかけようとする一輝だが、教わりたい人に囲まれて身動きが取れなかった。仕方なく、取り囲む生徒達に剣術を教えることとなった……。

一方、テラスから離れた和人は人気のないところまで移動すると誰かにつけられている気がしていた。

 

 

「__いい加減出てきたらどうだ?」

 

 

振り向きながら言うと、ビクッと反応したストーカーは静かに木の後ろから出てきた。長いロングヘアのおしとやかな性格をしていそうな女子生徒だが、突然固有霊装(デバイス)を展開させた。

 

 

「__参ります!」

 

「何!?」

 

 

刀型の固有霊装(デバイス)の柄を両手でしっかりと握るとその女子生徒は、和人の所を斬りかかった。和人は、体勢を低くして躱すとそのまま前転して彼女の後ろに回り込むと固有霊装(デバイス)のエリュシデータを展開させた。

 

 

「いきなり斬りかかってくるってことは……君は、何者だ?」

 

「ボクは、もっと強くならないと……」

 

 

その目は、狂おしい程に強さばかりを求める目だった。和人は最近使っていなかったもう一歩の固有霊装(デバイス)である青白い片手剣ダークリパルサーを展開させるとそれで彼女の剣を受け止めた。

 

 

「何者か、知らないけど……そんな事のために、他人を襲っていいとは限らない!!」

 

「__ッ!!」

 

 

和人に悟され、剣に伝わる力が緩くなるとそのままダークリパルサーで彼女を振り払いエリュシデータの剣身を光らせた。右斜め上から振り下ろそうとするソードスキル《スラント》だ。すると、剣から目線を逸らした彼女を見ると和人は寸止めでスキルをやめてそのままエリュシデータとダークリパルサーを鞘にしまった。

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

「あ、はい。ごめんね、突然斬りかかったりして……」

 

「それはイイよ、でもどうしてこんなことを?」

 

「ボクは、どうしても剣術を教わって強くならなきゃいけないんだ。だから、予選で上級生に快勝している君や他の1年生に教わるのが一番だと思ったんだけど……」

 

 

少し頬を赤くしながらその生徒はそう言う。その言葉に少し安心した和人は、その場に座り込み溜息をこぼすとクスクスっと笑い出してしまった。

 

 

「そんなことなら、俺よりも教えるのが上手い専門家がいるぜ!今度紹介してやるよ。俺は、桐ヶ谷和人。君は?」

 

「ぼ、ボクは絢辻綾瀬(あやつじあやせ)。よろしく、桐ヶ谷君!」

 

 

こうして、二人は出会った。

そして、これから大事件に巻き込まれるとは誰も思ってはいなかっただろう……。




《次回予告》
毎日剣術を教える一輝、そんな彼にステラは心の隅でヤキモチを焼いていた。そんな中、ステラは和人の彼女である明日奈と相談するのだった……。


第13話「恋の形……」
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