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ステラが一輝のことについて明日奈と相談してから数日の時が経った朝、黒鉄一輝を始め二十人近くの破軍学園の生徒達が市民プールへと向かうバスの中に乗車していた。その中には、予選無敗である桐ヶ谷和人、ステラ・ヴァーミリオン、黒鉄珠雫、有栖院凪などの錚々たるメンバーがバスに乗っていた。勿論、和人の恋人である明日奈やユイもバスに乗っていた。
「パパ、プールってどんな所ですか!?」
「そうだな……、大きな水が入った物だけど……ユイの場合見た方が早いと思うぞ!」
うまく説明出来ないことを誤魔化しながら和人は、ユイにいいきかせていた。そんな彼らの前には、ステラと一輝が座っていた。周りは賑やかに話を続ける中、ここだけ何も話さずに過ごしていた。
『アスナには、相談に乗ってもらったけど……どう接していいのか分からなーーい!!』
ステラは、男性相手の経験のないせいか次第に焦り始めるとバスは、無情にもプールについてそれぞれ男女へと別れて更衣室へと向かって水着に着替えていた。
「プールって考えてみれば、三年近く行ってないな〜」
「え、そうなの!?」
現実リアルの市民プールに入るのは、久しぶりだった和人は浮かれながら和人は、着替えているがその隣では、深刻そうな顔をして他の人より着替えが遅れている一輝がいた。
「一輝は、着替えないのか!?」
「あ……う、うん。」
和人に促されるように答えるとゆっくり上着を脱ぎ出すとその様子を見ていた和人は、ゆっくりと一輝の方に寄った。
「ヴァーミリオンと何かあった?」
「え、えぇぇぇぇぇぇ!?」
一輝は、驚いた。それは当然のことだった。自分が考えていることを既に見抜かれていたのだから……。突然の大声に周りは驚くも和人は、先にプールに行っててくれと合図を送ったおかげで破軍の関係者は、和人と一輝だけになった。
「桐ヶ谷君……もしかして僕とステラが付き合ってることを……」
「あぁ、何となくだったけど……やっぱ、そうだったのか!俺は全然いいと思うぜ!」
「はぁ……」
「おいおいため息なんてしてどうしたんだよ。」
「ねぇ、桐ヶ谷君……僕はどうしていいのか分からないんだ。ステラのこと大切にしたい。でも、それ同等にステラともっと恋人みたいなことをしたい。でも……」
「彼女は、自分とは違って住む世界が違うってか?」
和人に答えられた一輝は、黙ってゆっくり首を縦に振り肯定した。そして、一輝は和人に今自分が思っていることをすべて話そうということを決めた。
「僕は、ステラが好きだ!でも……彼女は1国の皇女様で僕は存在すらあるのか分からないような存在……そんな僕らはどうすればいいか分からないんだ」
「一輝……」
付き合ってから悩み続けている一輝を知った和人は、昔の自分も明日奈のことで少し悩んでいた時期があったのを思い出していたが、すぐに決断を出した自分と違う一輝を見て思うことを述べた。
「__付き合い始めて今更、皇女だの民分を気にしてたらヴァーミリオンが可哀想だぜ。お前達二人は、そんな事なんて関係なく互いに好きになったんだろ?なら、その気持ちを大事にしないとな!」
「桐ヶ谷君……ありがとう!!」
そう言って一輝は何かが吹っ切れたのか、着替えを終えて勢いよく更衣室を出てプール内へと向かっていった。
「やれやれ、忙しい奴だな……って、俺も言えた義理じゃないんだけどな……」
そんなことを呟きながら和人は、一輝とは逆にゆっくりと着替え終えるとそのままプールサイドへと向かった。
しばらく一輝は、特訓の生徒に付き合っていた。ステラは、そんな彼らとは少し距離を置いた場所で1人プールに足を入れていた。和人と明日奈は、ユイと楽しくビーチボールを使って遊んでいた。その光景が何故かステラは羨ましく見えた。
『私も……一輝と……』
そう思いながらステラは、遠くから聞こえてくる一輝の言葉に反応して自分も水中に潜り込む。
「ねぇねぇ、ステラちゃんと一輝君ってどんな感じなの?」
突然に不意を突かれる言葉が聞くとステラは、慌ててしまう。話しかけてきたのは、新聞部の日下部だった。彼女は、とっくの前にステラと一輝の間にある関係を見抜いていたのだ。
「え、えぇぇぇぇ!?いつから怪しいとおもってたの??」
「全校の前で堂々と告白したんでよ?今更、何を怖がってるんですか?」
テンパるステラに対して日下部は、冷静に言うと頬を赤くしながらステラは、恥ずかしさのあまりか顔を俯いてしまう。
「私は、どうしていいのか分からないの……」
「と言いますと?」
「一輝にどう接していいか全然わからなくて……」
珍しく素直なステラの言葉に逆に日下部が動揺するもプールに入ってきた一輝のことを思い出していた。
「そういえば、黒鉄君、プールに入ってきた時ステラさんの水着姿を見て頬を赤くしてましたよ?」
「嘘、ホント??」
「え、えぇ……というか、彼女のエッチな姿を見て興奮しない男子なんていませんよ!」
日下部の言葉に少し勇気をもらったステラだった。そして、日下部は一輝と呼んでくると言ってその場を去っていった。あまりの行動力にステラも彼女を止めることは出来なかった。その光景を離れた所から見ていた和人は、少し不安になるも何も言わずにユイや明日奈達と遊んでいた。
「日下部さんにここに来るようにって言われたんだけど……何か用?」
「うん、あのね……この水着どう?」
「うん、似合ってるよ……」
一輝は、照れ隠しに反応するもステラには冷たく感じた。そして、勝手に妄想を膨らましてしまったのだ。一輝が、私に飽きてしまったのだと……。
「ねぇ、ステラ。ちゃんと僕達のこれからについて話をしておいた方が……」
「そうね……別れ話なんてさっさとやった方がいいわよね……」
「え!?」
一輝は、まさかそんな言葉がステラの口から出てくるとは思わかなった。突然の言葉に一瞬世界が止まった感覚がした。
「__ステラ……そういう人だとは思わなかったよ。」
表情を一気に暗くした一輝は、ステラにそう言い放ち彼女を置き去りにして言ってしまった。結局、一輝とステラの間の溝は更に広く深くなってしまったのだ。
「もう、なんなのよ……イッキのバカ……」
場の空気に嫌気がさしたステラは、そのまま何も言わずに更衣室へと向かい着替え始めた。今まで必死に考えていた自分が馬鹿らしいと思いながら黙々と着替えていた。
「へぇ、こっちのNPCやっぱりクオリティ高ぇな」
外に出るとこの間、襲ってきた禿げた大柄の男性と赤を基調とした侍がプールの前に立っていた。まるで、待ち伏せされていたかのように……。
「クライン、わかっているとは思うが……今回の狙いは、あのアスナに似たNPCだからな。オベイロン様の目的を忘れるなよ。」
「分かってるって、エギル。でもよ、ちょっとは俺らにもいい思いしたってイイじゃねぇと思わねぇか?」
ステラは、背中に生えている羽を見て彼らを警戒するとこっちの気配に気づいたら しくそれぞれの武器を持ち構えた。
「傅きなさい!レーヴァテイン。」
「そりゃっ!」
振り下ろされた一撃をレーヴァテインの刀身で受け止めるとそのまま振り払う。しかし、背後に回っていたエギルの斧による一撃を受けるとステラは、ゴルフボールのようにプール施設に隣接する建物へと飛ばされてしまう。
「__うっ……」
「おいおい、エギル。もっと優しくしてやれよ。HPがゼロになっちまったら意味ねぇだろ?」
クラインとエギルは、そう言いながらステラに近づく。彼らから見れば、ゲーム感覚……。ステラらこの世界の住人にも残りの命を示すHPバーが存在するらしい。
「じゃあ、任務前の土産としてこいつを持ち帰るかな。」
クラインは、そう言って刀を鞘に収めるとボロボロになってしまったステラの腕や足などを触り始めた。
「おぉ、こいつ本物の人間のようだ柔らかいぞ?」
そうしているうちにパトカーのサイレンが聞こえてきた。騒ぎを聞いた警察の登場だ。そのサイレンを聞いたクラインとエギルは、まるで罪を犯した犯罪者のように慌てた。すると、プール施設から外へ出てきた1人の少年の姿があった。彼は好青年ではなくヤンキーのような感じの服装に眼鏡をかけた格好だった。
「
「あんなカス俺の敵じゃねぇ……。興が冷めちまったからこれで帰るわ。」
エギルの質問にそう答えるとそのまま静かに去っていった。その後姿を見送ったエギルとクラインは、ステラを抱き上げるとそのまま空を飛んでそこから去ってしまった。
《次回予告》
連れ去られたステラ……。
彼女を奪ったアルブヘイム連合軍による異世界侵略が近いとスパイで潜っていたリーファが伝える。
そして、この世界を守るために黒の剣士が立ち上がる!!
第15話「アルブヘイム・オンライン」