黒の剣士の英雄譚(キャバルリィ)   作:ミヤイ

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《前回のあらすじ》
破軍学園に留学しに日本へやって来たステラ・ヴァーミリオンの下着姿を不慮の事故で見てしまった黒鉄一輝は、ステラと言い合いの末模擬戦の勝者が敗者を下僕とする条件付きで第4訓練場で模擬戦を行うことに……
一方、桐ヶ谷和人は破軍学園に入学する為に第4訓練場で試験を受けることに……

第4訓練場で何かが起こる!?


諸注意
・ステラのレーヴァテインは、最初の表記だけ正式な「妃竜の罪剣」とします。あとは、カタカナ表記です。















第2話「模擬戦」

あれから1時間後、第4訓練場で先にフィールドには準備を終えた黒鉄一輝とこの野良試合の審判をする神宮寺黒乃は、まだ来ていないステラ・ヴァーミリオンを待っていた。

 

 

「まさか、本当に戦うことを選ぶなんてな……」

 

「僕は、七星剣武祭で、優勝しなければなりません。貴方がそう言ったから、それに遅かれ早かれ戦わければならない相手ですよ。」

 

「戦わなければならない相手……か。」

 

 

神宮寺は、そう言いながら手元のタブレットで第4訓練場の環境を整えていた。スタンドの最前線では、和人は周りの人が一輝の話がしてるのを聞いた。

 

「魔力が人並みの10分の1しかなく身体強化魔法しか使えないランクFの落第騎士(ワーストワン)が、ランクAの紅蓮の皇女に勝てるわけがない。」

 

みんなしてそう言うが和人だけは、違う意見を持っていた。

 

 

『確かに、ヴァーミリオンは凄いと思う……でも、一輝の手……あれは、素振りによって手がマメだらけになっていた。彼の努力が彼女を優るのか……ここがポイントだな。』

 

「へぇ、中には分かった見解を持つ生徒がちゃんといるじゃないか。」

 

 

そう言いながらやって来たのは、西京寧音(さいきょうねね)という着崩した着物を纏う飄々とした黒髪の小柄な女性だった。彼女は夜叉姫という異名を持つ現役KOKの選手である。彼女に心を読まれていたことに対して和人は、驚いた表情で西京の顔を見ていた。

 

 

「君、名前は?」

 

「桐ヶ谷和人です。」

 

「ふむふむ、じゃあキー坊だね!」

 

 

西京がそうあだ名を付けると和人は、アインクラッドで情報屋として活躍していた鼠のアルゴをふと思い出した。彼女も和人のことをキー坊と呼んでいたからだ。

 

 

「くーちゃんも隅に置けないな〜こんな野良試合があるなら言ってくれないと。」

 

「お前は言わなくても駆けつけてくるだろ?それに、今日はこれだけじゃないからな。」

 

 

フィールドにいる神宮寺は、和人の方をチラッと見た。しかし、和人はフィールド中央にいる一輝をじっと見ていた。それを横目で見た西京は、「ふーん」と声に出すと納得したかのように席に座ってステラが来るのを待っていた。そして、数分後……。

暗い表情をしながらステラ・ヴァーミリオンがフィールドへと姿を現した。

 

 

「アンタの噂は聞いたわ、魔力が一定のレベルまでなくて授業を受けさせてくれなかったらしいわね。でも……だからと言って手は抜かないわ!」

 

「__あぁ、僕もだよ!ステラさん。」

 

 

お互いに幻想形態で固有霊装(デバイス)として具現化させた。一輝は、刀型の陰鉄。ステラは、大剣型の妃竜の罪剣(レーヴァテイン)

 

 

「Let's go a head!」

 

 

模擬戦開始の合図と共にステラのレーヴァテインは、炎を纏いながら一輝に近づくとレーヴァテインを振り下ろして速攻を仕掛ける。それに対して一輝は、後方へステップして回避した。

 

 

「いい判断ね。私の妃竜の息吹(ドラゴンブレス)は、摂氏3000℃。まともに受けたらタダじゃ済まないわ!」

 

 

そう言うとステラは、攻撃をやめずに一輝へ向かってレーヴァテインを振り回す。一輝は、避けながらも所々で陰鉄を使いステラの攻撃を防いでいた。しかし、ステラは何か違和感を感じていた。

 

 

『受け流されてる!?』

 

 

ステラの振り下ろす剣の威力を受けた流した一輝は、滑りながら後ろへ下がる。そんな彼を見たステラは、剣先を一輝に向けた。

 

 

「避けるのだけは上手いじゃない。」

 

「__いや、結構ギリギリだよ。ステラさんの磨き上げてきた剣……感じるよ。才能だけじゃない、とても凄い努力の上で成り立つことを……」

 

「中々見る目あるじゃない。」

 

 

そんなこと言われたことなかった。周りの人は、才能だけと言われ続けたステラが初めて自分の努力を認められた瞬間だった。

 

 

「でもそう簡単に見切れるほど、私の剣は甘くないわ!」

 

「__いや、もう見切った!」

 

 

一輝は、そう言うとステラの剣を受け止めると先程までステラが攻撃してたように陰鉄を振り回した。まるで、完璧に剣技を盗んだように……。

 

 

『あの短時間で盗まれた?』

 

 

先程までの形勢が一気に代わりステラが追い込まれる状況になった。一輝は、先程のステラのように猛攻をやめることなく次々と陰鉄を振り回して攻撃を仕掛けていく……。昔から誰にも教わらなかった一輝だから出来ることなのだ。

 

 

「まさか、短時間で見切ったっていうの!?」

 

「そうさ、模倣剣技(ブレイドスティール)。誰にも教わらなかった僕が他者の剣技を真似してるうちに身についた能力さ!」

 

一輝は、そう言うと再び陰鉄を振り回してステラを追い込むと振り下ろした陰鉄をレーヴァテインで、受け止めたステラは一輝を力で押し切るとそのまま水平に切り込もうとした。

 

 

「太刀筋が寝ぼけてるよ。」

 

 

一輝は、そう呟くと陰鉄の柄でステラのレーヴァテインの一撃を受け止めた。

 

 

「そんなの君の剣じゃない、この曲げた一撃は致命傷だ!!」

 

 

彼女の剣を弾きながら勢いよく陰鉄を振り下ろす。神宮寺、西京、和人意外は勝負が決まったかと思い込んだが、ステラは別の伐刀絶技(ノウブルアーツ)を発動させてた。それは、己の炎をドレスのように身に纏って相手の攻撃を防ぐ妃竜の羽衣(エンブレスドレス)だった。

 

 

「__認めてあげるわ、クロガネイッキ……。アンタの実力は本物よ、私が才能だけじゃないって知らしめるには、アンタに剣だけで勝たなきゃいけなかったけど、仕方ないわね……私の最強の技で葬ってあげるわ!」

 

 

ステラは、そう言うと膨大なほどの炎を駆使して彼女の中でも最強の伐刀絶技(ノウブルアーツ)である天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)を放つ。迫り来る業火のように激しい炎に対して一輝は、体勢を低く構えた。

 

 

「__一刀修羅!!」

 

 

次の瞬間、一輝は天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)を受ける直前に通常ではありえない速さで躱した。そんな様子がステラからは消えると判断させたのだ。一輝は、いつの間にかステラの背後を奪っていた。慌てて振り向いたステラは、驚きを隠せないでいた。

 

 

「消えた!?それに魔力も上がってる??」

 

「上がってるんじゃないなりふり構わず使ってるんだ!!」

 

 

魔力を極限までに引き上げる一輝の最強の伐刀絶技(ノウブルアーツ)は、反動が大きく一日一回限定の技である。そんな中、一輝は陰鉄を斜め上から振り回してステラのレーヴァテインを押すとそのまま水平に斬り込んだ。

 

 

「嘘!?」

 

 

引き上げられた魔力によって陰鉄での攻撃がステラに命中して彼女は、そのまま気を失った。

 

 

「最弱が最強に勝つには修羅の道を行くしかないんだ……」

 

 

一刀修羅の効果が切れて一輝も倒れると神宮寺がこの模擬戦を止めた。

 

 

「そこまで!勝者、黒鉄一輝!!」

 

 

急いで彼らを医務室へと運び終えたあと……第4訓練場では、和人がフィールドに姿を現していた。

 

 

「さっきの戦い……凄かった。」

 

 

ステラが天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)を放つ時に天井に開けた穴をじっと見つめていた和人は、ふと昔のことを振り返っていた。こんな力が使える彼らがあの世界に居たら、何人の命が助かったのかと……。

 

 

「貴方が、桐ヶ谷和人さんね。」

 

 

和人の前に眼鏡をかけ明るい茶髪の長い髪を後ろで縛っていた女子生徒が現れた。彼女は、東堂刀華(とうどうとうか)。破軍学園の最強と謳われた生徒会長だ。

 

 

「私の名前は、東堂刀華。破軍学園の生徒会長です。本来なら理事長が貴方のお相手をする予定でしたが……代理として私が務めます。」

 

 

和人は、この時点で既に察していた。彼女は、物凄い手練だと……。そして、刀華も和人の剣術使いとして認めたのか早速刀型の固有霊装(デバイス)鳴神を幻想形態で展開させた。

 

 

「さぁ、編入試験を始めましょ!」

 

 

刀華は、鳴神を鞘から抜き出すと激しい電気があちこちに広がった。間近で見る彼女の迫力は、まるでアインクラッドのフロアボスのような感覚が身体中を駆け抜けた。

 

 

「__そう来なくっちゃな!」

 

 

和人は、そう呟くと精神を集中させた……。

そして、思い出していたのだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()として過ごした日々を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和人は、ゆっくり目を開けると右手を何かをつかもうとして右肩の近くまで動かした。

 

 

「__闇を纏い、全てを打ち砕け!エリュシデータ!!」

 

 

すると、アインクラッドで生きていた時に使っていた愛剣である片手剣エリュシデータが鞘のまま右肩にかかって出現してきた。そのグリップを掴みエリュシデータをゆっくり鞘から引き抜いた。

 

 

「それが、桐ヶ谷君の固有霊装(デバイス)ですか……とてもかっこいいです。」

 

「それはどうも。この剣には、少し愛着があるので本気で行きます!」

 

「えぇ、いつでもかかってきて!」

 

 

そう言うと和人は、勢いよく飛び出し刀華へ接近するとエリュシデータを縦に振り下ろした。

 

 

 




《次回予告》
遂に始まる、桐ヶ谷和人VS東堂刀華……
アインクラッドでヒースクリフと相打ちになった英雄黒の剣士は、学園最強の雷切と呼ばれる彼女に勝てるのか?


第3話「黒の剣士VS雷切」

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