聖痕のクェイサー×真剣で私に恋しなさい!EX   作:みおん/あるあじふ

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mission7.「遭遇」

ターゲットは女性幹部の搭乗した大型トラック。

 

 

そのコンテナの中に、恐らく例の次世代クッキーが積み込まれている。

 

 

燕は上空で飛行しながら、走行するトラックを追跡していた。今の所、女性幹部には気付かれていない。空からならば気付かれる心配も少ないだろう。

 

 

否……本当は気付かないフリをしているのかもしれない。また罠の可能性もある。

 

 

このまま強襲してトラックを強引に停止させる事もできるが、あまり無理な行動はできない。トラックの周囲には一般車両も走っている。迂闊に攻撃をすれば巻き込んでしまうだろう。

 

 

ここでは様子を伺うしかない。期を見て行動に移ろう……燕はそのまま飛行を続けた。

 

 

『Master!』

 

 

突然、ネオの音声が燕の耳に響く。燕はすぐに警告だと感じ取った。遠方から迫る殺気……身体を捻った瞬間、緑色の一閃が燕を横切った。

 

 

高出力のエネルギー砲撃。当たれば生身の人間なら重症は免れない。

 

 

砲撃方向は地上。武器は長距離型のスナイパーライフルだと推測。燕はネオに搭載されたズーム装置を起動し、地上にいる“スナイパー”の正体を確認する。

 

 

そこにいたのは―――――人ではない、機械が燕に狙いを定めながらライフルを構えていた。

 

 

燕は理解した。間違いない、あれは次世代クッキーの一機。それが起動しているという事実を。

 

 

『クッキー02、目標を捕捉。これより戦闘態勢に入る』

 

 

緑色のカラーリングのクッキーから聞こえる通信エコーは、遠く離れた燕の耳にも届いていた。それは誰に向けてのものなのか……少なくとも分かっている事は、クッキー02以外にもこの領域のどこかに潜伏しているという事実だけである。

 

 

燕は周囲の気配を探る。相手は機械。“気”では感じ取れない。相手の攻撃から発せられる殺気を感じ取るしか、手段はない。

 

 

次の瞬間、燕の真上から一つの機影が急降下し、燕と衝突した。燕は衝突する間際に腕部の装甲からシールドを発生させ、衝撃を和らげた。

 

 

落下速度によるGの衝撃で、燕の身体が軋みを上げる。

 

 

燕の前に現れた機影。それはオレンジ色に輝くクッキーであった。そのクッキーはビームセイバーを燕のシールドに叩き付けている。

 

 

『クッキー03、目標に接触。これより戦闘を開始する』

 

 

クッキー03は背中のブースターの出力を上げながら、燕を徐々に地上へと押し戻していく。空中での戦闘。空からの強襲。主に高速戦闘に長けていると燕は分析した。

 

 

だが、このまま黙って地面に叩き付けられるわけにもいかない。

 

 

「――――――でええぇぇぇい!!」

 

 

燕も背中のブースターを瞬間的に爆発させ、シールドで03を押し返して弾き飛ばす。さらに追撃をかけるべく、燕は03との距離を詰めた。

 

 

相手は剣。リーチが長い分、こちらが不利。ならその切っ先が振り下ろされる前に懐に入り込んでしまえばいい。

 

 

『-Natrium.form-』

 

 

ネオの性質がナトリウムに変化した。燕の拳が真っ赤に燃え上がる。ナトリウムにより発火させたアームを、03の腹部へ叩き込もうと拳を突き出した。

 

 

「――――――!?」

 

 

だが03は熱源を感知したその瞬間、突然複雑に機体を変形させると、まるで戦闘機のように変化を遂げ、燕の一撃を高速で回避してみせた。

 

 

高速戦闘だけでなく、変形機構も兼ね備えている。これは燕にとっては予想外であった。動きな俊敏な分、性質が悪い。

 

 

地上には狙撃手。空中には高速戦闘機。どの領域も制圧されてしまっている。この二機を同時に相手にするのだ………分が悪いにも程がある。

 

 

そして、さらなる予想外な事態が燕を襲う事になる。

 

 

「Master.Energy approaching at high speed from the front!《マスター。前方から高速で熱源が接近してきます!》」

 

 

ネオからの再警告。前方に接近するエネルギー。燕は即座に真上へと飛翔した。瞬間、高粒子のエネルギー砲が燕の真下を潜り、一直線に通過する。ネオの警告がなければ、今頃は粒子エネルギーの塵となっていただろう。

 

 

そして、燕を襲撃したもう一つの影は既に燕のいる空域へと接近していた。

 

 

薄紫のボディに、両腕と肩には巨大なビームキャノン。鎧を思わせるような重装甲。にも関わらず空中に浮遊する一つの機体が、燕の前に姿を現す。

 

 

『クッキー04。目標を確認。これより――――破壊行動に移る』

 

 

クッキー04。恐らく重火器重視の範囲兵器型である。この三機の中で最も危険視しなければならない存在。一発でもまともに攻撃を受ければ死は免れない。体勢を立て直し、燕は再びクッキーらと対峙する。

 

 

 

燕の前に出揃った次世代クッキー三機。燕を排除すべく起動した殺戮部隊。となれば残り二機はこの先にある。これだけ総動員しているのだ……余程近付けたくない理由があるのだろう。

 

 

できれば長期戦は避けたいが、彼らは機械。通して下さいと言って通じるような相手ではない。燕は余計な思考を捨て、この状況下で成すべき行動を算出する。

 

 

考えるまでもない。否、元より選択肢などない。今するべき行動はたった一つ。

 

 

「悪いけど、強行突破……させてもらうよっ!」

 

 

紅に燃え盛る拳のアームを構えながら、燕は戦闘態勢に入った。立ちはだかる障害は、全て排除するのみ。

 

 

 

 

飛翔する少女と、三つの機影。夜の空を舞台に、彼らは衝突を開始した。

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