東方妖々続伝〜outside and inside. 作:みかんでない
「ここは?」
「人里よ。貴方も此処で生活することになるかもしれないから、よく見ておくことね。私はこの後少し別ルートを取るから、また後でね。」
そう言い残し紫は去っていった。
そこは、中央に流れる川の両側に茶屋や着物屋、貸本屋等の店がゆったりと立ち並んだ、昔の江戸のような街だった。だが、突然の(僕の気質による)嵐のせいか、人通りは無かった。
人里に住む少女 ーSTAGE2ー
BGM:風光明媚
「はぇ~すっごい大きい…」
「もう少し、ここを見て回るのも楽しそうだな。」
葉一はそんな呑気な事を考えていた。異変の調査に来ているということを完全に忘れているようだ。
だが、そんな彼を現実に引き戻す人物が、ある一軒家から出て来る。
その女は人形を一つ、連れていた。
「うわ、凄い嵐……これは普通ではないわね。とすると……私達も行きましょうか、異変の解決に。」
シャンハーイ
「え?何?あのぼけっと突っ立ってる奴が怪しい?」
「でもあの子からは異変の主たるカリスマやオーラは感じないわよ?」
シャンハーイ!
「わかったわかった。人通りもないし確認でちょっと軽ーく弾幕撃ってみるから。救急箱の準備を頼むわよ。」
パッ
少女から少々理不尽な思考回路により放たれた弾幕は、まっすぐ葉一の方に向かっていく。
「!?」
葉一はそれらに気付き、そして身体を捻って避ける。
「避けたぁ!?やっぱり上海の言う通りかもね、あんな動きする奴そうそういないもん。ちょっと戦ってみますか!」
葉一は考えていた。
(突然弾幕を撃たれた…?俺、何かまずいことでもやらかしたのか…?そして、今、俺は意識せずに弾幕を避けた…。何と言うか、体が気づいたら弾幕を避けていた、という感じだった…。)
「ちょっと、ちょっと貴方!」
「はい!」
「今私の弾幕を避けたわね。」
「ええ…そうですが…僕が何か」
パッ!パパパッ!
何と、彼女は更に弾幕で追撃してきた。
「わっ!何するんですか!?」
「問答無用!!異変の首謀者は、私が裁く!」
(どういう事なの………)
その少女は、詠唱なしで弾幕を次々と放つ。俺はそれらをかわしながら、ハンドガンを引き抜いて弾を数発放つ。
ダンダンダン
「あまいわ!」
その少女は空に飛び上がって俺の弾丸を避けきると、懐からカードを取りだし、詠唱をする。
「スペルカード宣言!『剣符 ソルジャーオブクロス』」
瞬間、彼女から小さな剣を持った人形が飛びだし、一直線に攻撃を仕掛けてくる。俺は向かってきた彼女の人形に対抗して剣を引き抜く。
「らぁっ!」
剣で人形をガードした後、そのまま少女の方に走っていく。
だがしかしッ!攻撃を防いだはずの人形が、向きを変え葉一を追いかけて来たッ!
「あまい!あまいよ!私の人形はブーメランのように戻ってくるッ!もう振り向いて守ろうとしても遅いッ!回避不可能よッ!」
葉一に背後から人形が迫る!
「こうだッ!」
ズバアッ
葉一は大きく剣を振り、人形を破壊しようとしたが、彼の剣は狙いを外れ、大きく手前を斬ってしまった!
直後切断音が響き、少女が自身の勝利を確信して、一瞬気を緩めた瞬間!
弾丸が彼女を貫いた。
そして、現れた葉一は切り傷一つ無かった。
「何故…生きているの…貴方は…私の人形に…切り裂かれたはず…」
「さっきの斬撃は決して狙いを外した訳じゃあない…。人形と君を繋いでいた糸を切断したんだ。」
「!!!あの細い糸が見えたの!?」
「そして人形の操作が切れ、僕が斬られることは無かった……という訳だ。」
アリスはただの人間に、動く細い糸が見えたことに驚愕した。なにせ、今までこの糸が見えるようになった人間は数人しかいなかったのだから。
「やるわね…私の負けよ…」
「ちょっと待ってて。俺の能力を使う!」
葉一は彼女にそっと触れ、能力を使う。
「あら?傷が治ったわ?」
「僕のはそういう能力なんだ。」
「突然攻撃した私を許して、傷も治してくれた…?」
「人里で外来人が殺人…というのは流石にまずいからな…。」
「外来人…………?ごめん!攻撃しちゃって申し訳ないわ!よく見たら確かに、貴方昨日の新聞に載ってた顔してるわね。」
「ところで、貴女は?それは見たところ人形…?に見えるけど。」
「私?私はアリス。アリス・マーガトロイドよ。アリスって呼んでね。職業は魔法使い、趣味は人形制作。この子達は私が魔法で動かしているのよ。」
「そうか。先程のお詫びにというのは申し訳ないが、今起きている異変について何か知らないか?」
「異変…あー、そうね。そのぐらいお安いご用ですよ。私が妖怪の山まで連れてってあげるわ。異変の正体はその上にあり、よ。」
葉一は思わぬ助っ人が得られたことに喜んだ。
「ありがとう、アリス。それじゃあ早速行こう!」
決闘評価
損害評価 神
時間評価 神
取得評価 神
[人間の里から妖怪の山までの道中にて…]
「ところで貴方、通常弾幕が弾丸だけってのもちょっと寂しくない?」
「確かに…言われてみれば。アリスの弾幕は虹色で綺麗だったしなあ。」
「よし!じゃあ弾幕を作りましょう!その剣を出しなさい!」
「剣から弾幕を作るのか?」
「そうよ、昔もおんなじようなことしてた奴がいたわ。剣を振るうことで生まれる斬撃の軌跡を弾幕にするのよ。まあ取り敢えず剣を振ってみて。最適な弾幕を分析して、それに魔法をかけてあげる。」
「おっけー。よし、これで良いのか?」
「ちょっと分析に時間がかかるから待ってて…。」
「はい、できました。貴方の剣をエンチャントしておいたわ。」
「よし、じゃあ試し撃ちしてみるか!」
ヒュン!
パパパパパパ!
彼が剣を振ると、その振った跡から三日月のような形の弾幕が発生した。その弾幕は綺麗な虹色をしていた。
「あらら、貴方の弾幕のイメージに合うかな、これ。」
「全然大丈夫だ!ありがとう、アリス!」
「お安いご用よ~」
「ところでアリス、二つほど質問があるんだが良いか?」
「どうぞどうぞ」
「まず一つ目。貴女の天気は何ですか?」
「私の天気は雹。貴方は…見た感じ台風みたいね。」
「厳密に言うと台風の目らしい。」
「ふうん。それで貴方の周りだけ晴れているのね。」
「それでは二つ目。幻想郷には季節はないのか?外の世界では開花する時期がズレていて、同時に咲かないはずの桜とヒマワリがここで同時に咲いているのを見たんだ。」
「それはちょっとした異変みたいなもので、本来幻想郷にも季節はあるんだけど、外で死んだ人の魂が花となって植物に宿っているらしいわ。相当大量に咲いてるから、外では戦争でも起きているんじゃないの?」
「そういうことか、その通りだ。ここは本当に不思議なところだな。」
葉一は新たなメンバーと共に、妖怪の山を目指すのであった。