東方妖々続伝〜outside and inside.   作:みかんでない

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後日譚 ~紅き少女達はEXTRA STAGEなのか?~ 上

[日本 広島基地にて…]

 

広島基地には、九州から逃れてきた部隊が集結していた。

「これより、中国地方の大規模な巡回を始める。全分隊はそれぞれ持ち場に分かれて、地域の安全を確保しろ。」

葉一が朝起きると、その日は広島付近の見回りをすることになっていた。

こっちに戻ってきて早々巡回任務かと彼は嘆いたが、文句を言っていても仕方あるまい。彼は元々この世界で生きてきて、日常はこちらであるはずだ。

「隼小隊、輸送ヘリへの搭乗を確認。ポインターの設置任務が終わったら、本部の第一統制室に連絡しろ。順に回収する。」

「了解、リーダー。」

「よし、第一降下地点だ。H1からH3まで降りろ。時間をかけすぎるなよ。」

「了解です、リーダー。」

ヘリから三人が飛び降り、すぐに見えなくなった。

 

 

……………

 

 

「ここが最後の降下地点だ。H23、いくぞ!」

俺はそう言って飛び降り、パラシュートを広げる。どうやらもう一人の隊員も無事に下りているようだ。

「こちらH23、1キロほど先の地点に降下しました。ポインターを設置します。」

「了解!出来るだけ急いでくれ!」

鬱蒼とした森の中、湿った大地に降りるとすぐ、俺は安全の確認を示し、近辺の索敵機能も付いたポインターの設置にかかる。それを地面にしっかり固定してから、腕の通信機をオンにする。

「よし。こちらH0、ポインターの設置を完了、確認求む!」

「…………H0、すまないがレーダーによる確認が出来ない!電波の問題だろう。もう少し開けた場所を探してポインターを設置してくれ!」

しょうがない。俺は開けた野原を探すため、森の中を歩き始める。このあたりは毒気が強く、マスクを付けずには移動が制限されてしまう。後に本部に報告しておこう。

ドンッ!

「うッ!何だッ!?」

俺が突然ぶつかったのは、空気だった。

いや、正確に言うと、空気の壁だった。

「なんだこれは…?空気が…!いや、違う。これは、おそらく結界だ…!」

その場から漂う微かな魔力を察知し、俺はどうしたものかと悩む。

おそらく、電波が制限された理由も、この謎の空間が邪魔をしていたのだろう。

「ふむ、幻想郷以外にも、こんな空間が存在していたとは…。余程隠したい何かか、誰かが居るんだな。だが、俺には地域一帯の安全確保の任務がある。申し訳ないが、侵入させてもらおう。」

念には念を入れて誰も見ていないことを確認し、周りに漂う霊力をかき集め、自分のものと合わせて濃く、鋭く槍のように身体の中で圧縮する。本来の半人半霊としてのスピードを発揮する為に使うのだ。

「結界に外側から超高速で突入し、一定値以上の負荷をかけると、結界が一瞬だけ歪んで内側に入り込む事ができる、と紫に聞いたことがある。最も、幻想郷と外界を隔てる程の結界を潜る為には、鬼レベルのパワーが必要らしいのだが。」

「あの時は紫が『私は鬼レベルの力を持っているのですよ、オホホホ』とただ自慢しているだけかと思っていたが、雑学が変な所で役に立ったな…。」

まあ、この結界はそこまで固くはないだろう。半人半霊の本気を持ってすれば、通り抜けられるはずだ。高めた槍の様な霊力を自身に装着し、突撃する準備をする。

「やあッ!」

高速で結界にぶつかると、微かに揺らいだ感触があった。だが、スピードが足りなかったのだろう、結界に穴を空けることはできない。まあ、ここまでは想定内である。

「姉さん、起きてるか!強化バフをかけてくれ!」

(うーん…なんなの、もう。急に起こされたと思ったら、幻想郷じゃない場所じゃない、ここ。)

姉さん、つまり妖夢とは、たまに精神を通じて会話ができる程度にはなった。ただ、霊力が強い場所でないと、その成功率は低いのだ。

ところで、彼女は半人半霊でありながら、身体強化系の魔法も勉強し、かなりのレベルにまで高めたらしい。彼女によると、「今の時代は二刀流よ」だそうだ。

「いいから頼むッ!ここが正念場なんだ!」

(はいはい。かわいい弟の頼みとあれば、しょうがないわね。「強化術式<スピード>LEVEL.2」)

姉さんの強化のお陰で力が増すのを感じる。だが、足りない…!この結界を潜るには、もう少し速さが必要だ。

「姉さん、もう少し強力な奴をかけてくれ!もう少し、スピードが要るんだ!」

(これ以上の強化をかけたら、あんたの霊力の器が持たないよ!ここじゃ辺りからの霊力の供給が少なすぎるわッ!)

「俺のことは気にするな!一瞬で片が付く!」

(強化術式<スピード>LEVEL.3)

ゴオオオオッ!!

瞬間、とてつもない負荷が僕の身体にかかった。

「ぐうッ!」

景色がぐにゃりと歪み、俺は霊力欠症で地面に倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、ここは…?」

葉一が居たのは、依然として鬱蒼とした森の中だった。

「たしか、僕、霊力欠で倒れたんだよな…。」

と、起き上がった葉一の耳にさらさらという音が入ってくる。

「音…?」

それは水がさざめく音だった。

暗い森の中を音を頼りに進んでいくと、急に視界が開け、そこには広い湖があった。そしてその対岸には、何やら巨大な屋敷のシルエットが浮かんでいる。

「ふうむ……。取り敢えず結界の中には入れたみたいだな。あれは…家か?霧で霞んでよく見えないな。もし人がいたら、この辺りの事情を聞けるはずだ。取り敢えず行ってみよう。」

歩いていくと段々と巨大な門か近づいてくる。その前に、一人の門番が立ち塞がっていた。

「すいませーん!」

葉一が近づいていくと、その門番は葉一の方を見た。彼女の燃える様な紅い髪が綺麗に光っていた。そして、ニッと歯を見せて笑う。

「やはり、予定通り来たな。しかし一人というのが少し引っかかるが……まあいい。ここに迷い込んだというのならば、その命は我が主の物だ。大人しく抵抗せず、武器を捨てろ、軍人」

なんてこった…。とんだ所に迷い込んでしまったな。色々と面倒な事になりそうなので絶対彼女には捕まりたくない。

「魂魄家には、伝統的な戦いの発想法があってな…ひとつだけ残された戦法があるんだ。」

 

 

「ん?」

 

 

「それはな………逃げるんだよォォォーーーッ!!」

葉一は逃走した。

ダッ

「無駄ァ!」

門番は人間には到底出来ないような素早い身のこなしで先回りして、葉一が行きかけた退路を断つ。

「外の世界の人間如きには、理解出来ん世界を見せてやろう!彩符『彩雨』」

彼女が掲げた一枚のカードが煌めき、虹色の弾幕が視界を覆い尽くす勢いで迫って来る。

「何ッ!」

スペルカード詠唱だと!?だがな、それはこっちもお手の物なんだよ!なぜ彼女がスペカを使えるのかという疑問は後ででも遅くない。

「守護弾『ガトリング・バースト』!!」

そして、ガトリング砲の如く同時に何百発も放たれた弾が、彼女の弾幕を相殺する。

「一分間に六百発とはいかないが、護身用のばらまき弾だ!」

「そんな…スペルカード!?馬鹿な!!」

驚く門番の前で、二枚目のスペルカードを詠唱する。反撃する隙など与えない。

「刹那『居合いの型』!」

そして、俺の剣が門番を斬る。彼女はガードに失敗し、ダメージに耐え切れず倒れ込んだ。

「ぐ、ぐうう…。」

彼女を話のできる状態まで回復させようと思い、俺は倒れている門番に近づいた。

 

 

 

 

 

その瞬間。

 

 

 

ゴッ!!

 

 

 

上から何かが降ってくる。

 

 

 

そいつは、一見すると普通の人間と同じように見えた。

ただ、髪を水色に染めていて、ドアノブみたいな変な帽子を被っているだけの、普通の人。

 

 

 

しかし違った。

 

 

 

そいつの背中からは、真っ黒な二つの羽が生えていた。

 

 

 

僕は確信した。

彼女は相当な力を持った妖怪であると。

 

 

 

そして、剥き出しにした強大な力と敵意が、それを証明していた。

 

 

 

「もう奪わせないわ!!!私から、何者も!!!」

 

そして、半人半霊でも対応できるか否か、というスピードで、俺を串刺しにしようと、爪を突き出して来る。

 

「まずいッ!なんだこの空間は!?」

僕は間一髪のところで、爪を避け、防衛に出た。

「スペルカード!!!現霊『憑依転換』!」

そして、その効果で俺と半霊の魂を入れ替えた。

このスペカは試作品なので、身体にかかる負担は少ないが、その分発動していられる時間が短く、今の段階では10秒程度しか持たない。だが、一時的に自分自身の霊力を回復したり、体勢を立て直すには凄く便利なスペカだ。

 

瞬時に、妖夢が外の世界に姿を現す。

 

彼女の顔は弟を守るという決意に満ちていた。

 

 

「レミリアッ!!」

 

 

「な!?」

 

突然現れた知り合いに対し、ほんのわずか、レミリアが怯んだその瞬間。

「防御結界<捕縛陣>LEVEL.10」

透明な壁が、吸血鬼の周りを囲み、隔離する。

ガキンッ!

彼女の爪が結界にぶつかるが、結界が傷つくことはなかった。

「話を聞いて下さい、レミリアさん!」

「あなたは妖夢ね!何故ここにいるの!?貴方は既に死んだはずッ!そしてその男は誰なの!?」

「彼に説明してもらう。憑依時間の限界がきているわ。」

ズオッ

そして俺が入れ替わって再び出てくる。

「俺は妖夢の実弟、葉一だ。軍の命令で巡回中にたまたま結界があったから疑問に思って様子を見に来ただけなんだ。その証拠、今から見せるよ。」

そういって僕は倒れた門番に近づく。そして、彼女を完全に回復させた。

「寝てしまった…?この私が??いや、違う…。侵入者に倒されたんだ、私…。」

「おい、動けるか?」

「あ、あんたはさっきの………?ん?よく考えたら貴方からは殺気が感じられない…。」

「美鈴!怪我は大丈夫なの!?」

「傷は完璧に治した。僕の能力、それは傷を癒す程度の能力。待ってろ、今貴方の結界も姉さんに解いてもらう。」

結界が消えて、彼女はようやく、警戒を解く。

この短期間に僕はこの世界について、一つの結論にたどり着いていた。蒼髪の羽が生えた女性。文に写真を見せてもらったとある人物と、よく似ている。

「貴方は、もしやレミリア・スカーレットさんですか?幻想郷から去ったとかいう」

レミリアははぁとため息をついた。

「そうよ…。取り敢えず中で話しましょう。」

レミリアや門番に連れられて、僕は屋敷の中に入っていた。

 

 

 




現在別ジャンルの長編執筆中です。年内に投稿できるか分かりませんが、お楽しみに!
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