東方妖々続伝〜outside and inside.   作:みかんでない

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自己紹介回です。


幻想郷の強者たち 上

その後、俺は準備を終えた紫に案内されて、幻想郷の面々が待つ広間に入っていった。見渡すと全員人間のような姿をしているが、その背中には羽が生えていたり、角があったりと確かに妖怪とわかる風貌をしている。紫は俺を大きな丸いテーブルの空いた席に案内した。そしてそこにあった僕の肩書きを示しているだろうネームプレートには、「人間」とだけ書かれていた。確かに、この世界では人間である事がアイデンティティになり得るのだろう。

 

 

 

 

「全員揃ったようね。今日は皆さんに、大事な話があるの。その前にまず、新たな仲間を紹介するわ。さあ、自己紹介して頂戴。」

そう言って、紫は俺を促した。

「ああ。俺は紫に頼まれてこの世界にやって来た柏根葉一という。葉一と呼んでくれ。取り敢えず一ヶ月間滞在する予定なのでよろしく頼む。」

「因みに彼は夢の中から幻想入りしているから居たり居なかったりするわ。行く行くは里長になる予定なので仲良くしてあげて。」

「おい紫…俺は別に幻想郷に住みつくって決めたわけじゃ…」

「まあ見てなさい。きっとここを気に入って住むことになるから。」

紫のその自信は何処から来るんだと俺が考えていたとき、

赤青二色に別れた服をきた、銀髪を後ろで一つに束ねた女性が立ち上がって、強い口調で言った。

「ちょっと待って頂戴。取り敢えず一ヶ月滞在ってどういうこと?紫、幻想郷の存在が仮にその人から外に知れたら、幻想郷と外界との境界はどんどん薄くなり、最終的には妖怪達は皆滅んでしまうかもしれないのよ?なのに何故……」

紫は溜息をつく。

「私も本当は、こんな形で幻想入りを許したく無かったのよ。まあそんな悠長な事を言ってられない理由が出来たってわけ。それについても今日話すわ。さあ、彼の自己紹介は済んだわ。今度は貴女達の番よ。」

「まった」

そう紫を止めたのは小柄で腕に鎖をはめていて、頭に二本の角を生やしている少女だ。

「まだ能力をきいていないぞ」

「!?紫、俺にも能力が有るのか?」

「幻想郷に来た外来人は、基本的には能力を持っていないはずだけど…まあ萃香がそう言うのであれば私の知識の境界を弄って見てみるわ……ちょっと待ってね」

そんなことも出来るのか…本当に彼女の能力は汎用性が高い。それにしてもさっきの「すいか」と呼ばれた女の子は、明らかに未成年でさらに幼女なのに杯と瓢箪を持ち恐らく酒であろう液体を注いで飲んでいる。どうなっているんだ幻想郷…。

「出たわ」

そんなことを考えていると紫が調べるのを終えたらしい。

「能力はあったのか?」

「ええ、こちらに来て発現したみたいね。葉一、貴方の能力は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『癒す程度の能力』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よ。」

「はあ???」

そう声を上げたのは先程の少女だった。彼女はそういうと、明らかに落ち込んでしまった。

「せっかく軍人つて聞いてたから強い奴だと思ったのに……ヒーラーって……」

「ごめんなさい、俺何か気に障る事しました?」

「別にいいの葉一。彼女は自分と渡り合える程の強い妖怪を探しているってだけだから。貴方の能力が戦闘向きに見えなかったのでしょうね。」

そういう事か。そういえば妙にキラキラした目で紫を見つめていた気がする。それにしてもこんな少女が戦闘狂なのか…そんなことを考えていると真正面から声をかけられた。

「幻想郷は基本的には殆ど女性が占めていますからね。一人二人は戦闘狂がいても可笑しくない話だと思いますよ。」

そうなのか…こちらは異性である僕にとっては暮らしにくそうだなあ……ってあれ?

「あれ、俺何か喋ってたか?自分では記憶がないんだけども」

「ああ、彼女は人の心を読むことが出来る妖怪なのよ。貴方は何も喋っていないわ。」

「勝手に心を覗いてすみません。悪気は無かったのです。ただ、幻想郷の存在を外に漏らすような悪事を企んでいると良くないなと思いまして。」

とその紫色の髪をして大きな眼がついた紐のようなものを机に載せている少女は言った。俺は「悟り妖怪」というものを思い出した。

「そうですね。いかにも私は悟り妖怪の古明地さとりと言います。以後よろしくお願いいたします。」

非常に会話がスムーズである。人の心を読めるとはなんと便利な事なのだろうと俺は思った。

 

 

そんなことを考えていると先程の落ち込んでいた少女が立ち上がった。彼女のネームプレートには「百鬼夜行」と書いてあった。

「そうそう、自己紹介だったね。さっきは失礼なことを言ってすまなかった。私は伊吹萃香、こう見えても鬼の四天王の一角だ。ほとんどこの神社にいるから今度一杯やろう」

「彼女の能力は密と疎を操る程度の能力よ。」

やっぱり鬼か。僕は日本の「鬼殺し」という酒を思い出した。彼女はおそらくだが日本古来にいたとされる伝説の鬼、伊吹童子別名酒吞童子なのだろう。できれば鬼と吞み合いはしたくないものだ。能力は……口で言われただけではよくわからんな。

 

 

次に始めに質問をした銀髪の女性が立ち上がった。彼女のネームプレートには「薬師」とあった。

「私は八意永琳といいます。今は幻想郷にある迷いの竹林にある永遠亭という病院で薬師兼医師をしています。怪我や病気などで困ったら来てくださいと言いたいところなのですが、その能力があればおそらく大丈夫でしょうね。」

「因みに彼女はいわゆる不死身の体を持っているわ。」

不死身の医師か…。俺がRPGの主人公ならば是非ともパーティーにほしいところだな。いかにも賢者って感じだし困ったときに頼りになりそうな人だ。ファッションセンスはちょっと理解しがたいけど。

 

 

そうして次に、大きな被り物をした緑髪の少女が立ち上がった。

「次は私ですね。私は四季映姫・ヤマザナドゥ。地獄の閻魔です。とはいえ貴方は幻想郷の人間ではないので幻想郷担当の閻魔である私が裁くことはないでしょうが。合うことも少ないとは思いますが宜しくお願いします。」

「彼女は説教が趣味でね、非番の時には地獄から説教をするためにやってくるの。貴方も気を付けた方がいいわよ、生まれてきてからしてきた行動すべてを見透かされるからね。」

「私は生者の罪を少しでも軽くするために説教をしているのであって、嫌われるために説教をしに来ているわけではないのですが…」

そう言う彼女の目の前には笏がおかれている。あれは確か、文書によると悔悟棒とかいう代物だったか…。

 

 




続く!
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