変の軌跡〜帝国の闇を一閃する獅子達〜(現在、戦姫絶唱シンフォギアの世界) 作:光三
「まあ、そう落ち込むなってリィン」
「俺の50ミラコイン……」
「っと、そうこうしてる間に着いたみてぇだぜ」
「本当だ」
生徒会室の扉をノックして中に入った。すると、入学式のときにいた小柄な女子生徒がいた。
「あ……あの時の」
「もしかして、ここにいるということはあなたがこの学院の生徒会長?」
「そうだよ。私の名前は、トワ・ハーシェルだよ。よろしくね、アクロス・ローグレス君。リィン・シュバルツァー君」
「「よろしくお願いします」」
「ところで、サラ教官の用事ですが何をすれば良いですか?自分達Ⅶ組に関する何かを預かってもらっているとか?」
「あ、うんうん。これなんだけど……はい、どうぞ」
「これ、何だ?」
「上の2つがあなた達のだよ」
「あ、これもしかして……『生徒手帳』ですか?」
「うん、そうそう。より正確に言えば『学生手帳』だよ」
「学生手帳……そういえばまだもらっていませんでしたよね」
「ごめんね、君達Ⅶ組はちょっとカリキュラムが他のクラスと違ってて……戦術オーブメントも通常とは違うタイプだから別の発注になっちゃったんだ」
「ああ、あのARCUSのことか」
「うん、学生手帳には戦術オーブメントの説明書も載っているんだけど……」
「俺らは、今年から発足されたクラスだ。加えて戦術オーブメントの説明書もARCUSのものを書かなければならない。だから、時間がかかったんだろ?」
「うん、その通りだよ」
「これ、もしかして……編集とかトワ会長がやってたりする?」
「うん、サラ教官に頼まれて。ごめんねー?こんなに遅れちゃって」
「いえ、とんでもないですよ!むしろ恐縮というか……」
「つーかこれって、サラ教官の仕事じゃねぇのかよ……」
「はは、確かに……」
「うーん、サラ教官もいっつも忙しそうだし……他の教官の仕事を手伝うことも多いから、今更って感じかなぁ?」
「「(良い人だ……途方もなく)」」
「それじゃ、この手帳を他の奴らに渡せばいいってことか?」
「うん、よろしくねー。うーん、でもリィン君達も1年なのに感心しちゃうなぁ」
「ん?」
「えっと、何がですか……?」
「えへへ、サラ教官からバッチリ事情は聞いているから」
「何か俺、嫌な予感してきたんだが……」
「ああ、アクロス俺もだ……」
「何でも生徒会のお仕事を手伝ってくれるんでしょ?うんうん、流石新生Ⅶ組だね」
「(おい、サラ教官……)」
「その………一体何の話ですか?」
「?……えっと、生徒会で処理しきれない仕事を手伝ってくれるんでしょう?『特科クラス』の名に相応しい生徒として自らを高めようって!みんな張り切っているから生徒会の仕事を回してあげてってサラ教官に頼まれたんだけど……」
「ああ、確かに俺らは生徒会の仕事を手伝うようにサラ教官から言われたぜ。なあ、リィン」
「アクロス?サラ教官はそんなこと言って……」
すると、アクロスはリィンに向かって小声で言った。
「取り敢えず、生徒会の仕事を手伝うということで話を進めていきてえんだが……どうだ、リィン」
「まあ、構わないよ。アクロス」
「すみません、授業についていくのに必死で忘れてたみたいです」
「そうだったんだ。先輩としてサポートするから無理しないでね、リィン君」
「はい、わかりました。何か困ったことがあったら、遠慮なく相談させて頂きます」
アクロスがトワに生徒会の仕事の手伝いのことについて聞いていた。
「因みに、手伝いって何すりゃいいんだ?」
「うーん、あんまり大変な仕事は回さないから安心してね。大抵の仕事は士官学院や町の人達からの『依頼』になると思うんだ」
「『依頼』……ですか?」
「(『依頼』……もしかして!)」
「うん、生徒会に寄せられた色々な意見要望ってところかな。今日中にまとめて、朝までに寮の郵便受けに入れておくから。取り敢えず、リィン君かアクロス君のポストに入れてもいいかな?」
「ああ、いいぜ」
「ええ、お願いします」
「あ、もうちょっと待っててね。仕事もう少しで終わるから」
「わかりました」
「わかった」
それから、1時間後。漸くトワの生徒会長としての仕事が終わった。
「お待たせ、じゃあ行こっか」
「えっと……?」
「一体、どこに行くんだ?」
「もう、夜だし夕食でも奢ろうかと思って……」
「「ありがとうございます」」
「じゃあ、行こっか」
あの後、リィンとアクロスは1階にある学生食堂でトワ会長に夕食を奢ってもらった。
「酷いぜ、リィン……《神童》はともかく《スポンジ》の方まで言うなんて」
「まあまあ、良いだろ」
「リィン、《スポンジ》はマジでやめてくれ……」
「な、なんかすまん」
すると、リィンのARCUSが鳴った。
「えっと、リィン・シュバルツァーです」
「サラ・バレスタインだけど……ちょっと、スピーカーモードにしてくれる?」
「え、ええ。わかりました。少し待って下さい」
リィンは、ARCUSの通信をスピーカーモードにした。これによりサラ教官の声が、アクロスにも聞こえる様になった。
「グーテンターク。我が愛しの教え子達よ。どうやら会長に夕食を奢ってもらったみたいね?」
「……その愛しの教え子をだまし討ちしてくれましたね」
「全くだぜ、無駄に気を使っちまったしよ……」
「そうだな……一体どういうつもりなんですか?サラ教官」
「詳しくは言えないけど来週伝える『カリキュラム』に関係してるのよ。誰かにそのリハーサルをやってもらおうと思ってね」
「(成る程な……元遊撃士ならではの指導方法だな)」
「あら?アクロス君、さっきから黙ってるけどもしかして怒ってる?」
「怒る?何で?ワクワクしてるぜ、今俺」
「へえー、やっぱり面白い子ねあんた」
「ん?何がだ?」
「あなたが《鋼の聖女》を口説き落としたって聞いた時、私は正直面倒くさいことをしてくれたなって思ったわ」
「面倒くさいこと?何で?」
「使徒と執行者では、罪の重さが違うからよ……」
「正直、実感無いっすね。だって、犯罪者は犯罪者だろ」
「……ぁ………」
「自分の愛する人を犯罪者扱いするのね、アクロス君は」
「ああ、だってどう足掻いたってアリスが犯罪者って事実はあるんだろ?だったら、それも含めて受け入れるしかねぇだろうが」
「その結果、世界中があなた達の敵になった場合どうするつもりなの?アクロス君」
「簡単な話だ、俺がアリスを最後まで護る!!命ある限り俺は、アリスの味方だ!!」
「ふふふ、あっははははは。面白いわ!アクロス・ローグレス!!」
「そっ、そんな笑うなよ。サラ教官」
「ごめんなさいね。でも、確信したわ。Ⅶ組の『リーダー』はあんたよ」
「お、俺にリーダーなんて務まるのか?」
「そんなのわかんないわよ、只の勘だし」
「えぇえ!!」
「元A級遊撃士《紫電》サラ・バレスタイン!あんたの勘、信じてやるよ」
「なっ!遊撃士だったんですか!?サラ教官」
「何であんた、私が遊撃士だったって知ってんのよ!」
「どこの誰かは思い出せねぇけど、その人からあんたのことを聞いたんだよ」
「そうだったのね、てっきり
「少し、質問いいか?サラ教官」
「ええ、いいわよ」
「2年前にリベール王国で起きた異変について、詳しく教えてくれねぇか?気になってしゃあないんだよ」
「『リベールの異変』のことね、いいわ、教えてあげる。と言いたいところだけど、リィン君に伝えておきたいことがあるからまた今度でいい?」
「まあ、いいぜ」
「リィン君、あなたはⅦ組の『重心』よ」
「え、重心?」
「ええ、『中心』じゃないわ。あくまで『重心』よ。対立する貴族生徒と平民生徒、留学生、一般人までいるこの状況において君の存在は『特別』だわ」
「まあ、そうですね……」
「リィン、お前……」
「そしてあたしは、その『重心』にまずは働きかけることにした。Ⅶ組という初めての試みが今後どうなるか見極めるために」
「…………」
「…………」
「ま、あんまり深く考えずにやってみたら?どうやら『何か』を見つけようと少し焦ってるみたいだけど……まずは飛び込んでみないと『立ち位置』も見出せないわよ?」
「「!!」」
「ふふ、それじゃあね。寮の門限までにはちゃんと帰ってくるのよ〜?」
そして、ARCUSの通信は切れた。
「……流石は遊撃士ってところかな。俺の悩みなんてとっくにお見通しだったわけだ」
「まあ、何とかなるだろ」
「アクロスは、本当に凄いな」
あの後、リィンとアクロスは寮に帰った。そしてすぐに各部屋に行き、学生手帳を渡していった。