変の軌跡〜帝国の闇を一閃する獅子達〜(現在、戦姫絶唱シンフォギアの世界) 作:光三
アクロス達は、ダンジョン区画を順調に進んでいた。というのも、何故か魔獣が姿を現さないのだ。仮に姿を現しても、魔獣の背後をアクロスが取り剣で屠ってしまうのだ。という訳で後ろについて来ているリィン達の出番が無いのかというと、そういう訳でも無い。アクロスは、剣術を習っている訳では無い。なので、かなり剣の振り方が雑なのだ。だからアクロスがせっかく背後から接近して魔獣に攻撃を当てようとしても、当てることが出来ず気付かれてしまうのだ。たまにまぐれで攻撃が当たることがあるくらいだ。魔獣からの攻撃はアクロスの反射神経が良いのか、全て避けている。なので、それぞれに活躍する場面があった。
「ぜぇぜぇぜぇ……」
「アクロス、少し休むか?」
「こんぐれぇ平気だよ……って強がりたいところだが頼む!休ませてくれ」
「ああ、わかった。そこの別れ道の所で休もう。みんなもそれで良いよな?」
「もう、僕ヘロヘロだよ。だから、丁度良かった」
「俺も丁度疲れてきたところだ」
「ところで、アクロスって凄いよね」
「何がだ?みんなに迷惑ばっかかけてねぇか俺……?」
「気づいてないのか、アクロス。君だけ、無傷だってことに」
「ハァ〜、リィンお前でもふざけた発言することがあるんだなぁ。俺
適当なこと言ってると許さねぇぜというアクロスの言葉は、リィンの言うことが事実だと気づいてしまったので続くことがなかった。この事実にアクロスは、非常に困惑した。
「なあ、アクロス。この際だから教えてくれないか?アリスという人物のことについて」
「どうして……こんな急に?」
「少し気になることがあってね。流石にそんな筈は無いけど、一応念のためにね……」
「あ、ああ。わかった。教えるよお前らにアリスのことについて」
その時、女子生徒の声が聞こえてきた。
「もし良ければ、我らにもその話を聞かせてくれないだろうか?」
「ああ、いいぜ。Ⅶ組全員揃った今ならはなしても問題ねぇよ。と言っても、元々お前らには話すつもりだった。ただ、1つだけ約束してくれ。今からする話は、サラ教官以外には絶対に喋らないって」
「あ、ああ。約束するよ」
リィン達は、その約束に関して疑問を持ちながらも頷いた。
「士官学院を卒業したら俺は、アリスと結婚するんだ」
数秒間の沈黙の後、話を聞いていた者達は驚きをあらわにした。
「「「「「「「「「えええぇぇぇ!?」」」」」」」」」
「士官学院を卒業することが、あいつがアリスとして俺と一緒になる条件なんだよ」
「
「ああ、俺が人生で初めて好きになった人だ」
「へえ〜、すごいすごい」
「ああ、俺もそう思うよ。そ、その。一目惚れだったんだ」
「まさに、運命的な出会いってやつだな。アクロス、お前はアリスに愛されてると思うよ」
「リィン……ありがとな。俺、実のところ不安だったんだよ。アリスが本当に俺のことを愛してくれてるのか…」
「当たり前だろ!!アリスは何故アクロスに剣をプレゼントしたと思う?どうせお前のことだ、何かキザなことでも言ったんだろ!」
「リィン、お前凄えな。確かにあの時、あいつがあまりにうじうじしてたから勢い任せにキザなこと言っちまった」
「どんなことを言ったんだ?」
「俺、アリスより弱いくせについ言っちまった。俺がお前を守ってやるよ!って……」
「だからだな……アリスはお前が無事にトールズ士官学院を卒業することを信じて疑ってないんじゃないのか?だからこそ、敢えて今のアクロスには厳しい条件を課し突き放した。本当は、アリスも心苦しかったはずだ。これは、アリスがお前を愛しているからこそできることなんじゃないのか!?」
「!!!!」
「アクロス、お前焦ってるだろ。そんなに焦らなくてもいいと思う。お前には、とてつもない潜在能力がある」
「そんなものが俺にあるのか?」
「ああ、まず間違いない。それがどんな能力かは敢えて教えないよ」
「なんで?」
「今ここでそれを俺が教えてしまうと、お前が強くなれないからだ。アリスは恐らく君に、自分よりも強くなって欲しいと願っている筈だ。それが無理でも、互いに背中を任せられるぐらいには強くなって欲しいのかもな」
「ありがとな、リィン」
「ふむ、そなたがアリスという人を愛しているということはわかった。しかし、我らが知りたいのはアリスという人物のことなのだが?」
「わ、わりぃ。話が脱線しちまったな……」
こうして、アクロスはアリスのことについて知っている全てのことをはなし始めた。
「アリスはな……犯罪者だ」
「なっ!!!」
「ふむ……何やら複雑な事情があるようだな」
「アリスは、『身喰らう蛇』と呼ばれる結社に所属していたんだ」
すると、その時首席入学の眼鏡の女子生徒が驚きをあらわにした。
「嘘、け、結社!!!」
「ふむ、そなたその様子だと『身喰らう蛇』について何か知っているのか?」
「えっ!ええと、そ、それは………」
「エマ、いいんじゃない。どうせいずれは知ることよ。それから、私たちの正体もある程度明かしていいと思うわ」
「ふむ、喋るねこか……まるで子供のころ絵本で読んだ、魔女が使役する使い魔のようだな」
「ええ、その通りよ。私の名前はセリーヌ宜しく。トールズ士官学院特科クラスⅦ組の生徒たち」
「私の名前は、エマ・ミルスティンです。みなさんも気づいているでしょうが、私の正体は魔女です」
「で、でもどうして魔女であるエマ君がこの学院にいるんだ?」
「それは、失踪した姉を探す為です。それから、この旧校舎を調べる為です」
「やっぱ、この旧校舎には何かがあるんだな?」
「はい、しかし今はまだ言えません。その時が来たら、Ⅶ組の皆さんに伝えます」
「ああ、わかった。無理に聞かねぇよ」
「ありがとうございます。ところで、アリスさんは元執行者ですか?」
「アリスは、元々アリアンロードという名前だったんだ。まぁ、この名前も、本当の名前ではない気がする」
「えっ!?」
「それって……」
「使徒第七柱《鋼の聖女》アリアンロード。《槍の聖女》リアンヌ・サンドロットと同一人物であると噂されている人物!?」
「質問いいか、エマ?」
「は、はい。どうぞ。アクロスさん」
「リアンヌ・サンドロットってだれ?」
「約250年前に起きた『獅子戦役』で、ドライケルス・ライゼ・アルノールと共に活躍した女性の名前ですね」
「じゃあ、アリスとリアンヌさんは全くの別人というわけだ」
「まあ、ただの噂ですからね。あまり鵜呑みにしない方が良いかも知れませんね」
「そうだな、もしこの噂が真実だったとしても俺の気持ちは変わらねぇ」
「でも、これであんたは確実に結社に目をつけられたわ。このことはわかっているんでしょうね?」
「ああ、流石にね」
「そう、なら良いわ。あんた気をつけなさい」
「ああ、ありがとな!」
「ところで、結社は何の目的で活動してるんだ?」
「わからねぇ、と言うのが答えだな。ただ、結社は確実に存在し、ゼムリア大陸で暗躍している。……ただ、わかっていることもあるっちゃある」
「ふむ、わかっていることか……」
「ああ、トップに盟主がいて、その下には盟主に忠誠を捧げる七人の使徒がいるみたいだ」
「ふむ、その中の1人がアリスということか……」
その時、銀髪の女子生徒が手を上げた。
「アクロス、質問いい?」
「ああ、いいぜ」
「執行者は?さっきエマがアリスは元執行者なのかって聞いてた」
「ああ、計画を使徒が立てて、執行者がその計画を実行に移すんだ。まあ、使徒が出張る場合もあるみたいだが……」
「実動部隊か」
「もう1つ質問。計画って何の計画?」
「『オルフェウス最終計画』って呼ばれている。そのなかの『福音計画』というのが終わったらしい……
「リベール王国、もしかして……」
「リィン?」
「リベール王国で大きな異変が起こったことは知ってるか?アクロス」
「いや、知らねぇ」
「2年前にリベール王国で大規模な導力停止現象が起こったんだ。しかも、帝国の南部地域を一部巻き込む形で……この異変は『リベールの異変』って呼ばれている」
「結構有名な出来事だったみてぇだな……で、この異変に結社が関わっていると?」
「ああ、十中八九関わっていると思う」
「そうか……福音計画が終了して、次の計画が始まったらしい。『幻焔計画』って名前の計画で、クロスベルの虚ろなる『幻』をもって帝国の『焔』を呼び起こす計画らしいが、何が何だかさっぱりだ。取り敢えずここまでがアリスという人物のことと、アリスが所属していた結社について俺が知ってる全てだ」
「ふむ、しかと聞かせてもらった」
「なあ、せっかくここにⅦ組全員が揃っているんだ。改めて自己紹介でもしねぇか?」
「ああ、そうだな。俺の名前は、リィン・シュバルツァーだ。身分は、一応貴族ということになってる」
「ん?どういうことだ。リィン」
「帝国北部の山岳地ユミル。そこを治めているシュバルツァー男爵家が俺の実家になる」
「ユミルの……そうだったの」
「シュバルツァー……そうか、聞いたことがある。男爵位ながら皇帝家に縁のある誇り高き名家だと」
「ま、まさかリィンまで貴族の若様だったなんて……」
「はは……俺は、そんなタマじゃ無いさ。父も母も気さくで堅苦しさからは縁遠いし……それに『養子』だから貴族の血は引いていないんだ」
「え……」
「……ふむ」
「貴方も……色々事情があるみたいね?」
「はは、アクロスに比べればそんな大層な事情じゃないけど……まあ、これからもよろしくな」
「次は、私が名乗らせてもらおう。ラウラ・S・アルゼイド。レグラムの出身だ。よろしく頼む」
「レグラム……」
「えっと、帝国の南東の外れにある場所だったっけ?」
「うん、湖のほとりにある古めかしい町だ。列車も一応通っているが辺境と言っても過言ではないな」
「アルゼイド……そうか、思い出したぞ!確かレグラムを治めている子爵家の名前じゃなかったか!?」
「ああ、私の父がその子爵家の当主だが……何か問題でもあるのか?」
「い、いや……」
「ふむ、マキアスとやら。そなたの考え方はともかく、これまで、女神に恥じるような生き方をしてきたつもりはないぞ?私も……たぶん私の父もな」
「いや……すまない。他意があるわけじゃないんだ」
「(ん?何だマキアスの奴……何でリィンには反応しなかったんだ?)」
「次は、私ですね。私の名前は、エマ・ミルスティン。私も辺境出身で……奨学金頼りで入学しました。こっちにいる猫は使い魔のセリーヌです。よろしくお願いしますね」
「奨学金……そういえば教官が首席入学者と言ってたな。むむっ、まさか首席が女の子だったとは……」
「(マキアス、エマにまで反応しやがった!?い、いやアレはまた違った反応だな……ライバル視してるのか、主に勉学方面で)」
「ふむ、随分優秀なんだな?」
「あはは……その、たまたまですよ」
「何言ってんのよエマ……里一番のガリ勉だったくせに」
「セリーヌ……この特別オリエンテーリングが終わった後でお話があります」
「(顔は笑ってる。うん、しかし、目が全く笑ってねぇ……こ、怖ぇぇぇぇ)」
「次は、私ね。私の名前は、アリサ・ラインフォルト。ルーレ市からやってきたわ宜しくね」
「ルーレって、あのルーレだよね?」
「大陸最大の重工業メーカー、ラインフォルトの本社がある街か」
「ええ……そ、そうね」
「(ん?間違いなくラインフォルト社の令嬢なんだが……何であんなに苦しそうないや、寂しそうな顔をしてるんだ?)」
「じゃあ、次は私だね。フィー・クラウゼル。フィーでいいよ」
「(明らかに、俺らよりも年下なのに……迷わず1人で先に進んで行ったっけこいつ。)」
「次は、僕だね。僕の名前は、エリオット・クレイグだよ。宜しく」
「もしかして、君の父親はあの第四機甲師団に所属しているオーラフ・クレイグじゃないのか!?」
「うん、そうだよ」
「次は、僕だな。僕の名前は、マキアス・レーグニッツ帝都出身だ」
「ユーシス・アルバレア。一応改めて、名乗っておこう」
「次は、俺だな。俺の名前は、ガイウス・ウォーゼルだ。宜しくお願いする」
「で、俺がアクロス・ローグレスだ。宜しくな」
各自、自己紹介を終えたところで休憩を終え、10人は先へと進んだ。