変の軌跡〜帝国の闇を一閃する獅子達〜(現在、戦姫絶唱シンフォギアの世界)   作:光三

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第一章 新学期〜初めての実習〜
第7話


 今日は、七耀歴1204年4月17日だ。あの、特別オリエンテーリングから2週間と3日が経った。アクロスは、リィン、エリオットと一緒に学院に通っている。大体はこのメンバーが多いが、たまにアリサが加わる。アクロスは、今日の授業の用意をして自室を出た。

 寮を出ると、リィンとエリオットが待っていた。

 

「おはよう、アクロス。じゃあ、行こうか」

 

「ああ、そうだな」

 

 そうして、いつものように俺達は学院に向かった。その道すがらエリオットが、アクロスに質問をした。

 

「そういえば、委員長ってあれから旧校舎を調査してるのかなぁ?」

 

「ああ、セリーヌと一緒に旧校舎に行くところを何度か目撃したぜ」

 

「へえ、そうなんだ。で、何かわかったって言ってた?」

 

「相変わらず下層に続く道はないみたいだが、またいたらしい……ガーゴイルが」

 

「えぇぇぇぇ!?」

 

「何!?それは、本当の話なのかアクロス」

 

「エマ本人に聞いたから、本当の話なんだろ。信じられないけどな……」

 

 そこでエリオットが、疑問をアクロスに言った。

 

「そもそも、あの旧校舎って誰が建てたんだろうね?」

 

「そりゃ、やっぱり……」

 

「この学院の創設者《獅子心皇帝》ドライケルス・ライゼ・アルノールか?」

 

「うん、順当に考えればそうなんだろうが……なんか、引っかかるんだよなぁ」

 

「「???」」

 

 そんなアクロスの疑問に対し、エリオットとリィンはただただ頭の中で疑問符を量産するばかりだった。

 

「そういえば、アクロスってちゃんと授業についていけてる?」

 

 エリオットがそう言うと

 

「ああ、毎日の授業が楽しみだ。色んなこと学べるし、内容も結構難しいからやりがいがあるな……俺この学院に入学してよかったと心からそう思えるよ」

 

「「流石、神童」」

 

「うるせぇよ!!」

 

 何故リィン達が島にいた時のアクロスの渾名を知っているのかというと、丁度2週間前に学生寮にサリハル・ウィザードが訪ねてきて色々話を聞いたからだ。

 用件はあの謎の黒い本のことで、後1ヶ月ぐらいで解読出来るということを聞いた。それを聞いた第三学生寮の生徒たちとセリーヌは、こう言った。

 

「「「「「「「「「「流石、あのマイク・ウィザードの息子」」」」」」」」」」

 

「(みんな、綺麗にハモったなぁ)」

 

 アクロスだけは知っていたため、場違いな感慨に浸っていた。

 

 そうこうしているうちに3人は、第二学生寮の前を通り過ぎようとしていた。

 

「平民出身の生徒が住んでいる第二学生寮か……本来なら僕とアクロスはあそこに入ってたんだよね?」

 

「ああ、そうだな」

 

「しかし、Ⅶ組の寮が別だとは思ってなかったよ」

 

「ぜってぇ俺らって厄介者として追いやられたって感じだよなぁ」

 

「あはは……」

 

 その時、高慢そうな声が聞こえてきた。

 

「邪魔だ、どくがいい」

 

「あ……」

 

 第一学生寮から、貴族生徒が3人出てきたようだ。その中の1人が口を開いた。

 

「フン……Ⅶ組の連中だったか。……………フッ……所詮は寄せ集めの連中か。行くぞ、みんな」

 

「はい、パトリックさん!」

 

「まあ、せいぜい分を弁えるんだな」

 

 そうして貴族生徒達は、リィン達の前から去っていった。

 

「はあ……貴族クラスの人達か。やっぱり緊張するなぁ」

 

「そんな緊張することもないんじゃね。それにリィンも一応貴族なんだぜ……」

 

「……ぁ……そういえばなんで、リィンと話す時は緊張しないんだろう……」

 

「そりゃ、エリオットがリィンの人柄を知っているからじゃないのか?」

 

「まぁ、それなりには知っているつもりだけど……」

 

「なあ、俺はなエリオット……仲良くなるのに貴族と平民という身分の違いは関係ねぇと思ってるんだ」

 

「そうなんだ……」

 

「………」

 

 リィンは、何か思うところがあるのか黙ったままだ。

 

「貴族も平民も関係なく、結局は『その人自身』だろ。貴族でも今みたいな高慢な態度の奴もいるし、ラウラの様な武人然とした凛々しい人もいるし、自分の身もかえりみず他人を救うある意味での傲慢さを持ち合わせているリィンみたいな奴もいる」

 

「うぐ、自覚はしているんだが……」

 

「まぁ、程々にしとけよ」

 

「き、肝に命じます」

 

「でも、アクロスの言うことは的を射てるよね」

 

「そうだな」

 

「まあ、人としての最低限のマナーを守れさえすれば身分に関係なく良い人間関係ができるんじゃねぇか」

 

「うん、そうだね。ありがとうアクロス」

 

「よせよ、エリオット」

 

 そうこうしているうちに、学院方面から音が鳴った。

 

「予鈴だな、急ぐか」

 

「うん、そうだね」

 

「あ、そうそう。クラブってもう決めた?別に所属しなくてもいいみたいだけど……」

 

「いや、正直決めかねてるんだよな……」

 

「俺もそういや決めてなかったなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起立 礼、着席」

 

 委員長エマの号令とともに今日の授業が始まる。教壇に立つのはトマス教官だ。

 

「皆さんもご存知のようにかつてエレボニア帝国は存亡の危機に瀕していました。その危機とは250年前の『獅子戦役』……時の皇帝亡き後、帝位を巡り有力な帝位継承者達が数年に渡って繰り広げた内戦です。まあ、帝国に住んでいる人なら子供でも知っている逸話ですよね。この内戦は長期化し、各地の有力貴族も巻き込んで泥沼の様相を呈していきました。そんな中、多くの傭兵は野盗化し、略奪を行う騎士団すら現れたのです。……国土は荒廃し、人心は乱れました。そんな中、民を顧みずに続けられた骨肉の争いに終止符を打つべくある一人の流浪の皇子が辺境の地で立ち上がったのです。ドライケルス・ライゼ・アルノール。第73代エレボニア皇帝にして《獅子心皇帝》とも呼ばれる中興の祖。この士官学院の創設者でもありますね。ちなみに挙兵当時、ドライケルス軍は非常に少数でした。しかし帝国各地で人心を掴み、心ある実力者達の協力を得ることで一大勢力となっていったのです」

 

「(その中の1人が、リアンヌ・サンドロットだったのか……)」

 

「そのドライケルス皇子が最初に挙兵した辺境の地ですが……リィン・シュバルツァー君。その地がどこかご存知ですか?」

 

「(確か……)ノルド高原、帝国北東に広がる高原地帯です」

 

「おお、よく知っていましたね。当時、ドライケルス皇子は流浪の果てに異郷の地ノルドで遊牧民達と暮らしていました。そして帝国本土での内戦を聞き、遊牧民の協力を得て挙兵したのです。………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様。今日の授業も一通り終わりね♡……前にも伝えたと思うけど明日は『自由行動日』になるわ。厳密に言うと休日じゃないけど授業はないし、何をするのも生徒達の自由よ。例えば……帝都に遊びに行ってもいいし、私みたいに一日中寝てても構わないわよ?」

 

「え、えっと学院の各施設などは開放されるのでしょうか?」

 

「図書館の自習スペースが使えるとありがたいんですが……」

 

「ええ、その辺りは一通り使えるから安心なさいそれとクラブ活動も自由行動日にやってることが多いからそちらの方で聞いてみるといいわね」

 

「なるほど……」

 

「ふむ、確認しておくか」

 

「それと来週なんだけど。水曜日に実技テストがあるから」

 

「実技テスト……」

 

「それは一体どういう……?」

 

「ま、ちょっとした戦闘訓練の一環ってところね。一応、評価対象のテストだから体調には気をつけておきなさい。なまらない程度に身体を鍛えておくのもいいかもね」

 

「……フン、面白い」

 

「ううっ……何か嫌な予感がするなぁ」

 

「そして、その実技テストの後なんだけど。改めてⅦ組ならではの重要なカリキュラムを説明するわ」

 

「そ、それは……」

 

「「…………(遂に来たか)」」

 

「ま、そういう意味でも明日の自由行動日は有意義に過ごすことをお勧めするわ。HRは以上。副委員長、挨拶して」

 

「は、はい。起立、礼」

 

 今日の授業が終わった。アクロスは、全員に向けて言葉を発した。

 

「みんな、俺の話を聞いてくれ!!明日の自由行動日、エマと一緒に旧校舎を調べてみないか?」

 

「俺は、参加するよ。アクロス」

 

「リィンが参加するなら……わ、私も参加するわ」

 

「俺も参加しよう」

 

「僕も、参加するよ。来週は実技テストもあるし」

 

「ありがとう。リィン、エリオット、ガイウス、アリサ」

 

「ありがとうございます。私の為にそこまでしてくださって」

 

「気にすんなって、旧校舎のことに関して俺も気になっているところだしな」

 

 その時、サラ教官が教室に入ってきた。

 

「よかった、まだ残ってたわね」

 

「サラ教官どうしたんですか?」

 

「いや〜、実は誰かに頼みたいことがあったのよ。この学院の生徒会で受け取って欲しいものがあってね」

 

「受け取って欲しいもの……」

 

「いや、サラ教官が行けばいいんじゃないですか?」

 

「これから私は用事があるの」

 

「どうせ、酒を呑むだけだろ……だったらその前にその用事を済ませてから呑みにいけよ」

 

「ねえ、アクロス君。君の中で私はそんな風に見えてんだ……へえ〜、いいことを聞いたわ。アクロス君、あなた覚悟しておいてね」

 

「今のは、アクロスが悪い」

 

「そうね」

 

「ハイハイ、じゃあ誰でもいいから、全員分を取ってきてね」

 

「わかりました、自分が取ってきますよ。生徒会というところにこの後、行けばいいんですね?」

 

「ええ、生徒会室はこの本校舎の隣の学生会館の2階にあるわ。遅くまで開いてるからゆっくり行っても間に合うと思うわ。それじゃあよろしくね♡」

 

「? ええ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、エリオットとガイウスとアリサは、クラブの見学の方に行ったようだ。アクロスとリィンは、生徒会室に向かっていた。

 

「アクロス、付き合ってくれなくてもよかったんだが……」

 

「まあ、俺も暇だったからな」

 

「そういえば、アクロスはアリスとどこで出会ったんだ?」

 

「……………」

 

「どうした?アクロス」

 

「言いたくねぇ……」

 

「そうか、まあ言いたい時に言えばいいよ」

 

「(言いたい時か……そんなの一生こねぇよ。だって本当は言いたくねぇんじゃなく、言えない(・・・・)んだからな)」




どうした、アクロス!!
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