変の軌跡〜帝国の闇を一閃する獅子達〜(現在、戦姫絶唱シンフォギアの世界)   作:光三

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第8話 クロウ・アームブラスト登場!

 アクロスは、先程リィンに嘘をついてしまったことに対して、非常に後悔をしていた。だから……

 

「リィン……やっぱり生徒会室には1人で行ってくれないか」

 

「何かあったのか?アクロス……」

 

「さっき俺おまえに嘘ついちまった……本当は、はなしたくないんじゃなく、話せないんだ」

 

「どういうことなんだ?アクロス」

 

「実は、アリスと初めて会った日のことが思い出せねえんだ……」

 

「なっ!……そのことをアリス本人には言ったのか?」

 

「っ!?そんなこと言える筈がねぇだろうが!!」

 

「すまない、少し無神経だったようだ……」

 

「リィン、すまねえ。突然でけえ声出して」

 

「ハア、良かった」

 

「リィン、何が良かったんだ?」

 

「だって、悩んでる人が他にもいるんだと思ったら少し勇気が出てきてね……」

 

「リィン?……まさか!!」

 

「そうだ、俺も記憶がないんだ。自分の本当の両親の記憶が……」

 

「確かリィンは、シュバルツァー男爵家の養子だったな」

 

「ああ、そうだ」

 

「じゃあ、そろそろ行くか?」

 

「はは、そうだな」

 

 そうしてリィンとアクロスは、再び生徒会室を目指して歩きだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが学生会館か、確か1階に学生食堂があるんだっけ?」

 

「ああ、確か2階に生徒会室があるって言ってたな」

 

 すると、声が聞こえてきた。

 

「よ、後輩達」

 

 すると、銀髪で白いバンダナを巻いた平民生徒が出てきた。先程『後輩』という言葉が聞こえてきたので、先輩だろう。

 

「えっと……?」

 

「お勤めゴクローさん」

 

「は、はあ。ありがとうございます。ところであなたは?」

 

「俺は、クロウ・アームブラストってんだ。宜しくな」

 

「こちらこそ宜しく」

 

「宜しくお願いします。クロウ先輩」

 

「先輩なんて堅苦しいな……呼び捨てで構わねーよ」

 

「じゃあ、遠慮なく。アクロス・ローグレスだ。宜しく」

 

「俺は、リィン・シュバルツァー。宜しくな、クロウ」

 

「ところで、入学して半月になるが調子の方はどうよ?」

 

「俺は、毎日の授業が楽しみでしょうがないですよ。でも、体力が無ぇから武術教練はきついです」

 

「お前、凄えな」

 

「え、何が?」

 

「普通こういう時は、大体の人が授業についていくのに必死だとか、ついていけないって言うもんだが……」

 

「アクロスは、故郷で《神童》や《スポンジ》っていう渾名がつけられていたらしい」

 

「ちょっ!?リィン、恥ずいから言うのやめろよ!」

 

「《神童》はともかく、なんで《スポンジ》って呼ばれてたんだ?」

 

「それは…………」

 

「ほう、アクロスお前凄えな本当に」

 

「何がだ?」

 

「いや、アクロス……日曜学校に行ったことはあるか?」

 

「あたりまえだろ!?一体何の質問だクロウ?」

 

 日曜学校に行っていなければ、アクロスはそもそもこのトールズ士官学院の入学試験を受けることが出来ないのだ。(*何かしら、教官からの推薦があれば受けることが出来る)だから、このクロウの質問は意味がわからなかった。

 

「じゃあ、質問変えるぜ。もし、貧困によって日曜学校に行けない場合にはどうするんだ?」

 

「え………?」

 

「……それは……………」

 

 リィンもアクロスもこの質問に対して、答えることが出来なかった。何故なら、今現在のところその件に関しては、制度が存在していないからだ。

 

「(つまり、クロウが言いたいのは……)」

 

「今、お前らが勉強出来てんのは両親がしっかり育ててくれたっていう証拠だろ?」

 

「ぁ……」

 

「それは、そうかもしれねぇ……」

 

「でも、世の中には勉強したくてもできねーやつらもいるってことも忘れるなよ。それに、いややっぱいいわ……」

 

「何だよ、気になるだろうが!」

 

「ところで、リィンはどうだ?」

 

「ええ、正直大変ですけど今は何とかやってる状況です。授業やカリキュラムが本格化したら目が回りそうな気がしますけど……」

 

「やっぱ、そうだよな。アクロスがおかしいんだ……流石《神童》って感じだなリィン」

 

「ええ、そうですね」

 

「お、お前ら……いい加減に、黙れえええぇぇぇぇぇ!!」

 

「まあまあ、ちったあ落ち着けや。面白い手品を見せてやるからよ」

 

「手品ねぇ」

 

「手品……?」

 

「んー、そうだな。ちょいと50ミラコインを貸してくれねえか?お前ら」

 

「悪りぃ、今持ってねぇわ」

 

「(確かあったよな……)」

 

 どうやらリィンが持っているようで、クロウに50ミラコインを手渡した。

 

「お、サンクス。そんじゃあよーく見とけよ」

 

「え……」

 

「(何するつもりだ……)」

 

 するとクロウは、コインを親指の上に乗せ、弾いた。50ミラコインが回転しながら上昇し、最高高度に達したのかそのまま落下をし始めた。

 

「(まだ、見える……でも、これは『手品』だ!何かがあるのは間違いない)」

 

「(……っ…………)」

 

 その落ちてきたコインをクロウは、『右手』でキャッチした。

 

「さて問題。右手と左手。どっちにコインがある?」

 

「それは、右手だ」

 

「アクロスはどうだ?しっかり視えたか(・・・・・・・・)?」

 

「ああ、視えたぜ(・・・・)

 

「………??」

 

「じゃあ、答えをどうぞ」

 

「答えは……『右手にも左手にもリィンが手渡した50ミラコインは無い』だろ」

 

「正解だ、アクロス」

 

「えっ、なんで………まさか!!」

 

「ああ、そういうことだ。リィン」

 

「いつから、気づいていたんだ?アクロス」

 

「最初からだ」

 

「そうか、アクロス。クロウが『手品』と言った時点で何かがあるということを察したんだな」

 

「ああ、そしてクロウが『右手』で50ミラコインをキャッチした。その時点で『右手』という選択肢は消えんだよ」

 

「なるほどな、『手品』は見る側を驚かせてなんぼのエンターテイメントだから……」

 

「自動的に二択に絞られるって訳だ。そうだろ、クロウ」

 

「アクロス、《スポンジ》はともかくとして、《神童》と呼ばれることに関しては自分を誇って良いと思うぜ」

 

「俺も、そう思うよ。アクロス」

 

「リィン、クロウ……なんか、ありがとな」

 

「じゃあ、俺そろそろ行くわ。因みに、生徒会室はここの2階にあるから」

 

「「はい、ありがとうございます」」

 

 その少しあとリィンは、クロウから50ミラコインを返してもらっていないということを思い出した。ガクッと肩を落とすリィンにアクロスはこう言った。

 

「ドンマイ、リィン」

 

「ああぁぁぁぁぁ!俺の50ミラコインがあぁぁぁぁ!」

 

 リィンの叫び声が、夕焼けの空に溶けていった。




『神童』の実力はこんなものじゃない!
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