鈴音√-
真司たちは高校三年生へ進級し今日がその始業式であった
「春になり、後輩ができ、新しい出会いや別れが訪れました。~」
「ねぇ、とうとう高三になっちゃったね」
「だね・・・大学受験頑張らないと」
校長の長い話が終わり、教室へ帰ってきた鈴音たちは新たな担任を期待しながらだべっている
そんな時教卓の方から一人の声が教室に響き渡った
「はーいじゃあ担任の先生が来るまでに委員長だけ決めたいと思いまーす」
声の本人は去年は違うクラスだったが委員長をやっていたらしい【秋元 忠司】だった
「忠司が委員長でいいと思いまーす」
「さんせー」
仕切る人間は一年後も同じのようでクラスの中枢を秋元が担っていた
「そういやお前知ってる?」
「何が?」
「秋元くんだよ。俺はあんま話したこと無いんだけどさ」
「僕も話したこと無いな・・・でも評判が悪いとは耳にしたこと無いよね」
「だよなー」
委員長が決まると同時に教室のドアが開いた
「うーい、お前ら座れー」
「あぁー!!また森ちゃんじゃん!」
担任の先生を見るなり女子が盛り上がった
「やかましい!ほれそこ座れ!そこ死ぬな!!」
「やったよ舞!森山先生だよ!」
「うーんそんなにかっこいい?」
「かっこいいし授業もわかりやすいし!やったあ、今年はついてる!」
「長話もなんだから一言で済ませるぞー良い一年にしような。クラスは皆家族なんだから仲良く楽しく良い一年に」
「「「はーい!!」」」
自分たちのクラスのホームルームが早く終わったこともあり、真司たちは四人で帰っていた
「ん~森ちゃんか~」
「森山先生・・・本当に森山先生なんだ・・・」
「おい真司。お前はいいのか?このままで」
「え?何がだよ」
「ほれ、鈴音が完全に森ちゃんに惚れちゃってるぞ」
「ダメだよ鈴音。真司が嫉妬で森ちゃん殺しちゃうよ?」
「殺すかよ!僕は嫉妬なんてしてない」
午前中で学校が終わったこともあり真司たちは昼食を取りにファミレスにやってきた
「じゃあ私はこれにしようかな」
「僕もそれにする」
「何だよ二人揃って同じの注文って」
「良いじゃんそれくらい。好みが一緒なんだよ」
「あーお尻が痒いですわ」
注文した料理が届きそれぞれが食事を始めたとき異変が起きる
「あれ・・・」
箸を持ったとき鈴音は指に一瞬力が入らないことに気付いた
「すいませーん」
「はい。お客様」
「お箸を一膳頂いてもいいですか?」
「かしこまりました。少々お待ちください」
「ありがとう舞。ごめんね」
「何の何の。それよりどうしたの?静電気でも起きた?」
「ばーか木製の箸を触って静電気が起こるわけないだろ?疲れてるんじゃない?」
「うっさい!裕太にバカって言われたくない!」
ドゴッ
裕太の弁慶に激痛が走った
「いってえ!お前何すんだ!」
「騒ぐなって、入禁くらうぞー。それより鈴音、大丈夫か?何かあったか?」
「ん~ん大丈夫だよ。」
-
彩花√-
「俺のお嫁さんになってくれないか」
観覧車のゴンドラの中である男がプロポーズした
「そんな・・・私で、私でいいの?」
「彩花、君がいいんだ。俺は君と結婚したい」
「っ・・・ありがとう。ありがとう」
円形の頂点から下に降りるまで彩花は泣き止むことはできなかった
【ねぇ神様。私は幸せです】
-
鈴音√-
「ん・・・。・・・」
家に帰った鈴音は少し仮眠を取っていた
「短い夢だった・・・結婚?した?・・・。何歳で相手が誰なのかも私にはわからないけど・・・」
-
彩花√-
結婚式を上げた彩花は一人の子供を授かり、一児の母となった
「私ね。なんだか不思議なの」
「どうしたんだ?」
「誰から見られてるような・・・この子とどこか会ったことがあるんじゃないかってふと思ったり」
「そんなまさか(笑)」
「私ね、すごく幸せなの。もうこれ以上にないくらい幸せなんだよ?」
「うん、君がそう言ってくれて俺も幸せだ」
【あなたは幸せ?】
-
私は幸せだよ
本当にそう?幸せに見えるだけで幸せじゃないんじゃない?
確かにそうかもしれない、でもたった今が幸せだっていうなら間違いはないよ
なら一つだけ覚えていて
一つだけ?
うん一つだけ。あなたは・・・私じゃない
鈴音√-
「あなたは私・・・じゃない。なら前世の記憶じゃない?・・・どういう意味なんだろ・・・」
高校三年生へ上がり夏を迎えようとしていた鈴音は突然、彩花の記憶を見ることはなくなった
「ん~・・・」
(私が見ていた記憶は、違う人?・・・何か起こるの?・・・)
「最近ずっと鈴音考え込んでるけど、なんかあったのか?」
「ん?特に何もなかったよ?」
「でも最近ペンを落としたり躓(つまづ)いたりが多くない?本当に大丈夫なの?」
「確かにそれは僕も思ってたんだ」
「真司がまたなんかやらかしたんだろ?」
「そんなわけがあるか!何かあったら僕を出してくるけど僕は本当にわからないんだよ・・・」
鈴音に起きている異変は自身だけではなく周りも気づき始めていた
「岡田。放課後、職員室に来てもらってもいいか?」
「え?はい!」
鈴音を気にかけていた担任の森先生は心配になり放課後に呼び出した
「あれ、鈴音が森ちゃんに呼ばれてない?」
「ほんとだ。課題を忘れたとか?」
「あの鈴音が?ありえないだろ。日直かなんかだろ」
「それと赤羽!お前もちょっと来てくれー」
三人で話していた真司を森先生は鈴音と同じように呼び出した
「え?僕?」
「お前以外に赤羽って名前はいないだろ」
「ほんとに何したの?(笑)」
「何もしてないって!」
「は!?まさか・・・え○ち?」
「へ?」
「ばっかそんなんじゃねえよ。真司なんだからもっとエグいことに決まってるだろ?」
「だから何もやってない!」
「来たか。ちょっと机の上だけ整理するから待ってくれ」
放課後になり職員室に真司と鈴音は訪れていた
「「はーい」」
5分ほど廊下で待っていた鈴音と真司を森先生は空き部屋へ通した
「まあ座ってくれ。長話もなんだろ?単刀直入に言うよ」
「はい、わかりました。」
「鈴音だけじゃなくて僕もってことは何か二人に関わることですよね」
「それを今から話すんだよ」
お茶を出しながら森先生は混乱している真司を静めた
「彩花」
「っ・・・」
聞き覚えがある名前に鈴音は動揺を隠しきれなかった
「?」
「赤羽は知らないか・・・」
「どういうことですか先生」
「え?どうしたの、何のこと?」
「君は記憶をどう思ってる?君にとっての記憶とはいったいなんだ?」
「私は!・・・私にとって記憶は・・・」
「動揺するのも無理はない。でも君が見たものは嘘じゃない、本当のことなんだ」
「・・・」
「どうしたんだ鈴音!先生、わかるように話してください!」
「ねぇ真司。私が高校に入学してからぼーっとしたりすることが増えたの、覚えてる?」
「うん、覚えてる。でもそれと今の女の子?の名前と何の関係があるんだ?」
「俺から話そう。」
「お願い・・・します・・・」
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