もし緑谷出久にミギーが付いたら   作:破邪矢

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皆さんどうも破邪矢です

またしても やってしまいました
私はいつになったら有言実行出来るようになるんでしょうか……
愚痴ばかりでスミマセン

それでは本文をどうぞ



仲間

事故に遭ってから初の登校日 緑谷の体もすっかり回復し元気に朝を迎えた

 

「お母さんおはよう」

 

「お早う出久 ご飯出来てるよ」

 

「うん」

 

ピッ

__焼け跡より発見された夫婦二人の遺体ですが 二体ともに火災では考えられないほどに頭部が損傷しており殺人事件の可能性があるということが警察関係者からの情報で判明しました

続いてのニュースです 三都府県で同一の方法で殺害されたとみられる殺人事件が発生しました

先日 全身を刃物のようなもので切り裂かれた遺体が東京都で発見され 遺体の損傷具合などから 犯行現場から遺体の一部が持ち出された可能性が高いとみられています その他にも2件の類似した事件が大阪・宮崎で発生しており警察は関連性を調査しています なお被害者3名の身元はいずれも判明しておりません

 

「このニュース怖いねぇ ほら新聞にも載ってる」

 

見出しには『三都府県でミンチ(ひき肉)殺人発生!』とかかれていた

 

「遺体はひき肉のようにズタズタにされ一部から犯人のものとみられる唾液が検出……食べてるのか?人を?」

 

母から新聞を受け取り 詳しく読んでみると 発生した地域は大阪・宮崎・東京と離れた場所で起きているのが分かる

被害者は主婦や会社員 犯行場所は路地裏や庭先などで共通点は無く金銭などの所持品を荒された様子も無かったようだ

 

「強盗殺人じゃない……集団の快楽犯かな? 今時珍しい」

 

色々な意味で「個性的」な今の超人社会において 複数の人間が同じ思想をもって犯行に及ぶテロのなどの集団犯罪は昔に比べて減少していた

 

「犯行声明を出してる訳でもないみたいだし……なにが目的なんだろう? それにしても酷い事件だ」

 

「出久 そろそろ出ないと遅れるよ」

 

「ホントだ 急がなきゃ」

 

母の言葉に時計を見ると普段出る時間より3分ほど過ぎていた

 

パクパク ムシャムシャ ゴクン

 

「ごちそうさま 行ってきます!」

 

「気をつけてね」

 

「ハーイ」

 

家を出て少し経つと緑谷は電話でもかかって来たのか右手に携帯を持ち耳に当てる

 

「興味深いニュースだな」

 

声が出たのは携帯では無く右手だった

 

「ちゃんと決まりを守ってくれるんだね」

 

二人は外で目立たない為の決まりを作っていた

"個性"に溢れるこの世界で約2割 同年代ではさらに低い割合の"無個性"である緑谷 そんな彼の右手が急に喋ったり変形したりしたら周囲の人間が騒ぎ目立つのは火を見るより明らかである

 

「君が変に目立つとわたしに危害が及ぶからな 用心に越したことはない ところでさっきのニュース 少し気にならなかったか?」

 

ひき肉(ミンチ)殺人の事? 今時集団犯罪何て珍しいとは思ったけど……」

 

「違う 焼け跡から見つかった死体の方だ」

 

「あぁ 殺人事件かも知れないって言ってたやつ? そりゃ多少気になりはしたけど」

 

「あの事件で死んだのは二人だけでは無いかもしれん」

 

「それってどういう……」

 

「思い当たらないならいい 私の思い過ごしかも知れん それはそうとイズク」

 

「何? また"個性"について何か質問?」

 

「今日の朝からどうも感情が落ち着いてないようだが 何かあったのか? 」

 

「そんな事が分かるの!?」

 

「前に言っただろう脈の変化を感じ取れると そこから食欲や眠気等が判別出来る 昨日の夜から今にかけての君は興奮しているように思えるが……学校という所はそんなに楽しいものなのか?」

 

自分が浮かれていることを ミギーに聞かれて初めて気が付く緑谷

だが気分が高揚するのも無理もない 事故に遭ってから__いや ミギーという『個性』を手に入れてから初の登校 彼を"無個性"とバカにした者を見返したような気になるのは当然と言っても良いだろう

 

「……いや そんな事無いよ 休んでた分授業についていけるか心配なだけ」

 

「そうか ならいい この間のように事故に遭うなよ」

 

初めての会話から5日経つ その間お互いに何度も言葉を重ね(主な会話は"個性"に関するものだが) 更にミギーは緑谷からパソコンの使い方を教わり様々な知識を吸収し 人間の生活をある程度理解したようだった

だが__

 

「ミギーには……分からないだろうな 僕の気持ちは」

 

常に体は繋がっている しかしお互いの事を完璧に理解できているわけではない ただミギーからすれば「種族からして違うのだから当たり前」としか思わないだろうが

 

(でも 現実問題(ヴィラン)とかに遭遇したときに 意志疎通はしっかりと出来た方が良いな そうすれば作戦をたてながら戦えるし……まてよ その場合"個性"の無断行使になるのか? ミギーは誰かの"個性"によって生まれたものだろうけど……"個性"によって作られた道具や空間の犯罪利用になるのか?犯罪利用されることが明らかな場合罪に問われたケースはあるけど そもそも僕とミギーの思考や行動は体の一部が繋がっているだけで……だとしても行動の大部分は僕が決めることが出来る そうなると僕じゃなくミギーの意志で攻撃したとしても 僕の責任になるのか? ブツブツブツブツ……

 

「イズク「えッ 何?」止まれ!!」

 

「ミギー 人混みのなかで急に喋らないでよ 知っているひとがいたらどうするの?」

 

「今それどころではない 仲間だ!!! 仲間がいるぞ!!!」

 

緑谷からの注意を気に止めず しゃべるミギー

 

「人前で喋るときは携帯使ってるふりを……仲間!? もしかしてミギーの? 分かるの?」

 

「あぁ 直線にして約200m 今まで感じたことは無かったがハッキリと分かる……向こうもこっちに気付いているようだが動く気は無いようだ」

 

「距離と考えてることも分かるんだ……」

 

「わたしも初めて分かったがその様だ 行くぞ イズク」

 

よほど興奮しているのか口調も行動も早い

 

「まってよ もしかしたら頭を乗っ取られた人かもしれないんでしょ?」

 

「そうだな その可能性は高い」

 

「だったら 近づかないでヒーローや警察に連絡しないと……あれ? 無い!」

 

どのポケットを探ってもスマホが見つからない

 

「わたしが持ってる」

 

いつの間に取ったのかスマホはミギーの元にあった

 

「ヒーロー ましてや警察を呼ぶのはもっての他だ 右腕を失いたいのか? それに わたしは自分が何者なのか分からない それを知るために仲間に会うことは合理的だろ?」

 

「そうかもしれないけどさぁ……」

 

そのまま学校に向かおうにもミギーが電柱にからだを絡ませ 仲間のもとに行く意思を見せる

 

「君だってわたしという存在を理解した方が 今後の生活のためになるかもしれない」

 

「はぁ……分かったよ 」

 

「よし 行くぞ」

 

(学校遅刻したらどうしよう……)

 

ミギーの情報をたよりに緑谷は住宅地を歩む

 

「家からそんなには離れてない こんな近くにいたんだ」

 

「数日家を出なかったから感知することが無かったんだろう そこの角を右に 直線にして約50m……これは……」

 

「どうしたの ミギー」

 

「どうやら食事中らしい そこの角を左」

 

「食事? まさか!」

 

嫌な予感がしたのか緑谷が駆け出す

 

クチャクチャ

 

「犬が 犬を食べてる」

 

目に写ったのは犬の共食いという余りにも異様な光景

 

「オマエ……ナカマ ……カ? ニンゲンノ……アタマガノコッテイル」

 

「同種ではあるな」

 

寄生犬とでも言うべきそれが振り向くと 6つに裂け口のようになっている頭部が見えた

 

「オマエハ……バショニ……オレハシュルイニ……フマンガアル」

 

「逃げろ!! イズク」

 

「えっ 何で 仲間なのに?」

 

「なぜだか知らんが 人間の脳が残ったままの我々に異常なまでの殺意を抱いている」

 

「ッ 分かった」

 

逃げ出した瞬間 足があった場所を形を刃のようにし硬化された触手が空を切る

 

「いつまでッ ハァ 逃げればッ いいのッ」

 

「止まれ ここで応戦する」

 

指示通り見晴らしの良い公園で足を止める

 

「何で ここで?」

 

「上を見ろ」

 

言われた通りに上を向くと 先程の寄生犬がコウモリのような翼を生やし飛んでいた

 

「飛んでる!? そうか 寄生箇所を翼に変形させて……そういう使い方もあるのか……」

 

「だが賢い判断ではないな」

 

ミギーはからだを細く伸ばし高さ10メートルほどにいる寄生犬に肉薄する

 

キンッ ギャイン

 

金属音とはまた違った低い音を出しながら互いの刃を交える

 

「早すぎて見えないけど……凄い」

 

寄生犬が力で押し負け体勢を崩すと ミギーはすかさずとどめを刺す

 

ドスッ

 

からだを元に戻したミギーは心臓を掴んでいた

 

「ミギー それって」

 

「あぁ ヤツの心臓さ」

 

「オノレ……キサマ」

 

心臓をえぐられた寄生犬は力なく倒れ寄生部分が枯れていく

 

「寄生部分の大半を羽にしたことで死角が増えた だからわたしが勝った」

 

情の欠片も感じさせない声で言い放ち心臓を握りつぶす

 

「ウっ……」

 

感触こそないが緑谷にとってその光景は直視できるようなものではなかった

 

 

 

 




如何だったでしょうか?

やっぱり戦闘シーンは難しいですね
それにあの寄生獣たちのフォルムを文章で表現するのは難易度が高すぎます「あれっ ひょっとして俺の方が小説書くの上手いんじゃね?」
と思った読者様はどうぞお書きになってください
(そしてそれを読ませて)

最後まで読んでくださった方々 ありがとうございました

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